SCP-1333-JP
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███村で発見されたSCP-1333-JPとその培養液が封入された錠剤

アイテム番号: SCP-1333-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-1333-JPは培養液とともに研究セクター-8173の微生物冷凍室に保管されます。SCP-1333-JP-Aは同セクターの人型実体隔離遮音収容棟に収容され、就寝時にいびきを抑制する専用の枕またはマウスピースの使用が義務付けられます。隔離遮音収容棟の各部屋に備え付けられている対高周波音用消音スピーカーは空室のものを含め週に1回全てを点検してください。SCP-1333-JP-Bが発生する可能性のある実験は同セクター内の遮音実験室を使用して下さい。それ以外の場所での実験には同セクター管理者の許可が必要です。

説明: SCP-1333-JPはRNAウィルスの一種です。感染経路はSCP-1333-JPを含む培養液の経口摂取に限られます。SCP-1333-JPはヒト(Homo sapiens)にのみに感染します。SCP-1333-JPは外気に晒されると構造が破綻し、異常性およびウィルスとしての機能が消失します。

SCP-1333-JPはおよそ5~20時間の潜伏期間の後に急激に増殖し、感染者(以下、感染した人間をSCP-1333-JP-Aと呼称します)の軟口蓋および舌根1を構成する物質を不明な物質に変異させます。この物質は各種計測および観測に対して結果がランダムに変動する性質を持ち、そのため現在この物質の組成は不明です。SCP-1333-JP-Aがいびきをかいた場合、この物質の作用により周波数が平均でおよそ16,000Hz2である異常性を持った音に変化します(以下、この作用によりいびきが変化した音をSCP-1333-JP-Bと呼称します)。

SCP-1333-JP-Bは財団が行った全ての実験において、距離に対する減衰率が同周波数同音量の音に比べて極めて少ないという結果が出ています。この異常性のため、SCP-1333-JP-Bは音源での音量が60dB3かつ障害物がない場合に10km離れた地点まで届くほどの強い伝達性を持ちます。同様の理由で、真空を用いた遮音以外の方法による防音は困難です。また、10種類以上の節足動物がSCP-1333-JP-Bに対する正の走音性4を示すことが確認されています。これらの節足動物がコミュニケーションとして用いる音の周波数がSCP-1333-JP-Bに含まれること、および各実験の結果から、この効果は異常性ではなく節足動物がSCP-1333-JP-Bを同種の発した音と混同していることが原因であると推測されます。

現在SCP-1333-JPを生存中の生物の体内から取り除く薬品および方法は発見されていません。

補遺: 2013/12/██、アノマリーが関与しているとみられる██県██市███村の住民█人が行方不明となった事件の調査中、エージェント・██が夜間に███村の村中から異常な高周波音が発生していることを発見し、SCP-1333-JPの収容に至りました。███村は過疎化により高齢化が進んでいたことで住民の可聴域の周波数上限が下がっていたため、この高周波音に気付いた住民はいませんでした。███村を調査した結果、住民██名がSCP-1333-JPに感染していること、およびSCP-1333-JPとその培養液が封入された錠剤を所持していることが判明しました。感染が判明した住民はSCP-1333-JP-Aとして収容され、残りの住民に対するクラスB記憶処理とカバーストーリー「山火事」が適用されました。錠剤は村に訪れたセールスマンを名乗る男性がいびきを消す薬の試供品として配布したものだと判明しましたが、その男性の身元を示す情報は全てが虚偽の情報でした。現在その男性はPoI-1333-JPに指定され、行方を調査中です。(2014/02/██ 追記)PoI-1333-JPを確保しました。現在拘留中です。詳細は補遺2を参照してください。

実験記録: SCP-1333-JPに関する実験記録から抜粋したものを以下に示します。

実験記録1333-JP-005 - 2014/01/██

対象: SCP-1333-JP-A-24(D-31333)

実施方法: SCP-1333-JP-A-24のSCP-1333-JP-Bを録音し、複数の媒質における減衰率を計測した。

結果: 同周波数同音量の他の音と同様の減衰率であった。

分析: 録音ではSCP-1333-JP-Bの異常性が失われることが判明した。

実験記録1333-JP-006 - 2014/01/██

対象: SCP-1333-JP-A-24

実施方法: 音の周波数を直接変化させる装置を対象のSCP-1333-JP-Bに使用し、各種媒質における減衰率を計測した。また、周波数を変化させた場合の節足動物の走音性について確認した。

結果: 同周波数同音量の音と比較して1/100未満の減衰率であった。節足動物はこの音に対し走音性を示さなかった。ただし、節足動物は防音処理された元のSCP-1333-JP-Bに対する僅かな走音性を示した。

分析: SCP-1333-JP-Bの異常性は周波数によらないことが判明した。周波数の変化により節足動物が走音性を示さなくなったが、おそらく元のSCP-1333-JP-Bを完全に遮断できなかったことが原因でそちらに対して反応を示してしまった。予算の関係により全ての実験で完全に遮音するのは難しいため、防音で妥協せざるを得ないだろう。

実験記録1333-JP-008 - 2014/01/██

対象: SCP-1333-JP-A-26(D-31335)

実施方法: 対象の軟口蓋および舌根を切除し、人工の軟口蓋および舌根を移植した。

結果: 切除した軟口蓋と舌根は約1時間後に溶解した。移植から約20時間後、軟口蓋と舌根がSCP-1333-JP-Bの原因物質に変異した。

分析: SCP-1333-JPの影響は外科手術でも取り除けないこと、SCP-1333-JP-AからSCP-1333-JP-Bの原因物質を採取して利用するのは困難であることが判明した。

実験記録1333-JP-011 - 2014/01/██

対象: SCP-1333-JP-A-26

実施方法: 対象の発生させるSCP-1333-JP-Bの周波数パターンを計測した。

結果: インシデント1333-JPが発生。詳しくは下記を参照。

インシデント1333-JP: 2014/01/██、人工SCP-1333-JP-B発生装置の実験中、研究セクター8173に約1,000,000体の不明な生物型アノマリーが侵入しました。これらのアノマリーは体長1〜6cmで、外見から体の構造は節足動物に似た構造であると推測されます。全ての個体が積極的に人体を摂食する性質と有害な異常性5を有していたため、約170人が死傷し、内50人が重傷、28人が死亡しました。また、これらのアノマリーの内少なくとも8種類がSCP-1333-JP-Bに対する正の走音性を示すことが確認されています。これらの死体の急速に溶解、気化する性質と事態の突発性のため、これらのアノマリーの詳細は不明です。同様の理由で、当インシデントとSCP-1333-JP-Bの因果関係の有無は不明です。当インシデントを受けて同セクターの隔離遮音収容棟と遮音実験室の敷設、SCP-1333-JPの特別収容プロトコルの改定が行われ、SCP-1333-JP-Bが発生する実験の実施場所は遮音実験室内に限定されました。(2014/02/██ 追記)PoI-1333-JPへのインタビューにより、SCP-1333-JP-Bがこれらのアノマリーを誘引する効果があることが証言されました。しかし証言が事実だとしても誘引されるアノマリーの起源が不明であるため、これらのアノマリーには別のアイテム番号を割り当てることが提案されています。

補遺2: 2014/02/██、エージェント・███がPoI-1333-JPの目撃情報を調査中に、███村に再び訪れたPoI-1333-JPを発見、確保しました。PoI-1333-JPは確保時、抵抗および逃走をする様子を見せませんでした。以下は確保直後にPoI-1333-JPに対して行われたインタビューの内容です。

対象: PoI-1333-JP

インタビュアー: ██博士

<録音開始, 2014/01/██>

██博士: これよりPoI-1333-JPへのインタビューを開始する。

PoI-1333-JP: ええ、何でも聞いてください。

██博士: なら教えてくれ、PoI-1333-JP。君はあの薬のことをどこまで知っている?

PoI-1333-JP: そうご質問なさるということは、あなた方はあの薬が凶暴な虫、原理のよくわからない異常な力を持つ虫たちを呼び寄せるということまでご存じなのでしょうか。

██博士: その質問には答えられない。

PoI-1333-JP: 肯定と見做して話を続けさせていただきます。それなら私は、薬の効力はよく知っているといえば十分でしょうか。あなた方がご存じのとおりの効果です。しかし、原理はよく理解していません。彼らに任せっきりだったのです。

██博士: 彼らとは?

PoI-1333-JP: 私が薬の制作を依頼した方々です。確か、日本生類創研と名乗られておりました。私が手を尽くして探し出したのですが、私も彼らのことは詳しくは知りません。ただ、凄まじい技術力を持った方々だと伺っています。私が生涯をかけて得た財産の全てを彼らに託し、あの薬を作って頂きました。それと、足りない料金の代わりに、あの薬を使用した後の村の状態を報告するよう彼らに頼まれていました。あなた方に提出した器具6はそのデータを集めるために彼らから受け取っていたものです。私が彼らについて知っているのはそれだけです。

██博士: わかった。なら、次の質問だ。君が薬の効力を知っていたというのなら、あの危険な薬を寒村にばら撒いた目的は何だ?

PoI-1333-JP: 一言で言うならば、復讐です。

██博士: 復讐?対象は誰だ?

PoI-1333-JP: あの村には、信じられないかもしれませんが、いえ、むしろあなた方の方がお詳しいのかもしれませんが、恐ろしい超能力のようなものを持った老婆がいたのです。それが私が殺すべき相手です。

██博士: 超能力とはどのような?

PoI-1333-JP: わかりません。私には理解の及ばないものでした。まるで全てを思いのままに操るかのように見えましたが、万能ではないようでした。特に、一度受けた傷は治せず、身体能力はその時の見た目相当になっているようでした。それ以外にわかっていることは、彼女が私の家族をその能力で消し去ってしまったということです。

██博士: 顔はわかるか?

PoI-1333-JP: 彼女には決まった顔がありません。老婆というのも、あの村ではその姿だったというだけです。性別すらも本当に女性であるかはわかりません。足取りを追うのも一苦労でした。彼女が私の家庭を奪った犯人だと気付いたのは、幾重もの偶然が重なった奇跡でした。足取りを追えたのもきっと運が良かったのでしょう。もう一度できるとはとても思えません。足取りを追ううちに、私には普通の方法で彼女を殺せるとは思えなくなりました。彼女が本当に人間なのかどうかすら確証が持てませんでしたから。

██博士: それが理由でSCP-1333-JP……失礼、あの薬を使ったのか?

PoI-1333-JP: ええ、そうです。私には他にあてがありませんでした。化け物は化け物で殺すしかないと思ったのです。そしてそれは失敗しました。私は薬の効果が現れる時期を過ぎて彼女が死んでいないことを知りましたが、もう行方は分かりません。

██博士: なるほど。では、君は何故もう一度あの村にやって来たんだ?

PoI-1333-JP: もちろん、彼女の行方を追うためです。その過程で、あの山火事が人為的に起こされたものであることを知りました。それは彼女の仕業ではなかった。あの村の住民たちが私のことをさっぱり忘れていたのも、彼女の仕業ではないと悟りました。そうして調べているうちに、あなた方に捕まったのです。そして気付きました。火事や記憶の改竄はあなた方の成したことですよね?

██博士: (5秒間の沈黙)君は復讐の妨げになった我々を恨んでいるのか?

PoI-1333-JP: いいえ。失敗の責任は私にあります。それに、希望もありました。

██博士: 希望とは?

PoI-1333-JP: 彼女がいなくなったこと、つまり逃げ出したことです。

██博士: 逃げられたことが君にとっての希望になるとは、どういうことだ?

PoI-1333-JP: あなた方は私と違って、人間の力で彼女と同じ土俵にいるのでしょう。そして彼女はあなた方を恐れて逃げた。この世には化け物だけではなかった。それが希望です。

<録音終了>

終了報告書: PoI-1333-JPの言及した人物は███村における行方不明事件に関与していたと推測されます。現在その人物をSCP-████-JPに指定し、行方を追っています。また、PoI-1333-JPの持つ情報の有用性と経歴を考慮し、財団エージェントとしての雇用が██博士により提案されています。

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