SCP-1465
評価: +4+x

アイテム番号: SCP-1465

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1465は標準的なタイプ-05人型収容ユニット内に収容します。その他の物理的安全保護は必要ありません。

いかなる種類の写真、撮影媒体、またはカメラも実験手順外でSCP-1465と接触させることはありません。SCP-1465は管理職員の裁量によって写真や動画等の撮影媒体を含まない娯楽用品を要求することが認められています。

SCP-1465はOttmier博士による毎月の健康診断をクリアしており、これは必要に応じて眼鏡処方とその他の治療など内容を変化させています。

説明: SCP-1465はギリシャ系アメリカ人の家系のヨーロッパ人女性であり、年齢は23才、身長は171cmです。SCP-1465は度重なる紫外線性角膜炎による角膜と結膜の重度の損傷を除いて一切の身体的・精神的異常性を有しません。SCP-1465は明るい光に対する過敏症を持つために保護サングラスを支給されています。左前腕の内側にタトゥーが見られ、このように読み取れます:“Γενηθήτω φως”(光あれ)。

写真または撮影媒体と接触した際、SCP-1465はその写真またはフィルムから光を抽出、直径10-15cmの球体を形成し、自由に動かすことが可能です。この球体はその写真またはフィルムが撮影された際の環境と同等の光を発しており、精密検査によってこれが7つの異なる層で構成されていることが判明しました。各7層は可視スペクトルの分光色と一致し、いずれも幾何学的形状の複雑なパターンで構成されています。

抽出と同時に、写真またはフィルムは黒色に染まって一切の画像を表示しなくなります。この影響を受けたのがフィルムであれば音声は保持されます。SCP-1465は芸術的描写、大きく加工された画像またはアニメ映画に影響を及ぼすことができません。

球体を形成した後、SCP-1465は認可が降りた場合、その時着用している眼鏡類を取り外し、高度な集中状態に入ります。そして15-75分間にわたって球体を見つめ続け、このプロセス中はほとんどの外的刺激を無視します。完了後、球体は消失します:しかしながら、これはSCP-1465が行う自発的な行為であり、抽出した光はいつでも消すことが可能です。このプロセスがSCP-1465が目に損傷を負う主な原因であると考えられています。影響を受けた写真は、光が消失した後は通常の状態に戻りません。

回収ログ: SCP-1465は2013/██/██、[編集済]美術館で開かれたAnsel Adams1の展覧会を訪問している際に、異常な特性を示す姿を目撃されたことで回収されました。被験者は回収当時、カフェインの過剰摂取と長期の睡眠遮断の状態でした。クラス-C記憶処理と小規模の破壊行為のカバーストーリーが問題なく流布されました。

合計3123ページの手書きまたはタイプされた書類、注釈付きの126冊のフォトアルバムと45台のカメラが回収の際にSCP-1465のアパートから発見されました。回収された資料はSCP-1465による様々な理論と実験を詳述していました。(詳細は記録1465-Xを参照してください)資料の大半は抽出結果であり、抽出パターンは1477個のシンボルによる暗号と構築された言語へと変換されており、これらは観測パターンから得られた大量のデータを記録するためSCP-1465によって作成されました。

補遺-01: 以下は2013/██/██、回収から3日後に行われたインタビューからの抜粋です。

█████博士: 君が初めて自身の特性を発見したのはいつ?

SCP-1465: あー…それは、私も分からないわ。確か10か、11の頃…”やあお嬢さんきみは今スーパーパワーを手に入れた”とかじゃ全然なくて、放射能コダック2とかそういうものに噛まれたりもしてない。それに気が付くまで大分時間が掛かった。色々な場面で少しづつ、少しづつ、自分の力が分かってきて、いつの間にか暗室へ一度に40時間も閉じ籠もるようになったわ。

█████博士: ふーむ。あのノートは君の特性について徹底的に研究してあったね。

SCP-1465: 手持ち無沙汰のまま思考を巡らせてたって何にもならないから。自分にできることを探しなさい。って母がいつも言っていた。

█████博士: なるほど。それは良いアドバイスだね。

SCP-1465: 私のノートは返して貰えるの?

█████博士: いいや、残念だけれど。

SCP-1465: ああ。それも取引の一つね。”これは部屋の私サイド、それは貴方サイド”みたいな取引でなんとかならない? 私に預けてくれる?

█████博士: すまないが、駄目だ。 [咳払い] 続けよう、ノートは君のケースの研究にとても役立ったけれど、解読はちょっとした大仕事だった。

SCP-1465: 個人的な研究を誰かに読ませる気は少しも無かったから、苦労したのは概ねあなたの責任ね。他の人たちのように論文の完成を待つこともできたのに。

█████博士: 我々にはこの研究を続けるための資産が充分にある。だが、君の協力なしではプロジェクトは進展しないだろう。

SCP-1465: 分かった。詳しく質問してくれれば答えるわ。

█████博士: 結構。パターンの原則を詳細に説明して貰えるかい?

SCP-1465: ええ。いいわ。まず…そうね、人間が処理する大量の情報はすべて光のパターンで構成されている。カメラは時間の流れのある一瞬の光を捉え、常に変化するパターンから安定した断片を取り出す。私はそういったものを写真から抜き取り、じっと見つめることでそのパターンを理解するの。いくつも抜き取る内に、パターンが複数の場所に現れ始め、事柄の間にある関連性が見えてくる。例えば、ある老夫婦が別々に写った写真を渡されたとすると、その2枚にはレッドレベルの基底層で何らかの類似点がある。変わった例が知りたいなら、ヒンデンブルグ号の写真はどう? 私の飼い猫の写真とほぼ正確に同一なブルーレベルの基底層だった。未だにどうしてなのか分からないわ。それはともかく。要するに、あらゆる物はリンクしている。あらゆる物が。パターンの中のパターンの中のパターンの中のパターン。言うなれば巨大なパズルね。それを手段以上のものにする糸口すら掴めないほど大きくて、私には何一つ解明できていない。

[沈黙]

まさに量子よ。

█████博士: 私もそう思うよ、君が表現した通りに。けれど、君はそのパターンが単純にランダムなのではないと確信しているのか?

SCP-1465: これは量子暗号化された光言語3よ、博士。理屈なんて分かりゃしないわ。

補遺-02:

SCP-1465の研究記録の翻訳完了部分、日付は2013年6月2日から6月4日。

自分の写真を発見、使わなかった数少ない写真の1枚。日付は2006年12月14日。自分の写真の中ではかつてなくくっきりとしたパターン、複数の基底層が識別可能。5番グリーンオーバーレベルの顕著なパターン、26番および27番マトリックスマーカーの間に位置する。

記録にある5番グリーンオーバーレベルのパターンとの相互参照を行った。一致したのはグランドキャニオンの写真のみ。更に相互参照を行うもこの2枚の写真と一致するものは無かった。時制を示すパターンは見つからなかった:私がグランドキャニオンに足を運んだことはないのだから、時制のマーカーが存在しなくとも、いつか未来にその場所で重要な出来事が起こると考えるべきだ。興味深い。

自分の写真とアリゾナ州の航空写真を相互参照した。パターンがまだ繰り返されていることから、関連性は特にグランドキャニオンと結び付いているものではないと分かる。捜索に力を入れる必要があるだろう。より強い関連性がある場所を。

アリゾナ州のグリッド検索が完了した。関連性の最も強いパターンは州都フェニックスに見られた。追加の調査が必要。

2006年12月14日のフェニックス周辺で起きた大きな事件のニュース・アーカイブを調査した。目立った出来事は16才のガールフレンドによるAnthony Bakerの殺人事件のみ。

被告の少女の写真をチェックした。緑のスペクトルと関連するパターンは見られず。犠牲者の写真はアリゾナ州や私の写真の場合と同じ緑のオーバーレベルパターンだと判明した。

これが正しい結果なら、私は訪れたこともない州の会ったこともない誰かの殺人に何かしら関係していたことになる。この件について考察しなければ。

差し当たって満足な結論を導き出した。表も裏も考え尽くして、でも脇道に逸れてはいない。現在の仮説:緑のパターンは存在の超普遍的時制を示す。イベント間の関連性は発生しながら同時に発生していない。行動は未来に行われながら行われていない。

私は関与しながら同時に関与していない。ここからAnthony Bakerの殺人事件が発生した場合において私が有罪だった、あるいは少なくとも有罪として告発されたという、別の可能性における一連の出来事が推測できる。疑問:要因はこれだけだろうか? この性質にはより多くの関連性があるものと見るべきだ。

仮説:こちら側の私へ接触しようとするあちら側の私による活発な働きかけ。現時点で目的は不明、カウンター・コミュニケーションの手段もまた不明。推測するにあちら側の私は、より範囲の広い能力ないし別の能力を有していて、パターンのコード化が可能なのだ。あちら側の私は写真の被写体を偽ることなく写真材料の操作が可能であることを示した。更にまた、特定のパターンが多数の普遍的な反復の中に存在することが判明している。

更に研究が必要。フェニックスへ向かうチケットを買わなければ。

ノートの続きの部分、日付は2013年6月9日付近。

67時間寝てない。フェニックス周辺地域とAnthony Bakerに関連する記事、殺人を分析した記事の写真をまとめて1万枚以上。量のせいで一時的な失明を体験した。

フェニックスの周辺地域全体であちら側の私との関連性が見つかった。あちら側の私が残したメッセージであることに疑いはないが、自発的な行為だというサインは確認していない。

以下の写真の間に強い関連性:避難誘導標識、スーツ姿のビジネスマン、籠に入ったオウム。

意図は明白:あちら側の私は援助と脱出を要請している。コミュニケーションに答える方法は未だ仮説も立てられていない。そういった行動が賢いかどうかも疑わしい。情報は時間と空間、また特に肉体によって開放された。おそらくは可能性、未来においての。疑問は残る。脱走の動機は不明、人生の道程の気紛れも不明。あちら側のIris Laskarisはこちら側のIris Laskarisとは別個の人間であることを心に留めておかなければならない。

後でより詳しく調査する。

回復したらフェニックスを離れよう。

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