SCP-1845-JP
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アイテム番号: SCP-1845-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1845-JPから半径1kmの範囲はカバーストーリー「土砂災害警戒区域」を適用させて民間人の立ち入りを禁止します。立ち入り禁止区域は警察官に扮した職員が巡回します。

SCP-1845-JPの内部にも職員を常時10名を巡回させ、異常物品の出現を確認します。出現が確認された場合は早急に財団本部に連絡し、回収部隊を派遣します。

説明: SCP-1845-JPは神奈川県██市に存在するサーカステントです。外観と異なり内部は広大な空間が広がり総面積は約1km2です。SCP-1845-JP内には大小50もの部屋が存在し、各部屋内は様々な環境、天候が再現されています。SCP-1845-JPの主な異常性は全世界から人に使用されていない傘を転移するというものと、内部に存在する傘に運動能力を付与するというものです。影響を受けた傘をSCP-1845-JP-Aと指定します。

SCP-1845-JP-Aは知性があるように振る舞います。SCP-1845-JP-AはSCP-1845-JP内の各部屋で演芸をします。演芸の種類に法則性はなく、様々な国、時代のものを行っています。SCP-1845-JP-Aは自身が演芸を行わない時は観客として観覧しています。SCP-1845-JP-Aに発話能力はないものの、動作によりSCP-1845-JP-A同士での意思疎通は行われています。またSCP-1845-JP-Aは人からのアクションがない限り干渉はしてきません。

探査記録


日付: 20██/██/██
探索担当: D-1845-1
対象: SCP-1845-JP


<記録開始>

D-1845-1: 中はサーカス、いやお祭りって感じで賑わっていますね。

司令部: そうですね、まず誰でもいいので会話をしてみてください。

D-1845:1: 傘相手に……ですか?えーと、あの、すみません。ちょっとお話したいのですが。

D-1845-1は近くにいたSCP-1845-JP-Aに話しかける。SCP-1845-JP-Aは会話に反応し、生地部分を緩やかに開閉させた。

D-1845-1: えーと、すみません。こちらから話しかけてなんですが、私にはあなたの言うことがよく分からなくて。

司令部: 仕方ないですね、謝罪した後にひとまず進んでください。

D-1845-1: 分かりました。すみません、また今度お話できる機会があれば、その時にでも。

話しかけたSCP-1845-JP-Aは軸部分を少し縮めた。

司令部: それではどこかの部屋に入って中の様子を伝えてください。

D-1845-1: 分かりました、じゃあここに。看板には"マジックショー"ってありますね。

司令部: 入ってください。

D-1845-1: はい、それでは失礼して。あ、お金とかはいらないんですね。

部屋内は薄暗い中、前方のステージのみが照らされていた。そのステージには黒いSCP-1845-JP-Aが手元に紐付きの箱を引っ掛けた状態で直立していた。観客席には20本のSCP-1845-JP-Aがいた。

D-1845-1: 今さらながら、傘立てもないのに傘が立っているのは不思議ですね。

ステージ上のSCP-1845-JP-Aは箱の中から小さな傘のアクセサリーを投げ出し開いた状態の生地部分で受け止めた。その後閉じて再び開けるとアクセサリーは消失していた。すると観客席のSCP-1845-JP-Aは激しく開閉させた。

D-1845-1: あれが拍手ってことなんですかね。それにしても面白いマジックだ。

その後もアクセサリーの再出現、個数の増加などのマジックを披露した。ステージ上のSCP-1845-JP-Aは一旦短くし、再度伸ばした後に退場した。観客席のSCP-1845-JP-Aは激しく開閉させた。

D-1845-1: いやぁ、面白いものを見たなぁ。

司令部: それでは別の部屋に移動してください。

D-1845-1: 分かりました。

退出したD-1845-1はしばらく歩き"サーカス・オブ・アンブレラーズ"と書かれた看板の部屋の前で立ち止まった。

D-1845-1: ここに入ろうと思います。

司令部: はい、念のため注意は怠らないように。

D-1845-1: 分かっていますよ。

D-1845-1が入室した時点で演目は始まっていた。多数のSCP-1845-JP-Aが連なって紐によりぶら下がっていた。

傘.jpg

空中での集団芸を披露するSCP-1845-JP-A群

D-1845-1: おおっ、これはすごい。これは壮観ですね。

ぶら下がったSCP-1845-JP-Aが一斉に紐を使って振り子運動をし始めた。その最中に紐から離れたSCP-1845-JP-Aが別の紐に再度ぶら下がる芸が続いた。

D-1845-1: 空中ブランコですかね。傘を開いて落下速度を調整したりしてすごい見ごたえありますよ。おっと、終わったみたいですね。ああ、でも別の準備をしていますね。

部屋の中央の高所に1本の縄が張られ、端にある台座に1本のSCP-1845-JP-Aが直立していた。その後SCP-1845-JP-Aは生地部を開いた状態で縄を渡り初めた。途中でよろめくことはあったものの、SCP-1845-JP-Aは渡りきった。その瞬間観客席のSCP-1845-JP-Aも一斉に激しく開閉した。

D-1845-1: いやぁ、すごくハラハラしましたけど、いいものを見られました。

司令部: ……それでは別の部屋に向かってください。

D-1845-1: そうですね、これは次も楽しみです。

司令部: これは遊びではないことは理解していますよね。

D-1845-1: ……これは失礼しました。

再度D-1845-1は歩き始めると"日本の伝統舞踊"と書かれた看板の部屋を見つけた。

D-1845-1: ここに入ってみます。

司令部: 分かりました。

D-1845-1が入室するとちょうど演目が始まる時であった。ステージ横から和傘のSCP-1845-JP-Aが多数登場した。SCP-1845-JP-A群は開いた状態で回転を初め、規則正しい集団行動をし始めた。

和傘.jpg

和傘のSCP-1845-JP-A群

D-1845-1: 妖艶って感じですかね。見ていてうっとりしてしまいそうです。

ステージの照明が薄暗くなり、一部の間接照明のみになった。ステージ上のSCP-1845-JP-Aは先端から水を出したり畳んだ折り畳み傘を自身の上で回転させるなどの芸を行った。最後にはすべてのSCP-1845-JP-Aが集合し開いた状態で幕が下がった。

D-1845-1: 綺麗だったなぁ。傘の種類で変わるんですかね。

司令部: それは後々の調査項目に追加しておきます。それでは別の部屋に移動してください。

D-1845-1: 分かりました。って、何か気になる看板があります。

司令部: 映してください。

D-1845-1: はい、えーと……"見世物小屋"ってありますね。あんまり悪趣味なのはいやだなぁ。

司令部: 気になりますね、入ってください。

D-1845-1: ……はい。あ、看板の下に小さく何か書いてますね。

司令部: なんと書いてあるのでしょうか。

D-1845-1: えーと"空の涙で奏でる少女"ですね。

司令部: ……少し気がかりです、早急な確認をお願いします。

D-1845-1: はい。

入室した部屋には中央に開いた状態のビニール傘が置かれてあった。その上からは恒常的に雨が降っていた。ビニール傘からは練習曲作品10第3番ホ長調が流れていた。

司令部: 今収容違反記録にと照合させています。D-1845-1はその場で待機してください。

D-1845-1: は、はい。

照合の結果、確認されたビニール傘は探査日の数日前に原因不明の消失事案が発生したSCP-548-JPであると確認された。

司令部: 今回の探査は終了です。帰還してください。

D-1845-1: 分かりました。

<記録終了>


探査後にSCP-1845-JPに向けて武装職員を派遣。SCP-548-JPを再回収した。これを受けて、傘状の異常物品の収容違反の可能性を考慮した特別収容プロトコルを制定した。

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