SCP-1881-JP
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アイテム番号: SCP-1881-JP

オブジェクトクラス: Safe Neutralized

特別収容プロトコル: SCP-1881-JPはサイト-81██の低危険物収容ロッカーに保管されます。SCP-1881-JPは収容過程または実験中に破壊された26個を含め、現在800個が収容下にあります。1995/01/08に全てのSCP-1881-JPはその異常性が喪失したと見なされ、オブジェクトクラスがNeutralizedに変更されました。

説明: SCP-1881-JPはステンレス製のプレートブレスレットです。一端のプレートには"東弊重工"の刻印がなされており、ブレスレット内部にはβ-06型認識災害ベクター1とその接触分解機構が組み込まれています。SCP-1881-JPを直接視認した人物(以下、対象と表現する)は軽度の生理的疲労感を訴えます。この認識災害は4~20か月間SCP-1881-JPの視認を避けるか、Aクラス記憶処理を行うことによって除去されます。しかし、前述の接触機構分解が内蔵されているため、SCP-1881-JPを着用することによっても即座に除去されます。
この結果、対象は「SCP-1881-JPを着用することで自らの健康状態が解消された」と思いこむようになり、対象によっては友人・知人などにSCP-1881-JPの着用を薦める傾向にあります。

物質に組み込んで安定化したβ-06型認識災害ベクター、およびその接触分解機構は、財団では7~9年が耐用年数として定義されています2。しかしながら、SCP-1881-JPについてはこれらの機構の耐用年数は5~8か月程度だと見積もられています。この理由として、主にSCP-1881-JPの内部構造の一部に大量生産を前提とした簡易化がなされていることや、内部素子の希少金属が性能の低い合金で代用されていることが挙げられます。SCP-1881-JPは1994/04/02~1994/04/22に、関東地方ローカルのテレビ局[編集済]のテレビショッピングにおいて「Dimitory 最高級品質ゲルマニウムブレスレット」という商品名で販売されていたことが確認されています。期間内に販売されたSCP-1881-JPは528個が確認されており、流通経路を解析して回収が進められています販売された全てのSCP-1881-JPの回収に成功しました。

補遺: 1994/04/22、財団の渉外部宛に販売されていたSCP-1881-JPのサンプルとその簡易報告書、SCP-1881-JP回収の依頼文の同封された小包が送られてきました。以下はこれらの関係資料です。

 資料1: 販売されていたSCP-1881-JPに同封された説明書
 

この度は本商品をお買い上げいただき誠にありがとうございます。
この説明書ではブレスレットの効能の説明や使用上のご注意などを説明させていただきます。

純度99.99%!! 驚異の高純度ゲルマニウム
本商品は純度99.99%の有機ゲルマニウムを利用しており、錆びにくく、軽く、丈夫で上品な色合いを演出します。さらに、2種類の効果があなたの健康と美貌をサポートします。

・有機ゲルマニウムイオンが体内に浸透、循環します。これによって体内の酸素循環の活性化を促し、老廃物を体外に排出するデトックス効果が働きます。
・人肌で温めることによりブレスレットから微弱なマイナスイオンが発生します。マイナスイオンは生体電流に作用し、神経への負荷を緩和します。

こんな方には特にオススメ!!
疲れが気になる方、便秘気味の方、肩こり・頭痛にお悩みの方、生理痛にお悩みの方
(それぞれの症状に悩む人々のイラストが挿入されている)

使用上のご注意
・水に濡らした状態で長時間放置いたしますとゲルマニウムイオン流出の恐れがあります。水や汗でぬれた場合はよく拭き取ってお使いください。
・50度以上の高温下で保管いたしますと、マイナスイオンの過放出によりブレスレットの効果が薄れる恐れがあります。冷暗所で保管してください。
・ブレスレットを強く引っ張ると破損する恐れがあります。無理に力を加えないでください。
(擬人化されたブレスレットが目を回しながら水に流されるイラスト、太陽の下で汗をかいているイラスト、横方向に引っ張られているイラストが挿入されている)

ご質問などあればフリーダイヤル 0120-███-███ までご連絡を!
限定300個! 追加で購入するならイマしかナイ!!

付記: 説明書に記載されていた電話番号は電話秘書代行サービス「██████」のものであることが確認されました。財団は該当団体の買収を行い、SCP-1881-JPに関する情報収集を行っています。また、該当団体との接触記録から、SCP-1881-JPを販売していた母団体の特定、追跡を行っています。
(1994/04/30追記: 販売を行っていた、有限会社「Dimitory」の確保に成功しました。団体責任者へのインタビューは補遺2を閲覧してください。)

 資料2: 要注意団体「東弊重工」関係資料1881-1(1994/04/22)

1994年4月22日


SCP財団
渉外部様


東弊重工業株式会社
渉外部長
樫目 公彦


不良品回収のお願い


謹啓

 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は弊社の事業にご理解とご協力を賜り、篤く御礼申し上げます。

 さて、この度は弊社が悪質な商品を販売しているとのご指摘をいただきましたこと、誠に申し訳なく、深くお詫び申し上げます。該当商品を弊社が販売したという事実は現在確認できず、事実関係が判明次第、改めてご報告申し上げます。商品の情報につきましては、同封しました報告書および回収したサンプルに目を通していただければ幸いです。

 信用問題に関わる以上早急な対応をすべきであり、弊社としても該当商品の回収業務と事情の説明を行っておりますが、人員や時間、ノウハウが不足していると判断しました。そこで、収容に関して高い技術を持つSCP財団様に、可能であれば回収業務の代行をしていただけないかと考えております。突然のことで恐縮でありますが、ご検討いただきますようお願いします。

 まずは略儀ながら、書中をもってお願い申し上げます。

謹白


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

小包や連絡先の解析による東弊重工本拠地の割り出しは失敗しましたが、これらによって財団はSCP-1881-JPの存在を認知し、SCP-1881-JPの収容に向けた活動を開始しました。財団は東弊重工と話し合いを行うことで資料3に示す協力規定を結び、収容を進めることとなりました。

 資料3: SCP-1881-JP収容に関する特別協力規定

一、本規定は、SCP-1881-JPの迅速かつ正確な収容を最大の目的とする。
一、SCP-1881-JP収容活動下における、SCP財団(以下、甲)と東弊重工業株式会社(以下、乙)間での敵対行為を禁止する。
一、SCP-1881-JPに関して得た情報は、甲と乙それぞれの渉外部を通して互いに共有する。
一、甲に所属するエージェントを主体として機動部隊く-10"屑鉄屋"を編成し、SCP-1881-JPの収容を行う。
一、SCP-1881-JP収容活動の必要経費は乙が全面的に負担する。

付記: 本規定は規定が締結された1994/04/25から、収容が完了し東弊重工にその旨の通達を行った1995/01/07まで適用されました。現在は本規定は適用されていない点に留意してください。

補遺2: 1994/04/30にSCP-1881-JPを販売していた企業、有限会社「Dimitory」の発見に成功したため、同日中に機動部隊くー10"屑鉄屋"を動員し確保作戦を実行しました。作戦は無事成功し、全社員7名の確保と未販売の商品在庫である250個のSCP-202-JPを回収することに成功しました。以下は有限会社「Dimitory」取締役である高橋氏に行ったインタビュー記録です。
 資料4: インタビュー記録1881-JP

対象: 高橋 徹

インタビュアー: エージェント・青龍寺

付記: 高橋氏はSCP-1881-JPの他にも健康商法を始めとした複数の悪徳商法に関与していました。高橋氏には、インタビュー後にこれらの案件を含む司法取引を行うことを条件として、正確な情報を話すように指示しています。

<録音開始>

エージェント・青龍寺: 前置きが長くなりましたが、インタビューを始めたいと思います。先日販売していたこちらのブレスレット、どのようにして仕入れたものですか。

高橋氏: それですか。……どこと言われても、ブレスレットに刻印されている通りですよ。

エージェント・青龍寺: しかし東弊重工は製造を否定していますよ。

高橋氏: なるほど。手際や雰囲気が警察やヤクザとは違うと思っていましたが、東弊重工のことまでご存じなんですか。そうですよ。東弊重工への依頼は断られました。私自ら交渉に赴いたのでよく覚えています。「弊社にだって企業理念はある。そんな詐欺まがいの片棒を担ぐことはできない」ってね。連中も全うな企業では無いはずなのに、こちらがゲルマニウムブレスレットの話を切り出すとカンカンに怒りはじめて大変でした。結局別の企業に依頼しましたよ。

エージェント・青龍寺: 話がかみ合いませんね。このように刻印されている通り、東弊重工に受注したのではないのですか。

高橋氏: (目を細めて写真を確認する)なんだって?こりゃあどういうことだ?そんなはずはないぞ。うちは布袋軽工業社とかいうところに発注したんだ。名前は全然聞かないし小さな工場だったが、とにかく早く安く商品をあげてくれるっていうんで、

エージェント・青龍寺: 落ち着いてください。まずは私の質問にゆっくり答えてください。この製品はその布袋軽工業という企業に依頼したもので間違いないですね。

高橋氏: (大きくため息をつく)ええ、そうです。連絡先や来社記録なんかはあなた方が押収した資料の中にあると思うのでご確認ください。製品が出来上がった際に私も確認しましたが、刻印は布袋社のものだったはずです。ローマ字で「HOTEI」ってね。今日も追加受注の商談のために営業が派遣されるはずだったんですが……待ち合わせの時間をもう1時間は過ぎていますね。

エージェント・青龍寺: その人物について分かっていることをお話しください。

高橋氏: 営業は楢崎と名乗る、少し斜視が入った痩せ気味の男です。受注の取引をまとめる際には彼の上司を名乗る、確か大江とかいうラガーマンみたいな体格のいい男も同伴していました。今日来る予定だったのは営業の楢崎だけですが、どうやらあなた方がここに来るのに気づいて自分だけ逃げたようです。念のため聞きたいんですが、彼があなた方に密告して私たちを嵌めたわけではないんですよね?

エージェント・青龍寺: ええ。そのような事実はありません。

高橋氏: そうですか。では司法取引の件について詳しくお話をお聞きしたいのですが、

(以下重要性が低いため省略)

<録音終了>

備考: インタビューにおいて言及された「布袋軽工業」について調査を行いましたが、該当の企業は存在せず、押収した名刺に印刷されていた情報なども全て虚偽のものであることが判明しました。東弊重工の協力のもとで、インタビューの内容、監視カメラの記録確認、書類の筆圧鑑定などの精査を行ったところ、布袋軽工業のエージェントを名乗る楢崎氏は、東弊重工土木建築技術部に所属する蛇島氏という人物であることが判明しました。蛇島氏は1994/04/10に社内で目撃されたのを最後に行方不明であり、彼の担当する廃棄資材がSCP-1881-JPの制作に用いられた可能性が高いことも明らかになりました。

なお、大江氏と名乗る人物が東弊重工に在籍していた事実は存在せず、その特定にも成功していません。現在、両氏の捜索が行われていますが、成果は上がっていません。
高橋氏の証言から、SCP-1881-JPになされていた刻印は本来「HOTEI」であり、それが時間経過によって変化したのではないかと考えられます。東弊重工はこれについて、「弊社の開発した[削除済]腐食機構を応用すれば、十分に可能である」との見解を示しています。

補遺3: 1995/01/18、財団の渉外部宛にSCP-1881-JPに関する資料が送られてきました。以下はその関係文書です。
 資料4: 要注意団体「東弊重工」関係資料1881-██(1995/01/18)

1995年1月08日


SCP財団
渉外部様


東弊重工業株式会社
渉外部長
樫目 公彦


不当表示を含む商品の販売について


謹啓

 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は弊社の事業にご理解とご協力を賜り、篤く御礼申し上げます。

 さて、この度は弊社が販売したとされる商品が不当な表示を含むものであったことについて、ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ありませんでした。当方で原因を調査しましたところ、一部の社員による技術の流出と、それを悪用した如月工務店と名乗る建設業者による、弊社に対する悪質なネガティブキャンペーンが原因であると判明しました。

 お恥ずかしながら、弊社も如月工務店も日本国の憲法、法律に基づく団体では無いため、法廷での係争による解決は望むべくもありません。ですが、今後はこのようなことが無いよう、情報管理の徹底と福利厚生の充実に努めることで、このような事態の再発防止の対策とさせていただく所存でございます。多大なご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。

 略儀ではございますが、取り急ぎ書中をもってお詫び申し上げます。どうか今後とも変わらぬご指導のほどよろしくお願いします。

謹白


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

この資料の解析による東弊重工本拠地の特定は失敗しました。また、東弊重工の企業形態上、この文書は自団体の信頼の回復を目的とするものであり、複数の団体に郵送したと考えられます。要注意団体「如月工務店」がこの文書の存在を認知しているかは不明ですが、これに対して如月工務店が何らかの行動を起こしたことは確認されていません。
 
 
 

SCP-1881-JPが販売されたことで、東弊重工の得意先の中には彼らに不信感を抱いた者も存在するだろう。それは怪しげな商売に手を出したからかもしれないし、粗末な技術力を見せつけられたからかもしれない。「東弊重工という企業がものづくりにかける情熱や誠意自体は本物であり、その点においては彼らは被害者でないか」と、職員の中にもある種の同情の念を示す者すらいるという。実に嘆かわしい限りである。

そもそも、東弊重工の証言が必ずしも全て真実であるとは限らない。
東弊重工、如月工務店ともにその目的の真意は今もって不明だが、如月工務店にとって東弊重工が邪魔な存在であるならば、逆もまた然りだ。どうして「東弊重工が自社の失敗を隠蔽するために如月工務店の存在を利用した」と言い切れないことがあるだろうか。ましてや、互いにとって目の上のたんこぶである財団の情報を得るために、東弊重工と如月工務店が最初から共謀している可能性すら存在するのだ。

いずれにせよ、要注意団体の発言を鵜呑みにするのは危険であるし、ましてや寄る辺にするなど言語道断である。SCP-1881-JPに限っては財団と東弊重工の目的が偶然にも一致した。だから協力関係を築いた。それだけのことであり、彼らが異常存在を製造・販売するならば、彼らは財団の敵となる存在だ。

我々の行動原理はあくまで財団の理念であり、それは異常存在の確保、収容、保護である。努々それを忘れてはならない。

──日本支部理事 稲妻

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