SCP-1575
評価: +8+x

アイテム番号: SCP-1575

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-1575はバイオサイト-23にある6m×6m×4mの収容室に保管し、同サイトの研究ラボ3から直接アクセスできるようにします。実験で使用する場合を除いてSCP-1575の収容環境下に水を持ち込む事は許可されず、実験後には、使用した全ての水を更なる実験に使用するための隔離状態に保ちます。

説明: SCP-1575は高さ約2.75m、かつ0.5mの土台が付属した大理石像です。この像は、腰から下を覆う布を巻いただけの姿をしたヴィーナス(愛・美・豊饒・誘惑を司るローマ神話の女神)を象ったものであり、噴水として機能します。土台の損傷は、像が元々は常設型であった事を示しており、土台の下部から上がって口の穴から吹き出す水路が1つだけ設けられています。SCP-1575自体は何の異常性も示しておらず、全体的に採取されたサンプルもそれは同様です。土台の碑文は、前述の損傷によって部分的に不明瞭ではあるものの、イタリアの██████████で個人のコレクションとして16世紀初頭に作製された事を示しています。

噴水として動作するSCP-1575から注がれた新鮮な水(以下SCP-1575-1)は、飲水その他の方法で体内に取り込まれた際に突然変異を誘発する特性を有します。外的な接触(長時間の浸水を含む)は突然変異を誘発しません。日常的にSCP-1575-1を少なくとも0.5リットル消費する非ヒト哺乳動物は、約1ヶ月を掛けてヒトへと変異し始めます。この時、変異後の民族性は、その生物の自然生息地に居住する原住民と大雑把に一致します。例として、ヨーロッパの鹿は主として白人的特徴を変異後に有する事になり、北アメリカの鹿であればアメリカ先住民の特徴を獲得します。興味深い事に、犬や猫の中でも最も近代的な品種は、人種不明確または混合人種的な特徴を得ます。

この変異プロセスの生存者は激しい苦痛を伴うものとしてそれを述べ、雌の死亡率は約25%です。雄の場合は95%が死亡し、殆どの生存者は生殖器が機能しない、あるいは完全に欠落した両性具有的な外見を有します。加えて、40%の確率で、動物は変異前の特徴を1つ以上保ち続けます ― 毛皮、人間の手足に代わる動物的な足、尻尾、非人間的な耳などです。被検体の最終的な外見年齢は、通常、その動物の生命の段階(青春期前・青春期・成獣・高齢)に応じたものです。

注目すべき点として、被検体が相当量の質量・食欲・身体機能を獲得または喪失している場合、変異はそれに一致するように発生します。具体的情報に関しては添付されている実験ログを参照してください。

変異が無事に完了した後、被検体は通常、当該種族の平均と考えられる典型的な知能レベルを示します。数個体は、通常その種の平均と考えられるものよりも若干上昇した問題解決能力を見せました。これが神経系の再編に起因するものか、財団の実験による副産物かは現在不明です。適切な声帯を獲得した被検体の多くは話す事を学習できますが、概して基本的欲求に伴う初歩のフレーズのみです(“食べ物”、”寝る”、”遊ぶ”など)。同様に、大部分の被検体は変異の安定から2~4週間以内に完全な身体の動かし方を達成できますが、元の種が単純な足や蹄を有していた場合、手先の器用さが完璧になるまでには遥かに長い時間を要します。

SCP-1575-1は、生物の性格・記憶・本能に対しては顕著な効果を持ちません。これら全ては、脳の抜本的再編にも拘らず、変異前の動物から引き継がれます。家畜化された生物は一般的に人間に対して変異前の愛情レベルを保ちますが、変異プロセスの物理的および精神的な傷は、しばしば鬱病その他の心理的問題へと繋がります。

人間がSCP-1575-1を接種しても、注目に値するような効果は現れない事が観察されています。非哺乳類の生物は変異しますが、この場合は大幅かつ矛盾する生理学的違いゆえに致死率99.9%です。非哺乳動物の変異安定は僅かに2例のみが判明しています。どちらも完全には人間の姿に変化せず、簡単な検査の後、両者ともに安楽死されました。


補遺1575-1: SCP-1575-1は嘗てマーシャル・カーター&ダーク株式会社が所有・運営していた”ミラクル・ファーム”という施設から回収されました。この施設が掲げていた目標は”お客様に最高級のカスタムオーダー・ペットを、獲物を、そして友を提供する”というものでした。機動部隊シータ-2(“モロー博士の遺体安置所”)は、当該施設・現地職員██名・居合わせた顧客█名・変異の様々な段階にいる標本███体の確保に成功しました。█体の標本のみが輸送および研究に適当であると看做され、それ以外はすべて現地で安楽死されました。ファームの職員と顧客は尋問のために勾留された後、クラスA記憶処理を施されて解放されました。施設の破壊について説明をつけるため、激しい火災に関するカバーストーリーが解放前に記憶に移植されました。

得られた記録によると、少なくとも██体の標本がMC&D社の顧客の保有下にいる事が判明しています。機動部隊シータ-2の現在の使命は、これらの標本を追跡して、回収または終了する事です。これまで█体の消息が判明しています。


補遺1575-2: 実験ログ抜粋


補遺1575-3: SCP-1575が関与した軽度収容違反についての████博士からの通知:

今月12日、実験1575-9の際に発生した事案に続き、SCP-1575実験に使用する全ての生物は、外部および内部の寄生虫を両方とも徹底的に検査する。SCP-1575-1は主要摂取者にしか影響しないという我々の当初の考えは間違っていた事が証明された。あれは明らかに、宿主の消化管や血流を介して二次的に摂取した場合も突然変異性を保持し続けている。我々はこれ以上の半変異したノミの化け物なんぞ全く以て必要としていないし、犬の腹を裂いて絶叫しながら現れる全長7フィートのサナダムシの悪夢からジャネットを救うために心理学者は今も苦労しているんだぞ。

- ████博士

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