SCP-1501-JP
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SCP-1501-JPにより発生した嬰児

アイテム番号: SCP-1501-JP

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-1501-JPはその発生を防ぐ事が困難である為、一般人に対するSCP-1501-JPの秘匿に重点が置かれています。国内における新生児の出生時刻は全て調査され、SCP-1501-JPの発生時刻を特定します。出生時刻の記録法上、数分のずれが生じる可能性は念頭に置いてください。発生時刻の特定後、国外におけるSCP-1501-JPの調査を行います。SCP-1501-JP発生時に出産されたと特定された人物には研究目的の調査が可能ですが、異常性が認められない限りは一般人に対する財団規定を外れた試みを行う事はできません。SCP-1501-JPの研究に携わる職員以外がSCP-1501-JPの発生と出生人物に関する記録を閲覧する事は禁止されています。

説明: SCP-1501-JPは本土日本人に属する遺伝子を有する女性にのみ発生する現実改変現象です。現象の内容は日本標準時を基準として午前0時から翌午前0時までの間に一度、最大で1400人を超える女性が同時刻に出産を行うという物です。SCP-1501-JPは本土日本人の遺伝子を有する人間の女性に対して国内外を問わず連日発生する為、その正確な規模を測る事は非常に困難です。財団が記録できた限り、SCP-1501-JPは1日に1度発生するという法則から外れた事例はありませんが、日本標準時午後11時29分にSCP-1501-JPが発生し、その59分後の翌午前0時28分にSCP-1501-JPが発生した。日本標準時午前1時11分にSCP-1501-JPが発生し、その40時間41分後の翌午後5時52分にSCP-1501-JPが発生したといった事例は確認されています。

現実改変現象という性質から、妊娠中の女性にも発生するのか、それとも妊娠していない女性にのみ発生する現象なのかは不明のままです。老齢の女性や女児に対してのSCP-1501-JP発生報告は現在まで確認されていないため、妊娠可能な女性に対してのみ発生するものと考えられています。しかし、確証には至っていません。

SCP-1501-JPが発生したと特定された女性は、その全てが以前から自然妊娠していたという調査結果に終わります。全ての映像記録、女性が妊娠したと思われる場所と関係者の動き、周囲の人物の証言からも何ら異常無く妊娠と出産を行ったという結果しか得られません。その為、SCP-1501-JP発生の瞬間を捉えた記録を回収する事は不可能と見なされています。1

SCP-1501-JPにより出産された嬰児は、1000人以上の人間と同時刻に出産されたという事実以上の異常性を一部を除いて確認できません。SCP-1501-JPを経て生まれてきた嬰児はDNA鑑定でも両親のDNAを正常に受け継いでおり、通常の人間と変わらず成長します。死産や未熟児、何らかの病気や障碍を持って生まれてくる嬰児は現在まで確認されておらず、その全てが健常児として生まれています。多胎児で生まれてくる事例は存在しますが、SCP-1501-JPによって多胎児が発生したのか、それとも既に妊娠していた所にSCP-1501-JPによって新たな嬰児が発生したのかは不明です。SCP-1501-JPによって発生した嬰児は財団の入念な検査の結果、通常の人間との差異をその起源以外に確認できなかった事、更にはSCP-1501-JPの発生頻度と規模、SCP-1501-JPの全容の把握の困難さから収容、廃棄は行わず、戸籍を記録する以外の積極的な介入を行わない事が決定されています。

SCP-1501-JP発生時、0.0002%の確率で不明な父親(以下SCP-1501-JP-1)の遺伝子を有する嬰児が誕生します。母親に対する調査を行った結果、子供の父親とされるSCP-1501-JP-1の容姿や仕草、年齢等の特徴は各々の証言で食い違いを見せ、合致しませんでした。唯一共通するのは出産時に母親には配偶者、又は交際相手が存在しないという事のみです。母親がSCP-1501-JP-1に接触したとされる周辺の調査も行われましたが、映像記録からは母親の姿しか確認できず、聞き込み調査も失敗に終わり、SCP-1501-JP-1の追跡に成功した事はありません。SCP-1501-JP-1の遺伝子を有して誕生した人物に見られる特徴として、その殆どが何等かの分野で優秀な功績2を上げる事が確認されています。この人物の子孫にも親から受け継がれたと思われるSCP-1501-JP-1の遺伝子が確認できますが、その子孫が功績を上げる割合は一般人のものと近似値を示します。

SCP-1501-JPは現実改変能力を有するSCP-████-JPに対する研究をしていた霧崎博士により発見されました。研究時、10基のスクラントン現実錨により現実改変の影響から保護されていた霧崎博士は、前日まで何事も無く顔を合わせていた██研究員が出産したという報告を受け、疑問を抱きました。██研究員に確認を取ればその異常性を自覚しておらず、財団の記録でも4箇月前から妊娠を理由に休職していました。財団の監視記録、その他財団職員の記憶でも██研究員は半年前から妊娠を周囲に告知しており、医療機関にも当時の検査記録が残っていました。スクラントン現実性測定器を始めとした多くの事実が霧崎博士の認識を否定していましたが、██研究員が出産したのとほぼ同時刻に916名の新生児が誕生している事、更に同様の事例が偶然では片づけられない規模で連日発生している事から調査が開始され、SCP-1501-JPは財団が認識する所となりました。3SCP-1501-JPの発生を防止する為に医療機関各所にスクラントン現実錨を設置する対策が取られましたが、現実改変による新たな医療機関の出現とそれに伴う民間人の移動、医療機関外でのSCP-1501-JPの発生等から計画は中止され、SCP-1501-JPの封じ込めは情報の秘匿に主眼が置かれる事となりました。

文書Α-8100-1501-JP:

何故、SCP-1501-JPで発生した嬰児達に番号を割り当て、確保しないのかと疑問の声を上げる職員が居る。全ての嬰児を把握できないまでも、把握できたものを確保し、関係者に記憶処理を行う力を財団は持っている筈だと。下級職員だけでなく上級職員からも声が上がる始末なので、その理由をここに記そう。

多大な費用と労力が必要にはなるが、確かにSCP-1501-JPで誕生したと確認された全ての嬰児を確保する事は可能だ。SCP-1501-JP-1の遺伝子を有している者に関して言えば、遺伝的特徴を把握しているのでその子孫すら確保できるだろう。だが、その犠牲は余りにも大きい。一体いつからSCP-1501-JPが発生していたのかを財団は把握する事ができていないが、遥かな昔からSCP-1501-JPは繰り返されてきたのだろう。日本国民の9割はSCP-1501-JP-1の因子を少なからず有している事が判明している。そしてその9割の人間を全て確保するという提案は否決されている。

では新たに生まれてくる嬰児ならばどうか? SCP-1501-JPで発生する全ての嬰児を収容するという事は、その子孫までをも異常の延長として収容するという事に気付くべきだ。つまり先程の話に戻るな。日本人を異常オブジェクトとして収容するのか? そんな話は馬鹿げている。

それでもまだ、SCP-1501-JP-1の遺伝子を有した新生児のみを確保すれば良いだろうと言ってくる者が居る。他の人間よりも何かで成功を収める事は統計として表れているが、それが人類に対して脅威と恐怖を与えるものであるかを逆に尋ねたい。我々が確保し、収容し、保護すべき対象が何であるか、それをもう一度思い出したまえ。

確保、収容、保護。
財団職員ならば全員が肝に銘じている三つの使命だが、これらの前提にある財団の理念を忘れている者が実に多い。

人類は恐怖から逃げ隠れていた時代に逆戻りしてはならない。

我々は異常存在の脅威と恐怖から人々を守る。その為に異常存在を確保し、収容し、保護している。

これを踏まえて、我々が収容すべき対象が何であるかを今一度確認する。それは現実改変によって人間が誕生するというSCP-1501-JPであり、この現象に関与していると思われるSCP-1501-JP-1だ。SCP-1501-JPによって発生するホモ・サピエンスは収容対象にはなりえない。何故ならばそのホモ・サピエンスは人々にとって脅威でない事が確認されており、その誕生に関しても人々は認識していないので恐怖を抱く余地が無い。嬰児に対して番号が振られていない理由はこれで理解できただろうか。

確保、収容、保護の使命を、その前提にある理念を忘れて盲目的に実行するだけならば、それは全ての異常存在を考え無しに破壊しようとする世界オカルト連合と何も変わりはしない。財団は異常存在を異常だからという理由だけで蒐集するコレクターでは断じてないのだ。その事を忘れないで欲しい。

—O5-1


== 要LEVEL3クリアランス ==

事件記録B-8119-1501-JP:
サイト8119において、SCP-1501-JP-1が█博士と接触し█博士がSCP-1501-JPに遭遇する事件が発生しました。今までも財団職員に対してSCP-1501-JPが発生する事例は確認されていましたが、今回問題となるのはSCP-1501-JP-1がサイト8119のサイト管理者として24年間も務めていたと記録されている事です。DNA検査、身元調査、精神鑑定、サイト管理者に行われたとされるあらゆる検査結果は財団の記録に残されていますが、その全てが問題無しという結果で記録されています。記録に残っているDNAはSCP-1501-JP-1本人の物であると後の鑑定で確定され、新たに実施された身元調査においても経歴は記録として存在するものの全て架空の物であり、血縁者とされる人物も存在しない事実が判明しました。過去に行われた同様の調査を問題無く通過できた理由は不明のままです。SCP-1501-JP-1がサイト管理者として広範囲に渡る財団の記録を閲覧していた事は明白であり、重大な機密漏洩が引き起こされました。財団職員として活動していたSCP-1501-JP-1の経歴は、記録上では数多くのオブジェクトの収容に対する多大なる貢献、異常性の解明に関する多数の論文、特別収容プロトコルの効率的な改定等、財団に対して多くの有益な貢献を行ったとされています。しかしSCP-1501-JP-1と特定された人物に関する映像記録や音声記録は破損しているか、不自然なノイズ、紛失等によりその全てが不鮮明な記録となっています。SCP-1501-JP-1は財団から規定通りに退職した以降の記録を認められず、そもそもこれらの記録がSCP-1501-JP-1による偽りである可能性を否定できません。SCP-1501-JP発生と同時にこれらの記録が作成されたと仮定した場合、SCP-1501-JP発生以前のサイト管理者は誰なのかという問題が生じます。また、SCP-1501-JP-1が本当に24年間財団に所属していたと仮定した場合においては、現実改変能力を有する何者かが今も財団に潜んでいる可能性を否定できない事になります。

サイト8119管理者であったと記録されているSCP-1501-JP-1は、私達の記憶では誠実で優秀な人物でした。SCP-1501-JP-1に会ったと記憶している職員は大勢居ます。その全てに整合性もあります。それなのにSCP-1501-JP-1に関する記録は全てが存在しない未知の人物という結果に終わります。私の記憶にある思い出も、現実改変による偽りかもしれないと思うと、沈んだ気持ちにならざるを得ません。財団や、果ては地球すらもSCP-1501-JP-1によって作り出された物であるという仮説を立てた方も居ますが、それが間違っている事を切に願います。

SCP-1501-JP-1の思想も、目的も、何一つ不明のままです。SCP-1501-JP-1に対抗する為にスクラントン現実錨を地球全土で発動させるという案が出されましたが、現実的ではないと却下されました。技術的には可能でも、地球全土を覆うための材料が足りないからです。

人類は、現実錨無くしては安心して暮らせないのでしょうか? 現実錨と共に無ければ、現実改変に怯えて暮らさなければならないのでしょうか? それこそ管理者の発言にある、恐怖から逃げ隠れていた時代への逆戻りとなるでしょう。

そうならない為にも、人類を脅威から保護する為にも、何としてもSCP-1501-JP-1を収容し、今あるこの現実を確保しなければなりません。

—霧崎博士

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