SCP-137-FR
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閉じた状態のSCP-137-FR、表面。

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閉じた状態のSCP-137-FR、裏面。

アイテム番号: SCP-137-FR

脅威レベル:

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-137-FRはサイト-Alephの保安ロッカー内に保管され、Dクラス職員を用いた実験の場合を除いて取り出してはいけません。実験以外では、決して偶発的に開いてしまうことのないように、宗教的信念を有していないと確認された職員のみSCP-137-FRを取り扱うことが許可されます。

説明: SCP-137-FRは15 x 25cmの、二つ折り仕様の光沢紙製の小冊子です。SCP-137-FRの表には、様々な宗教的シンボルに取り巻かれた地球のイラストとともに、「宗教無き世界、それは可能か?」というフレーズが印刷されています。裏面にはただ「ウィ。」という語が記されており、下部には"SAPHIR"という組織のロゴが入っています。SAPHIRはこの時まで知られておらず、調査も行われていませんでした(回収記録参照)。
内側の二面は白紙です。

閉じている時のSCP-137-FRはいかなる異常効果も示しません。しかしながらSCP-137-FRが、何らかの宗教運動に帰属している被験者によって開かれると、両者は瞬間的に消失します。その後被験者とSCP-137-FRは、開かれてから1秒から8時間までの期間の後に再出現します。

被験者は戻って来ると強いショック状態にあり、明らかに不安定な精神状態であるほか、実験以前に被験者が帰属していた宗教に対する深い嫌悪感を表明します。その全員が、自身のいた正確な地理的位置を認識していたものの、自らの宗教のみが存在するディストピア的な世界であったと証言します。被験者のそこでの滞留期間は不明ですが、彼らがそこで送った経験を鑑みるに、被験者が消失していた時間を遥かに上回っているものと考えられます。平均期間は3ヶ月であると推定されています。

被験者が重篤なショック状態にある場合、彼らに対する尋問が煩雑化してしまうため、セラピールームが設置されており、また鎮静剤の使用が認められています。

SCP-137-FR実験記録:

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実験137-FR-06.66
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ジェミニ博士注: この実験のために、自らの… その何?… "宗教"に対する確信に満ちた、ホンモノのパスタファリアンを見つけ出すことは困難を極めた。それでもやはり、我々は財団なのだ。
いやまあ、信じ難いことではあるけれども。
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空飛ぶスパゲッティ・モンスター教のチベット支部とのコンタクトによって、我々はD-3398の位置を特定することに成功した。グアドループでのラム生産に夢中になり、そちらに転身していたのだった。対象は、電子レンジで温めたパスタボックスによって、機動部隊Theta-3 "バターパスタ"を火傷させようと試みた(このインシデントでの犠牲者は皆無)のち、難なく逮捕および確保がなされた。
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D-3398が小冊子を開くと通常通りに消失し、11時間1分後に再び現れた。再出現時、被験者は重度の身体的損傷を被っていた。左腕と左脚は切断されて、それぞれ推定12キロの、玄人跣のタリアテッレ(細長いリボン状のパスタ)の塊が二つ、然るべき場所に移植されているようだった。財団の専門医を大いに驚かせたことに、麺で出来たこの義肢は、拒絶反応や感染症を示すこともなく、人体と完全に同化しているものらしい。D-3398はごく僅かしか疲労を示しておらず、再出現直後にインタビューを実施することが出来た。
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インタビュー記録:
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- ジェミニ博士: おかえりD-3398。じゃあとりあえず… 単刀直入に聞くけど、君腕とか脚とか痛くないの?
- D-3398: 何言ってるんです博士? これメッチャクチャ痛いですよ!
- ジェミニ博士: にしては君、特に気にしてるようには見えないけど…
- D-3398: *陽気に* こりゃ必要悪ってやつですよ、博士… 博士も知ってるでしょ、俺が見てきたもののこと…
- ジェミニ博士: まさにその話をしたいんだよね。君がここにいなかった間に、目にしたもののことを聞かせてくれ。
- D-3398: 海賊です。
- ジェミニ博士: 海賊?
- D-3398: そう海賊! 世界は破滅に向かってひた走ってるいる! 公害やら地球温暖化やら動物の絶滅やらで… でも向こうでは違っていた。あっちでは素晴らしい話が広く知れ渡っていたんです。地球温暖化の原因は海賊がいなくなったからなんだって。だから結局、海賊たちを山ほど徴用しなくちゃならないんだって。それこそがパスタファリアン艦隊、言ってみれば… およそ5億人の資格持ちの海賊たちですね。まあ強姦とか略奪もしたりするんですけども。彼らが単に海賊のフリをしているだけなら、何も上手くは運ばないでしょうし。手足切り落とすのも似たようなもんで、木製の義足やら鉤やらを着けられるようにって理由からです。あと当然だけど目潰して眼帯着けたりとか。
- ジェミニ博士: ああ、それで君… 今そんな状態になっちゃってるわけ?
- D-3398: え? ああいや、それは違う! 全然違います。そうじゃなくて、海賊はスパゲッティ・モンスターの警吏なんです。俺が着いた時、落っこちたのが彼らの上で。彼らは俺が着いてすぐ、俺を捕縛したんですよ。
- ジェミニ博士: 彼らは君をどこに連れて行ったんだい?
- D-3398: あーええと、タービンですね。
- ジェミニ博士: 詳しく聞かせて貰えるだろうか?
- D-3398: パスタを作る場所ですよ。何トンものパスタを次々に作るんです。一日中ね。多分一晩のあいだに3、4時間しか眠れなかったかな。
- ジェミニ博士: 他には?
- D-3398: 何人か、疲れ切って時間通りに起きられないみたいなヤツもいました。そんな奴らはミートボールにされちゃうんですけどね、あはは!
- ジェミニ博士: 君たち…うんん… 君たちは共食いをしてたってことかな?
- D-3398: とんでもない! 誰もパスタやミートボールを食べたりなんてしませんでした! 神の肉体ですよこれ! 救世主の体食べるってどんな野蛮人ですか!?
- ジェミニ博士: それじゃあ肉の種類で、特例として許される、みたいなものもなかったのかい?
- D-3398: ええまったく。多分どんな肉もダメでした。
- ジェミニ博士: なら、さかな…
- D-3398: 魚もダメ。万が一にも、ミートボールが生ダラで出来てるって誤解を生じさせるに十分である以上 -危険を冒すようなことは出来なかったですね、分かってくれると思いますけど… あと大豆もおんなじ。
- ジェミニ博士: じゃあ君たちは野菜しか食べなかったわけ?
- D-3398: 見つけたものを食べました。まあ大抵は泥ですか。耕作可能な土地は、穀物を栽培するのに使われました。麺類を作るためだったりビールを作るためだったりで。タービンにいる他の奴らは、ビールを何トンも大量に作ったりしてたっけな。でそれをちびちび飲むんです、飲むものって言ったらこれしかなくて、水はことごとく汚染されちゃってて… まあ全部酒のせいなんですが。あと何だろう。噂では、そいつらが酒の残りを火山の中にぶち込んで、並々満たそうとしてるってことでした。数ヘクトリットルもの酒が、底なしの井戸にぶちこまれる… 頭痛くなりますよね。
- ジェミニ博士: それ死亡率とか信じられないくらい高くなるんじゃないかい?
- D-3398: ちょっと言い添えときますと… まあなんですかね、ミートボールが足りないみたいなことはありませんでした。すぐ繁殖するんで。タービンで働いてたのは男だけだったんですけど、女はそれぞれ分けられて、大体はストリップティーズ工場に連れてかれました。おおむね繁殖目的で。
- ジェミニ博士: それじゃあその… 工場、っていうのは何を作ってたんだい?
- D-3398: [データ検閲済み]。どうしました博士? メチャ青ざめてますよ。
*ジェミニ博士の気分が優れない間、インタビューが一時的に中断される。3時間後に再開*
- ジェミニ博士: それでどこまで行ってたっけ… ああ、あの世界での生殖の方法やら、女性が受けている身体的虐待のとこか。でも君特に気にしてなかったよね、三時間休憩の間。私なんか勘違いしてる?
- D-3398: あーまあ違いますね、女の子たちの方から海賊のとこに行ったんですから。海賊っていうのは神の本質なんであって、だからそういう話にはなりません。対して俺たちは… 俺たちは「大いなる義肢」の失敗作だったんです。だからこそ移植が行われたわけで。
- ジェミニ博士: ああ、それじゃ移植の話に移ろうか。すべての麺類はただ単に、肉体の代用品として移植するために作られてたってことかい?
- D-3398: まあ単純な話ですけどね。進化なんて存在しないんですよ。スパゲッティ・モンスターは俺たちを思うままに作ったんだ、ただ金玉だけは後から取り付ける必要があったけども、って分かります? つまり移植の目的っていうのはですね、元の状態に立ち返ることなんです。麺の状態に戻ること。それには流血も伴うわけですが、まあそうですね、医学は少なくともこの分野に関しては進歩を遂げていました。わかってます、こう言いたいんでしょう、「どうやって君はずっとそこにいたんだ、云々」。要するにですね、彼らは酒の中に何かしら仕込んでいたんです。お互い分かってたんですよ、俺は陥落しなくちゃならないんだって。で、俺はおそらく堕ちてしまった。俺自身全然理解できてないんですけど、でも俺はなんかもう俺以上のものなんです。とにかく彼らが俺たちを、「扉」の所に引っ立てて行ったまさにその時、俺はおかしくなったんだってことで間違いありません。まあ自分でも、それが唯一妥当な解決策だろうなって思いますけどね。
- ジェミニ博士: その扉っていうのは、つまるところ何だったのかな?
- D-3398: 分からないんですよ。海賊は俺たちに何も言ってくれなかったし、言ったとしても俺には理解出来なかったでしょう。でも超デカイ扉ではあった。それでそこには、なんだろ、神殿っていうか宮殿っていうか、俺にはよくは分かんないんだけど、そんな感じのやつと一緒になった建物がありました。彼らがそれを押し開けて、そして俺たちに見せつけたんです。
- ジェミニ博士: 何を見せたって?
- D-3398: 聞かせて欲しいんですけどね、博士… ラブクラフトって読んだことあります?
- ジェミニ博士: 私の質問には関係ないような気がするなあ。もし君が…
- D-3398: 俺が言おうとしてること、ちゃんと分かってるんでしょう。
- ジェミニ博士: あのさちょっと、あんまりそういう…
- D-3398: さてもし仮に、数多ある神々の内の一体が現実に存在していたら?
- ジェミニ博士: おい頼むから、セキュリティを呼ばなくちゃならないようなことは…
- D-3398: そして、もしその神が人間の目には正体を隠しているとしたら、神は自らと正反対のものを偽ろうとするのではないか? たとえば不条理、あるいは馬鹿げたインターネットミーム。
- ジェミニ博士: ああそうだな、君は大したことを考えたもんだよ。おい誰かエージェント、鎮静剤を投入…
- D-3398: *跳ね飛ぶように立ち上がる* そして仮に、唯一性と単一性を標榜するあらゆる宗教の中にあって、真逆の主張をするこの宗教こそが、唯一正当な物であるとしたら?
- ジェミニ博士: エージェント誰か反応しろって、おおおい!
- D-3398: おめでとうジェミニ博士、あなたは唯一真なる宗教を見出すに至ったのだ!
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[記録終了]
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このインシデントの後、ジェミニ博士は即効性のCクラス記憶処理の実施を要求しました。さらに、危機的な状況が生じた場合に備え、このインタビューを保護して報告書中に保存すると同時に、あらゆる人々の目から隠すようにとの要請を行いました。O5評議会だけがこの存在を認識しています。
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回収記録:

SCP-137-FRは████/██/██、フランスのディジョン市の広場で、SAPHIRという組織の構成員によって複数部が故意に配布されたものと見られています。地元警察に潜入していたエージェントが、人々が「突然消失」し、「ひどい心的外傷を負って再出現した」という証言を受けたことで財団の注意を引きました。機動部隊Zeta-8"白い鳩"が、目撃者と被害者に記憶処理を施すために現地に急行した時、SAPHIRの構成員は、現場に存在した全てのSCP-137-FRを予め回収、または破壊した上で姿を消していました。幸いにもSCP-137-FRは、これを開くことのなかった市民によって、広場からそう遠くないゴミ箱に捨てられていた所を発見されました。

SAPHIRの性質および目的を特定するために調査が開始されましたが、今に至るまで殆ど実を結んでいません。現在までに行われた検証によるとSAPHIRは、合理的思考を促進するため、宗教全般を害することを目的とした知識人集団であると考えられます。SAPHIRのロゴの下に書かれた"Nostram Assulam Pavete"(ラテン語で「我らの輝きに恐怖せよ」の意)というスローガンから、彼らが自身を脅威と見なしていることが窺われます。更なる解明が待たれています。

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