SCP-1843
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財団施設で実験中のSCP-1843とSCP-1843-1個体群。

アイテム番号: SCP-1843

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-1843は保管サイト-12のSafeクラスSCP棟にある大型収容倉庫に保管されます。ヒツジ属(Ovis)の標本は、SCP-1843の収容地点から少なくとも2.5km引き離しておく必要があります。半径2km圏内で発見された標本は、SCP-1843の効果範囲から最小でも700m離れた距離まで移動させるか、必要に応じて終了されます。SCP-1843-2の死亡個体は検査した後、個別の極低温冷凍庫に収容しなければいけません。

ヒツジ属の標本を用いた制御下の実験は屋外で実施されるべきであり、少なくとも1名のレベル4職員の承認が必要です。

説明: SCP-1843は起源不明(おそらく地球外由来)の、多面形状1をした中空の構造物です。SCP-1843は主にシリコン・鉄・ポリスチレンで構成されています。SCP-1843は高さ1.50m、幅1.50m、内部に何も入っていなければ重量およそ500kgです。SCP-1843は面の一つに付いている小さな金属ドアを開ければ中に入る事が出来ます。

SCP-1843の異常性質は、半径2km以内に存在するヒツジ属の生物(以下、SCP-1843-1)に影響を及ぼすことのみです。SCP-1843-1個体は、概ね雄の成獣と雌の若齢個体から成る5~10匹の群れを作って、SCP-1843の元へと移動します。SCP-1843-1個体は通常よりも敵対的な様子を見せますが、一般的なヒツジ属を超える体力を帯びてはいません。

SCP-1843の元へ到着すると、SCP-1843-1個体群は、以下でSCP-1843-A事象と呼称する“儀式”を執り行います。SCP-1843-A事象は通常暴力的な性質を帯びており、一匹の若い雌(以下、SCP-1843-2)が生贄として殺害されることになります。これは、SCP-1843-1個体が蹄でSCP-1843-2の頭蓋骨を踏み潰す、或いは繰り返し角で突くことにより達成されます。ごく稀に(<2%)、SCP-1843-1個体がSCP-1843-2に対する共食い行為に及ぶ例が観察されています。この後、高齢のSCP-1843-1個体が、SCP-1843-2の死骸をSCP-1843の内部に配置します。

SCP-1843-A事象が終了すると、全てのSCP-1843-1個体はSCP-1843に対して頭を下げた後、散会します。SCP-1843-A事象に参加したSCP-1843-1個体は、依然として異常効果の範囲内にも拘らず、SCP-1843から500m離れた時点で一切の異常な振舞いを見せなくなります。

SCP-1843は2010/██/██、金属物体が農村地帯に墜落したという通報に続いて、ドイツの█████から回収されました。2週間の捜査の後、SCP-1843は█████において、主に家畜種ヒツジ(Ovis aries)と野生のムフロン(Ovis musimon)から成る数匹のSCP-1843-1個体に“崇拝”されているのを発見されました。当時SCP-1843の内部には14匹の若齢Ovis ariesおよび5匹の若齢Ovis musimonの死骸が収められており、これらは現在も他のSCP-1843-2個体の死骸と共に収容されています。

補遺1843-1: 実験ログ1843-13-Fからの抜粋

実験ログ1843-13-F - 2010/██/██

対象: 家畜種ヒツジ(Ovis aries) 7匹; 雄の成獣4匹、雌の若齢個体3匹。以下、SCP-1843-1-26から-32とする。
手順: 敵対的な反応を避けるため、全個体は車両でSCP-1843の元へ輸送された。個体群は問題なくSCP-1843へ接近した。
結果: SCP-1843-A事象が開始。高齢の個体たちがSCP-1843の周囲で円を描くように“踊り”始め、より若い雄個体たちがこれに続く。雌個体たちは事象全体を通して甲高い声を発し続ける。ダンスは20分15秒後に終了。若い雄たち(SCP-1843-1-28および-29)が、1匹の雌(元SCP-1843-1-31、以下SCP-1843-2)を強制的にSCP-1843の正面に横たえさせる。高齢個体(SCP-1843-1-26)がSCP-1843-2の頭蓋骨を踏み砕いて殺害し、死骸をSCP-1843に収める。この時点で、SCP-1843-26は2分間にわたる叫び声を上げ、その後に全個体はSCP-1843に一礼して収容車両へと帰還した。
分析: あの“叫び”はSCP-1843-1-26がドイツ語を話そうと試みていたのだと認識されています。レベル3のクリアランスを持つ職員は、文書1843-12-ADで更なる情報を参照することが可能です。

補遺1843-2: 文書1843-12-AD.

翻訳者注記: 以下はSCP-1843-1-26'の発声を解読するための簡潔な試みです。しかし、この発話は概ねヒツジらしいメェメェと言う鳴き声と早口のドイツ語で構成されていたので、訳は大凡のものに過ぎません。

SCP-1843-1-26: 我らが主よ、緑を食むもの全ての神、恐怖を拭い去ってくださる者よ、我らに平和をお授けくだされ。我らはこの処雌を捧げます、我らの群れが貴方様の降臨以来上げている[不明、“嘆願”?]の声をお聞きくださいますようにと。(SCP-1843-1-26は一文の終わりごとに10秒の間を取った。)

SCP-1843-1-26: 最初の毛が生えて以来、我らを苦しめている[不明]から我らを解放してくだされ。

SCP-1843-1-26: [不明]は我らが恐怖の内に生きてゆくことを強いております。

SCP-1843-1-26: [不明]は我らが寒さの中に暖を取ることを拒絶し、我らから暖かさを奪い去りました。

SCP-1843-1-26: もし貴方様が我らの[助力者(?)、救世主(?)]ならば、この処雌を供物として受け入れ、[不明]を滅ぼしてくだされ。

補遺1843-3: 実験ログ1843-13-G概要

2010/██/██、他6匹のSCP-1843-1個体と共に、SCP-1843-1-26は再びSCP-1843に曝露しました。SCP-1843-1-26はSCP-1843-A事象に加わろうとせず、繰り返し自らの角でSCP-1843に頭突きを行いました。この間、SCP-1843-1-26は一度だけ、“lügner” ― ドイツ語の“嘘吐き” ― とも聞き取れる鳴き声を発しました。

SCP-1843-1-26はその後、SCP-1843-2の代わりに、他のSCP-1843-1個体群によって殺害されました。本稿執筆時点では、この種の振舞いを見せたのはSCP-1843-1-26のみです。

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