SCP-155-JP
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アイテム番号: SCP-155-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-155-JP-1はサイト-8141の標準人型収容室に収容されています。 事件155-JP-3以後、SCP-155-JP-1はI5サイト群所属の無人島にある、I5サイト-8130の標準人型収容室に収容されています。毎日の通常検査に加え、週に1度心理ヒアリングを受けさせてください。SCP-155-JP-1は毎日4時間の義務教育相当の学習と、各検査・実験に対しての報酬として書物、ビデオの視聴が許可されますが、与える作品は事前にチェックし、ふさわしくないものは除外してください。SCP-155-JP-1の心理的動揺は収容違反に繋がる恐れがあるため、職員は彼女を難病による入院患者として扱い、彼女自身にもそれを信じさせる必要があります。そのため、アイテム番号での呼称は使用せず名前で呼びかけてください。また、両親の死去事実は言及しないよう注意してください。その他の対応の詳細はカバーストーリー155-07[最後の一葉]を参照してください。

SCP-155-JP-2は高度350km付近の低軌道上に存在するため、現状その大部分は収容されておりません。SCP-155-JP-1との関係が判明後、そのおおよその数と位置は常に監視下に置かれています。20██年現在財団に収容されているSCP-155-JP-2は7個体存在し、それぞれSCP-155-JP-2-a~gのナンバリングがされています。I5サイト-8130にはSCP-155-JP-2-aのみが、他の個体は生物サイト-8102に収容されています。新たな個体を回収した場合にも生物サイト-8102に移送してください。個別に施錠された強化ガラス水槽に入れ、週1回Dクラスに水の入れ替えと餌の交換をさせてください。SCP-155-JP-2が地上に降りた場合、機動部隊る-3(”星屑拾い”) が回収にあたります。捕獲が不可能な場合は確実に破壊し、断片は焼却してください。

SCP-155-JP-1とSCP-155-JP-2の接触は決して起こらないよう注意してください。万一発生した場合、30分以内にその危険性を判断し、必要な場合緊急プロトコル007-[打ち上げ花火]を開始してください。担当職員と機動部隊る-3は緊急プロトコル007の手順を熟知していなければなりません。(このプロトコルは事件155-JP-6以後制定されました。)

説明: SCP-155-JP-1は戸籍上████県████市在住の██████と記録のある、収容時点で█才の少女です。一見して通常の少女と変わらない外見をしていますが、腹部の臍があるべき部分に棘皮動物海星目に見られるものに似た開口部が存在します。開口部の中心から半径2.5cmの皮膚は5方向に向けて放射状に角質化しており、該当部分からは通常の遺伝子に加えて、棘皮動物と酷似する遺伝子の変異が検出されました。開口部は消化能力があり、彼女本来の内臓に繋がっています。腹腔内部の小腸、子宮、卵巣、膀胱に繋がっており、それぞれ問題なく機能していますが、[データ削除済]。小学2年生時に行われた健康診断記録及び、それ以前の記録には異常はありません。また身体以外の特性として、SCP-155-JP-1はテレパシーによるSCP-155-JP-2からの情報の受信が可能です。

SCP-155-JP-2は上空350km付近の低軌道上に住む棘皮動物の海星目の一種です。NASA、宇宙軍に対してはデブリ群として偽装指定されており、確認されている個体群に関しては衛星カタログ番号47███番~47███番が指定されています。SCP-155-JP-2は常に、日本上空を通過する形で約1.5時間で地球を周回しています。財団が観測できる5cm以上の個体は約4,000体ほどで、互いに集合、離散を繰り返しながら、生息環境の宇宙線や低温に問題なく耐えて生存しています。真空に近い環境でどのように呼吸や栄養を取っているのか、生殖を行っているのかは判明していません。今までに確認された個体は全て雄でした。同様の個体群が他にいるかは調査中です。回収された個体は通常の海星と同様の餌を摂食しましたが、他方で絶食実験をしている個体は収容から██ヵ月生存しています。SCP-155-JP-1への情報の発信後、日本上空に群れが到達すると、SCP-155-JP-2のうちの1体が腕の一部を未知の化合物の反応で破裂させ大気圏への突入を試みます。その後、体積を増やしながらSCP-155-JP-1へ向かって降下します。この進入角度、位置調整は非常に正確であり、過去の誤差は50m以内です。この際、表皮に含まれる銅成分により緑色の流れ星として観測されます。
着地したSCP-155-JP-2の表皮は黒く焦げていますが、内部の損傷はありません。着地後1~2時間で、焦げた表皮を割り、更に数倍の大きさに成長した後、SCP-155-JP-1に近づこうとします。移動速度は50cmの個体で秒速50cmを記録しています。SCP-155-JP-1との間にいる人間は襲われる危険性があります。熱圏の群れから分離した個々のSCP-155-JP-2はSCP-155-JP-1の存在自体は関知できるようですが、テレパシー能力は失われており、SCP-155-JP-1もその存在を関知することは出来ません。

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SCP-155-JP-1の描画した自身と2体のSCP-155-JP-2。実際のSCP-155-JP-2には存在しない目や口が描かれています。

テレパシーの内容はSCP-155-JP-1へのインタビューでは特定のSCP-155-JP-2の1個体とではなく群全体から送られており、漠然としたイメージで受け取られるため、ある程度SCP-155-JP-1の年齢相応の脚色がみられます。SCP-155-JP-1は彼女は宇宙空間に住む彼らの一員であり、地上に落ちた王族の姫であり、SCP-155-JP-2は星の世界に迎えに来てくれようとしていると認識しています。腹部の変異は王族の証しなのだと説明されています。テレパシーはSCP-155-JP-2から一方的にSCP-155-JP-1へ届き、彼女から情報の発信を行うことは出来ないとの事ですが、何らかの原因でSCP-155-JP-1と一定期間連絡が取れない場合、SCP-155-JP-1に極度の心理的動揺が見られた場合にもSCP-155-JP-2は大気圏の突入を試みます。

最後の健康診断から7か月後、夏休み明けに彼女は登校せず、そのまま不登校状態となりました。それから2か月後、負傷したSCP-155-JP-1が医療機関に運ばれたため、財団に発見されました。(事件記録055-JP-1を参照してください)

補遺1: 事件記録SCP-155-JP
事例番号 発生日時 概要 捕捉
事件記録155-JP-0 20██/8/21 ████県████市在住のアマチュア天体観測家が自身のブログに自宅から見えた緑色の流れ星を言及しており、重要度の低い超常現象として記録されていた。 これに対応したSCP-155-JP-2は捕獲されていない。
事件記録155-JP-1 20██/11/2 飛来したSCP-155-JP-2がSCP-155-JP-1の住宅を直撃し、全壊させる。SCP-155-JP-1の負傷は軽微。両親は共に死亡が確認された。検死結果には異状は見られず。SCP-155-JP-1を回収。事件はガス爆発として処理され、医療関係者には記憶処理が施された。 SCP-155-JP-2-aを回収。発見時の幅長は70cm。精巣の肥大化を確認。
事件記録155-JP-2 20██/12/9 サイト-8141へ移送されたSCP-155-JP-1がSCP-155-JP-2の飛来を言及。有効な対策が確立しないまま2時間後にサイト-8141付近30mに落下。被害無し。 SCP-155-JP-2-bを回収。発見時の幅長は60cm。精巣の肥大化を確認。以後軌道上のSCP-155-JP-2群も監視下に置かれる。
事件記録155-JP-3 20██/12/15 SCP-155-JP-1を電磁波遮断措置が施された収容室へ移動。15時間後、SCP-155-JP-2が12個体降下。うち3個体がサイト-8141の施設に被害をもたらした。 SCP-155-JP-1を他サイトへの移動を申請。SCP-155-JP-2はc~fの4個体を残し解剖された。発見時の幅長は35cm~70cm。生殖器の変化は見られず。
- 20██/12/17 移動申請が許可され、I5サイト-8130への移動が決定。即日移動を決行。 特に問題なく移動完了。
事件記録155-JP-4 20██/01/14 移動後初めてSCP-155-JP-1がSCP-155-JP-2の飛来を言及。3時間後I5サイト-8130の島内にSCP-155-JP-2が落下。被害無し。 SCP-155-JP-2-gを回収。発見時の幅長は50cm。精巣の肥大化を確認。
事件記録155-JP-5 20██/02/17 SCP-155-JP-1がSCP-155-JP-2の飛来を言及。4時間後I5サイト-8130の収容室にSCP-155-JP-2が落下。施設の一部が損壊。SCP-155-JP-1には被害無し。 SCP-155-JP-1との接触前に機動部隊る-3がSCP-155-JP-2を破壊。SCP-155-JP-2及びその破壊を目撃したSCP-155-JP-1に極度の動揺が見られた。
事件記録155-JP-6 20██/02/17 事件155-JP-5から1.5時間後、I5サイト-8130の島内に50体から60体(推定)のSCP-155-JP-2が落下。施設の3か所が損壊(内、第3フロア部分は全壊)、職員3名が死亡、5名が負傷(内1名は機動部隊る-3隊員) 捕獲対処できる人員ではなかったため、全てのSCP-155-JP-2に対し破壊措置を取る。SCP-155-JP-1は収容室損壊のため地下避難所に移動していたため被害無し。緊急にSCP-155-JP-2の目撃に対してのAクラス記憶処理を行い、動揺は収まった。以後、当日中の飛来は無し。
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事件155-JP-5後、記憶処理前にSCP-155-JP-1が描画したSCP-155-JP-2。

補遺1:事件155-JP-3後の移動申請: SCP-155-JP-2が降下する際のスピードは音速に近く、肥大化が早かった場合や複数個体が固まって降下する場合には更に危険な速度に達します。それが何十、何百という数になった時には、SCP-155-JPだけではない深刻な収容違反を起こす恐れがあります。また物理的な被害の可能性以外にも、収容サイト付近への頻繁な「緑色の流星」は非常に目立ちます。至急他のオブジェクトと隔離したサイトへの移動を申請します。──████博士
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