SCP-150-JP
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通常時のSCP-150-JP

アイテム番号: SCP-150-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-150-JPは生物サイト-8102の多重に施錠された生物収容セルに収容されます。SCP-150-JPは定期的に給餌し、健康状態を保つようにします。精神衛生のため毎日SCP-150-JPとのコミュニケーションを行います。運動不足を防ぐためにレクリエーションを行うことが認められています。

全職員はSCP-150-JPと不用意に直接的な接触を持つことは極力避けなければなりません。SCP-150-JPの行動は全てその特性を無視できるような状態で間接的に監視します。SCP-150-JPに関与する全て人員または物体は、最長1時間毎にはSCP-150-JPの影響を受けていないことを確認します。SCP-150-JPの実験は3人以上のクリアランスレベル4以上の職員の許可が必要です。SCP-150-JPと確実なコミュニケーションを取るために、Dクラス職員の直接接触及び一時的な"価値"の交換が推奨されます。あらゆる実験の後には、関わった人員または物品がSCP-150-JPの影響を受けていない状態にします。もしもSCP-150-JPの影響を受けていた場合はSCP-150-JPにそれを元に戻させ、それに応じない場合にはSCP-150-JP責任者の裁量によりSCP-150-JPの削除が行われます。

外部でSCP-150-JPに類似する個体を発見した場合、速やかに捕獲・収容します。また周辺に影響を受けた物体があれば同じく収容し、問題がなければ影響を取り除いた後に解放します。SCP-150-JPの性質に気付いた民間人にはクラスC記憶処理を施します。

説明: SCP-150-JPは特殊な力を有する一匹のギンギツネ(学名:Vulpes vulpes)の個体です。野生の狐の個体より体格が小さく犬によく似ています。人間が近付いても逃げない、顔の前に手を出しても噛もうとしないなど、非常に人間に慣れた振る舞いをします。右耳の内側に"MFXY-58425"の白色の烙印が押されています。これらの状況から、SCP-150-JPは収容以前は何者かにより集団で飼育されていた可能性が高いと考えられます。

SCP-150-JPの特殊な能力は、任意の2つの対象の"価値"を交換するというものです。ここで記述する"価値"とは物体が他の物体に作用するあり方のことです。価値が交換された対象は、もう一方の対象であるかのように存在し他の物体に作用するようになります。この効果は永続し、現在のところSCP-150-JPが再び価値を交換する以外の元に戻す方法は見つかっていません。この能力はSCP-150-JPに直接的に晒された対象にのみ働くため、SCP-150-JPとの直接接触を避けることがその影響を受けない方法として有効です。価値が交換された対象を元の対象として観測するには、映像にいくつかのフィルターをかけるか、あるいは"狐の窓"と呼ばれる手で作った穴を通して見ること(視覚に限られる)により可能になります。後者の方法はSCP-150-JPの影響を受けた物体を見分ける即席かつ効果的な方法として推奨されます。

SCP-150-JPはその能力を自身に適用することが可能です。SCP-150-JPが自身の価値を人間と入れ替えた場合、それはまるで人間のように振る舞い、人語を理解し話すことが可能になります。会話はたどたどしく、人間の子供程度かそれ以下の低い知性を見せています。自身の欲求に非常に忠実で、複雑な思考能力があるとは考えられていません。また長期的な記憶もあまりできないことが実験によりわかっています。出生や収容以前の過去のことについて聞きだす試みは今のところ全て失敗しています。会話している様子を影響を受けない状態で観測した場合、視覚的にはキツネが口を動かしている様子、聴覚的にはキツネがただ吠える鳴き声が観測されます。SCP-150-JPの行動は言葉により促したり抑制したりすることが可能です。また給餌を条件に出すことで、それはより効果的になることがわかっています。

20██/██/██、SCP-150-JPは長野県██村で発見されました。現地に住む女性の████が[検閲済]となり同時にギンギツネが彼女の家に住み着いたという奇妙な噂を聞きつけ、財団が調査を行いました。この現象はSCP-150-JPが自身と████の価値を入れ替えた結果でした。調査は困難を極めましたが、開始から1週間後に████と入れ替わったSCP-150-JPが自身から告白し全容が明らかになりました。財団の指示に従ったSCP-150-JPによって████は元に戻され、クラスC記憶処理を施され通常の生活に戻っています。

実験記録-い: 物体AおよびBについてSCP-150-JPに価値を交換させ、それらを何も知らないDクラス職員に観測させることによりSCP-150-JPの能力の効果について検証。

実験記録001 - 20██/██/██
対象: D-150-JP-1
物体A: 500円硬貨1枚
物体B: 直径10cmほどの葉っぱ1枚
結果: 対象は物体Aを葉っぱ、物体Bを500円硬貨として認識した。形状の違いについて「何も変わらない」と述べた。
注: 物体Bを使い自動販売機で何の問題もなく飲料を購入することができた。元々の葉っぱは硬貨投入口に入らない形状のはずなのに、だ。このことから交換されているのは、認識のされ方ではなく物体が本来有する価値やあり方であることが推測される。制限された現実改変能力とでも言えるだろうか? - ███博士

実験記録002 - 20██/██/██
対象: D-150-JP-1
物体A: 500円硬貨1枚
物体B: D-150-JP-2
結果: 対象は物体Aを人間、物体Bを500円硬貨として認識した。形状や重さの違いについて「何も変わらない」と述べた。また物体Aを「直立不動で動かない薄気味悪い人間」、物体Bを「ただの硬貨」と述べた。物体Bが自ら動くことはなかった上、意思の疎通も不可能だった。
注: 物体Bを自動販売機で用いたところ何の問題もなく飲料を購入することができてしまった。影響を受けないカメラには、投入口に人間が吸い込まれていくような映像が映っていた。 - ███博士

実験記録003 - 20██/██/██
対象: D-150-JP-1
物体A: 実験記録002で用いた物体A
物体B: 実験記録002で用いた物体B
結果: 対象は物体Aを500円硬貨、物体Bを人間として正しく認識した。物体Bについて「死んでる」と述べた。
注: D-150-JP-2は身体全体を大きく打ち付けられたようだった。例えば小さな人間が自動販売機の硬貨投入口に入って、すとんと落ちたら、恐らくこうなるんだろう……。 - ███博士

実験記録004 - 20██/██/██
対象: D-150-JP-3(予めD-150-JP-4とD-150-JP-5の顔写真を見せた)
物体A: D-150-JP-4
物体B: D-150-JP-5
結果: 対象は物体AをD-150-JP-5、物体BをD-150-JP-4と認識した。物体Aと物体Bはお互いと自分の姿を見て困惑した。特に物体Bは激昂した様子を見せた。
注: 交換対象を拘束しておいてよかったです。 - ███博士

実験記録005 - 20██/██/██
対象: D-150-JP-3
物体A: 実験記録004で用いた物体A
物体B: 実験記録004で用いた物体B
結果: 対象は物体AをD-150-JP-4、物体BをD-150-JP-5と正しく認識した。物体Aと物体Bは安心した様子を見せたが、精神的に疲弊していた。
注: 交換だけでは命に支障はないようです。 - ███博士

実験記録006 - 20██/██/██
対象: D-150-JP-6
物体A: 未開封の500mLペットボトルに入った水
物体B: D-150-JP-7
結果: 対象は物体Aを人間、物体Bを未開封の500mLペットボトルに入った水と認識した。また物体Aを「動かない人間」と述べた。対象にペットボトルを開けさせたところ、誤って落としてしまった。水は対象の衣服にかかりまたは床に零れ、回収した分を合わせて容積は200mLしか残らなかった。残った分と物体Aで再びSCP-150-JPに交換させたところ、物体Aは[検閲済]のように見られた。
注: 物体が液体でも可能であることはわかりました。気体についてはできたとしても元に戻す術がないことは確かめなくても十分わかるでしょう。人間を用いた実験は何か新しい発見でもない限り禁止とします。 - ███博士

補遺-ろ: SCP-150-JPは収容初期の20██/██/██に脱走を試みています。職員が給餌する際に給餌用の扉を開錠したところ、出入り口の扉が開きました。その隙にSCP-150-JPは生物収容セルを抜け出し、生物サイト-8102を逃走しました。この現象の原因はSCP-150-JPが予め出入り口の扉と給餌用の扉の鍵の価値を入れ替えていたためだと判明しています。また、これによりSCP-150-JPの収容扉は多重のロックをするものに特別収容プロトコルが改訂されました。SCP-150-JPは逃走中に複数の廊下や扉の価値を入れ替え、███博士の自室の扉がトイレに繋がる、エレベータの2Fと3Fの順番が入れ替わるなどの現象を引き起こしました。脱走から3時間後、職員の機転により餌を使った即席の罠が作られ、SCP-150-JPは捕獲されました。後にSCP-150-JPは服従の意思を見せ、生物サイト-8102は元通りになっています。

インタビュー記録-は: SCP-150-JPにDクラス職員を与え、人間に入れ替わらせてインタビューを行った最初の記録です。Dクラス職員が不用意な行動にでないように、まずDクラス職員を他の不動の物体(ここではゴム製のボールを用いた)と入れ替えさせ、その後にSCP-150-JPがDクラス職員の価値を得るように入れ替えさせた。後にDクラス職員には記憶処理を施し解雇した。

対象: SCP-150-JP(D-150-JP-1と入れ替わっている)

インタビュアー: ███博士

<録音開始, 20██/██/██>

███博士: おはよう、150。

SCP-150-JP: おはよう。

███博士: このインタビューが終われば朝食を出しましょう。まず、あなたはいつ自分がそのような力を持っていることに気付きましたか?

SCP-150-JP: ……おなかすいた!

███博士: 150、質問に答えて下さい。

SCP-150-JP: うまれたときから。

███博士: では、あなたはどこで育ちましたか?

SCP-150-JP: おりのなか。

███博士: もう少し詳しく。

SCP-150-JP: いまよりずっとせまいところ。

███博士: 誰に育てられたか、ということはわかりますか?

SCP-150-JP: にんげん。

███博士: ……質問を変えましょう。以前あなたは人間と入れ替わっていましたが、どうしてですか?

SCP-150-JP: しゃべれるから。まえはしゃべっても、わからなかった。つまらなかった。

███博士: ふむ。では、何故彼女を選んだのですか?

SCP-150-JP: しらない。もりのなかにいた。[注:被害者の女性████はその日に自宅近くの森へ行っていたことが証言から判明している]

███博士: あなたはどうして森の中にいたのですか?

SCP-150-JP: おりのなかからでたら、もりだった。

███博士: それは、逃げ出したということですか?

SCP-150-JP: にげてやった。

███博士: 経緯についてはわかりました。では、どうして我々にそのことを白状したのですか?

SCP-150-JP: おりのなかにいれられたから。

███博士: 人間になってからあなたは檻の中に入っていないはずですが?

SCP-150-JP: でも、おりのなかだった。

███博士: 真面目に答えて下さい。

SCP-150-JP: ごはん。

███博士: 150。

SCP-150-JP: ごはん!

███博士: 答えないのであれば朝食を出すことはできません。

SCP-150-JP: しろいへやは、おりとおんなじだった。

███博士: [少し考えて]病院のことですか?

SCP-150-JP: びょういんのおり。だれもあそんでくれないの。

███博士: ……わかりました。質問は以上です。[他の職員に向かって]150に朝食を与えてください。

SCP-150-JP: けいとうみずに!1

███博士: 違います。

<録音終了>

注: SCP-150-JPは見た目も中身も本当にただの犬のようです。それも頭に馬鹿が付くような。制御しやすいので助かりますが、もしかすると最初から人の命令を聞くように家畜化されているのかもしれません。ソ連の実験はあまりにも有名ですが、誰かが意図的にSCP-150-JPのような個体を作り出した結果の一つという可能性は否定しきれません。他のSCP-150-JPのような個体がいないか調べ、同時にSCP-150-JPから情報を聞き出す必要があるでしょう。 - ███博士

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