SCP-1259-JP
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SCP-1259-JPの個体例

アイテム番号: SCP-1259-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1259-JPは、サイト-8108屋外の樹木型オブジェクト収容ユニットに高さ10m・元口径300mm・末口径190mmのコンクリート柱とともに収容されます。収容ユニットの地面はアスファルト・コンクリートで舗装されます。SCP-1259-JPの茎は絶縁シートで覆われます。収容担当者は、別紙に記載されている手順053-和Dに従ってSCP-1259-JPへの給餌を行なってください。

SCP-1259-JPに襲撃された一般人を発見した場合は、襲撃直前に所持していた金額を確認して補填したのち、Aクラス記憶処理を行って解放してください。

サイト-8108におけるSCP-1259-JPの個体数は、30 38個体が常に維持されます。新たなSCP-1259-JPが発見された場合、適宜必要と思われる数を予備保管サイトであるサイト-81██へ移送してください。その他の個体については、初期検査において既存のSCP-1259-JPと明らかな相違点が認められなかった場合は焼却処分が許可されます。また、不測の事態で無力化したSCP-1259-JP個体もただちに焼却処分されます。

現在はSCP-1259-JPを用いた実験は全て終了しており、収容維持のみが行われています。SCP-1259-JPの収容違反が発生した場合、収容担当者にCクラス記憶処理の実施および部門の異動が命じられます。


説明: SCP-1259-JPは分類不明のつる植物であり、その外見は一般的な電柱の支線に類似しています。SCP-1259-JP個体は以下の4つの部位で構成されます。

  • アスファルト・コンクリートに固着するための黒色の根。長さ40cm程度。水分や栄養素を吸収する機能を持たない。
  • 黄色・円筒状の茎。直径10cm、長さは個体ごとに異なるが平均は1.8m。微弱な電流を生成する発電器官を兼ねる。空気振動を感知する感覚細胞が存在し、周囲に存在する物体の移動を検知することが可能。
  • 電柱に取り付いて体を固定するための灰色の巻きひげ数十本。1本あたりの長さは7.0m程度、直径は3.0mm。互いに縒り合わされて6本の集合線を形成し、それらがさらに縒り合わされることにより極めて高い引張強度を有する1。先端部に接触した金属およびパルプを識別する受容体が存在する。
  • 茎と巻きひげの接合部に存在する黒色の円板状の組織。中央から巻きひげが伸びている。1個体の解剖により、円板の裏面に「日本生類創研 [データ削除]」という刻印が存在することが確認された。

SCP-1259-JPの体組織の組成は通常の植物と同様にセルロースが主体ですが、アルミニウム・銅・亜鉛・スズ・ニッケルといった金属元素、および[データ削除]の含有量が有意に高いことが示されています。SCP-1259-JPがどのように発生および繁殖するのかは不明です。

SCP-1259-JP個体は以下のような捕食行動を活発に行います。

  • 1.日本円で現金を携行している歩行者がSCP-1259-JPの周囲2.0m以内を通過した際、SCP-1259-JPは電柱から離れ、縒り合わされている巻きひげを解きます。
  • 2.SCP-1259-JPが茎から電流を周辺の空気中に放出し、歩行者の運動神経細胞を麻痺させて脱力発作を起こさせます。
  • 3.SCP-1259-JPは巻きひげを用いて歩行者の四肢や胴体を搦め捕ったのち、歩行者の服のポケットや鞄、および財布の中に巻きひげを刺入し、歩行者の持っている貨幣を探し当て、それを吸収します。
  • 4.歩行者の所持する貨幣の全てがSCP-1259-JPに吸収された後、SCP-1259-JPは獲物の脳に巻きひげを刺入し、金原子を中心とする未知のキレート化合物を注入します。この物質はヒトに対して短期の逆向性健忘を引き起こします。
  • 5.獲物がSCP-1259-JPの存在を忘却したのちに、SCP-1259-JPは被害者を解放します。

捕食行動の性質上、標的となった歩行者がSCP-1259-JPの攻撃を防ぐことは困難です。適切な絶縁服を着用することで運動神経の麻痺を防止することが可能ですが、SCP-1259-JPの巻きひげは強靭かつ高速で活動するため、逃走は容易ではありません。なお、現場に居合わせた人間にはSCP-1259-JPの捕食行動が認識されることはありません。これはSCP-1259-JPが自らの捕食行動を隠蔽するために発達させた認識歪曲特性であると考えられています。SCP-1259-JPの捕食行動の詳細は、SCP-1259-JP付近をDクラス職員に歩行させる実験により判明しました。

SCP-1259-JPに吸収された硬貨および紙幣は、SCP-1259-JPの縒り合わされた巻きひげの内部を通じて吸い上げられたのち、巻きひげと茎の接合部の黒色の円板に到達した時点で消失します。貨幣の行方を調査する実験が複数回行われましたが、明確な成果を挙げることはできませんでした。

SCP-1259-JPは捕食行動によって獲得するエネルギーの全量を個体の維持に費やしていると考えられています。適切な現金の供給2が行われなかった場合、SCP-1259-JPは明らかな衰弱の兆候を見せ、最終的には枯死します。これはオブジェクトの無力化に繋がるため、財団は収容下のSCP-1259-JPに飼料として何らかの貨幣を提供する必要があります。ただし、SCP-1259-JPの持つパルプ受容体の感度には限界があるため、紙幣に関しては本物の現金と一定以上の精巧さを持つ贋金とを判別できないことが、201█/11/██に行われた実験で示されています。具体的な贋金の判定基準としては、ミツマタを原料として作成された和紙に、何らかの染料(一般的なインクで可)で紙幣のデザインが転写されていることが必要です。また、紙の寸法は±0.2mmの範囲で一致している必要があり、インク以外の異物(録音機など)が付着しているものは拒絶されます。なお、硬貨に関しては選別能力は完全で、本物の硬貨以外のいかなる金属製品も摂食しません。


回収経緯: 201█年9月、全国各地で「いつの間にか所持金が無くなっていた」という名目での警察への通報が多数確認されたことが財団の注意を引きました。通報が行われた43の市町村のうちの1つである████町においてエージェント・████が公道を調査していた際、エージェント・████の所持金が突如として消失したことを本人が報告しました。現場周辺を調査した結果、付近にあった電柱支線のうち1本のワイヤーの一部が磨耗しており、断面を検査したところセルロースを多分に含んでいたことが確認されました。カバーストーリー「電線工事」が適用され、当該支線がSCP-1259-JPとして回収されました。これを受けて通報が行われた他の市町村においても調査が行われ、うち38市町村にてSCP-1259-JPが発見・回収されました。

SCP-1259-JPが多数の市町村にまたがって発見されたことから、全国的な公道の捜索が開始されました。現在までに合計で398個体のSCP-1259-JPが発見・回収されています。201█年10月時点では収容を維持するためのコストが膨大になると考えられていたため、研究のために必要だと判断された30個体が収容され、それ以外の個体は焼却処分されました。その後の研究により、SCP-1259-JPに「偽札」を給餌することを目的とした手順053-和Dが制定されたことで収容コストは削減されましたが、現時点では収容個体数を増加させる研究上の利点が薄いことから、引き続きオブジェクト収容数の調節が行われています。


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