SCP-1300
評価: +3+x

アイテム番号: SCP-1300

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: オブジェクトは5m×5m×5mの収容室に収容されます。クリアランスレベル3未満の職員によるアクセスは拒絶されます。SCP-1300は研究目的でのみ使用されます。

同意している末期のガン患者が被験者となる場合、実験が成功に終われば彼らにはクラスAの記憶処理が執行されます(あるいは彼らが参加することを選ばなかった場合も)。失敗した手術による犠牲者は火葬されます。近親者が遺体を要求した場合は、死体を焼却したことを正当化するカバーストーリーが偽造されます。遺灰は近親者に返却してよいことになっています。

Dクラスが使用される場合、手順の変更は要求されるべきではありません。

説明: SCP-1300は古い歯医者の椅子です。椅子それ自体は全く普通のものです。SCP-1300の特異性は、その下にある通常椅子の高さを操作するのに使われる液圧式カラムから生じます。これまでに行われたカラムを開けようとする試みは全て失敗しています。

人間の被験者が椅子に腰かけると、鈍いヘッドを持つ4本の機械の腕がカラムの土台から現れて被験者の体の上で停止し、未知の手段で「スキャン」します。その正確な位置には個々の被験者間で広範な差があるにも関わらず、SCP-1300は胃と首の位置を選び取るようです。適切な位置を見つけると、それぞれの腕のヘッドが複数の外科手術用の器具を解放します。これにはレーザー、針、チューブが含まれます。被験者は局所麻酔薬と麻痺薬を投与されます。SCP-1300がどのようにしてこれらの医薬品を補充しているのかは判明していませんが、手術の方法により[編集済]の転換が最も有力な供給源であると考えられます。より詳細な情報は補遺1を参照して下さい。

被験者が固定された後、腕は注射部位の近くに小さな切り口をつくり、数本のチューブを挿入します。チューブは被験者の体内に位置する異物に導かれます。これには移植された臓器、悪性あるいは良性の腫瘍、撃ち込まれた弾丸などの物体、ペースメーカーや脳深部刺激装置、義歯が含まれます。何が被験者の体にとって異物であるのかを、SCP-1300がどのように定義しているのかは分かっていません。SCP-1300が残した痕跡物質の分析によって、合理的に[編集済]であった可能性のある、差し引きを通じて異物を選別するいくつかの種類の化学的なハサミ(例えば核酸分解酵素や合成酵素)の存在が明らかになっています。SCP-1300は約500マイクロメートル未満の物体には反応しません。

異物に到達すると、SCP-1300は物体を分解する未知の酵素をチューブを通じて注入します。この結果生じる液体はチューブを通じてSCP-1300に引き戻されます。この液体は不活性かつ無毒と思われます。確認された全ての異物が除去されると、傷付いた臓器を治療する、あるいは失われた形と機能を模倣するための、もう一つの流体の薬品が体内に注入されます。[編集済]にも関わらず、完全に一致するものはいかなるデータベースにも見つかっていません。このプロセスが終了すると、チューブは回収され切り口は外科的レーザーによって閉じられます。手術が完了すると、腕は畳まれて液圧式カラムの中に戻ります。この手術に痛みはありませんが、いくらかの被験者は麻痺薬と体内にあるチューブの感覚が非常に不快であると報告しています。

多くの種類のガンや肉体的外傷の治療には高い効果を示しますが、SCP-1300は細菌やウイルス感染を治療することはできません。500マイクロメートル未満の物体を分解することはできないため、いくらかのガン細胞は被験者の体内に残存し、後に再発する可能性が残ります。加えて組織の補修と交換の技術は不完全で、時に奇形でありながらも部分的に機能する臓器、稀に奇形で機能障害のある臓器という結果をもたらします。SCP-1300は既にそれ自身によって補修・交換のされた臓器を補修することはありません。[削除済]の後、脳に障害を負った被験者による実験は全て禁止されています。

補遺1: SCP-1300は麻痺薬の投与の後、予測不能に急速な機能的変化(以降ベータ状態と呼称)をします。非常に少量の改造された分解酵素が注入され、内臓を通常の手術の最中に観察されるような半粘性物質に変える破壊的な連鎖反応が引き起こされます。その結果生じた懸濁液はSCP-1300の中に吸い上げられ、おおよそ同じ割合で、無秩序な有機分子で構成された悪臭のする赤い液体に置き換えられます。

麻痺薬は被験者が動く、話す、表情を変えることを妨げます。目・心臓・呼吸運動の増大は被験者がSCP-1300の活動を意識していることを示します。連鎖反応はどのような手段でも止められないほど非常に急速に起こり、常に死という結果に終わります。ベータ状態は意図的なものであり、あるいは装置の運転継続のために必須のものであるようです。試験前に昏睡状態を誘発するため被験者に催眠剤を投与することが推奨されます。被験者の体の大きさに依存して、ベータ状態は5分間に及ぶことがあります。█件のケースでは、被験者の体は突如としてベータ状態の生体物質でいっぱいになりました。

SCP-1300がいつベータ状態に移行するかを予測することは困難です。先行する手術におけるベータ状態が活性化するまでの時間の違いにはいくつかの相互関係が観察されています。あるケースでは、複数の臓器の補修・交換を必要とする広範囲にわたるT4腫瘍の手術を6回行った後、SCP-1300には手足を切り離された被験者の生命維持が課されました。予想された通り、SCP-1300は失われた手足を代替しようと試みました。手術には15分間が費やされましたが、SCP-1300は動作を停止しました。5分後、対象はベータ状態に移行し被験者の臓器を消費しました。

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