SCP-1682-JP-EX
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SCP-1682-JP-EX出入口の外観。

アイテム番号: SCP-1682-JP-EX

オブジェクトクラス: Safe Explained

特別収容プロトコル: 基底世界側のSCP-1682-JP-EX出入口周辺を常に監視し、関係者以外の内部への侵入を防いでください。SCP-1682-JP-EX内の各所にはカメラを設置し、調査を進めるとともに、周辺海域に異常がないかの確認を続けてください。また、基底世界において節足動物の新種が発見、発表される場合、当該論文の検閲を行い、SCP-1682-JP-EXにおいて発見された節足動物との比較を行ってください。

また、SCP-1682-JP-EX-1の捜索が続けられています。

SCP-1682-JP-EX、SCP-1682-JP-EX-1は現在、存在しません。

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SCP-1682-JP-EXに存在する灯台の内観。

説明: SCP-1682-JP-EXはサハリン島のネヴェリスコイ海峡沿岸に存在する、地下へと降る高さ10m程の螺旋階段の終着点より移動可能な異常空間です。簡素な木造の小屋の中に、降下するようにして金属製の階段が存在しています。階段下部の終着点は異常空間へと繋がるポータルとなっており、SSUI2世界重複1に指定されています。現在SCP-1682-JP-EXの根本的、中核的存在についてはいくつかの仮説が存在しています。

  • 空間内部に存在している島そのもの
  • SCP-1682-JP-EX-1に指定された人型実体
  • 空間内部にて生息している節足動物
  • 一連の物品の転移現象

SCP-1682-JP-EXは周囲を海洋に囲まれた島を内包しており、その中心に灯台が存在しています。調査の結果、島の陸地の約85%が森林であり、周囲には他の陸地は存在しない事がわかっています。海洋部の実験において、島から約40km離れた時点で、島を基準として進行方向とは逆の位置へと転移する事が判明しています。前述したポータルは灯台内の螺旋階段の最上部に位置しています。後述するSCP-1682-JP-EX-1が主張している灯火は灯台の外部から昇降を行う事により調査が行われましたが、異常性は確認されず、点火を行う事はできませんでした。

灯台内部の部屋にはSCP-1682-JP-EX-1に指定されている男性の人型実体1体が存在しています。実体は自らを「ウォーリー・ハンドフォード」と名乗り、英語で発話を行います。対象への記憶処理、並びに薬物投与の試みは全てが失敗に終わっています。以下は当該実体に対して行ったインタビューです。

対象: SCP-1682-JP-EX-1(インタビュー上ではウォーリーと呼称)

インタビュアー: カツウラ博士

<録音開始>

カツウラ博士: それじゃあ、君とこの島について聞かせてもらえるかな、ウォーリー。

SCP-1682-JP-EX-1: ああ。何から話せばいい?

カツウラ博士: 君はどこから来たんだい?

SCP-1682-JP-EX-1: すまないが、覚えてないんだ。気が付いたら砂浜に倒れてたから、きっと何かに巻き込まれたんだと思う。

カツウラ博士: そうか。じゃあ次の質問だ。ここには食べ物がないけど、君はどうやって調達してる?

SCP-1682-JP-EX-1: 不思議な事に、ここにいると腹が減らないんだ。最初はおかしいと思ったけど、慣れてみると悪いもんじゃない。もしかして天国にいるのかとも思ったが、どうやらあんた達が来たって事は違うらしい。

カツウラ博士: なるほど、そうだ。ウォーリー、灯台には登ったかい?

SCP-1682-JP-EX-1: ああ。仮にも住処だからな。どこに何があるかっていうのは確認しておきたい。

カツウラ博士: その時、何か変な事は起きなかったか?

SCP-1682-JP-EX-1: 変な事? と言っても、灯台の上には灯火があるだけだからなぁ。

カツウラ博士: 灯火が?

SCP-1682-JP-EX-1: ああ。多分外から見えると思うんだが。

カツウラ博士: あとで確認してみよう。ちなみにウォーリー、君はどれくらいここに過ごしているんだい?

SCP-1682-JP-EX-1: 20年くらい、かな。もう覚えてないよ。

カツウラ博士: なるほど、ありがとう。

<録音終了>

終了報告書: 灯台上部にはSCP-1682-JP-EX-1の供述の通り、灯火が確認されました。追加調査において、当該実体に灯火を点火するように指示を行った結果、実体はポータルを通過し、灯火部分へと到着しました。また、ポータルそのものの認識も不可能であった事から、SCP-1682-JP-EX-1は現状、ポータルに干渉できないものと推測されています。

そして島の森の中には既知の種とは異なる生態を有した節足動物が約500 300 200 100種類ほど生息しています。しかし、財団職員によるサンプルの採取調査では、そのいずれにも異常性は確認されていません。以下は財団が入手したサンプルの一部です。

サンプル4 木のうろの中に巣を作るハチ。その際、巣の内部に土で壁を作り、区切られた部屋を作成し、幼虫を育成する。また、その土壁を利用し、部屋や巣そのものに蓋をするといった様相も確認されている。更に、各部屋に至る通路に蟻の死骸を設置する。これは化学障壁の役割を担っていると推測されている。
サンプル102 全長約23cmのナナフシ。生態は現在調査中であり、不明な点が多い。
サンプル219 非常に前足が発達した、黒金色の甲を有するキリギリス。前足で対象を固定、確保した上で捕食を行う。これはその他の種では見られない防御反応であり、現在同様の特徴を持ったキリギリスの調査等が進められている。

補遺1: SCP-1682-JP-EXにおいてサンプルとして採取されていた節足動物が、基底世界において学者により発見され、新種として発表されました。この事象に関して、SCP-1682-JP-EX-1に関してインタビューを行ったところ、当該オブジェクトに関して以下のような証言が得られました。

対象: SCP-1682-JP-EX-1

インタビュアー: カツウラ博士

<録音開始>

カツウラ博士: ウォーリー、それでは先ほどの続きについて聞かせてもらえるかね。

SCP-1682-JP-EX-1: ああ、ミスターカツウラ。最近、島の中に住んでいる昆虫たちが減っているような気がするんだ。

カツウラ博士: 減っている、か。

SCP-1682-JP-EX-1: ああ。この写真を見て欲しい。

[SCP-1682-JP-EX-1が一枚の写真をカツウラ博士に渡す。]

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カツウラ博士: この写真は?

SCP-1682-JP-EX-1: 数年前かな。干ばつ地帯にいたのを撮ったのさ。それ以来、たまにそこに出向くとこいつがいてさ。乾燥した所が好きなんだろうね。

カツウラ博士: 傷つける事はしないから、この写真を借りてもいいかな。

SCP-1682-JP-EX-1: もちろん。[カツウラ博士が同行した職員に写真を手渡す。]続けてもいいかな。

カツウラ博士: ああ。頼むよ。

SCP-1682-JP-EX-1: ここ最近のことだ。こいつを見かけなくなったのは。動きにちなんで、「flic-flac-spider」なんて名付けた矢先の話だよ。

カツウラ博士: 生息地が変わったとか、そういう可能性は?

SCP-1682-JP-EX-1: わからん。もしかしたらこいつはいつもたまたまそこにいただけで、実際の住処は森の中だったのかもしれない。

カツウラ博士: 他にこの蜘蛛について知っている事は?

SCP-1682-JP-EX-1: 俺が名付けた名前通りさ。宙返りしながら移動するんだ、こいつは。こんな奇怪な動きをする蜘蛛、初めて見たよ。だから記念に写真に残したのさ。

カツウラ博士: なるほどな。すまないなウォーリー、少し待っていてくれるか。写真についてわかった事があるそうだ。

SCP-1682-JP-EX-1: そうか。わかった。

[数分間、録音がストップされる]

カツウラ博士: ウォーリー、落ち着いて聞いて欲しい。ついこの前、この写真と同じ蜘蛛がこっちで見つかったそうなんだ。

SCP-1682-JP-EX-1: なんだって? この島から数十kmも離れた君の国でかい?

カツウラ博士: ああ。その蜘蛛に飛行能力は存在しないとの事だから、何かがあってこっちに移動してきたのかもしれない。ウォーリー、君はその蜘蛛を捕まえて、灯台を登ったりしなかったかい?

SCP-1682-JP-EX-1: まさか。そもそもあそこには何もないと[3秒間の沈黙]いや、待てよ。カツウラ、もしかして、この場所を知っているかい?

[SCP-1682-JP-EX-1が更に一枚の写真をカツウラ博士に渡す。]

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カツウラ博士: うーむ、これだけじゃ判断し辛いな。この写真を借りた上で、こっちで調査をしてみてもいいかい?

SCP-1682-JP-EX-1: 頼むよ。

カツウラ博士: ついでに、ただの森の写真に見えるのだけど、これは一体?

SCP-1682-JP-EX-1: [5秒間の沈黙]数年前まで、確かにこの島にあったはずの場所さ。

<録音終了>

終了報告書: SCP-1682-JP-EX-1より提供された写真を元に調査した所、██県に存在する森林のある一箇所と一致する事、並びにSCP-1682-JP-EX内に生息する節足動物の種類が減少している事が確認されました。この事より、SCP-1682-JP-EX内の物品が灯台以外の場所を通じて基底現実へ転移している可能性があると推測されています。なお、当該事象をSCP-1682-JP-EX-1へ報告する試みは現在保留されています。

補遺2: 調査の結果、SCP-1682-JP-EX-1実体は1966年に船舶事故において行方不明となっていた、チャールズ・ロビンソン氏に外見が酷似している事が判明しました。事実確認のため、SCP-1682-JP-EX-1へのインタビューを試みた所、1カ月に渡り当該実体の出現が確認できないため、消失、或いは転移現象による転移が行われたという両面から捜索が続けられています。

補遺3: 200█年、SCP-1682-JP-EX内の島に非常に酷似した孤島が東経████°北緯████°の海域において発見されました。また、その島に存在していた木造の小屋において白骨化した遺体が発見され、調査の結果、遺体はチャールズ・ロビンソン氏の物である事が判明しました。この島の発見後、木造小屋の階段の異常性の再現が不可能となり、当該オブジェクトへの移動が不可能となったため、オブジェクトクラスの再分類が行われました。

SCP-1682-JP-EXにおいて発見された、当時、未発見の節足動物とされていたものは、全て科学者たちにより発見され、新種として世界へと発表されました。しかし、その中には生態上SCP-1682-JP-EXから転移してきたとは考えづらい種も複数含まれている事から、SCP-1682-JP-EXは転移現象ではなく、基底現実に存在していた節足動物等を投影していたとの説が有力とされています。また、灯台内部の部屋で発見されたチャールズ氏の物と推測される写真が撮影された場所も、灯台も含め全て財団や科学者たちにより新たに発見、開拓されました。チャールズ氏の遺体そのものも異常性が確認されなかったために、正規に埋葬が行われました。

よってSCP-1682-JP-EXは、未知は、もう存在しません。

我々は知らない物が存在しているかどうかを証明する事はできません。ですが、知る事、調べる事、全容を明らかにする事は可能です。しかし我々は既に、それらを知った結果として、このオブジェクトも含め、いくつものオブジェクトを失ってきました。それは財団の理念とは合致しません。本当にこれでよかったのでしょうか? 彼の遺体が握っていた写真を見るたびに、私はその事を考えてならないのです。
 
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