SCP-1795-JP
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発生民家を覆うバラ

アイテム番号: SCP-1795-JP

脅威レベル:

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1795-JPが発生した民家は、直ちにフェンスで封鎖します。民家の住人は代用の住居に転居させ、以下の設定で記憶処理を行います。

1. 元の住居は映画撮影のために、財団フロント企業「ザ・シリーキャット・ピクチャーズ」フランス支社に貸し出している。

2. 影響男児は療養のため入院している。デリケートな精神障害のため、面会謝絶状態。

異常空間内部への進入には、研究主任の許可が必要です。影響男児や人型実体群とコミュニケーションを取る場合は、手順-1795-JP-宮廷作法(別紙参照)の事前習得が推奨されます。

SCP-1795-JP消滅後、影響男児には記憶処理を施し、発生民家は住人に返却します。

説明: SCP-1795-JPはフランス共和国内に存在する民家、およびその住人に発生する異常現象です。財団が把握している限り最古の発生例は1869年であり、以来約1~5年に1回のペースで発生し続けています。複数同時に発生したケースはありません。SCP-1795-JPが発生し得る民家の条件は以下の通りです。

1. 住人が居住中である。
2. 住人がフランス国籍である。
3. 住人の中に10歳の男児が存在する。

SCP-1795-JPが発生した民家(以下、発生民家)は、以下のような影響を受けます。また、影響は時間経過と共に変化していきます。

ステージⅠ(発生直後~約10日)

1. 異常なバラの発生 発生民家周辺の地面から約300~1000本のバラが生え始め、数十秒で開花段階まで成長します。外見的には一般的な園芸品種ですが、異常な耐久性を備えており除去やサンプル分析は成功していません。バラは正面玄関を除く発生民家全体を覆い尽すため、以降内部への侵入は正面玄関からのみ可能になります。

2. 発生民家内部の異常空間 発生民家の内部は、建物の内部の外見をした異常空間に置換されます。サイズは約100m×50m×10m、間取りや室内装飾等の細部は毎回異なりますが、概ねバロック建築にカテゴライズされるもので、専門家は非常に精巧で高価なものと評価しています。窓の外には噴水や生垣を備えた庭園が広がっていますが、窓枠が未知の原理で固定されているため探索は成功していません。

3. 男児の人格再編・異常能力の付与 10歳の住人男児(以下影響男児)は人格・記憶を再編され、自分がフランスの国王であると思い込み、振舞うようになります。コミュニケーションは可能ですが、一方的かつ定形的な発言しかしないため、有用な情報は引き出せていません。空間外へは出ようとせず、説得にも応じません。対象を正面玄関前へ空間転移させる・異常なバラによる障壁を形成する等の能力を備えており、強制的に連れ出す試みも成功していません。

4. 人型実体の出現 異常空間内には総数不明の人型実体が存在します。近世フランス宮廷の貴族や使用人の服装をしており、影響男児の世話を行います。壁や床を透過して出現する、物品を出現させる等の能力を備えます。コミュニケーションは可能ですが、一方的かつ定形的な発言しかしないため、有用な情報は引き出せていません。

ステージⅡ(発生から約10日~約15日)

1. バラの変化 発生民家を覆うバラが、部分的に枯れ始めます。

2. 異常空間の変化 窓の外の様相が、近世パリの市街地に酷似したものへ変化します。複数箇所で火災が発生しており、激しい怒号や砲撃音が上がっています。

3. 影響男児の変化 窓の外の状態を"革命"と認識しており、人型実体群を指揮して鎮圧しようと振る舞います。実際に行っているのか、演技なのかは判明していません。

4. 人型実体群の変化 人型実体群の服装が、近世フランス宮廷の近衛兵のものに変化します。影響男児の命令に従い、偵察や状況報告等を行っているように振る舞います。実際に行っているのか、演技なのかは判明していません。

ステージⅢ(発生から約15日~約18日)

1. バラの変化 発生民家を覆うバラ全体が、枯死した状態になります。

2. 異常空間の変化 異常空間の外見がサイズ10m×5m×3mの石壁の部屋に変化します。壁や木組みの破片が散乱しており、家具は質素なテーブルや椅子のみです。窓の外には荒野が広がっており、無数のギロチンが立ち並んでいます。

3. 影響男児の変化 服装が粗末な物に変化し、国王であると主張しなくなります。肉体的・精神的に衰弱した様子で、掃除などの作業をして過ごします。異常能力は失っており、夫婦の人型実体(後述)の虐待に対しても無抵抗です。

4. 人型実体群の変化 人型実体群が2体のみになります。服装は近世フランスのごく一般的な市民のものです。影響男児の義父とその妻として振る舞い、躾と称して様々な虐待を加えます。ステージⅡまでの影響男児と同じ能力を持ち、特に虐待を阻止しようとすると確実に空間転移させられます。

ステージⅣ(発生から約18日)

1. 現象消滅 全ての影響が消滅し、発生民家はSCP-1795-JP発生以前の状態に戻ります。影響男児も発生前の状態で民家内に現れますが、人格改変中の記憶が僅かに残っており、しばしばPTSD発症の原因になります。同一の民家で再びSCP-1795-JPが発生した例はありません。

異常空間探査・インタビューログ: 全ログは研究本部のサーバーに保管されたファイル1795-JP群を参照して下さい。

ログナンバー: 1795-JP-log/11

日付: 196█/██/██(発生から約47時間後)

探査人員: 機動部隊デルタ-7("憲兵隊")、████・████氏(影響男児の父親、影響男児の説得のため同行)


〈省略〉

ダミアン隊員(デルタ-7隊長): こちらダミアン、異常空間に侵入した。███君は……いた。見えるか?(15:33:32)

[テーブルクロスが引かれた巨大な食卓で、影響男児が食事を摂っている。貴族の服装をした実体群が同席し、使用人の服装をした実体群が給仕している]

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室内装飾の例

使用人の服装をした実体: 本日のメインは、鴨肉のロティでございます。(15:33:39)

[実体が料理の盛られた皿を出現させ、影響男児の前に置く]

████氏: ███! 得体の知れない物を食べちゃいかん!(15:33:44)

ダミアン隊員: ████さん、前に出ないで!(15:33:48)

貴族の服装をした実体: これ平民! 拝観は許すが、静かにせい。(15:33:51)

影響男児: 良い良い、食事は賑やかに摂るものよ。おお、そうだ。楽団、音楽を!(15:33:55)

[床から楽器を持った人型実体群が現れ、モーツァルトの交響曲第41番を演奏し始める]

影響男児: 踊れ、宮廷のバラたちよ!(15:34:08)

[壁から夜会服とドレスを着た人型実体群が現れ、バロックダンスを踊り始める]

影響男児: 皆、大いに楽しめ! 我がフランスの栄光よ、太陽のごとくあまねく照らせ!(15:34:15)

████氏: ███! ███! パパだよ! 思い出しておくれ!(15:34:15)

影響男児: [立ち上がる]何を申すか! 余の父親は亡き前王だけぞ。衛兵、この不届き者を引っ立てい!(15:34:20)

[影響男児が████氏を空間転移させる]

ダミアン隊員: 同行者が失礼しました、どうぞお許し下さい。(15:34:27)

影響男児: まったく、王族詐称は本来なら死罪であるぞ。この程度で済んで感謝せい。(15:34:32)

ダミアン隊員: 寛大なご処置、感謝致します。ところで、ぜひ陛下にお尋ねしたいことがございます。(15:34:38)

影響男児: 何じゃ? 官職の空きなら、大臣に訊くが良い。(15:34:42)

ダミアン隊員: いえいえ、そうではございません。恐れながら、陛下のご尊名をお伺いしたく……。(15:34:46)

影響男児: [立ち上がる]フランスに、いや世界に、我が名を知らぬ者などおるものか! 衛兵、この不届き者を引っ立てい!(15:34:51)

[影響男児がダミアン隊員を空間転移させる]

〈省略〉


付記: この後タウ-7の隊員たちが麻酔銃による影響男児の確保を試みたが、バラの障壁に阻まれ失敗、隊員全員が空間転移させられた。以降、影響男児を強引に連れ出す試みは、推奨されていない。


 
 
 
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