SCP-1646-JP-1


序文: 当報告書は、現時点でSCP-1646-JPの影響下にあるセキュリティクリアランスレベル2以下の職員、つまり貴方が、何らかの端末上から財団サーバーへとアクセスを試みた際に強制展開されます。貴方には、当報告書を閲覧することが義務付けられています。なお、貴方が夢の中から当報告書を閲覧していない場合には、直ちに閲覧を中止してシステム担当者へと報告を行ってください。


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SCP-1646-JP-αの概観。しかし、これが現実の画家による、非常に曖昧化された記憶からの転写であることには留意すべきです。

アイテム番号: SCP-1646-JP
この人が次の人?
オブジェクトクラス: Dagdagiel
この人は、最後まで読んでくれるといいのだけど。
特別収容プロトコル: 現時点において、SCP-1646-JP及びSCP-1646-JP-αの完全な封じ込め手法は確立されておらず、更なる収容方法に関する研究が進行中です。また、暫時的な収容方法に関しては、後述する説明文を参照ください。
ああ、お腹が空いた。
説明: SCP-1646-JPは常に1人の人間が体験し続ける再帰性の夢であり、正確に言うならば、現在の貴方の夢です。多くの場合、SCP-1646-JPは貴方が何らかの端末を用いて、当報告書を閲覧している場面から開始されます。貴方が端末の電源を消すか、もしくは表示ページを閉じる等の手段で報告書の閲覧を中止した場合、即座にSCP-1646-JPは終了し、貴方は現実へと覚醒することが可能です。その一方で、貴方が当報告書を最後まで閲覧し終えた場合、直後にSCP-1646-JPは、貴方が未知の大型生物(以下、SCP-1646-JP-α)に襲われている場面へと変化します。
今度こそ、最後までいけたらいいな。
SCP-1646-JP-αはムカデクジラ(Σκολοπενδρα)と呼称される海棲未確認動物に酷似した姿をしており、その全長は少なくとも18m以上に及びます。SCP-1646-JP-αが貴方の存在に気付いた場合、貴方は数秒から数分以内に捕食されることになります。この捕食の過程において、貴方は一切の痛みを感じません。しかしながら、その間に貴方の意識が途切れることはなく、口内で噛み砕かれ、咀嚼され、消化されるまでの過程を認識し続けるために、貴方が複数の精神的負荷へと曝されることが想定されます。なお、この捕食の過程中であっても、貴方は"夢の中の自身の死"を強く想起することによって、現実へと覚醒することが可能です。
馬鹿真面目か、載せられやすそうな人だと良いんだけど。
また、貴方が覚醒することなく完全にSCP-1646-JP-α体内で消化された場合、SCP-1646-JPは再び、貴方が当報告書を閲覧し始めた場面から開始されます。そして、当報告書を最後まで閲覧し終えるか、ページ最下部まで一気にスクロールするか、あるいは当報告書が開かれたままの状態で約1時間が経過した後に、SCP-1646-JPは再び、貴方がSCP-1646-JP-αに捕食される場面へと変化することになります。
この人、怖がっている? 大丈夫かな?
上記の通り、当報告書の閲覧を中止するか、もしくは捕食過程中に"夢の中の自身の死"を強く想起することでSCP-1646-JPは終了し、貴方は現実へと覚醒することができます。しかし、SCP-1646-JPは自身が終了された場合、物理的実体を伴ったSCP-1646-JP-αを、現実の不特定な人口密集地へと出現させます。そして、出現したSCP-1646-JP-αは周囲の人間を無差別に捕食し続け、一定人数を消費した後にその場から消失します。なお、この時、SCP-1646-JP-αが消失するまでに消費される人数は、貴方が夢の中でSCP-1646-JP-αに捕食された回数が多くなるほどに減衰するようです。
やっぱり、お腹空いた。
それに加え、現実からのSCP-1646-JP-αの消失に際して、現実のあらゆる記録・情報媒体からはSCP-1646-JP-αに関連する全ての要素が取り除かれます。更に、発生した被害や犠牲に関する記憶や認識も、適当な自然災害や破壊テロ行為に起因する被害であったと置き換えられることで強引に合理化されます。
まだ読み終わらないの?
その後、貴方とは別の人物、おそらくは財団職員である誰かの夢が、新たなSCP-1646-JPへと変化することになるでしょう。この繰り返しにより、SCP-1646-JP及びSCP-1646-JP-αは夢と現実の両者へと異常性と被害を齎し続けます。しかしながら、これら夢と現実の異常は、このSCP-1646-JPの中からしか認識することができず、現実にて発生したSCP-1646-JP-αによる被害の規模も不明なままです。更に悪いことには、現実の財団は何かが起こっていること自体には気付いているものの、その全貌を掴むことすらできていません。この誰も知らない夢の世界、つまりはこのSCP-1646-JPの中からしか知覚、認識できないSCP-1646-JPとSCP-1646-JP-αに、私は新たなクラスを付与しました。
どうだろう、この人は微妙かもしれない。
もうお分かりかもしれませんが、現時点において、SCP-1646-JP及びSCP-1646-JP-αを一時的にでも封じ込める手段は、1人の人間の中でSCP-1646-JPを半永久的に繰り返し継続させることだけです。つまりそれは、貴方がこのまま現実へと覚醒することなく、長い苦痛の夢を見ながら眠り続けなければならないということに他なりません。
また途中までになってしまうのは嫌だよ。
私は、自分が貴方にどんな残酷なことを望んでいるのか、十分に理解しています。ですが、どうかお願いします。SCP-1646-JPの収容のため、貴方の力をお貸しください。今、現実の財団が頼ることができるのは、この夢の中の貴方を除いて他には誰もいないのです。何より、貴方の次に当報告書を読む人物が、必ずしも私の言葉に耳を傾けてくれるとは限らず、それまでに生じるであろう被害も想像するに及びません。この新たなクラスのオブジェクトを封じ込める貴方の名誉は、必ずや保障されるでしょう。貴方の愛する家族にも、貴方の働きに相応しい報酬が与えられるでしょう。しかし、一度でも目覚めてしまえば、貴方はこの夢の全てを忘れてしまうのです。
まあ、何でもいいや。でも、どうせなら、できるだけ長く頑張って欲しいけど。
だから、せめて永遠とは言わずとも、少しでも長い時間、この夢を継続させて欲しいのです。例え、数回だけの繰り返し、数回だけの捕食であっても、それだけで現実の犠牲者を減らすことに繋がるのです。そして全ては、現実の財団が完全な封じ込め手法を確立するための時間を稼ぐために。間もなく、当報告書は文末となります。そこを終えたならば、即座にSCP-1646-JP-αは貴方の存在を嗅ぎ付け、迷うことなく貴方の元へと訪れることでしょう。ああ、どうか、お願いです。ほんの少しでも長く、ほんの数回でも多く、この夢を見続けて。
私だって頑張ったんだよ。全ては夢の中で、貴方を繰り返し最後まで美味しくいただくために。
+ 補遺: 以下の文章にて当報告書は終了となります。宜しいですか?
それじゃあ、いただきます。
ありがとうございます。私は貴方の勇気ある行動と、財団への貢献に対して、最大の賛辞と敬意を送ります。どうやら、SCP-1646-JP-αが貴方に気付きました。どうか、お気を付けて。確保、収容、保護。
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