SCP-119-JP
評価: +2+x
CpaA6uuVUAAnI8v.jpg

SCP-119-JP

アイテム番号: SCP-119-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-119-JPに関する実験は禁止されています。収容施設への出入りを防ぐため、その施設の全ての出入り口と窓は内側から鍵が掛けられ、施設内外各所に監視カメラを設置し常に監視します。収容施設内へ侵入した者は直ちに勾留され、場合によっては処分されます。収容施設は住宅密集地に存在するため、カバーストーリー「曰くつきの空き家」を流布し、SCP-119-JP収容以前の家屋と同様の外装を保ち続けることで、近隣住民からの不要な注目を集めることを防いでください。

説明: SCP-119-JPは静岡県██市████町にある二階建ての木造の家屋内の、1階と2階を繋ぐ15段の階段です。

SCP-119-JPの異常特性は、SCP-119-JPを1階から1段ずつ上った際に、その上っている人間(以下”被験者”と表記)に対して表れます。段を飛ばしながら上った場合はSCP-119-JPの異常特性は表れません。

被験者がSCP-119-JPを上ると、被験者の肉体と一部の認識に改変が生じます。被験者の肉体はSCP-119-JPを1段ずつ上るごとに明らかな老化現象が確認されるようになります。そして被験者は、SCP-119-JPを上るごとに、1段下の段にいた時に証言していた年齢よりも高い年齢を証言するようになります。被験者は自身の肉体、および年齢が改変されていることに関して”以前からそうであった”と確信し、違和感を持たないことが実験で判明しています。そのため被験者の肉体、および年齢の改変事象は、被験者を観察している者にのみ認識することが出来ます。

SCP-119-JPを上り、その後2階まで上り終えずに下りた場合、SCP-119-JPの異常特性により老化した被験者の肉体は元に戻っていき、1階まで下りた時点で完全に元の状態に戻ります。また認識も同様に改変前のものに戻ります。

SCP-119-JPを2階まで上った時、被験者と被験者が身に着けていた衣服を含めた物品は瞬時に消失します。消失した被験者の肉体がどこに行ったのかについては、被験者の肉体に埋め込まれていたGPS装置の信号が被験者の消失と同時に途絶えたため不明です。

SCP-119-JPが存在する家屋には以前まで、3人の民間人1が生活していました。彼らは2016年8月15日から外出した様子が目撃されず連絡も取れなくなっており、それを不審に思った近隣住民から警察へ捜索願が出されていました。この事件の調査を行っていた財団のエージェント2人がSCP-119-JPを上った際に、1人のエージェントが前方のエージェントの肉体の異常に気が付き、財団に報告しました。その後、Dクラスを用いた実験が行われ、SCP-119-JPのもつ異常特性が明らかとなりました。なお当事件は「一家集団失踪事件」のカバーストーリーが適用され、問題なく処理されました。

追記: SCP-119-JPの新たな異常特性が実験により明らかとなりました。その危険性の高さを考慮し、SCP-119-JPに関する実験は凍結されました。詳しくは後述する実験記録-5およびSCP-119-JPに関する提言を参照してください。

<実験記録-1>

日付: 2017年1月1日

被験者: D-90

実験方法: 被験者をSCP-119-JPの5段目まで1段ずつ上らせる。その後、被験者を1階まで1段ずつ下らせる。被験者がSCP-119-JPを上り下りするごとに、被験者に自身の現在の年齢を質問し、記録する。

結果: 実験開始時、つまり被験者が最下段にいる時、被験者は自身の年齢を25歳であると証言しました。その後、被験者はSCP-119-JPを1段上るごとに、自身の年齢を29歳、34歳、36歳、40歳、43歳であるとそれぞれ証言しました。また被験者が5段目まで上った時点で、被験者の頭髪から明らかな老化の兆候が確認されました。

その後、被験者はSCP-119-JPを1段下るごとに、自身の年齢を40歳、36歳、34歳、29歳、25歳であると証言しました。被験者の肉体は実験が開始された時点の状態に戻っていました。実験後、被験者は「なんで同じ質問を何度もしてきたんだ?私の年齢がそんなに大事なのか?急に変わる物でもあるまいに」と発言しました。精神鑑定において被験者の精神に異常が見られなかったことから、被験者は肉体や年齢に関する改変を完全に認識できていないことが判明しました。

<実験記録-2>

日付: 2017年1月3日

被験者: D-90

実験方法: 被験者にSCP-119-JPを1段飛ばしで上らせる。被験者がSCP-119-JPを上るごとに、被験者に自身の現在の年齢を質問し、記録する。

結果: 被験者は奇数段を飛ばしてSCP-119-JPを上り2階まで問題なくたどり着きました。被験者は自身の年齢を一貫して72歳であると証言しており、SCP-119-JPの異常特性は確認されませんでした。

<実験記録-3>

日付: 2017年1月4日

被験者: D-90

実験方法: 被験者をSCP-119-JPを1段ずつ上らせ、2階まで行かせる。被験者がSCP-119-JPを1段上るごとに、被験者に自身の現在の年齢を質問し、記録する。

結果: 被験者が2階まで上った時点で、被験者は瞬時に消失しました。また被験者は自身の年齢を一貫して72歳であると証言していました。

付記: なぜ今までの実験では若いDクラスを使っていたのに、今回の実験に限って高齢のDクラスを被験者として採用したのかがわからない。特に理由がない以上は、SCP-119-JPの実験に使用するDクラスは比較的若い者を採用するのが定石だろう。若いDクラスであればSCP-119-JPの異常特性による肉体の変化が観察しやすいし、高齢のDクラスではそもそも実験に進行に支障をきたす恐れがあるからな。次回の実験で使用されるDクラスは、出来るだけ若い者にしてくれるよう、具体的な年齢を挙げてDクラス管理棟へ申請しておこう。-竹山博士

<実験記録-4>

日付: 2017年1月6日

被験者: D-92

実験方法: GPS装置が体内に埋め込まれた被験者にSCP-119-JPを1段ずつ上らせ、2階まで行かせる。被験者がSCP-119-JPを1段上るごとに、被験者に自身の現在の年齢を質問し、記録する。なお当実験はSCP-119-JPの異常特性による被験者の肉体の老化を詳しく観察するために行われるため、被験者は20歳の健康的Dクラスが望ましいとされた。

結果: 被験者が2階まで上った時点で、被験者は瞬時に消失しました。それと同時に被験者の肉体に埋め込まれていたGPS装置からの信号が途絶えました。また被験者は自身の年齢を一貫して75歳であると証言していました。消失した被験者は現在まで発見されていません。

付記: おかしい。Dクラス管理棟には確かに20歳のDクラスを寄こすように申請したはずだ。仮に、申請の手続きの際に何らかの食い違いがあったとしても、実験が開始される段階で私がそれに気が付くはずだ。先ほどDクラス管理棟と連絡を取ったが、申請書には特に誤りがないことは確かなようだった。では、何故私が申請したDクラスの年齢と実際に使用されたDクラスの年齢に差異が生じてしまったのだろう?次回の実験で、私が抱くこの疑問を解き明かすことにする。-竹山博士

<実験記録-5>

日付: 2017年1月20日

被験者: D-93

実験方法: 被験者にSCP-119-JPを1段ずつ上らせ、2階まで行かせる。被験者がSCP-119-JPを1段上るごとに、被験者に自身の現在の年齢を質問し、記録する。また被験者の職員記録の写しをスクラントン現実錨の影響下にある環境に留置し、実験終了時に被験者の職員記録とその写しを比較する。

結果: 被験者が2階まで上った時点で、被験者は瞬時に消失しました。被験者は自身の年齢を一貫して78歳であると証言していました。

被験者の職員記録とその写しには決定的なずれが確認されました。職員記録には被験者の年齢が78歳であると明記されているのに対し、写しには23歳であると明記されていました。また職員記録には被験者は死亡したと明記されていましたが、写しにはそのような記述は一切明記されていませんでした。このことから、SCP-119-JPが引き起こす改変事象は被験者だけでなく、当初の財団が想定していたものよりも広い範囲に及ぶものであることが判明しました。

SCP-119-JPが引き起こした改変事象の影響がどの程度の範囲にまで及んでいるのかを正確に調査するために、機動部隊た-8(”熟れた果実”)が編成されました。3か月に渡る調査の結果、写しにあるD-93の情報と照らし合わせた時に、改変事象の影響を受けていた記録が多数発見されました。

  • D-93の生年月日
  • D-93の血縁関係
  • D-93が引き起こした事件における報道や記事の一部の内容
  • D-93に関する全ての記憶
  • D-93が映っている写真や映像

これらの記録が改変されたことに伴って、SCP-119-JPによる改変事象はD-93の周囲の人間関係に多大な影響を及ぼしたと推測されています2

<SCP-119-JPに関する提言(2017/01/24)>

SCP-119-JPの改変事象が当初の我々が想定していた範囲を大きく超過して影響を及ぼしていることが判明しました。現在までの実験で判明した記録に鑑みて、SCP-119-JPに関する実験を行うことは我々にとってリスクが高く、これ以上の実験を行う意義は無いと私は判断します。SCP-119-JPに関する実験の凍結を提言します。-竹山博士

承認する。SCP-119-JPに関する実験は凍結、機動部隊た-8(”熟れた果実”)は引き続き任務の完遂を目指し尽力すべし。-日本支部理事

補遺: D-93が生活していた区画において、D-93が執筆したと思われる文章が発見されました。審査の結果、この文章はSCP-119-JPの調査を進めるうえで重要な資料であると判断されました。以下がその内容です。

この施設に入れられてすぐに、私はここが処刑場であることを何となく察した。歳の功というやつか。周りの若いのは慣れない環境下に突然投げ込まれたせいで酷く混乱していたが、私は落ち着いていた。我ながら最悪な人間だと思う。自分の孫3を殺しておいて、死刑まで言い渡されて、それなのに私の心は何一つ動いていなかった。まるで私が本当は孫なんて殺していなかったかのように。私には記憶の中の孫の顔が靄で塗りつぶされたように感じる。それだけではない。私の妻の顔も、私の子の顔も、その子と結ばれた男の顔も、何もかもが他人事のように感じられる。

[乱雑な線で文章が塗りつぶされている]

私はもうすぐ死ぬのだろう。それに関してはもういい。しかし、私にはまだやり残したことがある。私は私の家族に何の償いもしてやれていない。あなた達が最後に私の願いを聞いてくれるというのなら、これより下に書くことを、私の遺書として、懺悔の言葉として、私が残した家族の元まで送ってほしい4

[これ以降の文章は重要性が薄いと判断されたため削除済み]

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。