SCP-1357-JP
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SCP-1357-JP

アイテム番号: SCP-1357-JP

オブジェクトクラス: Safe Neutralized

特別収容プロトコル: SCP-1357-JPはサイト-73で不透明な布を掛けた状態で保管されています。収容室内への火器の持ち込み並びに使用は禁止されており、実験時を除きSCP-1357-JPの持ち出しは許可されません。

Neutralized再分類の経緯は補遺2を参照してください。

説明: SCP-1357-JPは"翡翠かわせみ(The Kingfisher)"と題された、カワセミ(学名: Alcedo atthis)を描いた1枚の水彩画作品です。オブジェクトを構成する画材に異常は見られません。SCP-1357-JPの周囲で炎が発生すると、オブジェクト表面からオスのカワセミに酷似する組成不明の実体が出現します。この実体はSCP-1357-JP-1に指定されています。SCP-1357-JP-1の出現中、SCP-1357-JPのカワセミの描写は消失します。

SCP-1357-JP-1は周囲で発生した炎へと飛来し、その炎を自身の身体に全て移して上空へと移動します。その後炎が完全に鎮火されるまでSCP-1357-JP-1は飛翔を続け、鎮火が完了するとSCP-1357-JPへと帰還します。また、SCP-1357-JP-1が辿り着く前に発生した炎が鎮火した場合でも同様に帰還します。帰還したSCP-1357-JP-1はSCP-1357-JPに接触すると消失し、再びSCP-1357-JPにカワセミの描写が出現します。SCP-1357-JP-1が焼失しない理由は解明されていません。

SCP-1357-JP-1が物理的に飛来できない場所で炎が発生した場合、SCP-1357-JP-1は出現しません。

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SCP-1357-JP-1

SCP-1357-JPは2011/03/15、ノースダコタ州████市郊外に存在するウィリー・ウィズダム氏の放棄されたアトリエで発見されました。当時、該当地域で発生した火災現場にSCP-1357-JP-1が出現したとみられており、「火災現場の炎が巨大な火球となって空を飛んでいる」という通報が消防署に多数寄せられたことから付近に住む財団エージェントが捜索を開始し、火災現場からおよそ140m離れた場所にあった氏のアトリエでSCP-1357-JPの回収に至りました。その後、火災現場周辺の居住者にはクラスA記憶処理を施し、幾つかの偽装情報を一般に流布することで対処を行いました。


補遺1: 以下はSCP-1357-JPと同時に回収された紙片に書かれていた文章の転写です。

愛しい我が孫へ

私がこの鳥を見たのはとても幼いときだった。河原で遊んでいた私の視界の内にひらりとやってきたのだ。

その姿に私は夢中になって見惚れてしまった。青いその鳥は、太陽の光を一身に受けて焔の如く輝いていた。

その後というものの、私が彼に再び出会うことは叶っていない。しかし私の記憶の中に、彼は未だに舞い続けている。だから、忘れてしまわないように私はこの絵を描いたのだ。私が画家を目指すきっかけになったこの鳥を。

君にこの絵を送ろう。いつか私が死んだときにでも、この絵を見て私のことを思い出してくれると嬉しい。

そして太陽のように輝く君のもとへ、いつかこの鳥が来ることを願っているよ。4歳の誕生日おめでとう。

君のおじいさんより

ウィリー・ウィズダム氏は2011/01/18に交通事故で死亡しており、その翌日が当時3歳であった孫のロイド・ウィズダム氏の誕生日であったことが確認されています。ウィリー・ウィズダム氏は生前、創作を邪魔されることを防ぐ目的で自身のアトリエの場所を誰にも明かしていなかったため、SCP-1357-JPは遺族や知人に発見されないまま氏のアトリエに放置されていたものと思われます。放置されていた他の芸術作品については異常性が確認されなかったため、調査が終了した後に遺族に返品しました。

補遺2: 2014/04/22、SCP-1357-JPが突如活性化しSCP-1357-JP-1が出現しました。出現直後のSCP-1357-JP-1は収容室内を旋回しており、当時サイト内での火器の使用が無かったことから、活性化した原因を解明する目的でオブジェクトの一時的な解放が行われました。解放されたSCP-1357-JP-1はサイト-73から北北西の方向へ飛翔を始め、その途中で自発的に燃焼を開始しました。この自発的な燃焼は、収容以来初めて確認された異常性でした。解放から約12分間が経過した時点でSCP-1357-JP-1は不明な原因により燃え尽きたと見られ、その後SCP-1357-JPにカワセミの描写が再生しなかったことから、オブジェクトは後にNeutralizedに再分類されました。

後の調査で、SCP-1357-JP-1が焼失した時間とほぼ同時刻にロイド・ウィズダム氏が白血病により死亡していたことが判明しました。また同時に、SCP-1357-JP-1が飛翔した方向に氏が入院していた病院が存在していることも確認されています。この事実とオブジェクトの異常性が変質したこととの因果関係は不明です。


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