SCP-1208-JP
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β-7のエージェント・桜庭を睨むSCP-1208-JP。この直後、エージェント・桜庭は飲酒運転の自動車に跳ねられ、全治1ヶ月の重症を負った。

アイテム番号: SCP-1208-JP

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-1208-JPの収容は現時点では不可能です。対応は隠蔽と情報収集に注力されます。

諜報局は人的諜報および専用WEBクローラ(I/O-Fortuna)によってSCP-1208-JPの出現を探知し、機動部隊β-7("ブルーバード")を派遣します。同部隊のSCP-1208-JPへの対応は監視に留め、特に妨害行為は厳禁とします。インタビューなどの接触行為は、出現地域を管轄するサイトの管理官の許可が必要です。

SCP-1208-JPの出現地域周辺では、フィールドエージェントがSCP-1208-JPの取引相手を捜索します。取引相手を発見した場合、情報収集が済み次第、適切な記憶処理を実施します。

説明: SCP-1208-JPは世界各地に不明な手段で出現する人間型実体です。外見上はコーカソイド系の少女ですが、財団に発見された201█/██/██以来、加齢している様子はありません。目撃時は常に画像のようなメイクを施し、フリルの多いドレスを着用しています。英語、フランス語、ドイツ語、中国語、日本語で会話できることが確認されています。

SCP-1208-JPはクラスⅣ以上の確率操作能力、もしくはそれに酷似した現実改変能力1を備えており、現在までに実施されたSCP-1208-JPの確保作戦は、以下のような"トラブル"によって全て失敗しています。

1. β-7隊員がトラックの横転事故に遭遇し、積荷の砂で視界を奪われる。
 
2. β-7隊員がGOCの排撃班と遭遇し、現場主導権を巡って争いになる。
 
3. β-7隊員が使用していたツァイリンガー確率網2が、起動前に落雷で故障する。
 
4. β-7隊員がゲリラライブに集まった群衆に通行を妨げられる。
 
5. β-7隊員の麻酔銃に原因不明の弾詰まりが発生する。
 
6. β-7隊員のヘリコプターに大量の鳥類が群がり、飛行不能に陥る。
 
7. 現場付近のサイト-████で大規模収容違反が発生し[削除済]

より詳細な経緯に関しては、別紙SCP-1208-JP確保作戦報告書を参照して下さい。被害の規模および予測の困難さを考慮し、SCP-1208-JPの確保作戦は201█/██/██の第█次作戦を最後に中断しています。

諜報局による調査の結果、SCP-1208-JPはしばしば一般人と接触し、能力を行使する代償に金品を受け取っていることが判明しています。この際、SCP-1208-JPは"不幸屋"と自称し、"不幸を売買する"という形で能力の行使、および取引を行います。これがSCP-1208-JPの能力上の制約なのか、単なる演出なのかは不明です。

SCP-1208-JPへの対策として、主に以下の3案が検討されています。

1. 複数のツァイリンガー確率網でSCP-1208-JPを包囲する。問題点・ツァイリンガー確率網は可搬性に乏しく、SCP-1208-JPの出現地点への素早い配置が困難。
 
2. 軍事衛星ミョルニルの荷電粒子砲によってSCP-1208-JPを狙撃・終了する。問題点・保護の理念に反する。SCP-1208-JPの能力が衛星軌道上にも及ぶ可能性。
 
3. SCP-1208-JPを買収し、当面の収容体制に代替する。問題点・SCP-1208-JPの性格上、金銭的報酬では困難か。詳細はインタビューログNo.03参照。

SCP-1208-JP関連インタビューログ:

日付: 201█/██/██

場所: アメリカ合衆国、ニューヨーク、█████のアパート

対象: サマンサ・グリーン氏(28歳女性、飲食店勤務、SCP-1208-JPと取引を行ったと見られる)

インタビュアー: エージェント・ロンバルディ(オカルト雑誌記者に偽装中)


[前略]

グリーン氏: ごめんね、散らかってて。最近、部屋以上に私生活がとっ散らかっててさ。(15:13:29)

エージェント・ロンバルディ: いえいえ、お気になさらず。それで、この少女にお会いしたとのことでしたが。(15:13:35)

グリーン氏: 何、あんたの所が取材に来るなんて、この子って都市伝説的なアレなわけ?(15:13:41)

エージェント・ロンバルディ: ええ、色々な噂が錯綜しています。幽霊だとか、魔女だとか。(15:13:47)

グリーン氏: とんでもない! あの子はねえ、幸運の女神様よ。何せ、あたしの白血病を治してくれたんだから。(15:13:52)

エージェント・ロンバルディ: 白血病ですか? (15:14:01)

グリーン氏: 最近調子が悪いなと思って、病院に行ったら「すぐ入院して下さい」って。[笑う]笑っちゃうでしょ? 白血病と言えば、薄幸のヒロインが罹る病気でしょうに。こんないい歳こいたアバズレが罹ったって「性病の間違いじゃないのか」って言われるのが関の山よ[笑う]。(15:14:04)

エージェント・ロンバルディ: い、いえ、そんなことは。それで、どうなったのですか?(15:14:20)

グリーン氏: もうどん底よぉ。薬の副作用で頭は禿げるし、入院費で貯金はパーだし、挙句の果てに彼氏も逃げちゃうし。これで死んだら、天国で神様の[削除済]を[削除済]てやるとか思ってたら、いきなりその子が病室に現れてね。(15:14:25)

エージェント・ロンバルディ: 自分は幸運の女神だと?(15:14:37)

グリーン氏: あー、いや、そうは名乗らなかったかな。何かおかしなこと言って……そうだ、こう言ってたよ。「自分は不幸屋だ。あんたの不幸を譲ってくれないか」って。まるでおとぎ話でしょ?(15:14:40)

エージェント・ロンバルディ: 不幸屋ですか。それで了承した?(15:14:56)

グリーン氏: 話が美味すぎるって言うんでしょ。それぐらい、あたしも考えたってば。魂でも取るつもりかって。でも彼女、代金は要らないって言うのよ。欲しいのは不幸だけだって。だから、藁にもすがる思いで頷いたら、「契約完了だね」ってにやぁっと笑って、すぅっと消えちゃって。その時は、変な夢見たなぐらいにしか思ってなかったけど。(15:15:01)

エージェント・ロンバルディ: 本当にご病気が治ったと?(15:15:22)

グリーン氏: 1ヶ月ぐらいかけて徐々に、だけどね。それでも、お医者さんも奇跡の回復だって驚いてたわよ。いやあ、奇跡って本当に起きるのねえ。お金や彼氏は返ってこないけど、生きてるだけで十分よ。素晴らしき哉、人生! ところであんた、この後時間ある? いいお店知ってるんだけど。(15:15:25)

エージェント・ロンバルディ: あ、いや、申し訳ない。先約がありまして。(15:15:46)

[後略]

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