SCP-187-FR
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SCP-187-FRの握りの細部。

アイテム番号: SCP-187-FR

脅威レベル:

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-187-FRは、内壁を吸音材で覆った1m x 0.1m x 0.1mのケースの中に保管しなければならず、このケースは低周波音を吸収するパターンで壁面を覆った2m x 2m x 2mの無響室に配置されます。どのような施設もこの部屋の周囲30メートル圏内に存在してはならず、またこの部屋は30メートルの深さに埋設されている必要があります。いかなる職員も、収容室の20メートル以内に接近することは許可されていません。

対象SCP-187-FR-01が発生した場合、対象は制圧されてSCP-187-FRから遠ざけられ、拘束下に置かれることになります。唯一保安職員のみが対象SCP-187-FR-01を制圧する権限を有します。

SCP-187-FRを操作する必要性が生じた場合、この操作は遠隔操作ドローンを用いて行わなければなりません。

これらの収容プロトコルは毎月変更されることがあります(補遺-187-FR-01参照)。

プロトコル最終更新日: 2016/11/17

説明: SCP-187-FRは未知の赤い宝石で装飾された、鋼鉄と金メッキ銀製の18世紀末の指揮棒です。当オブジェクトの寸法は、長さ96センチメートル、直径2センチメートルです。

SCP-187-FRは、定義上人間の耳には聞き取ることの不可能な振動数14Hzの超低周波音を、半径20メートル圏内に常に発しています。低周波音の生成装置やエネルギー源がオブジェクト内部に一切発見出来なかったことから、この低周波音の源は不明です。この低周波音のおそらくは極めて異常な性質のために、防音装置の設置はごく限られた効果しかありませんでした。事実この低周波音は、その力学的な波の性質にもかかわらず、真空中で伝播することが可能です。この現象は未だその原理が解明されていません。逆位相の波を利用して、生成された低周波音を相殺するための破壊的な干渉の使用も失敗に終わりました。

この低周波音の射程内にいる全ての人間は、曝露から5分以上が経過すると不快感を感じ始めます。この不快感は、胸郭や頭蓋骨、眼窩、内耳の内部における「強い振動」であると、被験者によって描写されています。この振動の激しさとそれに伴う不快感は、曝露期間が長引くほどに増大します。被験者はまた、耳の中の振動が次第に、大抵の場合かえって「心地良い」と描写される旋律へと変化していくことを報告しました。この振動は、一般的に曝露から15分後に、「激しい痛み」や、さらには「耐え難い」ものになるまで増大し続けます。この期間を通じて曝露者は、SCP-187-FRを手に入れることへの次第に強くなる欲求を感じます。たとえ対象が本来はオブジェクトの場所を知らなかったとしても、オブジェクトを回収出来るよう位置を突き止めることが可能になることに注意して下さい。

曝露から15分が経過した対象は、一時的な譫妄に似たトランス状態に陥り、「指揮者」を自認するようになります。このような対象はSCP-187-FR-01に指定されます。何人もの被験者が、同時に15分間以上SCP-187-FRに曝露した場合、対象SCP-187-FR-01はただ一人だけ発生します。このトランス状態にある時、SCP-187-FR-01は外部からのあらゆる刺激に無感覚となり、SCP-187-FRを回収するべく自身に可能なあらゆることを行います。生存のための反射や恐怖心、痛みを感じる能力などは完全に抑制されてしまい、これが対象を危険な状況に赴かせ、対象に怪我を負わせたり、さらには自らの死にまで至らしめることとなります。対象SCP-187-FR-01は血液と[データ削除]の60%を喪失しても、SCP-187-FRに向かって走行可能であることが確認されています。SCP-187-FRを回収する前に対象SCP-187-FR-01が殺害された場合、これらの効果は消失し、オブジェクトは10分間不活性化します。

対象SCP-187-FR-01がSCP-187-FRを回収することに成功した場合、対象は直ちに他の人間を探し始めます。指揮棒が「指揮者」の手元にある時、その効果は著しく増大し、僅か20秒の曝露が、SCP-187-FR-01のそれに似たトランス状態へと人間を追いやるに足るものとなります。これらその他の被験者たちは「オーケストラ」を自認し、またSCP-187-FR-02に指定されます。これらの被験者はSCP-187-FR-01が向かうあらゆる場所に付き従うようになり、同時に楽器の捜索を開始します。SCP-187-FR-01と同様に、これら被験者の本能は抑制され、楽器を見つけるために自らの全力を尽くします。SCP-187-FR-01は、15人から約80人まで、様々な数の「音楽家たち」から成る「オーケストラ」が完成するまで、他の人間を探し続けます。ひとたびSCP-187-FR-02が全員揃い(規模は不確定)ながらも、「音楽家たち」が一人も楽器を発見出来なかった場合、SCP-187-FR-02は臨時の楽器を生成し始めます。被験者は大抵、楽器の製作に必要な材料を見つけることが出来ず、多くの場合[データ削除]を開始します。また被験者SCP-187-02は痛みに対して無感覚となり、負傷に対して異常な耐性を発揮します(インシデント-187-FR-01参照)。SCP-187-FR-01が殺害されても、被験者SCP-187-FR-02が既に存在している場合、これら被験者の内の一人が最初のSCP-187-FR-01に取って代わることとなります。

ひとたびSCP-187-FR-02が全員揃い、楽器を持った各被験者によりオーケストラが構成されると、SCP-187-FR-01の指揮の下に未知の楽曲を演奏し始めます。またこの時からSCP-187-FRも、付近にいるその他の「健全な」人間に影響を及ぼさなくなります。演奏される楽曲の種類と長さは見たところランダムに変化し、短い協奏曲から何時間もの交響曲までを範囲とするほか、18世紀末以降に存在したあらゆる芸術音楽の様式が表現されます。作品が演奏されている間を通じて、全ての被験者は絶対的な平静を保っており、また外部からの刺激に対して無感覚となります。ひとたびコンサートが幕を閉じると、全ての被験者はトランス状態から脱して意識を取り戻し、負傷に対する耐性も心許ないものとなります。コンサートが終了すると、SCP-187-FRは以後10分間低周波音を発しません。

トランス状態にある間を通じて、オブジェクトの影響を受けている全ての被験者が絶対音感を備えていることに注意して下さい。またSCP-187-FRの使用時に制作される全ての楽曲は、観客からは「とても美しい」と、また音楽学者からは「複雑にして、客観的にも質の高いもの」であると評されます。

インシデント-187-FR-01の後、オブジェクトの起源を突き止めるために調査が継続されました。オブジェクトの前所有者であったジャン=バティスト・デュ・クレストは、事件の翌日に姿を眩ましており、財団は尋問を行うことが出来ませんでした(対象はブラックリストに登録 - 捜査優先度Bravo)。

補遺-187-FR-01: SCP-187-FRの最初の収容から一ヶ月後、オブジェクトが生成する低周波音の効果範囲が約1メートル増大し、収容プロトコルが改訂されました。毎月約1メートル増大する形で、低周波音の効果範囲が拡大し続けていることが次第に明らかになりました。またインシデント-187-FR-02により、「コンサート」後の、オブジェクトが低周波音を生成しなくなる期間が、効果範囲の増大と同時に減少していることが証明されました。

現在財団により認められている仮説は、SCP-187-FRが頻繁に使用されるほど、その効果範囲が減少し、また「回復期間」が増大するというものです。反対にオブジェクトが使用されなければ、効果範囲は増大し、「回復期間」は減少します。オブジェクトの使用を一切禁じることを目的とした現在の収容プロトコルでは、効果範囲は増大し、「回復期間」は依然として減少します。またこの仮説は、ジャン=バティスト・デュ・クレストが、事故の惧れなく容易にオブジェクトを使用出来た理由についても説明するものと思われます。

SCP-187-FRはサイト-██からサイト-Alephに移送されました。研究チームならびにサイト管理者は現在、当オブジェクトの新たな収容プロトコルを計画中です。

私たちは今、ジレンマの只中にある。このオブジェクトの効果範囲の拡大が停止する見込みはない。余りにも大規模な拡大は、明らかに壊滅的な結果をもたらすだろう。また収容プロトコルの月毎の更新は、 サイト-Alephにとって馬鹿にならないものとなる。私たちは、前のものより大きな収容室を新たに際限なく建造することは出来ないのだ。収容スペシャリストのシャルモ氏は、極めて画期的な収容方法を提案した。自傷行為を防止するために楽器を用意しておいて、Delta達をオーケストラとして利用するというものだ。このようにして定期的な「コンサート」を実施すれば、効果範囲は改めて減少することだろうが、Alephの管理部門がこの計画に反対することは明らかだ。これは金銭と人員の両面で高くつく - 一切の危険を冒すことなく、80人のDelta達を使用しなければならないのだから。だが私が危惧しているのは、いつの日か80人のDelta達による定期的なオーケストラの費用が、相も変わらずより大きな収容室のそれを下回るようになることだ…
- デルヴァイエ博士、SCP-187-FR研究チーム主任

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