オブジェクトクラス: かつてはEuclid。今はKeter、恐らく。
特別収容プロトコル: SCP-1286-JPを認識しているのは私だけだ。その特性によりSCP-1286-JPは現在収容不可能となっています。SCP-1286-JP‐1の発生時、私は竹村研究員は、SCP-1286-JPと会話し、鎮静させなければなりません。SCP-1286-JP‐1に対して、竹村研究員は何があっても笑うことは許されません。
説明: SCP-1286-JPは、身長およそ180cm、体重(測る機会があったら記入する)kgの、自身を笹木拓磨と名乗る人型実体です。SCP-1286-JPは、一切の睡眠、食事を必要としません。
SCP-1286-JPの異常性は、SCP-1286-JPの行うショー(以下、SCP-1286-JP‐1と記述)の最中に笑う事で発現します。SCP-1286-JP‐1では、SCP-1286-JPは不明な原理でステージを創り出し、その周囲(詳しい値は不明。恐らく3kmはある。判明したら記入する)kmにいる人物を観客席へと瞬間的に移動させ、コメディショーを始めます。SCP-1286-JPの最中に笑った人物は、SCP‐1286‐JP‐1が終了した後にSCP-1286-JPを認識できなくなり、またその人物がSCP-1286-JPに関する記録を行なっていた場合、その記録内容を認識できなくなります。SCP-1286-JPに関する情報は、例えそれが事実であっても全て嘘偽りであると決めつけ考えるようになります。SCP-1286-JP‐1が再び発生すると、 SCP-1286-JPを認識できなくなっていた人物はSCP-1286-JP‐1の間のみSCP-1286-JPを認識できるようになりますが、SCP-1286-JP‐1の間は会話が不可能なようです。
SCP-1286-JPとの直接の会話は可能であり、それを録音・録画することはできますが、SCP-1286-JPの影響を受けている人物には全て正しく認識されず、竹村研究員の独り言にしか聞こえないようです。でも私にはきちんと見えるし聞こえる。今後誰かが影響下から解放されるかもしれないから、そのために私は毎回録音をしている。SCP-1286-JPもそれを了解している。
以下は、SCP-1286-JPが現在の状態に至るまでの、私竹村研究員による記録です。
この記録は随時更新されます。
日付 | 概要 |
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2004/01/17 | SCP-1286-JPが、旧版特別収容プロトコルに従って収容された。 |
2004/05/22 | SCP-1286-JPの収容違反。SCP-1286-JPはSCP-1286-JP-1を発生させ、ほとんどが笑い、SCP-1286-JPに関する情報を失った。この時点で残ったのは私を含む数名だけだった。 |
2004/05/23 | SCP-1286-JPの異常性は変化したのだろうか。そういえば私はSCP-1286-JPの行ったショーで笑わなかった。 |
2004/06/11 | SCP-1286-JPを認識できる数名でSCP-1286-JPの収容を何とか続けているが、いつまで保つかわからない。他の人達からしたら、何も無いのを収容しているように見えるのだろう。他のサイトへ連絡をしてSCP-1286-JPを移動させる案も出したが、被害は最小限に抑えるべきだと言われて却下された。まあ、もう一度収容違反しなければいいだけの話だ……。 |
2004/08/05 | SCP-1286-JP、2度目の収容違反。…………残ったのは遂に私だけになってしまった。これは、かなりマズい状況だ。私の持つ権限じゃSCP-1286-JPの移動なんてさせられない。どうしよう、どうしよう、どうしよう…… |
2004/08/15 | こうなるのはわかっていたが、誰も私の話を信用しない。やっぱり私にしかSCP-1286-JPは認識できていない。つい先日まで特別収容プロトコルが講じられてたSCPオブジェクトだったのに、今それを覚えているのは私だけなんて……。 |
2004/08/19 | SCP-1286-JPはどこかへ行ってしまった。……まぁ、SCP-1286-JPが笑われたら記憶から消えるだけだ。もう、収容は諦めようかな。本当だったらこんなの絶対許されないけど……。 |
2004/10/22 | SCP-1286-JPが再びサイトへと戻ってきた。またショーを執り行っていたけど(これをSCP-1286-JP‐1と呼ぶことにした)、私は笑わなかった。笑えなかった。笑いたくなかった。皆は笑っていた。彼を見て笑っていた。 |
2004/10/23 | SCP-1286-JPが、私に話しかけてきた。 |
竹村研究員は、SCP-1286-JPと会話を続けることで、SCP-1286-JPを暫定的に収容しています。SCP-1286-JPは竹村研究員を笑わせることに強い関心を持ちますが、竹村研究員が笑うことは許されていません。今後も許されることはありません。
日付 | 概要 |
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2004/11/18 | ようやく笹木さんことSCP‐1286‐JPが協力的になった。常に私の隣にいて、離れなければいけない時はGPSで居場所の把握もできるようになった。SCP-1286-JPが私以外に認識されないから収容室を割り当てることができないし、こうするしかないだろう。もっと私のセキュリティクリアランスレベルが高ければどうにか出来たのかもしれない。 |
2004/11/22 | SCP-1286-JPの報告書を作成することにした。これは誰にも認められることはないだろうけど、私の個人的な研究資料としてまとめておこう。何かあればその日の日記も添付しよう。いつか参考になるかもしれない。 |
2004/12/24 | SCP-1286-JPと会話をするのは、周りからすると私がずっと独り言を言っているように聞こえるらしい。カウンセリングを勧められてしまった。せっかくのクリスマスにとんでもないプレゼントだ。 |
2005/01/01 | 新年あけましておめでとう。今年の初笑いは同僚のちょっとした冗談だった。SCP-1286-JPも私を笑わせようとしていたが、何一つ笑えなかった。 |
2005/02/16 | 誕生日おめでとう、私。SCP-1286-JPは執拗に私を笑わせようとする。でもやっぱり、彼の言うことは何一つとして面白くない。 |
2005/05/22 | 今日はSCP-1286-JPが初めて収容違反した日から1年だ。あの日、誰もが彼を見て笑っていた。あの時私も笑えばよかった。笑ってれば今こんなことにならずに済んだのに。 |
竹村研究員は、SCP-1286-JPとの会話・交流を継続しなければなりません。
日付 | 概要 |
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2005/06/30 | 同僚が私の陰口を言っているのを立ち聞きしてしまった。独り言ずっと言ってるように聞こえるんだから、当たり前かな。陰口を聞いたSCP‐1286‐JPは怒っていた。SCPオブジェクトとはいえ人間なんだなあと思って、ちょっと嬉しくなってしまった。いけないいけない。彼はオブジェクト。人間じゃない。 |
2005/08/16 | SCP-1286-JPに私の名前を尋ねられた。誰かに話し掛けられることもほぼ無かったからSCP-1286-JPは知らなかったのだろうか。知られたところで特に何も無いだろうと判断して名前を教えた。 |
2005/09/02 | SCP-1286-JPがショーをしたいってうるさい。もし私がそれで笑ってしまったらどうするつもりだ。いや、笑わせたいのだろうけど。とにかくそれは絶対に許可しない。……許可しなくともSCP-1286-JPは自身の意思でできるはずなのに、わざわざ私に尋ねてくるのは何故だろう。 |
2005/12/10 | またカウンセリングを勧められた。去年の今頃も同じようなことがあったな。なんでこうなるんだろう。私はSCP-1286-JPを収容する為にこんなに頑張ってるのに、誰もわかってくれない。 |
2006/01/01 | 新年あけましておめでとう。今年の初笑いは何になるかな。最近ずっと笑ってない。SCP-1286-JPは相変わらず私を笑わせようとする。無駄だって、いい加減に気づかないのだろうか。 |
2006/01/26 | SCP-1286-JPを殺すのは、だめだろうか。…………だめか。 |
2006/02/16 | 誕生日おめでとう、私。SCP-1286-JPがプレゼントと称していつものように笑わせようとしてきた。ありがとう、ごめんなさい。 |
<やることリスト>
- 笑わない(優先度: 最高)
- SCP-1286-JPの出自を調べる(優先度: 高)
- 昇進の申請(優先度: 中)
- SCP-1286-JPの無力化(優先度: 低)
竹村研究員は、SCP-1286-JPが研究対象であるということ、SCPオブジェクトであることを忘れてはいけません。必要以上の感情を持ち込むことは許可されません。だれが許可するんだろう。SCP-1286-JPを知ってるのは私だけじゃないか。
日付 | 概要 |
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2007/04/27 | しばらくSCP‐1286‐JPの出自を調査していたけれど、なにも手がかりがない。仮報告書の更新もしばらくしていない。SCP‐1286‐JPが私を笑わせようとするのも、ずっと変わらない。よくネタが尽きないもんだなぁ……。 |
2007/09/15 | また昇進申請が却下された。何回目だろう。昇進すればSCP-1286-JPについて調べられることも増えるかもしれないのに。私のことをよく思ってない人が多いんだろうな。 |
2008/03/15 | SCP-1286-JPが、ショーをしたいって言う。そんなのダメだ。……でも、SCP-1286-JPは誰にも笑われないのが辛いのかな。 |
2008/04/13 | SCP-1286-JP‐1発生。別に、もうどうでもいい。私は笑わなかったし、SCP‐1286‐JPはそれで満足したし。財団職員として失格だろうな。 |
SCP-1286-JPと竹村研究員が友好的関係を築くことはSCP-1286-JPを長期的に鎮静させることに繋がります。長く続く友好的関係が望まれます。大丈夫、普通に会話をしているだけでいいんだから。
日付 | 概要 |
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2017/11/20 | 仮報告書をずっと更新していなかった。もうSCP-1286-JPがいるのは私にとってすっかり日常となってしまっている。昇進申請は一度も通っていない。SCP-1286-JPのことがあるから他の研究も上手く進まない。疲れたなあ。 |
2018/07/18 | SCP-1286-JPが、またショーをしたいって言ってる。最後にやったのいつだっけな。まあ、させないのだけど。 |
2018/12/02 | ずっとここで働いてても、昇進はできないだろうし、もう辞めてしまおうかな。……早計すぎるかな。まだ保留しておこう。SCP-1286-JPのこともあるし……。 |
ずっと悩んでいたけど、遂に辞めることにした。誰にも引き留められなかった。記憶処理されて、何もかも忘れてしまうのだろう。 |
SCP‐1286‐JPに、SCP-1286-JP‐1の許可を出した。もういい。私はもう、全て忘れてしまいたい。
書き起こすのも面倒だし、音声記録はそのまま載せておく。まあ、消えてしまうのだろうけど。