アイテム番号: SCP-1245-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-1245-JPは、サイト-8181内に存在するようにし、サイト外へ持ち出す必要のある場合、もしくはサイト-8181外でのSCP-1245-JPの特異性の実験は、セキュリティクリアランスレベル4以上の職員の許可を得た上で行ってください。SCP-1245-JPの特異性の継続を確認するために、2週間ごとにSCP-1245-JP担当の職員はSCP-1245-JPを利用して「注文」を行い、SCP-1245-JPの特異性が継続していることを確認してください。もし後述するSCP-1245-JPの特異性が発現しなかった場合、現在任務に当てられていないエージェントに報告し、SCP-1245-JP-2の捜索を要請してください。また、可能であればSCP-1245-JP-2の現在地特定に協力してください。
事案1245-JP-A以降、特別収容プロトコルは現在のものに改定されました。
SCP-1245-JPは、サイト-8181内の低危険物収容ロッカー内に収容してください。実験の際は、SCP-1245-JP担当職員の許可を受けた上で行ってください。サイト外へ持ち出す必要のある場合、もしくはサイト-8181外でのSCP-1245-JPの特異性の実験は、セキュリティクリアランスレベル4以上の職員の許可を得た上で行ってください。
説明: SCP-1245-JPは、19██年に閉店となった宅配ピッツァ店(この店舗をSCP-1245-JP-1と指定)、「30-Minute」の宅配メニュー表です。後述する電話番号以外の記載されている宅配メニュー、及びその値段は、「30-Minute」の他の特異性のない宅配メニュー表と同じでした。SCP-1245-JP-1はサイト-8181から2km圏内に存在します。
SCP-1245-JPの特異性は、SCP-1245-JPに「注文はこちら」と記載されている電話番号に電話をかけた際に発生します。この時、電話を掛けた被験者が、自身がかけている電話番号がSCP-1245-JPに書かれているものであるという認識がなければ、電話はつながらず、異常性は発現しないことが確認されています。また、被験者が屋外に居る場合でも異常性は発現しません。
SCP-1245-JPに記載された電話番号を一般的な通話が可能な端末に入力し通話した場合、一般的な男性のものだと推測される声が応答します。この時応答する声はSCP-1245-JP-4のものと酷似しています。応答した声は自身を「30-Minute」の店員であると称し、通話を行った者(以下、被験者と記述)に対し、「注文」を承ろうとします。この時に「注文」をすることができるのは、SCP-1245-JPに記載されているメニューのみです。また、この時の通話にこの「注文」がどのようなメニューであったとしても、応答した声は通話を終える際に必ず、「30分以内にお届けいたします!」と発言します。この際の「注文」は一般的なピッツァ宅配店と違い、「注文」を行った被験者が宅配先の場所を伝えることがなかった場合でも成立します。
SCP-1245-JPを利用した「注文」が行われると、SCP-1245-JP-1に隣接した駐車場内に、ピッツァ宅配用のバイクが出現します。このバイクをSCP-1245-2と指定します。SCP-1245-JP-2は出現後、収納部分のふたを開き、ピッツァを排出します。この排出されたピッツァをSCP-1245-JP-3と指定します。SCP-1245-JP-2が排出するSCP-1245-JP-3は、被験者が「注文」をした種類のものとなります。
SCP-1245-JP-3は、SCP-1245-JP-2から排出後、未知の手段により地面からおよそ1mほどの空間に浮遊します。駐車場と隣接した車道を交通規則に則って基本的に交通規則に則って飛行します。この時に飛行する方向は被験者がSCP-1245-JPを用いて「注文」を行った建物の方角となります。周囲の車両や信号機などを認識しているため、SCP-1245-JP-3は知性を有しているとみられていますが、飛行中のSCP-1245-JP-3は外部からの呼びかけや接触に一切の反応を示しません。この時、周囲のSCP-1245-JPの異常性を知り得ない人物は、ピッツァが浮遊しているという現象に違和感を感ることがありません。
SCP-1245-JP-3が被験者のいる建造物の周辺まで到達した時、被験者のいる建造物の出入り口近くまで移動します。その後数秒以内に、SCP-1245-JP-3が浮遊している地点の2m以内に、およそ20代前半の日本人男性とみられる人型実体が出現します。この人型実体をSCP-1245-JP-4と指定します。SCP-1245-JP-4は、扉をノックする等の行動で、ピッツァの宅配が到着したということを建造物内部の人間に知らせようとします。インターホン等がある場合はそれを使用します。人間がSCP-1245-JP-4に対して応答を行うと、SCP-1245-JP-4は、自身を宅配ピッツァ店「30-Minute」の店員であるという主張をします。SCP-1245-JP-4は一般的な宅配サービスと変わりない流れで「注文」したピッツァの代金の受け取りを被験者に対して行おうとします。代金の受け取りを行ったSCP-1245-JP-4は、意図的に制止しない限り、即座に消失します。この時のSCP-1245-JP-4、及び代金の行方は現在まで不明です。SCP-1245-JP-4消失後も、回収を行わない限りSCP-1245-JP-3はその場に浮遊を続けます。回収をされたSCP-1245-JP-3は一切の異常性を失います。SCP-1245-JP-3出現からどれほどの時間が経過していても、回収されたSCP-1245-JP-3からは「破損」「鮮度の低下」「温度の低下」等は見られませんでした。回収されたSCP-1245-JP-3は、通常のピッツァと同様に摂食可能です。
被験者が「注文」を行ってからSCP-1245-JP-3が被験者のいる建造物にたどり着くまでに30分以上を費やした例は一度もありません。
この実験記録は抜粋です。完全な実験記録を参照するには██博士へ申請してください。
実験記録1245-あ - 日付20██/██/██
被験者: ██博士
注文場所: サイト-8181
実施方法: SCP-1245-JP-1の駐車場出入口にバリケードを設置した状態で、「注文」を行う。
結果: 「注文」終了後、SCP-1245-JP-2は駐車場に隣接した車道に直接出現した。
分析: SCP-1245-JP-2、およびSCP-1245-JP-3の出現を妨害することは不可能なようです。一般車両との接触事故を避けるために、今後この実験をするのは中止したほうがよさそうです。 —██博士
実験記録1245-う - 日付20██/██/██
被験者: ██博士
注文場所: 財団フロント企業S████C████████P███の所有するビル内。通常の車両の走行と同様に飛行すれば30分以内にたどり着くことは不可能
実施方法: 通常通りの「注文」を行う。
結果: SCP-1245-JP-3は通常通りに出現したが、交通規則をやや破り、飛行した。
分析: SCP-1245-JP-3は、30分以内にたどり着くことを何よりも優先するようです。—██博士
実験記録1245-え - 日付20██/██/██
被験者: ██博士
注文場所: サイト-8181
実施方法: 通常通りに「注文」を行う。代金の支払いの際、SCP-1245-JP-4を攻撃する。
結果: SCP-1245-JP-4には一切負傷が見られなかった。後日、道路を走行中のSCP-1245-JP-3にも同様の攻撃が加えられたが、一切破損は見られなかった。
分析: あれだけの攻撃を行ったにもかかわらず、SCP-1245-JP-4は通常通りの素振りを見せました。 —██博士
実験記録1245-お - 日付20██/██/██
被験者: ██博士
注文場所: サイト-8181
実施方法: 通常通りの「注文」を行い、代金の支払いを行わないまま放置をする。
結果: 実験は2か月で中止した。SCP-1245-JP-4は一切の睡眠や食事を行わず、サイト-8181の出入り口に滞在し続けた。
分析: 今回の実験終了後のやり取りでもSCP-1245-JP-4は普段通りの素振りを見せました。このことから、SCP-1245-JP-4には不満といった感情が存在しないようです。 —██博士
実験記録1245-か - 日付20██/██/██
被験者: ██博士
注文場所: サイト-8181
実施方法: SCP-1245-JP-4出現中に「注文」を行う。実験は実験記録1245-おの最中に行われた。
結果: 電話はつながらなかった。
分析: この結果から、SCP-1245-JP-2やSCP-1245-JP-4は1個体しか存在しないようです。 —██博士
実験記録1245-け - 日付20██/██/██
被験者: ██博士
注文場所: ██山山中の山小屋。通常通りの走行では20時間以上かかる。
実施方法: 通常通りの「注文」を行う。
結果: SCP-1245-JP-3は出現後、数秒間静止しました。その後、時速250kmほどのスピードで「注文」を行った山小屋の方角の斜め上方向へ急速に飛び立ちました。
分析: SCP-1245-JP-3が一般道を使用しなかった初めての事例です。 —██博士
実験記録1245-こ - 日付20██/██/██
被験者: D-14581
注文場所: 海上の、通常はオブジェクトの輸送用として使用されている財団所有の船。
実施方法: 通常通りの「注文」を行う。
結果: SCP-1245-JP-3は通常通り出現。数秒の制止後、時速████ほどのスピードで飛び立ちました。しかし、通常の「注文」を行った場合と違い、「注文」を行った船上に到達したのにもかかわらずSCP-1245-JP-3は停止せず、[削除済み]。幸い死亡した財団職員はいませんでした。実験後の調査で、船は波の影響によってやや「注文」を行った場所とずれが生じていたことが判明しました。この実験においてSCP-1245-JP-3が停止した場所が、本来「注文」を行った場所と一致しました。
分析: SCP-1245-JPのサイト-8181外での実験の無期限の中止を申請します。 —██博士
対象: SCP-1245-JP-4
インタビュアー: エージェント・███
付記: インタビューは、SCP-1245-JP-4がピッツァの受け渡しと代金の受け取りを行う際以外での接触に一切反応しないため、実験記録SCP-1245-JP-いでの支払いの最中にサイト8181の出入り口にて行われた。
<録音開始>
SCP-1245-JP-4: ご注文の確認をさせていただきます。ピッツァ・マルゲリータ のSサイズが5点、ピッツァ・マルゲリータのブラックオリーブトッピングのSサイズがが5点、キング・マルゲリータのMサイズが7点、Lサイズが8点、ミートマルゲリータとピッツァ・マルゲリータのハーフ&ハーフのSサイズが2点、ミートマルゲリータと季節のマルゲリータのハーフ&ハーフのMサイズが1点の、28点でよろしいでしょうか?
エージェント・███: ああ、問題ない。
SCP-1245-JP-4: お会計は105900円になります。
エージェント・███: 実験のためとはいえ高えな…. これでピッタリのはずだ。
SCP-1245-JP-4: はい、確認させていただきますね。[23秒沈黙]はい、ちょうどですね。領収証は必要ですか?
エージェント・███: いや、領収証はいい。
SCP-1245-JP-4: では、私はこれで。これからも「30-Minute」のご利用をお待ちしております。
エージェント・███: ああ、ちょっと待ってくれ。
SCP-1245-JP-4: なんでしょうか?
エージェント・███: 質問いいか?
SCP-1245-JP-4: 当店に関しての質問であれば私に応えられる範囲でよろしければ。
エージェント・███: このピザはどうやって作られてるんだ?
SCP-1245-JP-4: 当店自慢の石窯で焼きあげております。あと、細かいようですがピザではなく、ピッツァと言っていただけるとありがたいです。
エージェント・███: どう見ても注文してからすぐ作れる量ではないんだが?
SCP-1245-JP-4: [返答せず]
エージェント・███: ….じゃあ質問を変えるが、あんたはバイトか何かか?
SCP-1245-JP-4: はい、当店でバイトをさせていただいております。
エージェント・███: 名前と年齢は?
SCP-1245-JP-4: [返答せず]
エージェント・███: あんたは「30-Minute」が既に閉店になって土地は財団が買ったっていうことを知っているのか?
SCP-1245-JP-4: [返答せず]
エージェント・███: …じゃあ最後に、これはちょっと個人的に気になったことなんだが…
SCP-1245-JP-4: なんでしょうか?
エージェント・███: なんでわざわざピッツァを飛ばすんだ? SCP-1245-JP-2、あのバイクで運べばよくないか?
SCP-1245-JP-4: 私の担当は、ピッツァづくりでした。配達は、先輩方の仕事でしたから。
<録音終了>
終了報告書: この後、問題なくSCP-1245-JP-4は消失しました。
事案1245-JP-A: 20██/4/13のSCP-1245-JPの実験において通常通りの「注文」だったにもかかわらず、SCP-1245-JPの特異性が発現しませんでした。これまでの実験において、SCP-1245-JPの特異性が発現しなかった事例は実験記録1245-かのみであったため、「財団職員以外にSCP-1245-JPに書かれている電話番号を知っている人物が存在する」もしくは「SCP-1245-JPに別個体が存在する」ことが予測されました。SCP-1245-JPの特異性はおよそ17分後には再度発現できるようになりましたが、この事案において「注文」を行った人物については現在も捜索中です。
補遺1: 事案1245-JP-Aを受け、特別収容プロトコルが改訂されました。
補遺2: SCP-1245-JP-4についての聞き込みを行ったところ、「30-Minute」のアルバイト店員だった男性と顔が酷似しているとの情報が財団に入りました。当該男性はアルバイトへ向かう途中、交通事故で死亡しています。