SCP-144-JP
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サイト-8155に収容中のSCP-144-JP

アイテム番号: SCP-144-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-144-JPは山中に設置されたサイト-8155に収容されています。その性質上、SCP-144-JPを任意の場所へ移動させることは困難です。SCP-144-JPは宿泊客が居る場合移動しないという習性がある為、サイト-8155職員はDクラス職員を用いてSCP-144-JPが移動しないように常に誰かは宿泊させてください。

事案144-3の発生以降、サイト-8155を含む周辺10kmのイノシシの個体数、及びSCP-144-JPの状態は常に把握することになっています。イノシシの個体数が減少している場合、あるいはSCP-144-JP内に損傷が長期間存在する場合、その程度次第によってはサイト-8155で養殖されたイノシシをSCP-144-JPに与えてください。

説明: SCP-144-JPは1996/█/██に兵庫県の山中で発見された旅館に擬態するイノシシの群れです。原理は不明ですが擬態は肉眼や撮影機器を問わず見分けることは困難です。これまでいくつかの場所に移動していることが確認されており、その全てが人通りの少ない山中に出現しています。擬態ではありますが一般的な旅館と差異無く機能しており、また旅館内外ほぼ全てがSCP-144-JPで構成されています。床や壁を初め、布団や畳、トイレットペーパー等の消耗品に至るその全てがSCP-144-JPの各個体です。唯一の例外は浴槽だけです。

外観は一般的な旅館と変わらず、入館すると女将として30歳前後の着物の日本人女性に見えるSCP-144-JP-1が出迎えてくれます。SCP-144-JP-1は常に同一の個体であり、どのような状況でも玄関口に現れ入館者を部屋へと案内しようとします。SCP-144-JP-1は基本的には友好的ですが下記のように特定の行動を取ることで非常に敵対的な存在になります。宿泊の最中、他に宿泊客が居てもその宿泊客と出会うことはありません。内装は高級旅館を思わせ、宿泊者は皆一様にして「今までで一番綺麗な旅館だ」「館内全体に漂う自然の香りに癒される」等のように、絶賛します。

以下は館内の精密な調査結果をまとめたものです。
館内全般 本来ならあるはずのイノシシの感触は一切感じられない。
違和感は無く、手入れの行き届いた状態が保たれているように感じるが、 測量したところ水平な面が一切無かった。
上記と同様。
香り  心地よい香りが館内に充満しているが、SCP-144-JPから揮発性の麻薬成分が含まれるいくつかの物質を放出していることが判明。中毒性は薄く健康を害するものではないが、擬態の補助と再来館させる為の幻覚作用として放出しているものだと考えられる。
水道 館内の水は全てがイノシシの尿であり、館内で販売されている飲料や食事の際に出される飲料も全てイノシシの尿だった。
露天風呂 天然温泉を謳っており、肩こり、リウマチ、骨折に効くと看板が立てられているが、実際の成分はイノシシの尿。浴槽を影響の出ない程度に削り、素材の鑑定をしたところ、ただの木であることが判明。同様の調査を数度繰り返した結果、巨大な木製の桶状の物に自らの尿を入れている可能性が極めて高いと判断された。何故浴槽だけ木を用いているかは不明。
料理 イノシシ料理に限定されるが一般的な旅館に見劣りしない懐石料理が出され、味も最高だと評判。食したことによる身体的影響は見られない。
廊下 鮭を咥える木彫りのイノシシやイノシシのブロンズ像、イノシシの肖像画等、イノシシをモチーフにしたオブジェが50cm間隔で置かれている。
部屋 一般的な和室。扉や襖にはデフォルメされたイノシシの絵やイノシシの水墨画が描かれている。布団と枕は一般的なものに比べて一回り大きく、重い。

館内の備品や施設を破壊した場合SCP-144-JP-1が即座に出現し、常識的な謝罪と賠償を求めます。これに従わなかった場合、SCP-144-JP-1がその対象に攻撃を加えます。破壊された備品や施設は一般的な物と同様に破損状態を維持し、同時に破損状態に対応したイノシシの死体もSCP-144-JPの周囲に出現します。破損の修復や消耗品の補充として、この宿泊客に攻撃を加えた際に対象を館内の床や壁へ押し付け取り込む行為、あるいは新たなイノシシをSCP-144-JPに取り込むことが確認されています。イノシシを取り込む場合は、イノシシが何かに寄せられるかのようにSCP-144-JPに近づき、触れることで完了します。また、調理や清掃等勤務中の従業員であるSCP-144-JPを調査しようとした際も、同様に彼らが攻撃的になりました。

事案144-JP-3: サイト-8155職員が宿泊を行おうとした際、SCP-144-JP-1に██学園野球部の予約が入って空き部屋が無いという理由で宿泊拒否されることがあり、即座に██学園に確認をしたところ、そのような事実は無いという回答をされました。しかし2日後、合宿に向かう██学園野球部が宿泊先の送迎バスごと失踪するという事案が起きました。SCP-144-JP-1にこのことを問い詰めると、「██学園の皆さんは当館がお気に召したようですね」と返答し以後の質問に対して消極的な回答しかしなくなりました。この1週間前にSCP-144-JP-1が「最近ボイラー室の老朽化が激しい為、改装を考えている」と証言していたのをサイト-8155職員が聞いており、何らかの手段を持って外部から人間を取り込んだと推測されています。

梅田博士の報告: サイト-8155に来てから半年間、週に2度は調査も含めて利用し、SCP-144-JP-1とも何度も話した。私が騙されているだけか、あるいは精神操作を受けているかもしれないのでここからは話半分程度で聞いてもらいたいのだが、結局のところ彼らの目的はよくある昔話の域を出ないものだ。ただ、人間を驚かすではなく、人間に尽くす方のだがね。問題なのは彼らが所詮イノシシであり、狐や狸のような知能が無いということだ。だからこんな雑で時代錯誤なことしか出来ない。事案144-JP-3に関しても自分達の状況と行動をまったく理解していなかったからだ。とはいえ事案144-JP-3は見過ごすわけにはいかない。次にあのようなことを起こすことがあれば私が責任を持って終了させよう。

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