SCP-1710-JP
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アイテム番号: SCP-1710-JP Level 3/1710-JP
オブジェクトクラス: Euclid Classified

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上空から撮影されたSCP-1710-JP。


特別収容プロトコル: SCP-1710-JP周辺はエリア-1710に指定され、標準土地収容プロトコルに従って封鎖されています。エリア-1710内には観測所を設置し、常時2名以上の職員により異常が無いか確認させます。

SCP-1710-JPには高電圧ネットを2重に被せ、出現するSCP-1710-JP-A個体が外部に漏れないようにしてください。内部から何らかの実体が出現した場合、即座に対神戦闘プロトコルAE17が発動されることになっています(詳細は附録文書AE17参照)。

説明: SCP-1710-JPはポーランド共和国マウォポルスカ県[編集済]に存在する巨大な(最大幅120m)陥没穴です。その底はこれまで確認されておらず、おそらくは未知のポケットディメンションに接続されていると推測されています。

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ショパンの肖像画

毎年6月から8月にかけ、SCP-1710-JP内部から1~2万匹程度の異常なセミ型昆虫が発生します。これらのセミはSCP-1710-JP-Aに指定されており、遺伝的にはCicadetta属に最も近いものの、その頭部がヒト男性に似た形状に変形しています。いずれの個体も故フレデリック・フランソワ・ショパンに酷似した顔を持っており、ショパンの楽曲を発声します。

SCP-1710-JPは1998年のイベント・ペルセポネの際に発生しました(補遺参照)。

補遺.1710-JP.1: イベント・ペルセポネ概要
イベント・ペルセポネは1998年7月12日~13日の2日間に渡り、ポーランド共和国南部にて発生した、一連の大規模な奇跡論的超常イベントに対して与えられた指定です。このイベントはショパニズム系異常宗教団体であるGoI-484E ("聖ショパン再誕のための音術師協会") の主導により引き起こされ、周辺地域に多大な損害を齎しました。この案件は財団、GOC、およびポーランド軍の三者を中心に対処が行われ、13日未明に終了を宣言されました。

補遺.1710-JP.2: GoI-484E概要

要注意団体報告
財団記録部門作成


GoI-484E ("聖ショパン再誕のための音術師協会")

活動状況: 壊滅済

脅威レベル:

概要: GoI-484Eは要注意思想-484 ("ショパニズム") の流れを汲む異常宗教団体です。GoI-484A ("聖ショパン正教会") から追放されたヴォイチェフ・ノヴァク(Wojciech Nowak)司祭により1982年に設立され、以後その異常能力によって国内に浸透していきました。

GoI-484Eの思想は原典であるGoI-484Aのものからは大きく変質しており、儀式の一環として部分的な自傷・殺人・食人等の行為が確認されています。これはGoI-484B ("血漿楽譜教会") の教義に影響を受けたものと推定され、現在でいうところのブラッディー派ショパニズムに分類されます。

GoI-484Eメンバーの多くは現実改変能力、及び奇跡論行使能力を示しており、主に超常的な音楽能力や大衆人気の獲得、聖人(歴史的音楽家)の召喚に用いられます。これらの能力により、GoI-484Eはポーランド国内のメディアに一定の影響力を有していました。

GoI-484Eの最終目的は聖ショパン、故フレデリック・フランソワ・ショパンの神格化された実体の召喚です。GoI-484Eにおいて聖ショパンは全音楽を統べる神として信仰されており、その力の維持、及び異常能力獲得の契約を目的に数々の退廃的儀式が実行されていました。留意すべき点として、財団神学部門の見立てではGoI-484Eの崇拝対象は実際にはショパンでなく、ショパンに擬態した何らかの別のピスティファージ実体1である可能性が高いとされています。GoI-484Eは聖ショパンの再臨は”全人類の完全なる調和”を齎すと信じていますが、前述した神学部門の見立てでは破滅的な世界終焉シナリオが訪れる可能性が危惧されています。

補遺.1710-JP.3: 傍受通信記録01
以下の音声ログは1995年に記録された、ノヴァク司祭と不明なGoI-484Eメンバーの間に交わされた通話記録の抜粋です。

傍受通信記録.1710-JP.01

[前半省略]

ノヴァク司祭: 電話を取ってすぐさま仕事の話というのも申し訳ないのだが確認しておきたい。音楽界への接続システムの進捗はどうなっている?

不明なメンバー: 理論はできています。簡潔に言うと、人々の思考を繋ぎ、その深層意識を介して音楽界を具象化させる計画です。

ノヴァク司祭: ふむ。

不明なメンバー: しかし、この計画には最低数百人分もの思考を繋がねばなりません。そしてそのようなシステムの開発は難航しています。何分、協会員の大半は音楽家だの宗教家だのですから、我々技術者連中の人手は圧倒的に足りないのです。

ノヴァク司祭: ふむ、人員は後でそちらに回そう。おそらく後20人ぐらいなら送れるはずだ。

不明なメンバー: ありがとうございます、大司祭殿。

ノヴァク司祭: それと先程君が言っていたシステムだが、手に入るかもしれない。

不明なメンバー: ……というと?

ノヴァク司祭: 松明の持ち手たちだよ。

[後半省略]

補遺.1710-JP.4: GoI-006NR放火事案
1996年、ポーランドにあるプロメテウス研究所の子会社であるプロメテウス・ニューロンズ社に数名の武装集団が侵入、いくつかのパラテック資産を奪取した後に放火する事案が発生しました。襲撃は夜間に実行され、近隣住民の緊急通報を傍受したことにより財団が出動、消火活動と共に多数のパラテック資産及びその関連文書が接収されました。後にこの件によりプロメテウス・ニューロンズ社超常法務部門と財団法務部門の間に衝突が発生したものの、最終的に社は倒産し、財団フロント企業により買収されることとなりました。

補遺.1710-JP.5: 傍受通信記録02
以下の音声ログは1997年に記録された、ノヴァク司祭と不明なGoI-484Eメンバーの間に交わされた通話記録の抜粋です。

傍受通信記録.1710-JP.02

[前半省略]

ノヴァク司祭: それで、”かの穴”に関する計画はどうなっている?

不明なメンバー: 順調です。ポトカルパチェでの試験も成功しました。

ノヴァク司祭: 素晴らしい。

不明なメンバー: ただ、焚書者達との間に起きた想定外のインシデントのせいで残存予算が残り僅かです。人員も8名再起不能です。

ノヴァク司祭: 予算は好きなだけ使い給え。人員も可能な限り補填しよう。この計画には我々人類全ての運命がかかっているのだからね。

不明なメンバー: 有難き幸せです、大司祭殿。

ノヴァク司祭: それで、今回の損失も加味して、実行はいつ頃になりそうだね?

不明なメンバー: 2001年頃が妥当かと。

ノヴァク司祭: ふむ。それは困るな。焚書者共が今回の件で我々を危険分子と見做したらしい。内通者曰く、彼らは我々の殲滅計画を練っているそうだ。可能な限りすぐにでも動かねばならない。

ノヴァク司祭: 申し訳ないのだが、だいぶ期日を早めてくれたまえ。

不明なメンバー: ……はい。了解いたしました。

[後半省略]

補遺.1710-JP.6: 簡易合同会議記録

[記録開始]

1つの丸テーブルを挟み、4名の男性が着席している。内3名はそれぞれSCP財団のトレイラー管理官、ノヴォサドフ博士、バークレー渉外員であり、向かいに座る男性は世界オカルト連合所属のコヴァルスキ渉外員である

ノヴォサドフ博士(SCPF, 要注意団体スペシャリスト): それで、GOCがいったい何のようだね? このクソ忙しい時に。

トレイラー管理官(SCPF, サイト-PL12管理官): 口を慎め、ノヴォサドフ。

バークレー渉外員(SCPF, 渉外部門エージェント): まあまあ、それでコヴァルスキさん、話とはいったい?

コヴァルスキ渉外員(GOC, 渉外部門エージェント): こちらとしてもクソ忙しい時期なのでしてね、単刀直入に言わせてもらいましょう。イカれたクソカルト共が神格実体を召喚しようとしています。

ノヴォサドフ博士: ワオ、そいつぁ驚きだ。アンタらが言うぐらいなんだからそりゃイカれてんだろうな。

コヴァルスキ渉外員: ええ。奴等の名は”聖ショパン再誕のための音術師協会”。名前の通り、召喚しようとしているのはショパンです。

バークレー渉外員: ショパン? あのフレデリック・ショパンですか?

ノヴォサドフ博士: ああ。そのショパンだよ。モノホンかは知らねぇがな。あのクソ共面倒くせえことしやがって。

トレイラー管理官: 情報の確実性は?

コヴァルスキ渉外員: 110%。なにせこの前奴等の実験に鉢合わせましてね。それと通信監視記録を組み合わせた結果、この可能性に至りました。

ノヴォサドフ博士: 決行はいつだ?

コヴァルスキ渉外員: おそらく2001年かそこいらでしょう。我々はすぐさまにでも叩こうと考えていますがね。

トレイラー管理官: 一応確認しておくとしよう、君は何のために財団にそのことを伝えに来た?

コヴァルスキ渉外員: まあ財団の敷地内でのドンパチですからね、面倒ごとを避けるために事前に打ち合わせしておきたかったんですよ。それと可能であればそちらにも協力をお願いしたい。我々にはそちらほど精巧に記憶を弄ったりできる技術はないのでね。

トレイラー管理官: 後ほど上に打診しよう。

バークレー渉外員: 出動戦力、及び公衆への暴露可能性はどれほどでしょう?

コヴァルスキ渉外員: ああ、それは……

会議室の扉が勢いよく開かれ、エージェント・ヴォジニャクが焦った様子で入室してくる

バークレー渉外員: おいヴォジニャク、今は会議中だぞ。いったいどうした?

Agt.ヴォジニャク(SCPF, 部門間連絡員): き、緊急事態です。先程マウォポルスカの[編集済]町が未知の集団に占拠されました。装備から察するにおそらくは何らかの宗教団体で…

ノヴォサドフ博士: ファック。連中め、腰が軽すぎて空にでも飛んでくんじゃねえのか?

トレイラー管理官: 至急機動部隊を送れ。事態は喫緊を擁する可能性がある。サイト内の部隊を可能な限り収集しろ。対神装備も忘れずに。

Agt.ヴォジニャク: は、はい。

Agt.ヴォジニャクが退出する

トレイラー管理官: コヴァルスキ君、君にはGOCとの連絡を取り持ってもらおう。バークレー、大型会議の準備を。

バークレー渉外員: 了解しました。

バークレー渉外員が退出する

トレイラー管理官: ノヴォサドフ、君を当案件の対策本部長に任命する。直ちに人員を集め給え。

ノヴォサドフ博士: あいよ。

ノヴォサドフ博士が退出する

トレイラー管理官: この会議も終わりだ。記録装置をオフにしろ。

[記録終了]

補遺.1710-JP.7: 映像記録

[前半省略]

12:32: GoI-484Eのメンバーらが画面を横切る。用途不明の機械やケーブルを手に持っているのが確認できる。

12:38: 画面にノヴァク司祭の姿が映る。技術者らしきメンバーと会話しているようである。技術者らしきメンバーは何度も念入りに確認しているように見える。

12:42: カメラが町の中心部を向く。大小様々な十字架が等間隔で円上に建てられており、[編集済]町の市民達が生きたまま磔にされているのが見れる。円の周囲ではGoI-484Eのメンバーらがオーケストラの演奏をしているのが確認できる。曲目はいずれもショパンの楽曲である。

12:46: カメラの前にノヴァク司祭が現れ、事前に用意された壇上に登り、演説を開始する。

12:51: ノヴァク司祭が開始の合図を叫んでから2秒後、円陣内から空へと光柱が登り、そのまま拡大して画面を包む。

12:52: 不明なヒト男性の声で、"Drugie przyjście(再臨)"と響き渡る。画面内が土埃に包まれる。

12:54: 画面奥からショパンの”華麗なる大円舞曲”が微かに聞こえ始める。GoI-484Eの歓喜の声が響く。

12:55: 大円舞曲の音が徐々に大きくなってゆくとともに、羽音のような音が聞こえ始める。GoI-484Eの間に徐々に不安の声が聞き取れる。

12:56: 羽音がかなり大きなものとなってゆく。GoI-484Eのメンバーは狼狽え、逃げ出す者も出始める。

12:57: 突如として土埃から大量のSCP-1710-JP-A個体が出現、GoI-484Eが飲み込まれる。10秒ほど微かな悲鳴が聞こえるものの、すぐに大円舞曲と羽音の喧騒にかき消える。

12:59: SCP-1710-JP-A群がまばらになり、徐々に土埃が薄れてゆく。町の中心部に巨大な影が見える。

13:02: 影が動き出す。

[後半省略]

補遺.1710-JP.8: 部隊作戦報告

招集部隊: α-14 ("オーリンズの火")、η-5 ("イェーガーボマー")、ν-7 ("下される鉄槌")、ρ-4 ("聖歌隊")、ψ-9 ("アンチシンフォニー")、他多数

目的: 出現した巨大神格実体(UE-1076に指定)の撃破/封印、GoI-484Eメンバーの殲滅/捕縛、公衆の安全確保、虚偽情報活動、GOC排撃班の支援

主要敵実体概略:

  • UE-1076: LoI-164(後にSCP-1710-JPに指定)より出現した巨大神格実体。Cicadetta属の幼虫に類似した外見を有するものの、顔面部のみ故フレデリック・フランソワ・ショパンのものに酷似した形に変形。後述するUE-1076-Aを指揮する能力を持つ。出現時の全長は90m弱。
  • UE-1076-A: LoI-164より出現した蝉型昆虫種(後にSCP-1710-JP-Aに指定)。Cicadetta属の成虫に類似するものの、その顔面部は故フレデリック・フランソワ・ショパンのものに酷似した形に変形。ショパンの声での発声が可能であり、常時その声及び羽音で”華麗なる大円舞曲”を合奏している。また雑食であり、出会うものを捕食、UE-1076へと養分を給餌する役割を持つ2
  • GoI-484E構成員: 十数名の生存者を確認。しかし財団=GOC合同対策班への敵対行動は成し得ないものと思われる。

タイムライン:

7月12日、13時頃: GoI-484Eの活動によりマウォポルスカ県[編集済]町直下に巨大な陥没穴が出現する。ほぼ同時にUE-1076、UE-1076-Aが出現、現場に赴いていたGoI-484E構成員の8割が死滅する。13:30、SCP財団=世界オカルト連合間合同 巨大神格実体対策本部が設立される。

7月12日、14時頃: 財団ヘリが上空から偵察に向かう。UE-1076がLoI-164より這い出し、民家を破壊しつつゆったりと北上していることが確認される。観測されたアキヴァ放射は基準値より遥かに高い48.2。14:32、ヘリがUE-1076-Aの大群に襲撃され、墜落。通信途絶。

7月12日、15時~17時頃: 完全武装した財団航空部隊及びGOC排撃班計4隊が出撃するも、UE-1076-A群の攻撃にあい全機墜落。事態が喫緊を擁するものであるとしてポーランド政府に通知され、ポーランド軍の出撃要請が出される。

7月12日、18時頃: GoI-484A("聖ショパン正教会")のメンバーが数人、ワルシャワの聖十字架教会を訪れる。メンバーらは教会地下に保管されているショパンの心臓を借り、そのまま教会中心で詳細不明な儀式を始める。

7月12日、19時頃: 第二陣として、完全武装した財団航空部隊及びGOC上空排撃班が計8隊出撃。途中UE-1076-A群の攻撃にあい、5隊が戦線離脱/壊滅。辿り着いた3隊によりUE-1076への神聖砲弾掃射が行われるも、直後実体から放たれたビーム状の極高度アスペクト放射により弾丸及び機体が溶解、作戦が失敗する。

7月12日、20時頃: ポーランド政府がポーランド軍の出撃を容認。20:25、UE-1076がボフニャ郡に侵入。推定民間死者: 10,000名、推定サイズ: 140m。

7月12日、21時頃: 「実体が未完成なのは儀式の不完全さによるものであり、完全体となることを目的に行動している。実体の進行方向、及び創造背景を鑑みるに、実体はマゾフシェ県ジェラゾヴァ・ヴォラ村3で”羽化”を引き起こすと思われる。これはほぼ確実に世界終焉シナリオを招くものと思われるため、何が何でも実体をジェラゾヴァ・ヴォラへと到達させてはならない」との進言が財団神学部門より発せられる。これに基づき、合同対策本部はプロショヴィツェ郡で実体への総攻撃を仕掛けることを計画。

7月12日、23時頃: プロショヴィツェ郡にて財団・GOC・ポーランド軍の戦闘資産が大規模展開される。ポーランド国内のGOC施設ネットワークを利用し、ポーランド南部全体に魔術結界が敷かれる。

7月12日、24時頃: 24:10、総数不明(9万匹と推定)のUE-1076-A群と交戦。この際GOC側の試験運用中のサーモバリック式連鎖呪術爆弾により、連鎖的に個体群を死滅させることに成功するも、意図せぬ呪術連鎖により戦車11両が故障、GOC監督官が1名死亡する。24:32、UE-1076が姿を見せる。先ほどの呪術兵器により実体を取り巻くUE-1076-A個体は大幅に減少していることが確認される(3万匹程度)。UE-1076は全長240m程度まで巨大化している。24:38、一斉掃射が開始される。UE-1076の移動がより緩慢なものになる。24:45、ワルシャワにてGoI-484Aの儀式が終了。ほぼ同時にUE-1076の外殻の一部に自発的にヒビが入り、内部から微かに緑の光が漏出。一時的ながらもアキヴァ放射の減衰(48→21)、周辺現実の鎮静を確認。時を同じくしてUE-1076を対象とした爆撃が開始。UE-1076の外殻が損傷し、内部から緑の光が漏れ出る。24:51、残存するUE-1076-A群が「別れのワルツ」を合奏しだし、30秒後UE-1076が大規模な奇跡論パルスを発動。第一線にあった兵器の大半が溶解。

7月13日、1:00頃: 第二陣がUE-1076への攻撃を開始。UE-1076に向け、財団武装サイト-03より多数の人工知能搭載ピンポイントミサイル4が発射、全弾命中。UE-1076の外殻が大きく破損し、緑に光る液体が周辺に散らばる。UE-1076-A群が完全に死滅。UE-1076が再度奇跡論的パルスを放出しようとしているのが確認される。01:21、バルト海上のGOCSヨハネから神聖祈念弾頭搭載ミサイルが発射、UE-1076に命中し奇跡論パルスをかき消す。1:26、第二陣の戦力によりUE-1076への総攻撃が行われる。UE-1076の外殻は大きく損傷し、緑の光る液体が大量に放出される。1:30、突如としてUE-1076が破裂。超極大規模の奇跡論パルスが発生し、第二陣の武力資産のみならず、ポーランド南部の人工物全体が溶解し消失する。01:45、財団サイト-30の合同対策本部司令室にて作戦終了が宣言される。続いて今回の事態の収集に向けた緊急会議が実施される。

補遺.1710-JP.8: LK-クラスシナリオ発布

イベント・ペルセポネによる国際社会の注目は避けきれず、もはや隠蔽不可能なレベルであるとされたため、GOCとの同意の下に、両者はLK-クラス: ”捲くられたヴェール”シナリオの発生を宣言した。これにより財団・GOCを初めとする正常性維持機関が明るみに出ることとなり、国際社会は一時的に混乱を来すこととなった。現在この混乱は収束しつつあるが、今後の動向は未だ不明瞭であり、財団もまたその将来を危ぶまれている。このことは財団始まって以来の失敗であるとして、強く記憶されねばならない。記憶すべき者がいればの話だが。

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補遺.1710-JP.9: 関連疑惑


イベント番号: EE-1679

イベント概要: ポーランド、ジェラゾヴァ・ヴォラにて、地元住民のアナ・シドウォ氏が自宅で消失、寝室にて全長1m60cmのセミの死骸が確認された。このセミは構造的には概ね通常のCicadetta属と一致するものの、遺伝的にはシドウォ氏のものと一致した。死因は餓死と推定される。

備考1: ポーランドにて12件、スロバキア・ウクライナにてそれぞれ2件、ドイツ・チェコ・ベラルーシ・スイスにてそれぞれ1件、計20件の同様の超常現象が確認されている。被害者はいずれも故フレデリック・フランソワ・ショパンの愛好家であったことが確認されている。この案件はEuclidクラスSCPオブジェクトとして登録予定。

備考2: EE-1679及び同様の超常現象群は発生期間がある程度一致しており、その間SCP-1710-JPから微弱な奇跡論パルスが放射されていたことが発覚している。2件の間の関連性については調査中。


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