SCP-1383
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アイテム番号: SCP-1383

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1383は利用客と従業員に対しては閉鎖されています。部屋の鍵は研究施設5に保管します。SCP-1383効果下にある財団職員は、適切なオブジェクトクリアランスを持つ職員に対しては自身が受けた影響について性質と症状を説明し、適切なオブジェクトクリアランスを持たない職員に対しては関わらないようにしてください。SCP-1383または効果下にある職員への暴露によりストレスを感じている職員は、研究施設5の精神治療棟でカウンセリングを受けることができます。

1977年2月の事件以降、影響下にある各職員はパーソナルGPS機器を常時携帯し、2人の職員が位置情報をモニターします。一方の職員はSCP-1383の効果について知らされた上でGPS情報の変化をすべて記録し、もう一方の職員はSCP-1383の効果を知らされていない状態でGPS情報のメモリから記録に写します。さらなるSCP-1383実体の封じ込め違反を未然に防ぐため、後者の記録情報に生じたすべての変化は調査主任に報告されます。

説明: SCP-1383はカリフォルニア州ギルロイにあるモーテル6の14号室です。室内に入った人間や他の知的生命体(補遺参照)は肉体的・精神的な変化を一切生じませんが、入室者のことを考えたすべての人物に対し、入室者が物理的にはSCP-1383室内にいるままであると認識させるという効果を受けます。(回収後インタビュー1383-3参照)

SCP-1383影響下にある人間は自由に移動することができ、自身の移動経路を正常に認識することもできます。(実験1383-7に1件の例外が存在します。実験のため被験者の視覚と位置感覚を剥奪した上でSCP-1383に暴露しました。)SCP-1383効果下では感覚の解離がしばしば報告されますが、肉体的な影響は現在まで検出されていません。SCP-1383の効果下にある職員と頻繁に接触する人物は、認識に不協和を覚えると訴えます。

実験1383-19でDクラス被験者をSCP-1383内部に入室させ、室内のアイテムについて説明させました。彼は室内の物品を正確に数え上げ、部屋内部には彼以外の誰もいないことを確認しました。24時間後、当Dクラス職員に対し室内にあったすべての物を思い出せる限りリストアップするよう命じました。彼が書き上げたリスト(実験ログ1383-9-A、別紙参照)には主な家具や内装の他に、シーリングファン(天井扇風機)の近くで浮遊する緑色の岩石製球体と、数百人の人物が記載されていました。被験者はこれらの人物の言動について説明することができず、「ただそこに居た」と表現しました。

SCP-1383は、1つの部屋に700人分の予約を同時に入れてしまった「従業員のミス」を報じる地方ニュースの分析中、財団によって発見されました。財団は現在、SCP-1383の影響を受けていると推測される人物の追跡及び処置のため部屋の利用客名簿を分析中です。

初期封じ込めの際、しわくちゃに折りたたまれたライトブラウンの紙がベッドサイドの引き出しに入っているのを警備担当員が見つけました。この紙片はタイプライターで打たれた6ポイント大の文章が両面に印字されており、文章は室内もしくは類似した閉鎖空間内で"架空要素"を用いて"幻想の罠"を"組み立てる"方法について書かれています。文中では理論上の天体テミス1などが"架空要素"の例として挙げられています。「儀式」の手順は口語調の二人称で書かれており、筆者は激しい精神的苦痛を受けている状態であったように見えます。欄外には下記オブジェクトを弱体化あるいは破壊しようとする手書き— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— ——滞在していた僧侶は、初期封じ込めの際に偽装工作を行う収容職員によって速やかに退去させられました。研究員は調査— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— ——そこにいるのか?— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— ——わたしがきこえるか?— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —2005年までです。

収容後インタビュー1383-3抜粋、1976/12/11

序文: インタビュー対象はカートライト博士。彼はネバダ州のサイト47に勤務する精神作用型変則オブジェクトの専門家、フレイ博士直属の監督員です。フレイ博士はSCP-1383に見られる特性の調査に割り当てられ、1976/12/08に元の任務に戻りました。

インタビュアー: あなたがフレイ博士に最後に会ったのはいつですか?
カートライト博士: 今朝、Bホールで会ったよ。
インタビュアー: その時彼と話したことは?
カートライト博士: モーテル6の任務からずっと帰ってこなかったから、少々怒鳴りつけたよ。彼は帰ってきたと言っているが、3日も遅れてきたのでね。
インタビュアー: フレイ博士からの答えは?
カートライト博士: 私とは昨日も休憩室で会ったし、その時も同じことを言われたと言っていたな。
インタビュアー: それは事実でしたか?
カートライト博士: いいや。サンタクララ2のサイトにずっといるのに私と話せるはずがないだろ?彼の尻拭いをするのはもうごめんだね。
インタビュアー: あなたの知る限り、フレイ博士は今どこにいますか?
カートライト博士: なんだ、ひっかけクイズか?彼は…そうそう、彼は出張調査でカリフォルニアにいるんだった。もうこうなると、彼はカリフォルニアに移住するべきかもしれないな。
<記録終了>

— —メモ— —: 1976/12/29、フレイ博士はSCP-1383の調査を継続するため調査施設5への転属を申請しました。彼は自身に表れたSCP-1383の効果によって、通常の任務を続けることが困難になっているという専門的かつ個人的な問題点を挙げました。SCP-1383の影響を受けた職員のほとんどが同様の転属を願い出ており、職場での混乱を減らすため研究施設5を拡張してこれを受理しました。

事件1383-A: 1977/02/11のアメリカ標準時4:30、SCP-1383の影響を受けたエージェントS.ウェーバーの同僚から、彼の言動についての懸念を報告しました。説明を求めると、彼女がエージェントのことを考えた時に、ウェーバーがSCP-1383内にいる間、”月を地面に下ろしてその上に登るための交渉をしていた”のを思い出したと述べました。(ウェーバーはこの主張を否認しました。)これはSCP-1383実体の所在及び挙動について、SCP-1383内にいるということに加えてさらに詳細な情報が得られた初めてのケースです。

この事件の後、SCP-1383から半径5マイルの範囲内で一連の異常な現象が発生しました。これは主に、生存しておりかつ無傷である住人が「被害者」とされる多数の傷害及び殺人が地元警察に通報されたという出来事からなります。これはSCP-1383の影響下にある人物と近くであるいは日常的に接している住人に生じた心理的症状が、それらの人物が死傷しているという考えが断続的に生じた結果です3。各事例において得られた加害者の人相風体は、エージェント・ウェーバーのものと一致しました。しかしエージェント・ウェーバーの行動記録からは、彼がこの出来事に対して関与していないことが読み取れます。加えて、この事件を報告した研究員にエージェント・ウェーバーの所在を問いかけたところ、彼女はエージェントの現在位置を研究施設5内部、回収任務の際ウェーバーにオブジェクトクリアランスが与えられたSafeレベルのミーム感染オブジェクト、SCP-████の収容室であると答えました。SCP-████の収容手順はより明確化するため変更— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —CECEは窓を割り、開け放った。— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— ——きみの掲げる指針は応えてくれないのだろう。そこではもはや役に立たない。— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —だがシグナルは発している。— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —まだ聞いてくれているだろうね。— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —

研究員はこの2/77現象が自律性概念実体と名付けられた存在によって創られたと結論付けました。この実体はSCP-████がEuclidへと再分類されるきっかけとなった事実に対して関連があると考えられています。エージェント・ウェーバーに接近した対象者に対する慎重な質問で、このウェーバー実体が精神病の行動と重度の解離を示していると判明しました。これまでウェーバー実体は生きて感覚のある人間または動物に対して"交流"することによって、それらの存在に対して影響を与えるだけでしたが、ウェーバーが適当クリアランスを持つ武装収容エリア23の近くで収容されているSafeレベル・オブジェクト、SCP-███を"確保"した事により実体はパターンを破り、またこのSCP-███は追加の調査によりイルカと同程度の知能を有していることが判明しました。判明したこの新しい情報とSCP-1383の影響による障害を軽減する為に、SCP-███の収容処置は修正されました。

収容されている異常オブジェクトの更なる影響の妨げる試みの中で、エージェント・ウェーバーはクラス-C記憶治療を受け、研究施設5の低クリアランスエリアに制限した清掃業務に割り当てられました。この新しい環境へのウェーバーは順応し、この処置は効果的でした。1977年3月04日から1977年3月15日、この実体はウェーバー補助員の近く、約20mの距離を維持して残っていました。この処置はSCP-1383への暴露による副作用を事実上完全に軽減しましたが、ウェーバーは疎外感と影響に対する不安が軽減しないと報告しました。3月15日、現地時間約800時間、実体はミーム災害に接近し、以前変更した— —— —きみの苦悩の声を受け取った。— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —何かが魔法からわたし達を隠しているが、きみの通り抜けた窓をわたし達は見つけたようだ。— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— ——しかしそれはあまりにも現実的で、そして2本の軸の交差点に近付いている。わたし達はどちらも見つけ出すことができない。— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— — そして窓を開放するという事は、破滅をここから出す事につながる。— —— —— —— —— ——

この事件によって促されたSCP-████の行動は、まだ繰り返されていません。自律性ウェーバー概念実体とSCP-███概念実体の所在は不明で、どちらとも無力化したと考えられます。ウェーバー・メンテナンス補助員の影響の独特な性質によって、彼がもはや確実に追跡または管理できなくなった一方、施設所長は彼の心身の状態から彼が低優先度脅威であると判断しました。施設所長は、思い出すことのできないメンテナンス職員との遭遇の可能性を報告するよう、研究施設5職員に対して公式声明を出しました。

補遺: 事件2/77の解決後、実験1383-9がSCP-1383概念実体のデータを更新する為に新しい被験者を用意して再実施されました。実験1383-21の間、初期段階は以前の試行と同一でしたが、被験者が作成したリストは大幅に異なりました。(実験記録1383-21-A参照。)初期の実験で球状と報告された物体は"破壊"されていると報告されましたが、その他の物理的説明に変化はなく、SCP-1383内部の人間の説明はその行動に伴い修正されました。以下は一例です:

  • 壁や扉を叩く
  • 壁や扉をひっかく
  • 叫ぶ
  • 自分自身やお互いの存在に対して暴力的な行動を取る
  • 死亡または意識不明により横たわる
  • 壁や家具に — —— —— —— —— —— —— —— —わたし達はきみを取り戻すことができない。— —— —— —— —— —— —— —— ——

これと同様の記録に記載されている概念実体と一致するSCP-1383の影響を受けた財団職員は、促された職員によって記録された行動を示すと推測されています。これら実体は意識を持っているが、外へ出る手段が無いと考えられています。

報告された概念上の文書には様々な補足と、未解読または卑猥なシンボルが含まれており、また同様に大まかに描かれたSCP財団のロゴとスペイン語、英語、未知の言語で小さく"COMO ME SALGO DE ESTE JUEGO"4と"CALL CÉCE DESIGNATE██しかし軸の1つは線形時間の可能性がある██"。5

11/81現在、更に2体の自律性概念実体がSCP-1383内部で記録されました。1体は公には1979年10月に解散したと思われている政治団体、アメリカ労働党の実験被験者であると特定されました。2体目は実験被験者が唯一部屋の外に居ると報告した個体で、研究被験体1383-33は"窓から見える淡褐色の男性"と報告しました。SCP-1383の間取り図に窓はありません。

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