SCP-1766-JP
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SCP-1766-JPの影響によって実現した夏祭りの様子

アイテム番号: SCP-1766-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1766-JPと関連する情報の再発生・再流布の確認を目的に、区域1766内の各地域コミュニティやSNSに対して定例的な監視・調査が行われます。SCP-1766-JPの再発生が確認された場合、対応プロトコルに従って情報発信源の特定が行われた後、区域内の全住民に対して記憶処理が実施されます。

現在、PoI-1766-JP群に対して継続的な監視が行われています。今後、新たに異常性の兆候が確認された場合、当該グループは財団による収容下へと置かれる必要があります。

説明: SCP-1766-JPは、京都府██郡██町(以下、区域1766)に戸籍を持つ住民間でのみ伝染・発生する、特定情報の伝達に起因した異常現象です。情報伝達によってSCP-1766-JPの影響下に置かれた人物(以下、影響者)が初めて睡眠を行った場合、覚醒後に「2018年に区域1766内で夏祭りが行われていた」という旨の実在しない記憶を獲得します。そして、この偽記憶を獲得した影響者が、他の住民に対して「夏祭り」に関する言及・伝達を行うことで、SCP-1766-JPは住民間で伝染・拡散していきます。

上記の偽記憶について影響者へと聞き取りを行った場合、以下の様な共通要素・情報が必ず確認できます。

  • 区域1766内では今まで夏祭りが行なわれていなかったが、2018年から開催されるようになった。
  • 影響者は何らかの理由(大半は病気や旅行)によって、その夏祭りには参加できなかった。
  • 今までは上記内容を忘れていたが、夢で夏祭りの光景を見たか、誰かから話を聞いたことで思い出した。

影響者の偽記憶及び伝染性質は、記憶処理によって容易に消去可能です。また、説明やカウンセリングによっても記憶が誤り/偽りであることを理解させることは可能ですが、事実を表す物証を提示した上での反復的な説得や長い時間を要します。さらに大抵の場合、事実と偽記憶間の齟齬についても、影響者によって都合よく再解釈されることで説得は失敗に終わります。

財団による介入以前の2019年8月初旬時点で、既に区域1766内の大半の住人がSCP-1766-JP影響下に置かれていました。その結果、実在しない去年の記憶に習う形で現実に夏祭りが開催される事態が引き起こされ、財団の注目を引きました。後述する調査の完了後、この現象はSCP-1766-JPとして分類され、全住民に対して夏祭りの情報に関する記憶処理と情報操作が施されました。

補遺: 調査の結果、偽記憶情報の発生/発信源となった人物が、区域1766内の小学校に通う少年グループであったことが判明しました。しかしながら、当該グループのメンバーに対して聞き取りを行った際、全員が身元不明の少年(以下、SCP-1766-JP-α)から去年の夏祭りの話を聞いたことで、翌日に夢での経験を介して事実であったことを思い出したと証言を行いました。

SCP-1766-JP-αに関しては当該グループ以外にも、通っていたと証言された学校の関係者や通学区の近隣住民等、複数の人物から、その存在を示唆する大まかに共通した以下の様な情報を得られています。

  • 名前は██ ██、区域1766内に住んでおり、年齢は2018年の時点で11歳。
  • 上記の少年グループの一員で、同じ小学校に通っており、各メンバーの家族とも顔見知りであった。
  • 2018年の8月以降に引っ越したが、2019年の祭りに合わせて久しぶりに帰って来ていた。
  • 2018年の夏祭り開催の立役者らしいが、どういった経緯でそうなったかは覚えていない。

その一方で、かつて住んでいた正確な住所や引っ越し先、その両親に関する情報、2018年以前の関連したエピソード記憶については、いずれの証言者からも曖昧な情報が得られるのみか、証言者間での主張が完全に一致しないという結果に終わりました。

それにも関わらず、SCP-1766-JP-αを2019年の夏祭りの後半部で目撃したと主張する、多数の証言も得られています。更に、大半の証言者がSCP-1766-JP-αと実際に会話を行ったとも主張しており、SCP-1766-JP-αは祭りを非常に楽しんでいる様子で「来年も是非参加したいから、来年以降も祭りが続いてくれれば嬉しい」といった旨の発言をしていたとする共通事項も確認されました。

それに加え、当該グループのメンバーたちと一緒に写真に撮られた、SCP-1766-JP-αの外見的特徴と一致する身元不明な少年の存在も確認されました。しかし、SCP-1766-JP-αに関する個人情報や上記写真に撮られた存在と一致する人物の戸籍情報、出生記録、住民登録記録等は未だに発見できておらず、いずれの調査結果もその実在性を否定しています。

事案報告: 全住民に対する記憶処理完了から7日後、当該の少年グループ全員が一時的に昏睡状態へと陥る事態が発生しました。グループのメンバーは覚醒後、いずれも睡眠中の夢で夏祭りの光景や祭囃子の喧騒を経験したと主張しただけでなく、消去されたはずの2019年にて実際に催された夏祭りとSCP-1766-JP-αとの記憶を思い出しました。

一方で、メンバーの大半がSCP-1766-JP-αに対する漠然としたネガティブな感情と悪印象を報告しました。その理由についての質問に対し、数名は「来年も再来年もこちらへと訪れるため、夏祭りをこれからも開催し続けてくれ」と夢の中でSCP-1766-JP-αが必死の形相で自分たちに迫って来る姿を見た点や、SCP-1766-JP-αとのあらゆる思い出やエピソードに関連した光景が、何故か夜間のみで限定されていたことに気が付いたため、と回答を行いました。

この事態を受け、各メンバーは暫定的にPoI-1766-JPとして指定されました。しかしながら、各種調査や検査の結果からは、PoI-1766-JP群に対する異常や後遺症の兆候等は見受けられず、問題なく記憶処理も実施されました。

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