SCP-1761
評価: +19+x

アイテム番号: SCP-1761

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1761-1および/または全てのSCP-1761-2個体との交流は、財団の外交官による承認を受け、監視されなければなりません。封じ込め違反が発生した場合、職員はSCP-1761-1に対する全ての物理的行動よりも、宣戦布告の発声を優先しなければなりません(承認された宣戦布告のリストは文書1761-08を参照)。

説明: SCP-1761-1は約30歳と思われる白人男性(SCP-1761-1は収容以来、加齢が観察されていません)であり、体重は74kg、身長は1.8mです。SCP-1761-1はアメリカ訛りの英語を話し、他の言語には精通していません。

SCP-1761-1は”アーノルド・フィッツウイリアムズ共和国”という、申し立てによれば北米に位置する国民国家であると自称しています。そのような国家が存在すると言う証拠は現代にも歴史的記録にも存在しませんが、SCP-1761-1は、もし要求されれば、冗長かつ首尾一貫した国家の歴史を口述することができます(この説明の転写は1761-87を参照)。

加えて、SCP-1761-1は彼自身の身体に属する未知の場所からアーノルド・フィッツウイリアムズ共和国の通貨を”発行”することが可能です。この通貨は(米国の銀行券に似て)主に綿から構成される紙に印刷されていましたが、2005年以降、SCP-1761-1は透かしやセキュリティ・スレッドなどの偽造防止対策を特色とするポリマー紙幣を生産するようになりました。これらの紙幣の同位体分析では異常は認められませんでした。

SCP-1761-1が一度に発行できる通貨の量に物理的限界は観察されていないものの、SCP-1761-1は”インフレを防ぐ”ために1ヶ月当たり1万”フィッツウイリアムドル”以上の通貨を発行することを拒否します。しかしながら、別な通貨をある程度の量で提供した場合、SCP-1761-1は更なる額を発行します(SCP-1761-1の”為替レート”のリストは文書1761-08を参照)。これら全ての通貨は、SCP-1761-1に受け入れられると消失します。紙幣に移植されたRFIDタグはSCP-1761-1の下では検出されません。現在まで、財団はフィッツウイリアムドルが通貨として受け入れられるものかどうかを確定していません。

SCP-1761-1はまた、切手(1995年に”万国郵便連合との論争のため”廃止)・運転免許証・結婚許可証・出生証明書・死亡証明書・および他の同様の政府発行の書類を生産します。これらは通常、主張によるところのアーノルド・フィッツウイリアムズ共和国民の情報を含むものです。これらの人物はいずれも外部記録では確認されていません。

SCP-1761-1は質問に対して非常に限られた数の断定的な応答しか行わず、その大部分はアーノルド・フィッツウイリアムズ共和国の歴史・その地理的特徴・観光地としての望ましさに関するものです。他の全ての質問に対して、SCP-1761-1は「アーノルド・フィッツウイリアムズ共和国は現時点において公式声明を有していない」と返答します。

SCP-1761-1が一度に10以上の準備された声明を持っていない質問を受けた場合、あるいは直接的にそうするよう要求された場合は、1761-デルタイベントがその時その場で発生します。

1761-デルタイベントの期間中、1体のヒト型実体(SCP-1761-2と指定)が、SCP-1761-1に最も近い未観測地点に出現します。SCP-1761-2はアーノルド・フィッツウイリアムズ共和国の外交官を自称します。現時点で12体のSCP-1761-2の名前と外見が文書化されています(SCP-1761-2個体のリストは下記の補遺1761-Aを参照)。

SCP-1761-1とSCP-1761-2は、お互いの状況への異常な自覚性を持っています。すなわち、SCP-1761-2はSCP-1761-1の身に起こった事を全て把握しており、逆もまた同様です。

SCP-1761-1は、攻撃者が宣戦布告を行う、あるいはSCP-1761-1自身が相手に対して宣戦布告を行うまでは、傷つける事も鎮圧する事も出来ません。

SCP-1761-1はまた、個人に対して市民権を(一部の財団職員に対しては亡命許可書を)直接的またはSCP-1761-2経由で提供することが観察されています。個人が与えられた市民権を受け入れた場合、彼らはパスポートを与えられ、即座に消失します。現時点ではSCP-1761-1またはSCP-1761-2からの市民権を受け入れた人物で発見例は1人だけです(補遺1761-Cを参照)。

補遺1761-A: インシデントログ

インシデント1761-1: SCP-1761-1は封じ込め違反の際、鎮圧を担当したエージェント████████に対し戦争を宣言しました(SCP-1761-1の宣戦布告までは全ての物理的な力が完全に無効化されていた事に留意すべきです)。直後に1761-デルタイベントが発生し、SCP-1761-2個体が降伏条件の交渉のために現れました。これらの条件には、SCP-1761-1の即時収容解放に加え、将来的なSCP-1761-1の収容に関する事項も含まれていました。

インシデント1761-2: SCP-1761-1は行動の著しい変化を見せ、徐々に活動的かつ暴力的になるとともに、時折、人権と経済政策を対象とする激しい議論を自分自身との間に交わしました。この言動は15日後に収束しました。

インシデント1761-3: SCP-1761-1の市民権提供に関する数回の実験に続き、SCP-1761-1は”一時的に国境を封鎖する”と発表しました。続く6日間、職員はSCP-1761-1から1mの範囲には物理的に近づくことができませんでした。

インシデント1761-4: SCP-1761-1は、”重要文化遺産”であるという主張の下、収容室を”併合”しました。職員はSCP-1761-1またはSCP-1761-2に承認されたビザなしでは収容室に入る事ができなくなりました。財団の外交官は、財団との間に”大国から共和国の将来の権益を守る”ための”同盟”を締結することを条件に、収容室返還の交渉に成功しました。

補遺1761-B: 既知のSCP-1761-2個体のリスト

指定 名前 外観
SCP-1761-2A クリフトン・ハッバード 白人男性、40代後半~50代前半の外見 “アーノルド・フィッツウイリアムズ共和国チーフ外交官”を自称
SCP-1761-2B アイリーン・ショー 白人女性、20代後半~30代前半の外見 “フィッツウイリアム農務省の国際代表”を自称
SCP-1761-2C コリン・マッキニー 白人男性、30代半ば~後半の外見 “フィッツウイリアム国防総省の国際代表”を自称
SCP-1761-2D テリ・ガルシア ヒスパニック系女性、30代半ばの外見 “フィッツウイリアム司法省の国際代表”を自称
SCP-1761-2E コンラッド・ケリー 白人男性、30代前半~半ばの外見 “フィッツウイリアム財務省の国際代表”を自称
SCP-1761-2F ウィルソン・ヘンリー 白人男性、40代半ばの外見 “フィッツウイリアムエネルギー省の国際代表”を自称
SCP-1761-2G マーシャ・チェンバーズ アジア系女性、30代半ば~後半の外見 “フィッツウイリアム内務省の国際代表”を自称
SCP-1761-2H ガートルード・ボイド 白人女性、50代半ば~後半の外見 “フィッツウイリアム内部安全機関の国際代表”を自称
SCP-1761-2I デクスター・キム アジア系男性、20代後半~30代前半の外見 “フィッツウイリアム国内秩序省の国際代表”を自称
SCP-1761-2J マーシャル・マコーミック 白人男性、30代半ばの外見 “フィッツウイリアム公衆衛生省の国際代表”を自称
SCP-1761-2K ヘレナ・バージェス 白人女性、30代後半の外見 “フィッツウイリアム地方平静省の国際代表”を自称
SCP-1761-2L ブリトニー・スアレス ヒスパニック系女性、30代前半の外見 “フィッツウイリアム教育省の国際代表”を自称

補遺1761-C:

インタビュー対象: D-38609

インタビュアー: █████博士

前書き: D-38609は、SCP-1761-1から市民権を受け入れた後に再出現した唯一の人物である。D-38609はSCP-1761-1の収容エリアに直接隣接する廊下で発見された。D-38609は背中と両腕に深刻な裂傷を示し、数本の歯と右手が欠落し、(おそらくは失血による)激しい混乱状態であった。

<記録開始>

█████博士: あなたがSCP-1761-1の市民権の申し出を受けた後、何が起こったのか教えてもらえますか?

D-38609: 場所は、何ていうか、凄く良かった。市民たちもみんな凄く俺に親切にしてくれた。

█████博士: なるほど。どのようにこれらの傷害を受けたのです?

D-38609: 俺…俺、覚えてねえよ。すまん。

█████博士: 覚えていない?私たちの医師によると、あなたは激しく鞭打たれ殴られているんですよ。手は切断されているし、一部の歯は引き抜かれてもいるようですね。何か思い出しましたか?

D-38609: 分かってる。分かってる、ちゃんと分かってるとも。何も起こらなかった。何も、何も、何も。本当に。何も、何も。何も。

█████博士: どのようにここへ帰ってきたのか、覚えていますか?

D-38609: いいや。どうやったのか知らねえ。

<記録終了>

終わりに: D-38609は怪我の合併症からその後まもなく死亡した。

補遺1761-D:

インタビュー対象: SCP-1761-1

インタビュアー: █████博士

█████博士: D-38609に何が起こったのか、説明してください。

SCP-1761-1: アーノルド・フィッツウイリアムズ共和国は、独自の法に基づく主権国家である。全ての市民がそうであるように、全ての移民もまたこれらの法に縛られる。

█████博士: 彼の怪我の説明にはなっていません。

SCP-1761-1: アーノルド・フィッツウイリアムズ共和国は、アーノルド・フィッツウイリアムズ共和国の司法省による公正なる裁判に基づき刑を執行するのみ。

█████博士: D-38609はどんな犯罪を犯したのです?

SCP-1761-1: アーノルド・フィッツウイリアムズ共和国は、SCP財団によって採用されたDクラス職員の犯罪歴を認識している。

█████博士: 私の質問に答えていませんね。

SCP-1761-1: アーノルド・フィッツウイリアムズ共和国は、人権と情報の自由を支持している。

█████博士: もう1つ質問があります。市民権を受け入れた他の人々はどうなるのです?

SCP-1761-1: アーノルド・フィッツウイリアムズ共和国は、個々の市民の動きを追跡しない。

補遺1761-E:

インタビュー対象: SCP-1761-2D

インタビュアー: █████博士

前書き: 補遺1761-Dに収録されたインタビューの後、█████博士は1761-デルタイベントを開始した。

SCP-1761-2D: こんにちは、█████博士。今日は何かお役に立てることはございますか?

█████博士: D-38609について尋ねたいのです。

SCP-1761-2D: アーノルド・フィッツウイリアムズ共和国は、個々の犯罪者の状況についてはコメントいたしません。

█████博士: 正式な起訴状の類を見せていただいた事がまだ無いのですが。

SCP-1761-2D: 申し訳ありませんが、それらの記録は外国の外交官は閲覧できません。

█████博士: 彼の怪我について、私には説明できないと取ってよろしいのですか?

SCP-1761-2D: アーノルド・フィッツウイリアムズ共和国は、有罪判決を受けた犯罪者には、必要とされる精神治療の執行を試みます。しかし、私たちの精神科医と警備スタッフの最善の努力にも拘らず、これらの人々の多くは彼ら自身と他人に危害を加え続けます。

█████博士: つまり、何ですか、彼は刑務所で負傷したという事ですか?

SCP-1761-2D: アーノルド・フィッツウイリアムズ共和国は、個々の犯罪者の状況についてはコメントいたしません。

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。