SCP-1765
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アイテム番号: SCP-1765

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-1765の活動は現在エリア-37の範囲に限られており、事実上の収容区域としてみなします。エリア-37はSCP-1765に完全に侵食されているため、ここをタイプ-4物質不安定領域とみなし、内部の全財団職員は実質死亡とします。テレマコス規約に従い、防御境界線をエリア-37周囲に確立します。エリア-37の複合施設を突破する試みは全て終了しており、全ての関連機動部隊隊員は死亡したため、通知があるまで中止します。SCP-1765の活動が拡大する場合、O5-司令部の許可の下、エリア-37現地の核兵器を起動させる場合があります。SCP-1765の活動によって生成されたデータが多量なため、特別に設計したサーバファームにこれらデータを保存します。このサーバファームは他の財団ネットワークから隔離します。

説明: SCP-1765は通常灰色がかったシルエットの朧気な人型として顕現する、3体の半肉体的実体の集団の総称です。SCP-1765の実体はそれらの直接的な影響力によって、現実の構造を故意に脆弱化する能力を示し、限定的ながらも相当な範囲での強力な時間的・物理的歪曲の制御を可能にします。SCP-1765の実体は会話が可能(聞き手の説明によると女性的で、3体とも異なる口調で話します)で、それぞれ一貫した個性を備えているように見えます。

████████近郊にある街の蛇の手の支部の襲撃に財団部隊が成功した後に、SCP-1765はエリア-37に初めて持ち込まれました。複数の疑わしい異常な人工物と15人の捕えた蛇の手の工作員を回収してエリア-37へと運び、当初はこれらの物品を保管する専門の隔離施設として運用していました。回収した3個の人工物(木製の小型織機、エナメル製の針、ガラス製の目)の予備試験の間、全3体のSCP-1765(以下SCP-1765-1、SCP-1765-2、SCP-1765-3)が出現して居合わせた職員、████研究員に話しかけました。この会話は実験室の監視システムに記録されています:

<記録開始>

SCP-1765-1: ご機嫌よう、敬愛なる財団の職員皆様。私達は貴方方に素敵なお知らせをお持ちしましたわ。

SCP-1765-2: ああ、きっと喜ぶぜ。

SCP-1765-3: こんにちは。

████研究員: 一体何ごと-

SCP-1765-1: 失礼、今しばらくお待ちを。[SCP-1765-2に向かって]姉妹達、まず自己紹介をするべきと思うのだけれども。よろしいかしら。

SCP-1765-2: おっと、そうだな!ヒーヒ、やってくれ、アタシらは黙ってるよ。

SCP-1765-3: おわび。

SCP-1765-1: ああ。ごほん、改めまして、ご機嫌よう。ようやく貴方方とお知り合いすることができて嬉しく思っております、なぜなら私達は長い間ずっと貴方方の組織を観察していたのですから。本当に、私達はとても多くの物を見てきました、そしてそれら全ての中で貴方方は暗い海を進み輝く光のようでしたわ。お見事です。

SCP-1765-2: おう、アタシらはそりゃーとても偉いんだぜ!

SCP-1765-3: おめでとう。

████研究員: 誰か警備を呼んで-[████研究員は自らの舌が目に見えて黒く変色し、枯れ萎むのを把握します]

SCP-1765-1: 私、お願いしましたわ、少しお時間をいただきますと。どこまでお話ししたかしら?ああ、そうでした。全てを考慮いたしまして、私達は決めました、貴方方、以外は私達の助けを受けるに相応しく無いと。これは最も素敵な名誉であると、貴方方にお約束致しますわ。

SCP-1765-2: 血まみれのステーキみたいなもんだ、スゲーだろ。

SCP-1765-3: タルタル。

[████研究員は再び話そうと試みますが、床に倒れます。彼の舌は塵へと崩れます。彼は意識を失います]

SCP-1765-1: あら。どうして人は何時も愚かなのかしら?後で直して差し上げないとなりませんね。私はいつも思慮が足りませんわ、とても腹立たしい。

SCP-1765-2: アタシらの助けは、激しいからな。

SCP-1765-3: おてつだい。

SCP-1765-1: ええ、ありがとう。そうね、私達の助けでしたね。私達は貴方方がどれ程までに細心に気を使って科学的方法を遵守いるのか見ています、もし私達と同じ事をなさるのでしたら、私達は貴方方に多いに役立てる事を申し上げますわ。何故なら、この分野において私達の能力は素晴らしい物なのですから。そうです、貴方方をお助けするために、私達は貴方方に代わって幾つかの役に立つ実験を行い、そのデータを貴方方にお渡しします。私達はとても素晴らしいパートナーに成り得ると考えていますわ。

SCP-1765-2: なあ、アイツ気を失ってないか、おい。

SCP-1765-3: わるそう。

SCP-1765-1: ふふ、気にしなくても大丈夫よ、彼等は何もかも記録していますもの。それに私達が選んだ方達よ、そうでしょ?

SCP-1765-2: ん、そうだったな。

SCP-1765-3: うん。

SCP-1765-1: さて、お聴きになられている皆様方、私達は私達の実験を直ぐに開始いたします、もたついている時間はありません。ええ、私達はそれらが少しばかり厳しいことを理解しています、だけど信じてください、私達は何が貴方方にとって最良なのか知っているのですから。

SCP-1765-2: 姉妹達はベストを知っていんだ、へへ!

SCP-1765-3: いつでも。

この会話の後、全3体のSCP-1765の実体は素早くエリア-37の至る所を移動しました。SCP-1765がエリア-37を回り続けたため、いくつかの現実歪曲現象に関する事象が記録されました。おそらくエリア-37がそれらの計画した実験のパラメータに十分適した不安定さになったためか、SCP-1765が最終的にこの行動パターンを止めました。この行程の終わりで、セキュリティ映像はエリア-37が4つの異なる区画に分けられ、エリア-37の職員は以下に記したように、この事象の時のSCP-1765の位置に従って分離しました:

区画-A(以前はエリア-37の食堂、商店、寄宿舎):最も小さい区画である区画-AはSCP-1765による変化が最も少ないです。顕著な追加は食堂の東隅にある2つの大きな真鍮製の大桶、商店に代わって他のエリア-37の区画と接続している監視基地局、寄宿舎入り口上部にある'統制群'と書かれた大きな大理石の標識です。統制群に属する職員は他のエリア-37で実施されている実験の対象にはなりません。5から7時間毎に1体のSCP-1765の実体が統制群を訪ねます。この訪問の間、真鍮製の大桶から食料と水が分配され、訪問する実体は通常統制群に話しかけ、時折進行中の実施を観察するために監視基地局を使うことを推奨します。

区画-B(以前はエリア-37の外部運動場、運動施設):区画-Bは局所時空間異常の支柱です。このため、大きさ、気候、大気の構成と圧力、時間の流れは変化しやすく、通常区画-Bの実験を監督するSCP-1765-1によって制御されているように見えます。SCP-1765-1によると、区画-Bの実験は異常な状況下における人間の精神に繰り返し働く活動の影響を調べる場所です。

区画-C(以前はエリア-37の主要なオフィス集合施設):区画-Cは区画-Bに類似した異常特性を示しますが、関係性はSCP-1765-1よりSCP-1765-2が強いです。観察(並びにSCP-1765-2からの限られた入力)は区画-Cで実施される実験が極端な状況における集団力学と対人関係に集中していることが示されます。平均して、実験中の区画-Cの物理的変化は区画-Bよりも急進的ですが、時間的変化はごく僅かです。

区画-D(以前はエリア-37の高危険度収容区域):区画-Dは現在エリア-37複合施設の変化の中でも最も理解が及んでいない区画です。物理的にはSCP-1765の最初の侵食以前の状態と実質的には変わっていません。しかし、時間的には事象の基本的な流れは完全に途切れており、外部で発生している事象から孤立した'泡'として存在します。区画-Dの時間的現実と実施される実験はSCP-1765-3と関係しています。SCP-1765-3の簡潔な会話パターンと実験の普遍的な理解の困難さにより、区画-Dで実施されている実験の性質は現在殆ど何も判明していません。

実験が実施された区画にかかわらず、SCP-1765は高品質の映像と音声記録の資料を財団に提供しようとします。このデータは最も近い互換性を持つ財団のサーバへ転送されます。また映像は時折監督したSCP-1765の実体のメモも含みます。

補遺1765-A: 以下はSCP-1765の実体によって実施された顕著な実験の説明です:

区画-B:

区画の状態: 本実験のために区画-Bを時折実験の結果発生する再結合事象による構造変異以外は、元の形状で維持します。

関係職員: ██研究員、エージェント・██████、██████████衛生技術員

実験: 実験被験体を未知の場所からエリア-37のスポーツセンターへ連れていき、それぞれにレンチ、定規、茶色のボールペンを渡します。それから、被験体はSCP-1765-1にスポーツセンターの配管システムの詳細な検査と、各導管の正確な長さと他の導管との接続部の角度を測るよう指示されます。この工程はスポーツセンターの規模のため、10から12時間掛かります。しかし、これが完了する前に区画-Bは再結合事象を開始し、配管システムは完全に再編成されて以前行った計測は全て無意味となります。その後、実験被験体は再び始めるように指示されます。この工程を実験が終了するまでに459回繰り返します。

SCP-1765-1のメモ: "昨日のオリンポス山への少し期待外れな旅行の後(私にも非はありましたけれど、主催者が失礼な方でしたの!)、私の実験被験者に少々骨の折れる何かを試みようと思いまして、それはこれまでで物理的にはつまらなく、道徳的には欠けていると分かっているものですわ。感覚の入力を繰り返すこの単調な実験と、過負荷と言って良い程の他の主要な反応へと接続できるこの方法が貴方方のお役に立つ事と、私の実験被験者の少し限られた能力の範囲内である事を証明しなければいけません。そして、私達が体験から学ぼうとしても、この試みは最終的に無意味となり、一旦貴方方の生命が過ぎ去れば、再び全てを学び直さなければならないという証明ですわ。これは役に立つ知識ですわ、皆様方、私は貴方方が留意してくださることを望みます。"

区画-C:

区画の状態: 当実験のために区画-Cをフットボールスタジアムの外観にし、実験被験体を50ヤードラインの周りに出現させます。特に、ゴールポストは取り外され、代わりにコンクリート製の掩蔽壕を配置します。

関係職員: 機動部隊イオタ-6("キャンバスの猫")の前隊員、15人の捕えられた蛇の手の工作員のうちの10人。

実験: 実験は2段階で行った;第一段階として、実験被験体は機動部隊隊員と蛇の手工作員を混合させた2つの班に分けます。それから、両方の班はフィールドの端にある掩蔽壕に向かうようにSCP-1765-2に指示されます。その位置へと走っている間、数人のフードを被った人間がスタジアムの外野席に出現し、実験被験体に対して動きの早い火のような発射体で攻撃を始めます。更に、3メートルの高さの曲がったプラットフォームが地面から上がり始め、実験被験体はこれらを回避するためにチームワークが要求されます。混合構成の実験被験体の班なのでこれを克服することはできずに、両班は掩蔽壕に到着する前に発射体によって焼かれます。この30秒後、再び無傷の同じ実験被験体の班が50ヤードラインの近くに現れて実験の第二段階が開始します。被験体は再び2つの班に分けられ、一方は機動部隊隊員のみ、もう一方は蛇の手工作員のみとします。実験被験体は再び掩蔽壕に向かうよう指示されます。上に記録したように実験は進行し、今度は両班とも迫り上がるプラットフォームを凌いで、掩蔽壕への到着に成功します。しかし、この時掩蔽壕の扉が閉鎖され2本の以前には見られなかった金属製のかなり大きなハンマーが未知の起源点から降りてきて、両班が死亡するまで粉砕します。

SCP-1765-2のメモ: "チビッコ達がアタシらのしたダブルデートみたいに気まずそうにしてたからさ、心のなかで思ったわけよ'笑うんだ、今日はそれ以上ロマンチックにはならねえ、もうヤツらには遅すぎだぞ。ヤツらは興奮と汗と爆発とスポーツを求めてるのさ!'って。だからアタシの古い友人を呼んで、ヤツらを楽しませる手助けをしてやったのさ、当然だろ!ローブを着たデッカイのはなんて名前だったけな?マダン?マーヴェン?ジョンだったかな?はっ、思い出せねえけど、ソイツはフットボールが好きだったのよ!ヒーヒ、スゲー楽しい時間を過ごしたんだけど、同時に全部燃えて砕けちまってね。んー、何か忘れてるような…あー、実験、これはだな…これは実験だ、うん。うーん、えっと、アンタらが何者であろうとも、アンタらは最後には空から降ってくるでっかい鉄のハンマーで潰されちまうってことを見せたかったんだよ!んー、いや違うな…あー、そうだ!アンタらが誰とどんなに準備をしようともな、早かれ遅かれ運命はやってくんだから心配すんなよな!ヒーヒ、そう、アタシこれ好きなんだ、何かピーチっぽく聞こえるじゃん!経験から学べ、我が生徒諸君、経験から学ぶのだ!"

区画-D:

区画の状態: 物理的には区画-Dは元の状態から変わらずのまま。

関係職員: ██████サイト管理官

実験: ██████サイト管理官はエリア-37の主要収容金庫室に入ります。金庫室の中央にはテーブル(おそらくは食堂から持ち込まれたもの)が置かれています。テーブルの上には1Lの█████████ブランドのアイスクリーム容器が2箱置いてあり、1箱はピスタチオ味、もう1箱はパッションフルーツ味です。██████サイト管理官はSCP-1765-3に'えらんで'と指示されます。それから██████サイト管理官はピスタチオ味のアイスクリームを選択すると部屋から退出します。この時、映像が少しの間かすみ、██████サイト管理官が部屋に戻ると、選択されなかったアイスクリームの容器は別のチョコレート味に入れ替わっていました。彼は再び選択するよう指示され、今回はチョコレート味を選択しました。この行程を繰り返すと、選ばれなかった容器は別の味の物に入れ替わりました。この文書の執筆時、財団は10,000時間を超える映像がこの実験から送られてきて、分析により"ミーアキャットのマシュマロ狂気"、"平静"、"きみがいつも履いているようなあの靴下"、"神の憤怒"、[編集済]を含む200,000以上の異なる味のアイスクリームが確認されました。全ての痕跡はこの実験がまだ進行中である事を示唆しています。

SCP-1765-3のメモ (メモは映像の1,356時間目に確認されました): "おいしい。"

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