SCP-1316-JP
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SCP-1316-JP-1(円内)

アイテム番号: SCP-1316-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1316-JPの収容はSCP-1316-JPの存在を一般に対して秘匿することを目的として実施されます。担当職員は火星に関連するデータの改竄を行うことで一般にSCP-1316-JPの情報が流出することを防いでください。情報の流出が発生した場合にはカバーストーリー「陰謀論」及び「パレイドリア効果」の適用が実施されます。

現在火星軌道上の仮設サイト-██にSCP-1316-JPの研究と接触を目的とした専任チームが滞在しています。専任チームはSCP-1316-JPとの接触と情報の収集を継続してください。

説明: SCP-1316-JPは「有限会社 本家アヌビス水産」を自称している食品加工会社です。組織形態の詳細などに関しては不明な点が多いものの、これまでに入手された情報からその活動目的は後述するSCP-1316-JP-3の生産、及び生産したSCP-1316-JP-3の「消費者」への販売であると見られています。

SCP-1316-JP-1は火星のヒュペルボレウス湖の付近に存在する大型施設であり、SCP-1316-JPによって管理・運営されています。SCP-1316-JPはSCP-1316-JP-1を「火星工場」ないしは「自社工場」と呼称すると共にSCP-1316-JPが保有する複数の同型施設の1つであると主張していますが、主張を裏付ける物的証拠の存在は現在に至るまで確認されていません。SCP-1316-JP-1の外観は古代エジプト文明において建造されていた真正ピラミッド1に酷似しており、その外装は直方体の形状に正確に切り出された石灰岩の精密な積み重ねによって構成されています。しかしながらその一方で内部は高度なオートメーション化が進められた工場施設となっており、多数存在する機械設備とベルトコンベヤーを使用したライン生産方式によるSCP-1316-JP-3の製造拠点として機能しています。またSCP-1316-JP-1の内部はSCP-1316-JPが「大気製造機」と呼称する大型機械の働きによってSCP-1316-JP-3に「悪影響が及ぶ」ことがないように地球の大気とほぼ同様の組成の混合気体によって満たされており、気温・湿度・気圧はそれぞれ常に38℃・1%以下・1013hPaに保たれています。なおSCP-1316-JP-3の生産に当たり導入されている設備及び工程には、地球上には存在しない未知の技術や明らかに科学的ではない手法などが採用されているものの、工場施設自体の内観及び形態は人類の一般的な食品加工工場と類似したものです。

SCP-1316-JP-2は「有限会社 本家アヌビス水産の従業員」を自称しているヒト型実体です。SCP-1316-JP-2はキンイロジャッカル(Canis aureus)の頭部とネグロイド的特徴を持つヒト(Homo sapiens)の肉体が頸部で滑らかに融合した身体を有しており、その頭部の形態から予想される骨格の形状にも関わらずヒトと同等以上の知能と発話能力を有しています。また現在までに実在が確認された計███個体の観察の結果から、男女の違いや体格の違いに代表される個体差が存在することが分かっています。着用している衣服は一般工員であれば食品加工用の白衣、デスクワーカーであれば黒色のスーツなどと言ったよう各個体ごとの職能に準じた現代的なものです。使用している言語はエジプト語とデモティック2であり、他の個体ないしは財団職員との間ではこれらを用いて意思の疎通を図りますが、しばしばエジプト語に存在しない未知の語彙を使用することがあります。これらは特に工場設備などの説明を行う際に登場する頻度が高くなることからエジプト語に存在しない事柄・概念を示す語彙であると見られています。

SCP-1316-JP-3はSCP-1316-JPがSCP-1316-JP-1で生産している「製品」である全長140cmほどの未知の生物のミイラです。SCP-1316-JPはSCP-1316-JP-3を「一般的な食料品」として生産していると考えられています。SCP-1316-JP-3は古代エジプトで製作されていたミイラと同様の様式・性質を有しており、全体にはアマ(Linum usitatissimum)を原材料とする包帯が巻き付けられています。SCP-1316-JP-3の「原材料」と見られている生物は大まかなヒト型であるものの全身に毛穴が存在せず代わりに鱗の痕跡が存在する、頸部にエラ状の構造を有する、指の間に水掻き状の構造を有する、腰部から下が魚類と類似した形状となっているなどと言った点において明確に地球上の如何なる既知の生物とも異なります。またゲノム解析の結果は以下の生物との間に遺伝子学的類似があることを示しました。

マダコ(Octopus vulgaris)
シーラカンス(Latimeria chalumnae)
スナイソギンチャク(Dofleinia armata)
フクロウナギ(Eurypharynx pelecanoides)

 
SCP-1316-JP-1で生産されているSCP-1316-JP-3は1個体を丸ごと加工した基本的なものである「ミイラ」を中心に「ミイラ(スライス)」「ミイラ(ロースト)」「ミイラ(フレッシュ)」などと言ったように多岐に渡り、そのいずれもが製造された時点では生分解性の未知のビニール状の素材によって包帯の上から真空包装、或いはその状態で同じく生分解性の厚紙状の素材で出来た外箱にさらに梱包されています。

SCP-1316-JPは20██/█/██に火星軌道上にて調査任務を行っていた機動部隊イプシロン-26("機械仕掛けのジョン・カーター")所属の観測衛星によってSCP-1316-JP-1の外観が捉えられたのが発端となって発見されました。SCP-1316-JP-1が人工的な建造物であることを特定した財団は機動部隊イプシロン-20に調査を指示し、これを受けたイプシロン-20は小規模の先行調査隊を編成、調査に派遣しました。その後SCP-1316-JP-1の内部の入り口付近の施設(現在では「受付」と判明)にてSCP-1316-JP-2と接触した先行調査隊は地球外生命体との標準接触手順を実施、結果としてSCP-1316-JP-2との交流の確立と使用言語の特定を成功させました。

付記1: 以下はコミュニケーションの確立後に実施されたインタビューの記録です。

付記2: 以下はSCP-1316-JPとの接触の過程で財団が入手したSCP-1316-JP関連資料群からの抜粋です。

付記3: 20██/█/██、仮設サイト-██の貨物搬入路から表面にデモティックによって文章が記された文書(暫定的に資料1316-JP-Δに指定)が発見されました。以下は文書の解読結果です。

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