SCP-1514-JP
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アイテム番号: SCP-1514-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-1514-JPは収容サイト-81AZの標準オブジェクト収容室で保管されています。収容室への人員の侵入は現在禁止されており、オブジェクトを用いた実験にはレベル4職員最低2名からの許可が必要です。

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SCP-1514-JP。画像は一部分であり、その他の部分は画面外。

説明: SCP-1514-JPは歯車等の金属部品で構成された、1.5m x 1.5m x 1.5mのほぼ立方体のオブジェクトです。オブジェクトは同一の合金のみで構成されており、合金は主に鉄で構成されています。

SCP-1514-JPの検査において、非活性化状態のオブジェクトの表面からは不明な手段による切断跡がいくつか発見されています。また、オブジェクトの表面には一種の接合用部品のような突起部分が複数存在していますが、接続可能な部品は未発見です。 補遺4を参照してください。

SCP-1514-JPの異常性は、ヒト (Homo sapiens) がオブジェクトに対し任意の手で接触した際に発現します。この異常性は、接触した人物に対し発現します(以降当該人物をSCP-1514-JP-1と呼称)。SCP-1514-JP-1となる人物は、以下の条件を満たす必要があります。

  • 男性。
  • 健康状態にある。
  • 最低でも左右どちらかの手が存在する。
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D-██████、SCP-1514-JPの影響を受けた直後。

SCP-1514-JPへのSCP-1514-JP-1による接触後、オブジェクトは立方体から形状崩壊し、崩壊した部品は自律した移動とSCP-1514-JP-1の身体との接合を行います。接合は全身体に対し行われ、結果的にSCP-1514-JP-1は身体がSCP-1514-JPの部品で覆われることとなります。このプロセスが進行する原理は現時点では未特定であり、オブジェクトとSCP-1514-JP-1との分離には成功していません。

プロセスの完了後、SCP-1514-JP-1は影響前と同様の活動を問題なく行うことができ、またその活動においてオブジェクトの異常性による影響はみられません。ですがSCP-1514-JP-1は、オブジェクトの影響により影響前と比較して高い攻撃力・機動力・耐久度を有しています。

前述のようにSCP-1514-JP-1は、SCP-1514-JPの異常性により高い性能を得ています。ですが内部構造に関しては非異常性のヒトと差異はみられず、そのためSCP-1514-JP-1の殺害自体は問題なく可能です。SCP-1514-JP-1が死亡した際、接合していたSCP-1514-JPは即座に遺体から分離し、元の立方体の状態に戻ります。

その他、オブジェクトの影響から数週間が経過すると、SCP-1514-JP-1は以前は持っていなかった特定の思想1を微弱ながら示すようになります。これは任意の記憶処理剤により消去でき、SCP-1514-JPによる精神影響と断定されています。

1945年における大日本帝国の降伏と財団本部の日本上陸において、SCP-1514-JPはIJAMEA2より回収されました。オブジェクトはその後サイト-81AZへ移送され、異常性は後の実験で判明しました。

補遺1: 押収された資料より、オブジェクトが朝鮮半島の義烈団3から回収されたこと、およびそれが1935年における義烈団の解散後、IJAMEAにより回収されたことが判明しました。現在財団韓国支部が、義烈団におけるアノマリーの使用について調査を進めています。

補遺2: 上記の事実を踏まえ、財団は1920年以前から所属していた元義烈団構成員の拘束、およびインタビューを実施しました。以下はそれらの記録の書き起こしです。

記録 01#: 補遺1514-JP-2-01

対象: ██(以下対象)

インタビュアー: エージェント・トン(以下インタビュアー)

付記: インタビューはサイト-██Kにて実施されました。

<録音開始>

インタビュアー: これよりインタビューを開始します。まずはじめに、SCP-1514-JPが義烈団へ持ち込まれたのは、1920年で間違いありませんか?

対象: ああ。4月上旬に、新たに参加したメンバーが持ち込んできた。

インタビュアー: …その新しいメンバーについて、何か知っていることはありますか?

対象: あいつらは「地下道士」4を名乗っていた。朝鮮王朝の政府機関がどうのこうのとか、そいつらに関する不穏な噂を聞いたことがあるが詳しくは知らない。

インタビュアー: 道教徒の活動期間と内容を教えて頂けますか?

対象: 20年の初頭に参加した後、30年に急に去った。活動は他のメンバーと同じ感じだ、共に日本と戦った。

インタビュアー: その後のメンバーの行方はご存知ですか?

対象: いや。俺は知らないし、おそらく誰も知らないだろう。あいつらは何も言わずに急に去ったし、俺らは活動に集中してたから気にするどころじゃなかった。元々末端の入れ替わりが激しかったからな。

インタビュアー: ありがとうございます。では、義烈団におけるオブジェクトの使用用途については、何かご存知ですか?

対象: ああ。道士達があれを持ち込んだ後、これを活動に利用しないかと提案してきた。ただその時はまだ計画しかなかった。当時は不安要素が多かった。

対象: ただ、その頃から急に上の血の気が増してきた。いろんなとこを爆破し始めたのもその頃からだ。

インタビュアー: ありがとうございます。では最終的に、その計画は実行されましたか?

対象: …いや、結局お蔵入りだ。というのも、メンバーがいろんなところで捕まって警察が取り調べていくうちに、どうやら計画が外部へ漏れたらしい。

対象: 道士達はその頃から持ち込んできたブツを隠し始めた。結局ブツが警察の手に渡ることは無かったし、上がその行動を咎めることは無かった。…寧ろ好都合だったんだろう。

インタビュアー: 30年には何がありましたか?メンバーとSCP-1514-JPはどのように動きましたか?

対象: さっき言った通り、あいつらは急に消えた。ただブツはそのままだった…俺たちから離れたから、もはや用済みだったのかもしれない。

インタビュアー: ありがとうございます。…これでインタビューは終了です。お疲れ様でした。

<録音終了>

終了報告書: 元義烈団構成員への追加の調査が計画されています。

記録 01#: 補遺1514-JP-2-02

対象: カク ██(以下対象)

インタビュアー: エージェント・頓(以下インタビュアー)

付記: インタビューはサイト-██Kにて実施されました。

<録音開始>

インタビュアー: インタビューを開始します。

対象: お願い致します。

インタビュアー: では質問をします。道士達は、SCP-1514-JPをどこから持ち込んだのですか?

対象: 中国のカルト教団から回収したと私は聞いています。あの機械はその教団が作ったものだと。

インタビュアー: 教団の名前についてはご存知ですか?

対象: …いえ、申し訳ありませんが…。

インタビュアー: ありがとうございます。では次の質問です。道士達はオブジェクト群を義烈団へ渡したまま脱退したと聞きましたが、その後オブジェクト群は用いられましたか?

対象: 末端のメンバーが何人か使用を求めましたが、テロ活動は数年前に既に停まっていたので大々的には行われませんでした。

インタビュアー: IJAMEAが機械を入手した方法はご存知ですか?

対象: 35年に義烈団が解散した後、急に日本が干渉してきました。道士達が渡した他の物品も、全てです。

対象: …ただ…物品が回収された時、少し妙なことがありました。

インタビュアー: 妙なこと?

対象: はい。日本が干渉してきたことを知ったなら、普通は日本人の軍人が回収しに来ると思います。ですが…その時は違いました。

対象: 彼らは日本語を喋っていましたが、時折何か別の、日本語でも朝鮮語でもない別の何かを喋っていました。

インタビュアー: …聞いた限りでは何語だと思いました?

対象: はい。…自信はありませんが…あれは恐らく、中国語でした。…確信はありませんが…なんというか、それっぽかったというか…。

<録音終了>

終了報告書: インタビューの内容を受け、財団日本支部はIJAMEAの元構成員へのインタビュー実行を決定しました。現在行方の捜索がされています。

記録 01#: 補遺1514-JP-2-03

対象: 飯沢 ██(以下対象)

インタビュアー: エージェント・草川(以下インタビュアー)

付記: インタビューはサイト-81██にて実施されました。飯沢 ██はIJAMEAの元構成員であり、IJAMEAがかつて所有していたオブジェクト群の管理を任務としていました。

<録音開始>

インタビュアー: これよりインタビューを開始します。まず、SCP-1514-JPをかつてIJAMEAが所有していたことは事実ですか?

対象: ああ、そうだ。義烈団の解散の知らせを総督府から将軍が聞いた後、送られた兵が朝鮮半島から回収してきた。

インタビュアー: 出兵された人物は中国人だったと聞きましたが、それは本当ですか?

対象: …ああ。[編集済]省の出身で、確か妖怪大隊5の隊員に組み込まれていた。

インタビュアー: IJAMEAにおいて、回収されたオブジェクト群はどのように用いられましたか?

対象: 使える奴は戦地へ持ち込まれ、使えない奴は保管された。

インタビュアー: SCP-1514-JPは?

対象: 後者だ。使用者が死なないと解除出来ないんだ、戦地で持ち主が死んでそのままになったらひとたまりもない。戦場を経由して財団がそれを回収してくる可能性だってあったんだ。

インタビュアー: なるほど。因みに、後者に指定されたオブジェクト群は他にもありましたか?

対象: 回収されたものの半数以上はそれだった。俺達はそれを保管していた。

インタビュアー: ありがとうございます。では、何故後者のオブジェクト群のうち、SCP-1514-JPしか現存していなかったのですか?他のオブジェクト群はどうなったのですか?

対象: …終戦間近に襲撃があった。

インタビュアー: 襲撃?

対象: …いや…内乱と言った方がいいのか…。回収任務に就いていた、妖怪大隊の部隊員が保管庫を襲撃した。

インタビュアー: それで大多数が奪われたと?

対象: ああ。辛うじてあの機械は守れたが、それ以外は全滅だ。

対象: …ただ気掛かりなのは、部隊員は回収された物品らだけを奪ったんだ。他のものは何も手をつけなかった。

インタビュアー: 部隊員達の特徴は知っていますか?

対象: …体が金属で出来ている。…まあ一部のやつと全身のやつとで別れるが、明確な手掛かりはそれだ。中国から日本に来た時には既にそんな体だった。上層部はそんな彼らを、妖怪大隊へ迎え入れた。

対象: …それともう1つあるな。部隊員の目的だ。

インタビュアー: その目的とは?

対象: 内乱の時に俺と同じ管理職の奴が、応戦しながら部隊員に目的を問い質したんだ。そしたら奴らは答えを返した。「御身体の修復のため」と言っていた。

インタビュアー: …ありがとうございます。調査の参考にさせて頂きます。

<録音終了>

記録 01#: 補遺1514-JP-2-04

対象: 串田 ██(以下対象)

インタビュアー: エージェント・草川(以下インタビュアー)

付記: インタビューはサイト-81██にて実施されました。串田 ██はIJAMEAの元構成員であり、朝鮮総督府で勤務していました。

<録音開始>

インタビュアー: これよりインタビューを開始します。あなたは「地下の道教徒」という集団をご存知ですか?

対象: …知っているが、それがどうした?

インタビュアー: ありがとうございます。では、道教徒達が中国のカルト教団と接触があったことはご存知ですか?

対象: ああ。

インタビュアー: どのような交流があったのですか?

対象: …交流って程の関わりがあった訳じゃないさ。政府機関から追放された後、奴らは怪異との接触を求めた。その過程で教団に遭遇した…。「機械を信仰する宗教の制作物」、その情報を入手するや否や、道教徒達は奪取に出向いた。

インタビュアー: 交流での交易による入手ではなく、強奪による入手だったと?

対象: ああ。物品の強奪の後、奴らはそれを餌にして義烈団へ入り込んだ。…その数日後、朝鮮半島への中国人の渡航が急に増加した。その後我々が調査に出向いたが、そいつらはただの人間ではなかった…体が機械で出来ていた。

対象: それを聞いた上層部の将軍らは、彼らの妖怪大隊部隊員としての利用を行った。…そして義烈団が解散した後、彼らは干渉し物品は我々のものとなった。

インタビュアー: …ということはつまり、その部隊員らは教団員だったと…?

対象: 恐らくそうだろう。

対象: 結果的に物品は教団のものとなったが、実質的な所有権は我々にあった…物品を我々がどう利用したかは知っているか?

インタビュアー: …戦争に用いられたものと、使用不可能として保管されたものとに二分されたと聞いています。

対象: そうだ。つまり教団は、再び物品を奪われたんだ。そして終戦間近のある日、内乱が起こった。内乱の発起人は例の部隊員らだった。

対象: 内乱において、部隊員らは大部分を回収した。ただ、一部の物品の回収には失敗したそうだ。

インタビュアー: …ありがとうございます。これでインタビューを終了します。

対象: …今あの機械は、財団が持っているのか?

インタビュアー: …そうですが…どうかしましたか?

対象: …これから大変になるな。

<録音終了>

終了報告書: IJAMEAがかつて所有していたオブジェクト群を奪取した集団の行方については、現在調査が進められています。朝鮮半島における地下道士の活動内容については、財団韓国支部が調査を実施しています。

補遺3: これらのインタビューで判明した時系列と立地から、部隊員による反乱などの一連の動きに加担した団体として要注意団体「医院6の存在が挙げられました。これを受け財団中国支部は、1969/██/██に[編集済]省を起点とした医院に関しての調査を開始しました。

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SCP-CN-████。回収されたものの中でも最大である。

補遺4: 1973/██/██、中華人民共和国のGoI-004関連小規模団体の拠点7が制圧された際に、いくつかの合金製のオブジェクト群8が回収されました。調査の結果、オブジェクト群の性質として以下のものが判明しました。

  • 鋼製。調査の結果、SCP-1514-JPのものと同一の合金であることが判明している。
  • 接合用部品のような突起部分が、複数存在する。
  • オブジェクト独自の異常性の他に、SCP-1514-JPと同一の異常性を持つ。

上記の事実を踏まえ、後日SCP-1514-JPと回収されたオブジェクト群とのクロステストが実施されました。結果、各接合用部品がSCP-1514-JPとオブジェクト群との接合に機能することが判明し、発現する異常性の規模もその分増大することが確認されました9

この事実から、医院がこれらオブジェクト群の収集・接合のために義烈団・IJAMEAとの干渉を行った可能性が指摘されています。医院の構成員が現時点でも潜伏している可能性を踏まえ、中国国内における調査は継続されることとなりました。

全オブジェクト群の接合により発生する事案は現時点では明確には判明していませんが、医院の理念「手复神躯」10における、「神躯」に直接関連するものが起こると推測されています。この事案の防止のため、1974/██/██に財団本部は、中国支部へ機動部隊スティグマ-9分隊の派遣を行いました。

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