SCP-1763
評価: +2+x

アイテム番号: SCP-1763

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-1763を収容している地下への階段は常に閉鎖状態を保ち、保安職員2名が内部から警備します。入場にはレベル2以上のクリアランスが要請されます。パフォーマンス事案の映像記録を見ることを希望する職員はハウダー博士に連絡を取ってください。

説明: SCP-1763はニューヨーク州ニューヨーク████西38丁目1の地下室に存在するクラス4(事案1763-64を以てクラス3から格上げ)の次元間ポータル2です。発見当初は76脚の折り畳み椅子がSCP-1763と向かい合う形で設置され、典型的な劇場風の空間を形成していました。チケット売り場はありませんが、椅子のあるエリアの入り口にある小さなテーブルの上に“寄付”というラベルが張られた金属ボウルがあります。ボウルの中に入れられたオブジェクトは、パフォーマンス事案の終了から1時間丁度で消失します。パフォーマンス事案の発生1時間前、パフォーマンスの詳細、その社会的文脈の簡単な概要、公演を行う組織について記述した40~70枚のプログラムがボウルの隣に出現します。財団によるSCP-1763収容を通して、公演している組織は1つだけです。しかしながら、幾つかのプログラムは以前に会場を利用したことのある“団体(companies)”の存在を示唆しています。

SCP-1763内部に視認できる世界はプロセニアム・アーチ型のステージと思われ、2枚のカーテン3が常設されています。劇場は主に木材4で構成されており、ステージの上には金属の足場5があります。このステージをSCP-1763-1と指定します。

SCP-1763-1は現在、SCP-1763-Aと指定される大劇団の公演会場として使用されています。この団体は月単位で、その月の最後の週の月曜日から土曜日までという限られた期間でパフォーマンスを開催します。劇は通常18:00に始まり、15~20分の休憩を挟んで、20:00~22:00まで続きます。また、金曜日もしくは土曜日の14:00に昼興業(マチネー)が開かれることもあります。これらの定期公演に加え、SCP-1763-Aは子供向けの劇・スタンダップコメディ・即興演劇6をすることもできます。

SCP-1763-Aのメンバーは数多くの異常性質を見せています。SCP-1763-A-17は舞台裏から壇上に伸びる機械の腕を操作して動く無形実体であり、SCP-1763-A-5と-6と-12は完全に骨格だけで、SCP-1763-A-7と-8には腕が2対あり、SCP-1763-A-13はネアンデルタール人と推定されています。演者の中には、外見に応じて特定の役ばかりを宛がわれている者もいます。

セットの構築は公演の2週間前から始まり、3日前には舞台稽古が開始します。SCP-1763-Aが演じる劇は幅広く変化します。公演の約1/4は既存の劇に対応したものです。今までのところ、公演に伴うであろう費用や開催頻度は、観客の出席や寄付に応じて変化している様子が見られません。

SCP-1763内の空間との相互作用は現在まで成功していません。SCP-1763が存在するように見える空間を潜って入場する試みは、SCP-1763の鏡像へと繋がります。

補遺: 劇のサンプル

パフォーマンス事案#: 1
パフォーマンス: “グール・オア・ガール”、グラシュマー・ハグジュスト(Glashmer Haghjsd)著
プログラムの説明: 4種類の性別がある世界でアイデンティティを求めて足掻く、若きグールの女の子の人生の一コマ。この作品で扱われる数多くの問題の中には、身体像の問題、赤き血潮、そしてどのように両親がこれらの問題に対処すべきかといったものがあります。
観察内容: 劇中で確認された性別は、男・女・“ハンシ”・“カエル”。SCP-1763-A-3は第二幕で壇上にオレンジ色の液体を嘔吐した。

パフォーマンス事案#: 4
パフォーマンス: “ゴドーを待ちながら”、サミュエル・ベケット著
プログラムの説明: サミュエル・ベケットの古典劇を今回演じるのは、ハーシュ・ロット・シアター劇団。ウラディミールとエストラゴンの2人が、ゴドーなる謎の人物を待ちながら、今日の社会が直面している多くの問題への洞察を開陳します。
観察内容: 研究者たちはエストラゴンを演じるSCP-1763-A-13の演技が“チャーミング”だったという点で意見の一致を見た。ゴドーの名が変わらない一方で、“神(God)”への言及は劇全体を通して“犬(Dog)”に置換された。この理由は不明。

パフォーマンス事案#: 14
パフォーマンス: “ジェンクルセドン(Jenklsedn)と遊ぼう”、ロドニー・ハーパー著
プログラムの説明: 全ての子供たちが見るべき劇。“ジェンクルセドンと遊ぼう”は成長に伴う問題、家族関係、さらには家庭のペットへの対処法まで教えてくれます。
観察内容: 劇中の言及テーマには“悪い言葉遣い”、“何故分け合うのか”、“猫との性的問題について”が含まれた。

パフォーマンス事案#: 21
パフォーマンス: “愛と海ベットリさん”、『J』著
プログラムの説明: 『J』による新しい喜劇、“愛と海ベットリさん”。海ベットリさんが母親と別れたのを機にゆっくりと狂気へ陥る男の有り様を見れば、貴方の虫垂がゴロゴロ言うこと請け合い!
観察内容: 劇は、やや不穏はいえ、全体的に非常にユーモラスであった。

パフォーマンス事案#: 22
パフォーマンス: “シュムック・シュムックスのためのユック・ユックス (Yuk Yuks for Schmuck Schmucks)”
プログラムの説明: 今夜一晩限り、トランシルヴィタ最高のお笑い芸人の1人が、大舞台のために遥々ニューヨークまでやって来たよ!
観察内容: SCP-1763-A-34は甲高く途切れのない悲鳴を10秒間放出し、研究者たちの間に制御不能の爆笑を引き起こした。同種の実体による公演は今後避けるようにという勧告が下った。

パフォーマンス事案#: 31
パフォーマンス: “ハムレット”、ウィリアム・シェイクスピア著
プログラムの説明: シェイクスピアの最も有名な劇の一つ。ハーシュ・ロット・シアター劇団がこの歴史的作品を彼らなりの解釈で演じます。
観察内容: 劇全体が台詞も含めて巻き戻し状態で進行した。これにも拘らず、劇は研究者たちによって「妙に説得力がある」ものとして述べられた。

パフォーマンス事案#: 36
パフォーマンス: “帽子”、エレイン・エニエール著
プログラムの説明: 上下上下上下上下汝は何物にも非ず
観察内容: 実験的な6時間の劇。SCP-1763-A-37がニューヨーク・ヤンキースの野球帽を取ったり被ったりしながら「帽子はシステムであります。我々はシステムであります。我々は帽子であります」と繰り返す流れで構成されていた。SCP-1763-A-37の特性のため、帽子はピンク色のスライムに厚く覆われていた。

パフォーマンス事案#: 40
パフォーマンス: “外宇宙より”
プログラムの説明: ハーシュ・ロット最高の即興演者の一人が、火星の宇宙飛行士を2時間熱演。お次は何が起こるのか? 答えは待てばきっと来る。
観察内容: 火星は青いということが繰り返し言及された。

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