SCP-1314-JP
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アイテム番号: SCP-1314-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-1314-JPはサイト-8165の低脅威度大型オブジェクト収容庫に収容されています。研究主任の許可・監督のもと実施される実験外でSCP-1314-JPを開放しないでください。

説明: SCP-1314-JPは引違い型の出窓およびそれがはめ込まれている窓枠です。SCP-1314-JPの異常な性質は、その窓枠をヒトが通り抜けたときに発生します。通過したヒト(以下、被験者)は、その身体から何らかの器官が消失します。消失する器官に明確な法則性は見出されていません。被験者は記憶改変または認識汚染と見られる作用によりこの消失現象を正常に認識しません。また、明らかに生理機能または生命維持、あるいはその両方に支障を生じるような器官が消失した場合でも、被験者は問題なく生存します。

SCP-1314-JPは、兵庫県██市の民家に窃盗目的で侵入した民間人A氏が、「異常な身体的特徴を有する家人が住む家に侵入してしまった」と電話による自首を行ったことにより、警察に潜入していたエージェントが覚知しました。A氏は現場に急行した機動部隊隊員らに著しい恐慌を示し、危害を加えようとしたため制圧されました。このときA氏はすでにSCP-1314-JPの影響で記憶改変または認識汚染を受けていたと見られています。即時に行われた簡易インタビューにより、異常発現のトリガーがA氏が同民家への侵入に用いた窓であることが強く疑われ、SCP-1314-JPの確保に至りました。一連のエピソードの詳細は事案記録 1314-A1を参照してください。

以下はDクラス職員を起用してのSCP-1314-JP実験結果の抜粋です。実験記録の完全なリストは第3記録保管庫S1区画 C-201棚に格納されています。

実験1
被験者: D-81131401
結果: 両第1指が消失。
付記: 被験者はSCP-1314-JPの通り抜けを行った後、実験担当者らの手を指して「指の数が一本多い」と発言。担当者は多指症ではなく、オブジェクトの影響により記憶か認識のいずれかに異常を来たしていると推測された。このとき、被験者には軽度の混乱と動揺が見て取れた。このような現象は程度の差はあれ他の全ての実験においても見られている。外見上および画像診断上のいずれにおいても指の本数を除いて健全であった。明らかに物体の把持に支障を来たす構造であるにも関わらず、不自由の訴えはなかった。

実験2
被験者: D-81131401
結果: 上・下顎第4大臼歯が消失。
付記: 当初は何も起こらなかったと見られたが、包括的な検査により上記の消失が判明。この結果を受け、消失現象の瞬間を捉えるための観測機材を追加導入することが決定された。被験者からは、未萌出の歯や抜去した歯はないとの証言を得ている。実験1と同様に、上顎骨および下顎骨の骨格も一見して違和感がない構造に改変されており、歯の喪失後に本来見られるべき歯槽骨・歯肉の空洞も確認できなかった。

考察: どの例においても、器官の消失は一切の痕跡を残さずに生じている。今後もこのプロセスを記録する試みを継続し、メカニズムの分析・解明を目指す。また、消失する器官に何らかの法則性がないかの議論を深めるとともに、その予測や制御を行う手段を模索するものとする。

実験3
被験者: D-81131401
結果: 眼球1個が消失。
付記: 上記に伴い、眉、瞼、眼窩、視神経等、眼球に関連する器官も形跡を残さず消失した。特筆すべき事に、視野の縮小の訴えはなかった。また、被験者が実験担当者らの姿を見たときの動揺が特に大きかったうちの一回であり、意思疎通に困難を来たすほどであった。

実験4
被験者: D-81131401
結果: 上肢1対が消失。
付記: 特筆すべき事項なし。影響が骨格等にまで及んだ点もこれまでと同様であった。運動器の大幅な欠損にも関わらず、不自由の訴えはない。「自分の身体は最初からこの通りであり、実験担当者らが変異している」との旨の主張を変わらず行っている。

考察: 実験1においても見られたことだが、運動器系の消失が起こっても不自由が生じたという主張はなく、あたかも最初からそのような体であったかのように振る舞う。現在までに得られた知見からはその理由を説明することはできない。これまでのサンプルの分析とともに、新たなサンプルを得るための継続的な実験が急務である。

実験5
被験者: D-81131401
結果: 第2胃および膴臓が消失。
付記: これにより、被験者の消化器系は大幅に簡略化された。消化機能への影響を調査するために食品を摂食させたが、その内いくつかはこれを「人間が食べる物ではない」として拒否。後に行われた検査により、消失した消化器が担っていた栄養素の消化・吸収が不可能になっていることが確認された。この結果は、器官の消失により身体機能に影響が生じたという点で、これまでの実験結果とは大きく異なる。ただし、健康状態に栄養失調の兆候等の影響は見られない。

実験6
被験者: D-81131401
結果: 触腕の全数が消失。
付記: 下肢のみで不自由なく歩行を行った。どのようにしてバランスを保っているのか、被験者は説明できなかった。

考察: 実験5の結果を見るに、単に器官が消失するだけでなく、消失した器官がなくても健康を維持できるように代謝などの生理機能にまで異常が及んでいるようである。まるで、最初からそのような体であったかのように見える。これにより被験者が消失を認識することを妨げられていると仮定すれば、認識自体には異常はなく、むしろ記憶改変的な側面が強いと予測できる。「認識できない」ことの原因を究明する必要がある。

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実験1終了(両第1指消失)時点でのD-81131401の手のレントゲン写真

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実験4終了(上肢1対消失)時点でのD-81131401の肩のレントゲン写真

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