SCP-1676-JP
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アイテム番号: SCP-1676-JP
 
オブジェクトクラス: Keter
 
特別収容プロトコル: SCP-1676-JPは現在セクター8002区画内に収容されています。SCP-1676-JP内部への立ち入りを制限するため、収容室内部への進入は担当研究チーム全員と、当該施設管理官の承認によってなされるようにしてください。
SCP-1676-JP内部の食料品を消費する行為を含む実験を申請する際には、必ず"SCP-1676-JP内部資材目録"を取り寄せた上で、実験許可申請書に消費予定の食料品名と重量を記載して担当研究チームの審査を受けさせてください。
正式な手続きを経ずにSCP-1676-JP内部の食料品が消費された場合、実験関係者、実験責任者はKeterオブジェクト対応予算委員会の承認のもとで当該施設管理官により処罰されます。
 
SCP-1676-JPに対する根源的な収容は現在、非常に困難であると見なされています。SCP-1676-JPの全体規模が把握されるまで、当該オブジェクトのオブジェクトクラスは変更されません。
 
説明: 収容初期に於いて、SCP-1676-JPは5m×5m×5mの異常性を持った固着空間であると見なされていました。SCP-1676-JP内部空間には鉄を主成分とした非異常性の床と天井が存在します。壁の存在は現在まで認められておらず、天井は常に浮遊した状態であるように見えます。
SCP-1676-JP内部空間に於いてはその内部空間の環境が優先して保持され、外部からの光照射や送風を行なっても、内部空間の環境には影響を与えられません。
しかし人員による進入は可能であり、内部空間に居る限り、その人物のみ内部空間環境へ意図的に干渉することが可能です。
 
SCP-1676-JP内部空間にはダンボール製の箱が22〜28個積み上げられており、箱の内部には4cm×11.3cm×2cmのプラスチックケースで包装された保存用の食料品が最大限詰め込まれています。
DNA解析によって、これらの食料品はいずれも最低6000年前に存在し、主流であった可食物を加工したものであると推測されました。食料品そのものに異常性は見られなかったことから、食料品に対するオブジェクトナンバーは割り当てられていません。
 
SCP-1676-JPの特異な現象として、その内部空間に存在する食料品を全て消費した場合、SCP-1676-JPと同様環境の空間が当該オブジェクトに隣接・接続されるような形で新たに出現する点が報告されています。
これは担当研究チームによって"拡大現象"と呼称されており、継続した観察から、実際には新たに出現しているのではなく、最初からSCP-1676-JPに繋がっていた一部が暴露あるいは現出しているのだと結論づけられました。
この拡大現象によって現れた新たな食料品を全て消費した場合、再び拡大現象が発生します。
 
更に、これらの空間に共通する異常性として、内部に存在する排泄物もしくは有機的な廃棄物を風化に似たプロセスで分解し消失させる性質と、食料品を手に取った者の意思によってその食料品を同質量の水分へ置換できるという性質を有します。
また、食料品を包装するプラスチックケースは内部の食料品が消費され次第、風化に似たプロセスによって分解・消失します。
 
SCP-1676-JPは5m×5m×5mずつのみ新たな空間が現出するため、その最大規模は現在まで不明です。
 
実験資料: SCP-1676-JPに対する、人員を用いた実験記録の抜粋
 
実験記録016

対象: D-1676-01

実施方法: 内部空間の食料品を全てSCP-1676-JP外へ持ち出させて廃棄させる。

結果: ただ廃棄したのみでは拡大現象は見られなかったが、焼却する、有毒物質で汚染することで拡大現象が確認された。プラスチックケースの分解・消失も確認された。また、新たに生成された内部空間の天井部分に照明の付属を確認。途切れているように見えるも、問題なく動作している模様。

分析: 食されずとも、食することが不可能な形へと消費された場合でも拡大現象が発生すると思われます。

 
実験記録017

対象: D-1676-01

実施方法: 実験016より継続して行われる。内部空間の食料品を全て水に置換させ、SCP-1676-JP外へ持ち出させて廃棄させる。

結果: 全ての廃棄が完了するのと同時に拡大現象が観察された。プラスチックケースの分解・消失も確認された。

 
実験記録026

対象: なし

実施方法: 終了措置を受けたDクラス職員の遺体をSCP-1676-JP内部空間へ移送する。

結果: ただちに風化に似たプロセスによる分解と消失が行われた。

分析: 排泄物のみではなく、有機的な廃棄物にも分解と消失が適用されるという仮説の実証への最終的な実験として、評価されうる結果と言えます。

 
実験記録045

対象: D-1676-01〜04

実施方法: 三名のDクラス職員をSCP-1676-JP外の三方向に立たせた上で、一名のDクラス職員にSCP-1676-JP内部空間内に残留する食料品を全て消費させる。新たに生成される内部空間と同座標に初めから人員が存在していた場合の結果を観察する試み。

結果: 拡大現象が観察され、D-1676-03が立っていた位置に新たな内部空間が出現。全く同時に、新たに生成された内部空間内で倒れて気絶しているD-1676-03の姿が確認される。全身の至る所に打撲痕や骨折痕が認められるが、監視映像記録に於いてもそれらの原因となる瞬間は確認されず。時計や各種機器にも異常なし。

分析: D-1676-03への解析待ち。

 
補遺: 実験045の記録の解析と検証、D-1676-03の傷痕の解析と診断から、SCP-1676-JPの持つ異常性について新たな知見が展開されました。
D-1676-03の傷痕は瞬時に発生したものであるにもかかわらず、それらの発生した年代はそれぞれ異なっており、幼少期に負ったものとしか判断できないものや、10代からの障害あるいは後遺症として残るであろう損傷も認められました。これらの損傷のうち、皮膚に痕跡のあるものはSCP-1676-JP内部空間のダンボールの角や辺、プラスチックケースの角や辺と形状の一致が見られました。
また、D-1676-03の胃腔内容物はSCP-1676-JP内の食料品の成分や一部形状と一致しましたが、D-1676-03が実験045以前より72時間以内にSCP-1676-JP内の食料品を摂取した記録はありません。
 
これらの結果と、実験045の再検証に於いて時間計測機器や空間質量計測に大きな異常が見られなかった点から、SCP-1676-JPは空間的な物理異常ではなく、非常に広範かつ深層的反ミームによる認識阻害異常ではないかとの仮説が立てられました。
 
SCP-1676-JPは反ミームによって徹底的に知覚されない状態、あるいはSCP-1676-JPが存在していない世界であるかのような認識の展開を維持しており、現出したSCP-1676-JPはその反ミームが部分的に解除された区画領域であり真実の物理的空間であるという可能性は、担当研究チーム内で議論が継続されています。
しかし、この可能性が事実であった場合、D-1676-03の雇用前の経歴と実験045により"内部空間の反ミーム解除に巻き込まれて現出した、反ミームによって隠蔽されてきた傷痕"の年代の比較から、SCP-1676-JP元来の規模は最低でも████㎢とされます。
 
現在、SCP-1676-JPの規模によっては他国支部管轄区域に於いても影響が懸念されるとして、国際的な管理体制と研究体制の構築と見直しが進行しています。SCP-1676-JPの反ミーム作用が事実であった場合、その作用によって構築されていた非事実の認識が、現状の地球上環境と同様の組成を持っていたためです。

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