SCP-1502-JP
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アイテム番号: SCP-1502-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: ██寺には財団職員1名を常時配置し監視下に置きます。██寺への犯罪歴のある人物の葬儀は他の寺社へ移送することによりSCP-1502-JPの発生は阻止されます。

説明: SCP-1502-JPは神奈川県の██寺に納められた遺骨に発生する異常現象です。SCP-1502-JPが発生する遺骨は生前に殺人や放火などの重犯罪を行った人物に限られます。条件を満たした遺骨が納められてから2〜9時間が経過するとその骨壷の底面から複数のジョロウグモ(Nephila clavata)が出現します。このジョロウグモは高い耐久性と柔軟性に富んだ糸を無制限に生成することが可能です。以降ジョロウグモをSCP-1502-JP-S、糸をSCP-1502-JP-Yと指定します。

最初期は5匹程度のSCP-1502-JP-Sにより遺骨の損傷した部分を自身から生成されるSCP-1502-JP-Yを用いて縫合することにより修復します。修復がある程度進行する、また頭蓋骨などの骨壷の容積では完全な修復が難しい部位の修復にあたろうとするとさらに20〜30匹のSCP-1502-JP-Sが出現し、骨壷の蓋を開け外部での遺骨の修復を始めます。修復が完了するとSCP-1502-JP-SはSCP-1502-JP-Yにより遺骨の関節部を可動できる形式で接合します。接合が完了するとさらに10〜20匹のSCP-1502-JP-Sが出現し、遺骨の各部位と自身をSCP-1502-JP-Yにより接続します。SCP-1502-JP-Sは散開し、人間の歩行を模した動作になるよう遺骨を操作し移動させます。SCP-1502-JP-Sは██寺にある██家の墓まで移動し、納骨棺と接続されている異空間(以下SCP-1502-JP-W)に遺骨ごと侵入します。██家は██寺の住職を務める家系です。

SCP-1502-JP-Wは半径1kmの異空間です。SCP-1502-JP-Wは非ユークリッド的空間であり、その外周は反対側へと接続されています。そのためSCP-1502-JP-Wからは侵入口を除き脱出する方法はありません。SCP-1502-JP-Wの物理法則、空気組成などは地球と同一のものであり、植生は██寺周辺のものと同一の森林が広がっています。SCP-1502-JPの中心には延べ床面積7500坪、地上5階地下1階の老朽化した木造建造物が存在します。建造物内ではSCP-1502-JP-Sが操作する遺骨が収容時までに15体存在します。SCP-1502-JP-Sは遺骨に人間の就寝、食事、掃除などの日常的な動きを模倣させます。

探査記録


探索担当: D-1502
探索対象: SCP-1502-JP-W


<記録開始>

D-1502: 墓の下にこんな空間があるなんて、うーん光は見えるけど木で全然届いてないです。

司令部: 事前に説明していた建造物はありますか。

D-1502: あ、はい。すぐ近くにありました。入りますね。

司令部: ここからは中の様子を伝えてください。

D-1502: そうですね、建物自体はかなりボロっちいです。人の気配とかは無い……というかすごく静かです。

司令部: 手近な部屋に入ってみてください。

D-1502: じゃあ、食堂って札が見えたんでそこ入ってみます。

D-1502は食堂と思しき部屋に入る。内部は大量の机が並べられた広い空間であり、壁面には食器がしまわれた棚が設置されている。D-1502は端にある台所へと移動する。

D-1502: 食器もボロいものばっか……台所にも包丁とかはありますがみんな錆びてますね。

司令部: いくつか手にとって見てください。

D-1502: 分かりました。

D-1502はいくつかの調理器具を手に取る。そのどれもが特異な現象は見せない非異常物品であった。

司令部: 特筆すべきものはなさそうですね。他に移動しましょう。上階に行ってみてください。

D-1502: 了解です。

D-1502は食堂を出る。そのまま階段を上り2階へ移動する。2階には個室が並んでいた。

司令部: 適当な部屋に入ってみてください。

D-1502: じゃあここに。

D-1502は側にあった部屋に入る。部屋の内部は小さな机と棚が置かれている。奥には布団があり若干の膨らみがある。

司令部: 布団の中を確認してください。

D-1502: うぇっ、どなたかいらしてたんですか。その上剥がすって……それじゃあ失礼してってうわぁっ!

布団内部には完全な人骨が横たわっている。

D-1502: 殺人現場か何かですかね。

司令部: その人骨に何か変わった点はありますか。

D-1502: あーそうですね、ああ糸がめっちゃ絡みついてます。クモの糸っぽいかな。

司令部: SCP-1502-JP-Yだと思われます。となるとSCP-1502-JP-Sもいるでしょう。周囲にクモはいますか。

D-1502: あー、はい。よく見たら上にいっぱいいますね、キモいなぁ。

しばらく観察していると人骨はSCP-1502-JP-Sにより布団から出させられる。そのまま部屋外に出る。

D-1502: そんなに動くとは聞いてない……

司令部: その骸骨の後を追っかけてください。

D-1502: 分かりました。あ、他の部屋からも出てきましたね。

複数の人骨はそのまま屋外に出る。各々で掃除用具を持ち掃き掃除を始める。

司令部: 話しかけてみてください。

D-1502: もしもしそこの方?あのー、もしもし?うーん反応なしですね。無視というより聞こえてないみたいですね。

司令部: 分かりました。

掃除を終えると人骨達は食堂へ向かう。

D-1502: あの体でものを食べるのか。一応食器配ってますね、食事ないけど。

人骨達は空の食器で食事を取る動作だけ行う。食事を終えると食器を片付けた後に地下へと向かった。

司令部: 追っかけてください。

D-1502: はい。

地下はより薄暗く、畳敷きの壁のない大部屋が広がっていた。人骨達は正座の姿勢をとり、そのまま動きを止める。前方には別の人骨が半跏趺坐の姿勢で存在している。

司令部: 前方の骸骨が気になりますね。もし可能なら少し骨を取ってみてください。

D-1502: あー駄目ですね。なんか接着されてるレベルでガッチリ固定されてます。

司令部: それでは少し削ることはできますか。

D-1502: かなり不謹慎なこと言ってますよ。あー一応削れますね。これ持ち帰ればいいんですか。

司令部: はい、それでは一旦帰還してください。

D-1502: 了解です。

<記録終了>


D-1502により採取されたサンプルの検査の結果、該当する人骨は██寺の先代の住職、████氏のものであると判明した。

インタビュー記録


対象: ████氏
インタビュアー: 茶川研究員
付記: ██氏は██寺の住職を務める。


<記録開始>

[重要性の低い内容を割愛]

茶川: これに関しては何か知っていましたか。

██氏: 無責任な話になってしまいますが、正直なところまさかこんなことが起きていたなんてって感じですね。

茶川: それではこれはあなたが仕向けたことではないということですか。

██氏: 私にこのようなことをすることは出来ません。そもそも犯罪者の葬儀を受け持つというのも親父がそうしていたものを継いでいるという面が強かったですし。

茶川: お父様のご意向ですか。

██氏: ええ、救われない魂を看取る場所にしたいと。親父は生きていた頃はずっとそれを言っていました。悪いことには厳しい人間でしたが、死んでまで報いを受ける必要はないとか考えてたいたのかもしれません。そうしてうちでは受刑者の葬儀をよくやっていました。

<記録終了>

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