SCP-1753-JP
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アイテム番号: SCP-1753-JP

オブジェクトクラス: Euclid Neutralized

特別収容プロトコル: SCP-1753-JPは、防腐処理を施された上でサイト-81██にて冷凍保存されています。現在、SCP-1753-JPの異常性は失われたと判断されています。

説明: SCP-1753-JPは木製の箱に収められた、表面に雌雄の狼と推測される絵が描かれている木製の札です。通常は何も描かれていない裏面が上部となるように配置されており、表面を上部としても長くとも3分後には不明な方法により裏返ります。なお、様々な要因により現在まで裏返る瞬間の確認には成功していません。
追記: 20██/██/██、SCP-1753-JPの無力化に伴い事実誤認が確認されました。詳細は補遺4を確認してください。

SCP-1753-JPの付近で、もしくはSCP-1753-JPに対し人間が何らかの行動を取った場合、SCP-1753-JPは活性化状態に移行する可能性があります1。以下はSCP-1753-JPを活性化させた特に危険な行動を抜粋したリストです。完全なリストは文書1753-JP-Fを参照してください。

  • SCP-1753-JPの半径2m以内に接近する(10例)
  • SCP-1753-JPに素手で触れる(3例)
  • SCP-1753-JPを箱から取り出す(5例)
  • SCP-1753-JPの入った箱を地面もしくは床に置く(3例)
  • SCP-1753-JPの入った箱を輸送中に取り落とす(1例)
  • SCP-1753-JPの入った箱を輸送中に背後を確認する(1例)
  • SCP-1753-JPの保管されている部屋に他のアノマリーを運び込む(1例、アノマリーの損傷も確認)

SCP-1753-JPを活性化させた人物は、即座に不明な要因により身体に大きく2箇所の傷を負い、適切な処置がなされない場合は失血死に至ります。検死の結果、2箇所の傷は大型の肉食動物に噛まれた際の傷に酷似していることが判明していますが、唾液などは検出されていません。

また、SCP-1753-JPが存在している建造物では、頻繁に幻覚が報告されるようになります。現時点で視覚、聴覚、嗅覚、触覚に影響を及ぼしていることが確認されています。幻覚を体験した人物は、正しい知識を持っているかどうかに関わらず、この幻覚が"狼"によるものであり、また敵対的であると認識します。幻覚の発生条件は不明ですが、Dクラス職員による報告が過半数を占めていることは特筆に値します。

SCP-1753-JPが大口真院以外の管轄下に継続して1年以上入っている場合、SCP-1753-JPはイベント-千疋狼を発生させます。イベント-千疋狼を発生させたSCP-1753-JPは、その時点で最も近くに存在する人間から順番に通常の活性化時と同様に傷を発生させます。SCP-1753-JPの保管されている建造物内にいる人間全てが被害に遭うことによってイベント-千疋狼は一旦終息します。その後は1週間毎に再活性化し、大口真院へのSCP-1753-JPの返却によってイベント-千疋狼は完全に終息します。

SCP-1753-JPは19██/██/██に、蒐集院より管理を委託される形で財団の管理下に入りました。その後19██/██/█に発生したイベント-千疋狼による事案1753-JP-1を受けて、SCP-1753-JPは大口真院との共同管理案件となっています。

補遺1: 以下は事案1753-JP-1の直後に行われた、大口真院に所属する人員に対するインタビュー記録の復元です。

補遺2: 20██/12/31、SCP-1753-JPの収容されているサイト-81██においてカオス・インサージェンシーの襲撃が発生しました。その際、SCP-1753-JPの変則的な活性化が確認されました。以下の記録はその際の映像記録を復元したものです。

<記録開始、19:26>

<A棟入口、19:27> 総勢20人のカオス・インサージェンシーの部隊がサイト-81██を襲撃。戦術対策担当チームが対応するも、6人の侵入を許す。

<A棟廊下、19:29> 侵入した6人が別れ道で3人ずつに分かれる。3人が追跡部隊の迎撃を始める。

<AB渡り廊下、19:30> 3人が別行動を開始。

<B棟廊下、19:36> 別行動中の3人の内、三浦██と目される人物が287号室前で不意に立ち止まる。顔に触れるような動作の後、287号室の扉を開け、侵入する。

<287号室、19:36> 約10秒のノイズが発生。ノイズが消えた後の映像には、侵入したはずの三浦の姿は確認されない。

<B棟廊下、19:36~19:37> 2発分の至近距離での発砲音を記録。その直後、約12秒のノイズが発生。ノイズが消えると、三浦が倒れている姿が撮影される。後死亡を確認。

<AB渡り廊下、19:38> 別行動中であった2人がアノマリーを所持した状態で合流。その後10秒のノイズが発生。ノイズが消えると、2人が重なりあうようにして倒れている姿が撮影される。後死亡を確認。また、2人の所持していたアノマリーは画面からは消失していた。

<A棟廊下、19:40> 足止めを行っていた3人の内、2人は追跡部隊により射殺済。1人は抵抗中であったが、約10秒のノイズの後、先の3人と同様に倒れている姿が撮影される。また、追跡部隊は無傷であるが、動揺しているように見える。

<A棟入口、19:41~20:00> データが破損しており復元失敗。直前の映像は異常の無い交戦中の映像であり、直後の映像は戦術対策担当チームによる後処理の映像であったことが確認されている。

<記録終了、20:01>

事態の鎮圧に当たった戦術対策担当チームの職員は、全員が傷を負った狼の幻覚を見たと報告しています。また、この事件によって喪失したアノマリーは存在しませんでした。この事件は事件1753-JP-2と指定されました。

補遺3: 事件1753-JP-2における死亡者である三浦██の遺体の傷口から、血液とは異なる液体の採取に成功しました。サンプルの検査の結果、液体は99.7%の確率でホンドギツネ(Vulpes vulpes japonica)の唾液であることが判明しています。また、三浦の眉からも唾液が検出されましたが、こちらは三浦本人のものであることが確認されています。

補遺4: 20██/██/██の返却期日において、突如287号室の監視カメラが破損しました。即座に██研究員が確認の為に287号室に侵入したところ、従来のSCP-1753-JPの代わりに雄と雌合わせて2匹のホンドギツネの遺体が横たわっているのを発見しました。解剖の結果、遺体からはそれぞれ1個ずつの銃弾が摘出されました。銃弾は、残されていた施条痕によりカオス・インサージェンシーが用いていた銃から発砲されたものであることが判明しています。

破損の直前の映像には従来のSCP-1753-JPが映っていたため、補遺3に記載された結果と合わせて、異常性を持っていたホンドギツネが従来のSCP-1753-JPに変化していたものと推測されました。発見されたホンドギツネの遺体はSCP-1753-JPと改めて分類され、同時にNeutralized指定が行われました。

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