SCP-153-JP
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アイテム番号: SCP-153-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-153-JPはその性質により物理的な封じ込めは不可能です。

SCP-153-JP-1とおぼしき人間が発見された場合は即座にエージェントが向かい確保します。フェーズ1~4の場合は聞き取り調査を行なった上でクラスB以上の記憶処理並びに必要であれば外科手術を施します。現在SCP-153-JP-1と対話することは原則禁止されています。SCP-153-JPを知った経緯などに関してはアンケートを用いて調査し、それが終わったら即座に記憶処理および外科手術を行ってください。収容プロトコルが更新された経緯に関しては補遺1を参照してください。その後、SCP-153-JPの影響がなくなるまで財団で収容、監視します。SCP-153-JP-1の関係者にはカバーストーリー「奇妙な伝染病」を適応し、SCP-153-JP指定キーワードを耳にした恐れのある人物に関してもクラスC記憶処理を行ってください。

SCP-153-JP-1がフェーズ5に到達している場合はカバーストーリー「テロ組織の立てこもり」を適応し、SCP-153-JP-1を中心に半径500メートル以内の人間を即座に退避させてください。SCP-153-JP-1の持ち物はすべて処分し、三親等以内の親類に対してはAクラス記憶処理を施したうえで、少なくとも1年間は監視してください。

SCP-153-JP指定キーワードを記した紙は一枚をサイト-8181のロッカーに保管し、ほかは全て焼却処分してください。SCP-153-JPの影響力から、担当者であってもSCP-153-JP指定キーワードを把握することは許可されません。実験を行う際は担当者三人の許可を得たうえで紙を取り出し確認してください。この際、内容を書き写したりコピーをとったりすることは禁じられています。また、監視プログラムによってインターネット上を監視し、SCP-153-JP指定キーワードが発見された場合は情報発信者の元にエージェントが向かいます。

担当者は2週間に1度精神検査を受け、SCP-153-JPの影響を受けているおそれがある場合には記憶処理を施されたうえで担当から外されます。

説明: SCP-153-JPは、パソコン上で起動するプログラム、並びにそのプログラム上で再生されるおよそ30分間に渡る映像です。SCP-153-JPは起動させた本人にしか認識できず、それ以外の人間からは単なる赤色のノイズのように観測されます。映像を録画したり、ビデオカメラなどで撮影した場合も同様です。その内容について起動させた本人に尋ねても未知の言語によってしか説明できないため、詳しい内容に関しては未だに判明していません。SCP-153-JPを一度起動させると同じ人物によっては18時間以内の間は再び起動することはできません。

アルファベット28文字からなるSCP-153-JP指定キーワードが液晶に接続されたキーボートによって打ち込まれた時、事前にインストールもされていないに関わらず、SCP-153-JPは起動します。この現象はキーボードや液晶が壊れていたり、電源に接続されていない場合でも起こりますが、スマートフォンやタブレットなどタップして文字を打ち込むような場合には起こりません。偶発的に文字を打ち込んだ場合でも、打ち込んだ人間はどの文字列がSCP-153-JPを起動させたのかを理解し、SCP-153-JP指定キーワードを記憶します。SCP-153-JP指定キーワードはデタラメな文字の並びのように見え、地球上に現存する、あるいは過去に存在したとされるいかなる言語でも意味をもった文字列ではありません。しかし、一度入力した人間は即座にその意味を理解します。SCP-153-JP指定キーワードを知った人間は打ち込みたいという欲求を抱きます。

一度SCP-153-JPを視聴した人間(以下SCP-153-JP-1とします)はSCP-153-JPを「非常にためになる内容だった」「目の前が開けるようだった」と評し、翌日に再度SCP-153-JPを視聴することを試みます。この試みはSCP-153-JP-1を拘束したり説得することによって妨害することが可能ですが、繰り返しSCP-153-JPを視聴している場合は強く抵抗します。クラスBの記憶処置も有効です。SCP-153-JPを視聴しない期間が続くとSCP-153-JP-1はSCP-153-JPに対する興味を少しずつ失います。

繰り返しSCP-153-JPを視聴することによってSCP-153-JP-1は精神・身体に異常をきたします。その異常の度合いによってSCP-153-JP-1をフェーズ1からフェーズ5に分類するものとします。各フェーズはおよそ七回ほどSCP-153-JPを視聴することで次のフェーズに移行します。これには個人差があり、SCP-153-JPを視聴しない日を挟むとより長くなる傾向にあります。それぞれに観測される異常は以下の通りです。

フェーズ1 SCP-153-JP-1の性格が元のものよりも優しいものとなり、正義感が強くなります。かつて罪を犯したことがある場合はそのことを懺悔します。簡単な未知の言語を操るようになり、頻繁にSCP-153-JP指定キーワードを口にします。この変化はSCP-153-JPを視聴しない期間が続くと元に戻ります。
フェーズ2 SCP-153-JP-1の背中から翼がはえます。この翼はSCP-153-JP-1の皮膚と骨が変化したもので、外科手術により取り除くことができます。困っている人間を助けることに使命感を感じ、その一方で罪を犯したものに対しては厳しい態度を取り諭すような言動を取ります。この時にSCP-153-JPの視聴を勧めるような言動を取ることに注意してください。
フェーズ3 翼はより立派になり、さらにSCP-153-JP-1の頭上に薄く光を発する輪が生じます。この輪は認識することができても触れることができず、物質として存在するものではないことが推測されます。SCP-153-JPを視聴しない期間が続くと輪は消えます。困っている人間を庇護下に置こうとする一方で、罪を犯した者に対する強い敵対心を抱くようになり、時に暴力をふるうに至ります。この暴力が悪いものであるという認識を抱くことはなく、むしろ誇りを抱いているようです。
フェーズ4 人の傷や病気を手をかざすだけで治す、無機物から食糧を生み出す、などといった物理的・生物的・化学的法則に反した事象を引き起こすことが可能となります。SCP-153-JP-1はこれらの事象を「奇跡」と称します。SCP-153-JPを視聴しない期間が続くと能力は失われます。罪を犯した者を嬉々として殺傷し、そのためなら自らの命を失うようなこともするようになります。また彼らを罰しないSCP-153-JP-1でない一般人も「売国奴」「[編集済み]」などの言葉で強く責め立てるようになり、SCP-153-JPの視聴を強要するようになります。
フェーズ5 親しい人に別れをほのめかす手紙を送ったり電話をしたりします。SCP-153-JPを視聴することももはやなくなります。食事を取る必要もなく排泄も行いません。別れを告げる際にSCP-153-JP指定キーワードを用いる可能性が高いため、この際書かれた手紙はすべて回収し電話等の通信も妨害してください。この段階に至ったSCP-153-JP-1は記憶処理を施しても能力が失われることはありません。

SCP-153-JP-1の周囲の人間は、はじめこれらの変化に対して違和感や嫌悪感、恐怖感を覚えることもあります。しかし一定時間SCP-153-JP-1と対話することでそれらの感覚は消え、むしろSCP-153-JP-1こそが正しい在り方であると信じるようになります。その数日後、高確率でSCP-153-JPを起動させることがわかっています。特に男性の場合その傾向が強く、女性の場合はSCP-153-JP-1を精神的に支えたいという思いを強く抱く場合があります。

フェーズ5に移行してから数日経つとSCP-153-JP-1は翼を用いて飛翔し、垂直に上昇します。その時の早さはおよそ秒速10メートルです。その高度に比例してSCP-153-JP-1の姿は透過性を増していき、およそ高度10000メートルでその姿は消えます。SCP-153-JP-1がどこへ消えたのかは未だ判明していません。フェーズ5に移行したSCP-153-JP-1を密室に閉じ込め飛翔を妨害する実験を行ったところ、エージェント2名、Dクラス職員4名が[編集済み]、死亡。SCP-153-JP-1自身も死亡しました。以降SCP-153-JP-1の飛翔を物理的に妨害することは禁止されています。

飛翔の最中にSCP-153-JP-1は歌を歌います。その歌詞は現存するいかなる言語とも一致しません。メロディーラインからその歌は軍歌であると推測されます。SCP-153-JP-1の声量に関わらず、およそ半径300メートルの人間の耳にその歌は聞こえます。その歌を聴いた人間はその歌を非常に心地よく心を震わすものとして感じ、屋外へ出てSCP-153-JP-1を見送ろうとします。飛翔するSCP-153-JP-1を見送った人間はSCP-153-JP指定キーワードを想起し、多くの場合それをキーボードで打ち込むにいたります。

20██年、██県で「背に翼をもつ奇妙な奇形」として初めてSCP-153-JP-1が報告されました。その後の調査により、SCP-153-JPがその原因であることがわかりました。これまでに、SCP-153-JP-1は████名発見され、飛翔に至ったSCP-153-JP-1は6名です。

補遺1: 20██/██/██ 担当者のうち、聞き取り調査を担当していた██博士が、収容中のSCP-153-JP-1██名を逃がすという事件が起こりました。確保された██博士は、SCP-153-JP-1を賛美する内容の言葉を述べていました。この事件を機に、SCP-153-JPの影響力が想定以上のものであるとして見直され、一部収容プロトコルが変更されました。

補遺2: 20██/██/██ SCP-153-JP-1の一人が飛翔してから数ヶ月後、そのSCP-153-JP-1の両親の元にアカシアでできた15cm×15cm×15cmの箱が届きました。箱の中には手首で切断された右手が入っていました。配達人は白い衣服を着た男性で両親とは初対面でした。DNA鑑定の結果、SCP-153-JP-1のものであることが判明しています。両親ははじめはショックを受けていましたが、やがて喜びを感じ、息子を誇らしく思う旨を担当者に伝えました。このことから、SCP-153-JP-1の遺体や遺品にも影響力があると推測されます。両親にはAクラス記憶処理が施され、SCP-153-JP-1は事故によって死亡したという記憶へと差し替えられました。

これが尊いものではないことくらい、誰もが小学校で習っているだろう。天使なんて存在しない。あるのはこのSCPが誰かの未来を奪っているという事実だけだ。 - ███担当主任

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