SCP-1486-JP
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世界で一番安全な雨

SCP-1486-JP

アイテム番号: SCP-1486-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1486-JPの中心から半径2500mの地点に高さ6mの防護柵を設置してください。また中心から見て半径2000m~2500mの地点の地面に電熱線を敷設し、常時電気を流すようにしてください。週に2回電気を止め、電熱線を敷設したエリアを清掃してください。この清掃は必ずDクラス職員によって行われます。一般人がSCP-1486-JPに近づいた際は、カバーストーリー「石油採掘施設」を流布し、SCP-1486-JPに立ち入らせないようにしてください。

SCP-1486-JP上を人工衛星が通過しないよう、各国首脳および研究機関に協力を要請してください。やむを得ず、SCP-1486-JP上を人工衛星が通過する場合は、観測を中止するかSCP-1486-JPに該当するエリアの画像を差し替えるようにしてください。

説明: SCP-1486-JPは、リビア砂漠中心部に位置する異常現象の発生するエリアです。SCP-1486-JPは半径2000mの円形となっており、SCP-1486-JPの範囲より外では後述の異常現象は発生しません。SCP-1486-JPの存在する地点は、オアシスから遠く交通の往来が極めて少ない地点になります。そのため、一般人にSCP-1486-JPの存在が発見されることがありませんでした。

SCP-1486-JPでは、中心から1000m内のエリア(以下、SCP-1486-JP-A)と、SCP-1486-JP-Aの外縁からさらに1000mのエリア(以下、SCP-1486-JP-B)で異なる異常現象が発生します。

SCP-1486-JP-Aでは、時期や周囲の天候に関わらず黒色の雨が常に降り続いています。雨水の成分調査の結果、雨水はアメリカの█ ██・███カンパニーから販売されている『██・コーラ』と同一であることが判明しています。この事実を受け、財団は全世界にある█ ██・███カンパニーの工場を全て調査しましたが、各工場で異常な現象が確認されることはありませんでした。また、過去に遡っても異常な現象が発生した形跡はないと判明しています。

雨雲から降下したコーラの雨水(以下、コーラ)は地面に到達すると、浸潤することなく地面を流れていきます。この時、コーラはSCP-1486-JPの中心から離れるように流れていき、SCP-1486-JP-Aの外縁からSCP-1486-JP-B内へ流れ込みます。

SCP-1486-JP-Bへ流れ込んだコーラは、一時的に反重力性質を獲得します。同時にコーラは、降雨時のように水滴の状態となります。水滴となったコーラは上空へ昇っていき、雨雲へ吸収されます。雨雲へ吸収されたコーラは反重力性質を失い、後に雨雲から雨水としてSCP-1486-JP-A内へ再び降下するというサイクルを続けています。

SCP-1486-JP-A内で発生するコーラは、腐敗することがないという性質を除き、一般的な『██・コーラ』と違いがありません。味や効能も通常の『██・コーラ』と変わらず、人体に害はありません。そのため、飲料として摂取することが可能です。コーラの摂取後SCP-1486-JP内に約2時間滞在することで問題なく体内に吸収されます。但し、コーラをSCP-1486-JP外へ運び出す試みは、コーラの消失を招くため成功していません。Dクラス職員にコーラを2L摂取させ、直後にSCP-1486-JP外へ出す実験も行われましたが、SCP-1486-JP外へ出る前と後でDクラス職員の体重が2kg減少し、Dクラスの胃や腸からはコーラが検出されないという結果になりました。

SCP-1486-JP内では、周囲の砂漠地帯と比べても植物が大量に繁茂しています。植物が大量発生する理由は現在も判明していません。コーラが植物の生長を促進している説、地面の乾燥が起こらず植物の生長に必要な水分が補えているという説、何らかの現実改変が行われている説等が唱えられていますが、いずれも憶測の域を出ていません。

SCP-1486-JPの中心には、遺体と故障した小型飛行機が存在しています。小型飛行機にあった身分証明書から、遺体はメキシコ国籍を持つ23歳の男性、███████████████(以下、男)であるとみられています。この遺体は腐敗の徴候を見せず、また移動をさせることができません。小型飛行機の中に残っていた遺留品の調査から、この男がSCP-1486-JP内で数日を過ごしていたことがわかっています。また、男は毎日日記をつけており、異常現象の発生時の様子も記載されていました。

以下、男の日記からの抜粋です。

2019/6/14

クソ、暑さで今にも気が狂いそうだ。しかし、あのジジイ、マジでクソみてえな機体渡しやがったな。何が『ワシが整備した最高の機体』だ。ちょっと走ったら急にガタガタ言い始めて、墜落じゃねえか。この天才パイロットの俺じゃなきゃ死んでたところだ。あいつ帰ったら覚悟しとけよ。あー自分の機体が整備中だからって他の機体に浮気するんじゃなかったな。

意識を保つためにさっき言った独り言をここに書いてっけど、マジでむなしいな、これ。あーさっさと誰か俺を見つけてくれ。

2019/6/15

ドアがぶっ壊れて閉まんなくなった。マジで何なんだよこれ。戻ったら慰謝料請求だわ、ふざけんな。

戻ったらとか書いたけど戻れんのかこれ。昨日から飛行機一つ通りゃしねえ。もしかしてここ砂漠の中心じゃねえか。だったらヤベえな。いや、そうだとしても飛行機くらい通るだろ。いつも邪魔だと思うほど飛んでる癖に、肝心な時にいねえとかクソだな。まあ、食料と水はあるし何とかなるだろ。

2019/6/16

ツイてねえ、水がクソだった。腹が痛え。コーラ1飲んだから何とかなるか。クソ、腹痛の時に田舎のお袋がコーラを持ってきてくれたのを思い出しちまった。あークソ誰か通ってくれ。

2019/6/17

さすがコーラだわ。めっちゃ効いた。さすが『世界で一番安全な飲み物』だな。薬にもなるとか最高かよ。もう水は飲まねえ、コーラだけで生きるわ。けどコーラはそんなにねえな。食料はあるけど飲み物無いとキツいぞ。クソ、空からコーラでも降らねえかな。

2019/6/18

マジで降った。でも瓶じゃねえのかよ。いや、もうなんでもいいか。天からの恵みありがたく受け取るぜ。

2019/7/9以降、日記に記述はありません。

以上の記述から、異常現象は男が軽度の現実改変を起こしたことで発生したものと考えられています。しかし、既に男が死亡し確認ができないことから、現在も推測の域を出ていません。

なお、現場の状況を見るに男の死因は、SCP-1486-JP内に自然発生したサバクトビバッタ(Schistocerca gregaria)を大量に飲み込んだことによる窒息死あるいはショック死とみられています。SCP-1486-JP発見時、小型飛行機内は約10万匹のサバクトビバッタの死骸が詰まっており、男は身動きが取れない状態でした。

SCP-1486-JP内は継続的にコーラが循環し、植物が繁茂することから、現在もサバクトビバッタが大量発生し、約2000万匹以上のサバクトビバッタがSCP-1486-JP付近に存在しているものとみられています。これに伴い、リビア、エジプトを中心に各地でサバクトビバッタによる蝗害および生態系の破壊が発生しています。SCP-1486-JPを高い塀で覆う、電熱線による駆除などの対策がなされていますが、現在のところ有効な手段は確立されていません。

バッタ

SCP-1486-JP-A内の様子

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