アイテム番号: SCP-1291-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-1291-JPの影響を受けた個人には原則として記憶処理を施し、影響を除去してください。
SCP-1291-JP-2が現在出現している店舗はすべて財団フロント企業によって買収されており、倉庫に偽装することで封鎖しています。販売日にはDクラス職員にSCP-1291-JP-1を規定量購入させてください。また一般人がSCP-1291-JP-2が出現する店舗への侵入を試みた場合、尋問後に記憶処理を施し、解放してください。
SCP-1291-JP-2の販売活動を完全に抑制することは店舗の移転という形での収容違反につながるため、禁止されています。担当職員は販売品目とSCP-1291-JP-1の材料と思われる行方不明者の情報を常に収集し、犠牲者数に変化がないか記録してください。購入されたSCP-1291-JP-1は研究用のサンプルを除き、すべて焼却してください。
説明: SCP-1291-JPは異常な特性を持つ精肉SCP-1291-JP-1と、その販売を担う人型実体SCP-1291-JP-2によって構成されます。
SCP-1291-JP-1は不明なメカニズムで人間が変換されたと考えられている精肉です。通常の精肉との大きな違いとして、(それを担う器官がないにもかかわらず)人間と同じく体温・脈拍・感覚が存在し、また発声による会話が可能です。またSCP-1291-JP-1を何らかの形で喫食した場合、対象はSCP-1291-JP-1を食品として好ましい存在であると考えて積極的に消費するようになり、また調理したSCP-1291-JP-1を振る舞うなどの手段でSCP-1291-JP-1を食材として普及させようとします。この影響はクラスB記憶処理によって無効化できます。
SCP-1291-JP-1は人間であったころの人格・記憶をある程度保持していることが調査により判明していますが、人間の生存に不適切な環境下に曝されるか、賞味期限としてパッケージに記載されている日数を経ると衰弱して「死亡」し、喫食時の影響を除く異常性が消失します。現在までのところ点滴等の手段によるSCP-1291-JP-1延命の試みは成功していません。
SCP-1291-JP-2は毎月の2日、9日、12日、19日、22日、29日に人口███万人以上の都市部に存在する商業施設や空き店舗に出没する、人型実体の集団です。該当する店舗の開店時間が近づくとSCP-1291-JP-1とその販売に必要な機材を所持したSCP-1291-JP-2が出現し、施設の営業時間中にSCP-1291-JP-1の販売を行います。またSCP-1291-JP-1の製造にもかかわっていると考えられていますが、後述のインタビューログからその実証も含め、SCP-1291-JP-2への自発的な接触は現在禁止されております。
SCP-1291-JPは休暇中の児恵研究員により偶然発見され、当初は意思疎通が可能な食材として研究が行われていました。その後、SCP-1291-JPの影響に暴露していた児恵研究員の手で報告書が無断でデータベースに登録されたことにより、その特性が発覚しました。
以下の文章は影響を受けた児恵研究員により最初に執筆されたSCP-1291-JPの報告書です。
オブジェクトクラス: 賞味期限内に限りSafe
特別調理プロトコル: 基本的には通常の食肉と同様の扱いですが、以下の点に注意する必要があります。
防音: 調理時(特に切断・加熱時)においてしばしば悲鳴を上げるため、通報されないように防音性に優れたところで行う必要があります。十分に加熱した後であれば防音性は必要ありません。
保存: 酸欠や低温など人間の生存に不適切な環境においては、急速に鮮度が悪くなる特徴があります。賞味期限内であれば常温保存で問題ありませんが、購入からの日数に係らず応答が乏しくなったSCP-1291-JPは冷凍・冷蔵庫に保管し、その日のうちに消費することを勧めます。
調理方法: 生食は寄生虫・感染症のリスクがあるため必ず加熱して下さい。まれに移動能力を持つ個体がいるため、加熱する前は常に脱走に注意してください。おすすめのレシピは調理記録1291にまとめられているので参考にしてください
説明: SCP-1291-JPは精肉専門店「すいにー.まーと」のみで購入することができる、23対の染色体をもつ食肉の総称です。加熱前のSCP-1291-JPには賞味期限内であれば常温保存が可能であり、かつ対話時の反応から鮮度を測ることが可能という特性が見られます。
また栄養面では、人体に含まれるアミノ酸と脂質をバランス良く含んでいるため、SCP-1291-JPは通常の肉類よりはるかに美味で利用価値の高い食資源とみなすことができます。
そのほかの特徴としてSCP-1291-JPは周囲の人間に対してしばしば「自分を人間と同様に扱うべきである」「自分には生きる権利がある」といった主張をしますが、これを受け入れることがあってはいけません。なぜなら彼らは食べられるために生まれてきたからであり、消費されないことは彼らにとって最大の不幸であるとみなすべきだからです。
「すいにー.まーと」では2月9日に大試食会を行っており、また毎月29日にはお客様感謝セールが開催されます。購入を検討されている方はぜひ参加してください!!
インタビューログ2017/12/██
以下の文章は財団による収容前に行われたD-1291-1による、営業時間中のSCP-1291-JP-2へのインタビュー記録を書き起こしたものです。D-1291-1には無線通信機能を持ったウェアラブルカメラが支給されており、行動や質問内容は記述がない限りは研究員からの指示によるものとします。
店内のガラスケースには「だんじモモ肉」や「にんぷむね肉」と表示された肉類が陳列されており、時折呻き声や助けを求める声が聞こえますが、店内の人間が気にしている様子は見られません。研究員からD-1291-1へ、近くにいる白い上着の女性客に話しかけるよう指示がおりました。
D-1291-1: すみません。ちょっとこのお店のはなしを聞きたいんですが。常連ですか?
女性客: ええそうです。この店はとても安くて助かります。
D-1291-1: 普通の肉とは違うことを認識していますか?
女性客: そうよね味がもう全然違うの!!近所迷惑にならないようにするの大変だけど、それだけの価値あるわ!!ここの食べたらもう市販品食べれないよぉ。お兄さんも早く買わないとなくなっちゃうわよ。
( 会話中、突然悲鳴と肉を焼く音がしたためそちらへ向かうようD-1291-1指示が下ります。レジ付近でSCP-1291-JP-2が命乞いするSCP-1291-JP-1をトングで捕まえ、試食コーナーのホットプレートに押し付けています。)
SCP-1291-JP-2: いらっしゃあい!!お客様見ない顔ですが初めてですか?ポイントカードお作りしましょうか?
D-1291-1: ええお願いします。ところでこれは何の肉ですか?
SCP-1291-JP-2: お客様変なこと気にしますねえ。そんなの聞かれたの初めてですよ。
(D-1291-1が職員の指示を無視して質問をします)
D-1291-1: 痛がっていて可哀想じゃないですか?
SCP-1291-JP-2: それが何です?豚や牛だってそう思ってますよ。
(同上)
D-1291-1: それは彼らが家畜だから・・・
SCP-1291-JP-2: ええ家畜です。だからせっせと餌をあげて肥らせていますよぉ。あなただってそうでしょう?何も考えないで与えられた餌を貪るだけ。あなただって家畜みたいなものですからぁ。
(カメラの視界に白い上着を着た精肉の塊が写りこみます)
D-1291-1: ちがう!!私は・・・
(SCP-1291-JP-2がD-1291-1の言葉を遮ります)
SCP-1291-JP-2: イイエェそうですとも!!こんなことに気づけるあなたはきっと他と違った味わいのある肉になれる!!今日の目玉商品はあなたで決まりだ!!
(カメラの視界に食品トレーに載った、腕時計の巻かれた精肉が写ります。腕時計はD-1291-1が着用していたのと同じものでした。直後に視界が暗転して湿ったモノをかき混ぜる音が続き、20秒後カメラからの通信が途絶しました)
通信途絶から10分後に近隣で待機していたD-1291-2を店舗へ侵入させたところ、店舗内に「本日の目玉商品!! しけいしゅう」と表示されたワゴンを確認しました。ワゴンの商品は売り切れていたため他の商品を買うよう指示し、購入時に上述の女性客やSCP-1291-JP-2へ同様の質問をするよう指示しましたが、SCP-1291-JP-2からは企業秘密という回答が返されるにとどまりました。
補遺: D-1291-1によるインタビューの結果を踏まえ、SCP-1291-JP-1への加工イベント発生を考慮した結果、Dクラス職員以外の店舗への侵入を禁止することが決定されました。また、D-1291-2が購入したSCP-1291-JP-1へインタビューを行ったところ、SCP-1291-JP-1への加工時を含む記憶の欠如が確認されました。現在財団によってSCP-1291-JP-1の販売量を制限することによって犠牲者を█人/月以内に抑えることに成功しております。引き続きSCP-1291-JP-1への加工対象に選ばれる条件の調査を続行し、犠牲者の選択の制御を試みる予定です。
ページリビジョン: 65, 最終更新: 04 Jul 2022 03:47