SCP-1209
評価: +8+x

アイテム番号: SCP-1209

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1209-1は、サイト-██の標準型ヒューマノイド収容室に収容するものとします。1日に3回の食事の支給のほか、素行が良好なSCP-1209-1に対しては、報酬として(セキュリティに支障を生じず、かつ過度ではない範囲で)娯楽や嗜好品を要求する権利を与えてください。担当の財団スタッフがSCP-1209-1と交流を図ることは自由であり、良好な心理的関係の構築という観点からも推奨されていますが、SCP-1209-1同士を接触させることは禁じられています。

SCP-1209の研究、および受信された視覚情報の記録のため、SCP-1209-1に対しては財団職員による聞き取り調査を定期的に行う必要があります。毎日0800時と1900時(それ以外の時間でも、SCP-1209-1からの申し出があった場合は随時)に聞き取り調査を実施し、内容を記録してください。心的外傷を生じさせる恐れのある視覚情報を受信したSCP-1209-1に対しては、担当の精神科医によるカウンセリングを実施するものとします。将来において有効活用できる内容が視覚情報に含まれている可能性を考慮し、記憶の消去は行いません。

SCP-1209-2は概して通常の人間であり、SCP-1209-1とのリンクを除いて特異な性質は見られません。従ってSCP-1209-2に対しては、身元調査と監視以外に特段の収容処置を講じる必要はありません。

財団のミッションに重要な影響を及ぼし得る情報がSCP-1209-1から得られた場合は、対応を検討するため、即座にサイト-██の管理者まで報告してください。

説明: SCP-1209は、人間の眼に生じる先天性の機能不全です。発症例は[データ削除済]地域に限られており、環境的な要因によって生み出されたものと考えられます。SCP-1209の症例においては眼球の構造に大きな変化が見られますが、最大の特徴は、虹彩、瞳孔、水晶体などの組織が一つの眼に複数(多くの場合は2~4組ずつ)存在することです。通常は虹彩異色症を併発しており、それぞれの虹彩が異なる色を持っています。角膜が複数存在し、強膜には歪みが生じているため、眼球運動には軽度ないし強度の不快感が伴われ、場合によっては片方または両方の眼球の運動範囲に制限が見られることもあります。また多くの場合、眼球構造の異常な変化の結果として、一つないし複数の水晶体が視力を喪失して(または喪失に近い状態になって)います。SCP-1209の症例に見られる特殊な光学的構造に関する詳細な分析結果については、付属文書1209-αを参照してください。

SCP-1209を発症している人物(以降はSCP-1209-1と呼称します)は、複数の瞳のうち一つ(通常、正常な眼において瞳が存在する位置に最も近い瞳)を通して普通に物を見ることができます。そして他の瞳は、別の人物(以降はSCP-1209-2と呼称します)が見ているものと同じ光景を映し出します。全ての瞳はそれぞれ別のSCP-1209-2とリンクしており、リンクする対象が替わることはありません。

SCP-1209-1は余剰瞳孔と同じだけの数のSCP-1209-2とリンクしていますが、これによって得られるのは視覚情報のみです。また、リンクの対象となるのは全てSCP-1209-2の左眼であるものと思われます。SCP-1209-2が眼を閉じていたり、眼が傷を受けたために一時的に視力を失っていたりする間は、視覚情報を受信することはできません。SCP-1209-2が死亡した場合、腐敗によって眼球の状態がある程度悪化するまでは受信が続きます。SCP-1209-2が完全に失明するか、SCP-1209-1の余剰瞳孔が重度の傷を受けると、受信は終了します。なお、受信の阻害要因となるのは外傷のみであり、余剰瞳孔が元々発症している機能不全によって受信が妨げられることはありません。SCP-1209-2が夢を見ている間も受信は行われますが、覚醒時と比較するとその精度は低下します。

全てのSCP-1209-2は、リンク対象であるSCP-1209-1が誕生してから約2時間以内に生まれていることが明らかになっています。

SCP-1209の存在は、███████病院の診療記録の定期検査の最中に発覚しました。その後の調査の結果、█名のSCP-1209-1が███████町周辺、より正確には町の主水源周辺の地域で生まれたことと、かつて成分不明の化学物質が██年間に渡って水源に投入されていた可能性があることが判明しています。化学物質の投入を行ったのは、給水ネットワークのメンテナンス業者に偽装した集団であると思われますが、その正体は明らかになっていません。この集団による「メンテナンス」が行われていた期間とSCP-1209-1の母親の妊娠時期は重なっており、関連性が強く疑われるものの、因果関係の証明は不可能でした。水源に投入された化学物質と同じものと考えられるサンプルは、財団が入手した時点で既に分解が進行してしまっており、現在に至るまでSCP-1209の原因を究明するための実験は行えていません。

補遺1209-1: 特筆すべき何らかの特徴を有しているSCP-1209-2を以下に示します。これまで存在が確認された全てのSCP-1209-2の一覧は、ドキュメント1209-βに記載されています。

  • ████・█████。男性。リンク対象はSCP-1209-1-3。[編集済]州州務長官██████・█████の側近を務める人物であり、機密情報の流出源となっていたために注目された。財団による介入の結果、現在では重要な政治的ポストからは外されている。
  • ███████・████。男性。リンク対象はSCP-1209-1-2。中央アフリカの過激派組織[編集済]の構成員として非合法活動に従事していたが、████/██/██、戦闘中に殺害された。これによって視覚情報の受信は停止したものの、それまでに受信した情報による強いストレスのため、現在もSCP-1209-1-2は精神科医の観察処置を受けている。
  • ███████・███████。女性。リンク対象はSCP-1209-1-1。██████・█████紙の記者として活動していたオーストラリア人ジャーナリストであったが、████/██/██、財団の活動に関係する事物を調査していた最中に死亡した。その過程で、後にSCP-████として分類されることになる認識災害の発生の瞬間を目撃しているが、リンクしていたSCP-1209-1-1は何の影響も受けることはなかった。その後のSCP-1209-1-1への聞き取り調査によって得られた情報は、SCP-████の確保において重要な役割を果たしている。SCP-1209が財団の職務遂行に寄与した例としては、現在唯一のものである。
  • 身元不明。男性。リンク対象であるSCP-1209-1-3が財団の保護下に入った直後、自傷行為によって視力を喪失した。これはSCP-1209-1-3による視覚情報の受信を妨げるためであったと考えられ、視力を失う直前には「両眼をなくしてもかまうものか。もうこっちに関わるな」というメッセージを書き残していた。この人物がなぜSCP-1209のことを知っていたのか、またどの程度までSCP-1209の性質を理解していたのかは不明である。
  • 身元不明。リンク対象はSCP-1209-1-4。SCP-1209-1-4から得た情報を詳細に分析した結果、このような人物はどこにも存在しないことが判明した(SCP-1209-1-4が説明する光景の中には、そもそもこのような人物が存在するはずがないことを示すものも含まれている)。受信された視覚情報はいずれも正確なものであることが確認されているが、この人物の姿を知ることはできていない。この人物の眼を通して得られた情報の中には極めて重要性の高いものも複数存在するが、████/██/██を最後に受信は途絶えている。
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