SCP-1785-JP
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発見時のSCP-1785-JP-A

アイテム番号: SCP-1785-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1785-JP-Aは標準収容チャンバーに収容されます。SCP-1785-JP-Bが出現した場合はインタビューを行い、記録はナンバリングを行った上でSCP-1785-JP-B各個体詳細リストに追加します。

説明: SCP-1785-JP-Aは北海道██郡██町付近の廃集落で発見された、異常性を有するロッカーです。SCP-1785-JP-Aは不定期に内部にSCP-1785-JP-B個体を出現させること、内部のSCP-1785-JP-B個体を消失させること、SCP-1785-JP-Bの動作に応じて扉の開閉を行うことが可能です。SCP-1785-JP-B個体を消失させる異常性は、個体の出現から24時間以内に発生します。

SCP-1785-JP-Bは、SCP-1785-JP-Aと関連する実体群です。SCP-1785-JP-B個体はそれぞれ非異常なイヌ科動物と外見上は同一ですが、英語での応答が可能であることに加え、物理的な接触は不可能です。外見上による分類として、SCP-1785-JP-Bの約8割はヤブイヌ(Speothos venaticus)であり、残りの多くはイエイヌ(Canis lupus familiaris)やタヌキ(Nyctereutes procyonoides)です。

発見時調査ログ: 以下は財団エージェントによるSCP-1785-JPの発見時調査の音声記録の書き起こしです。

記録者: 大葉フィールドエージェント(以下、大葉と記述)

<ログ開始>

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SCP-1785-JP-B-1

大葉: フィールドエージェントの大葉が記録します。██町██地区で噂されていた「熊の子供が出入りするロッカー」と思わしき物品を発見しました。

大葉: 外見上はただの錆びついたロッカーに見えます。付近の地面には確かに小動物の足跡のような痕跡があります。

大葉: ではロッカーを調べます。開閉は……可能ですね、見た目に反してスムーズな開閉が可能です。とりあえず全てのロッ

SCP-1785-JP-B-1: What the- What the fuck are you doing!?

大葉: 英語を話す小動物実体が背後から干渉してきました、断言は出来ませんがヤブイヌのように見えます。交流を試みます。

[注:可読性のため、以降当報告書内では翻訳され記述されます]

大葉: あー。驚かせてしまったようで申し訳ありません、この辺りであなたのような方を見かけたという話を聞いて、調べに来ているのです。

SCP-1785-JP-B-1: お前、話せるのか!? クソ、こんな旅行来るべきじゃなかった……。おい化物野郎、お前一体何なんだ?

大葉: えーっと、そうですね。何と言えば良いのか、化物ではなくホモ・サピエンスという種です、人間とも言います。

SCP-1785-JP-B-1: ホモ・サピエンス? 人間? そんな生き物聞いたことがないぞ。お前後ろ脚で……いや、前に街で見たワーウルフ1もそうだったけどよ。

大葉: ワーウルフをご存じですか、それに近い存在と言えるかも知れません。例えば私の姿とあなたの姿、両者の特徴を合わせるとワーウルフのような見た目になると思いませんか?

SCP-1785-JP-B-1: あー……待て。……まあ確かにそうかも知れん。

大葉: ですから、我々は全く異なる存在というわけではないはずです、現に同じ言葉を話しているわけですし。私はあなたに危害を加える気はありません、良ければ少しお話をしませんか?

SCP-1785-JP-B-1: いいぜ。それによ、ビビっちまったけど良く考えたら俺には触れないはずだから、何もビビる必要無かったんだよな。

大葉: 触れない、というのは?

SCP-1785-JP-B-1: 触ろうとしてみりゃわかるさ。

大葉: では失礼して……。確かに、手がすり抜けましたね。

SCP-1785-JP-B-1: そうそう。そういう風になってんのさ。ところで、あんたら……人間って言ったっけ、あんたらがこの世界の支配種族なのかい?

大葉: そうですね。ただ他の動物とも共存していますよ。それに、特にイヌ科の動物とは同じ家で暮らすケースも多いですね。

SCP-1785-JP-B-1: ほう、そうなのかい。……ところで狐とは仲良くしてねぇだろうな? 狐のせいで俺はここに……。

大葉: そうですね、狐はあまり……。この辺りの地域では絶対に触るなと言われますね、狐の生息する場所の土も触らないようにと言われます。良ければあなたのその話を詳しく聞かせていただきますか?

SCP-1785-JP-B-1: ああ、聞いてくれよ! まずな、俺の住んでるグレートブッシュドッグ王国は「ヤブイヌによる全てのイヌのための王国」なんだ。つまり、俺みたいな奴が住むための王国だ。でも最近は狐野郎どもが幅を利かせてやがるんだよ。

大葉: 狐はイヌ科ではありますが。

SCP-1785-JP-B-1: ああ分かってる分かってる。あんたよりは狐の方がイヌだよ。でもそれほどイヌじゃないだろ狐は。

大葉: それは確かにそうですね。

SCP-1785-JP-B-1: なあ、俺は別に差別主義者じゃないさ。だけどよ、あんまりにも狐に騙される機会が多いと嫌いにもなっちまうってもんだろ? 今回だって「美しい湖畔の傍の素敵な宿で1泊2日。ゆったりと落ち着いた時間を過ごせます」って言われて来たのに、宿は錆だらけだし、湖畔じゃなくて沼だし、沼から戻ってきたらあんたが俺の部屋を漁ってるしで踏んだり蹴ったりなんだよ。

大葉: ああなるほど、これは宿だったんですね。申し訳ないことをしました。

SCP-1785-JP-B-1: ま、あんたは良いけどよ。あの旅行会社の狐、前脚で立ってやりてえぜ2。まったく。

<ログ終了>

SCP-1785-JP-Aは宿泊施設と転移装置を兼ねた存在として利用されていると考えられ、SCP-1785-JP-B個体の出現と消失は、グレートブッシュドッグ王国なる領域から基底世界への到着と出発に対応していると考えられます。SCP-1785-JP-Aは回収され、情報収集のためにSCP-1785-JP-B個体が出現し次第インタビューを行います。

追記: 以下はSCP-1785-JP-B個体のうち、特筆すべき個体の記録です。

個体 SCP-1785-JP-B-8

個体名: フィリップ

外見上の種: ヤブイヌ(Speothos venaticus)

概要: こちらの質問には一切応じず、こちらの文化や風習に対する質問を行い続けた。

付記: 円滑なコミュニケーションを図るため、提供による危険性がないと判断された日本の16世紀前後に関する簡単な資料が提供された。SCP-1785-JP-B-8は絶叫した後、資料を携えて即座にSCP-1785-JP-A内部に入り、消失した。

個体 SCP-1785-JP-B-19

個体名: 不明(名乗らず)

外見上の種: イエイヌ(Canis lupus familiaris) ラブラドールレトリバー

概要: 出現後、職員を罵倒し続けた。また、収容チャンバー内に排泄を行った。

付記: 罵倒の内容から、過去に財団の実験に使用され行方不明になっている個体と推定された。排泄物は回収された。

個体 SCP-1785-JP-B-19

個体名: 不明(名乗らず)

外見上の種: ニホンオオカミ(Canis lupus hodophilax)

概要: 一切のコミュニケーションを行わず、担当した職員を凝視し続けた。

付記: 職員は数時間にわたりコミュニケーションを試みたが、SCP-1785-JP-B-19は一切応答しなかった。

個体 SCP-1785-JP-B-31

個体名: ラスティ・ブッシュシーカー

外見上の種: ヤブイヌ(Speothos venaticus)

概要: 王立特異研究機関の斥候を名乗る個体。人間の調査に来たと主張した。

付記: SCP-1785-JP-B-31の発言から、グレートブッシュドッグ王国なる領域内に存在する多数のアノマリーの特性が示唆された。対応した職員が機密情報の取り扱い方について質問すると、SCP-1785-JP-B-31は今までの発言を忘れるよう要求した。要求は却下された。

追記2: 2022/12/11、SCP-1785-JP-Bの出現数が極端に増加しました。以前は1日1個体を超えることはありませんでしたが、2022/12/11には10個体以上の出現が確認されています。

追記3: 2022/12/12、SCP-1785-JP-B-201へのインタビュー内で出現数の増加の原因と考えらえる事柄が明らかになりました。以下はその抜粋です。

インタビュアー: 若葉博士

インタビュー対象: SCP-1785-JP-B-201

<抜粋開始>

若葉博士: それにしても最近、グレートブッシュドッグ王国からこちらに来られる方がとても増えました。あなたは何かこの原因をご存じですか?

SCP-1785-JP-B-201: ええ!? 知らないのかい? フィリップ・ヘイブッシュの新作!

若葉博士: 申し訳ありません、存じ上げておりません。説明して頂けますか?

SCP-1785-JP-B-201: あなたたち、彼の新作"ストレンジ"に出てくるノブナガ・ムサシのモデルだろ? 旅行会社のフライヤーにも書いてあったよ、ほら。

若葉博士: ……このフライヤー、頂いてもよろしいでしょうか?

SCP-1785-JP-B-201: どうぞどうぞ。

<抜粋終了>


SCP-1785-JP-B-201から得られた旅行会社の広告フライヤーの内容は以下の通りです。

~不思議の国への招待状~
あの"ストレンジ"の世界を体感しよう!

皆さんご存じ、フィリップ・ヘイブッシュ最新作"ストレンジ"。
彼はこの旅で出会った"奇妙な"生物からインスピレーションを得た!
あなたも彼が見た景色を見て、彼が感じた驚きを感じましょう!

・危険は一切なし! "奇妙な"生物はあなたには触れられません!
・言語の不安なし! "奇妙な"生物はあなたのために言葉を習得!
・退屈も一切なし! "奇妙な"生物はあなたの話に興味津々です!

日帰りから気軽に楽しめる異世界旅行を非常にリーズナブルな価格でご提供!
フィリップ・ヘイブッシュファンだけでなく、刺激を求める方にもお勧めできます!
何かに悩む方も、奇妙な生物のアドバイスや不思議なセラピー効果で前向きに!
フォックストロットトラベルがお送りする、他社では味わえない唯一無二の旅です!

日帰りプラン 3000Vからご案内可能
 1泊プラン 8000Vからご案内可能

※予約状況により、料金が変わる可能性がございます。ご了承ください。


フォックストロットトラベル
ブッシュワーカーズストリート3丁目12番地
グレートブッシュドッグ王国認定旅客業第00091号

SCP-1785-JP-Bが創作物から基底世界や人類に対して誤った印象や知識を得ている可能性を受け、SCP-1785-JP-Bの持つそれらの情報に対する訂正の必要性が議論されました。結論として、財団や人類に関しての知識を持つと思われる個体が存在する中で、不正確な理解が広まっている現状は保安上有用に作用する可能性もあるため、現段階では訂正は不必要と判断されています。

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