SCP-1893-JP
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氷上に露出した滑走路。識別名δ-9

アイテム番号: SCP-1893-JP

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-1893-JPは、カバーストーリー「地球温暖化論争」に従い、観測記録その他に対して干渉と操作を行うことで存在を秘匿してください。また、南極大陸及びその近隣に設営されている観測基地にエージェントを潜入させ、各国の動向を監視してください。

氷床及び棚氷と海洋の境界部分に発生する海氷は、夏季に自然融解するように3月から10月までの間、航空機による爆撃によって破砕作業を実施してください。

SCP-1893-JPから大規模な分離が発生した場合、当該海域の海上戦力に出動待機を発令し、各国政府に対して国際部隊編成を要請してください。尚、SCP-1893-JP分離部分への対処時には、国際船級協会連合の極地氷海船階級におけるPC3以上の耐氷性能を有する船舶を充当してください。

ただし、本オブジェクトに関しては、国際協力レベルがHHGであることに留意してください。

説明: SCP-1893-JPは、南極点からロス海全域にかけての氷床及び棚氷中に存在する構造物群です。

SCP-1893-JPの大部分は氷によって構成されていると推定されます。氷は、サンプルの検査によって異常性の無い淡水が主成分であることが確認されています。ただし、SCP-1893-JPを構成する氷床及び棚氷は、南極大陸の年間積雪量を明らかに超過して拡大し続けています。1959年のオブジェクト指定から、2000年3月の例外を除いて規模が縮小した記録はありません。

棚氷と海洋が接する箇所では、定着氷の形成と成長が異常な速度で進行します。SCP-1893-JPに隣接する海洋が開放水面から全密接水域へ変動するまでの時間は、他の南極大陸の地点と比較して20分の1程度となっており、夏季に融解するまでの時間は棚氷に接続している限り約10分の1となります。SCP-1893-JPから分離、漂流した氷山周辺での海氷形成速度は加速度的に早まります。2000年3月に分離したB-15A氷山は、耐氷性能がPC6までの船舶が航行不能なとなるレベルの海氷を、周囲5 kmに30分以内で生成することができました。

氷床と棚氷上には、航空機の運用を主とする大規模な施設が存在しています。監視記録から、53ヶ国の航空機が離発着を行ってることが確認されています。各国政府は、主に航空輸送によって大量の資材と人員をSCP-1893-JPへ送り込んでいますが、その主たる目的は判明しておらず背後関係の調査が継続されています。

以下の表は、これまでに存在が確認された航空関連の構造物です。各施設の数は、財団による偵察結果の他、南極条約協議国29ヶ国から提供された資料より、重複する施設を除いて計上しています。

航空関連施設 確認された数 備考
航空機用滑走路 84箇所 確認された最大の物は、直線距離で約50000 m。
飛行船係留塔 8箇所 格納庫と誘導用軌道も含む。
航空機用エレベーター 36箇所 確認された最大の物は、縦300 m 横250 m。
航空管制塔 12箇所 外観は航空母艦のアイランドに酷似している。

全ての施設は氷床中へ隠顕される事が確認されており、把握されていない施設が相当数存在する可能性があります。

棚氷の底部には、多数のシュナイダープロペラとアジマススラスターが潜水調査によって確認されています。これらの推進装置も棚氷内部へ引き揚げられる機構を備えており、正確な総数は判明していませんが、B-15氷山の分離による事例から各推進装置が有効に機能することが証明されています。

SCP-1893-JPは、1959年になって正式にオブジェクト指定がなされましたが、1947年にアメリカ海軍が実施したハイジャンプ作戦の際には、各構造物の建造が相当程度進んでいたと考えられています。同作戦の期間中、財団はアメリカ海軍の強力な妨害によって南極地域での活動に著しい制限を受けていました。
 

事件記録-1893-JP 【B-15氷山の分離】
2000年3月、監視衛星がSCP-1893-JPの一部が棚氷から分離していることを確認しました。財団による確認後、National Ice Centerより分離した当該氷山をB-15として命名することが発表されたため、財団においても同様の呼称が採用されました。

SCP-1893-JPからの分離後、B-15氷山は複数に分裂しました。その中でも最大のB-15Aには、航空管制塔等の航空機運用設備と多数の対空火器群が確認されました。また、敷設ソナーによって推進装置の稼働音も検知されました。

財団は、B-15A氷山へ調査チームの派遣を試みましたが、各国政府の妨害のため失敗しました。特に、アルゼンチン、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ共和国においては、同国内の財団施設の一時的包囲や財団所属船舶の臨検、拿捕が行われました。また、南極地域に存在する各国の観測基地へ潜入していたエージェントからの連絡も途絶えたことで、対象の情報収集に危機的な状況が生じました。

2003年11月、B-15AからB-15Jが、同年12月にはB-15Kが分離しました。分離した氷山群への調査は妨害されることはありませんでしたが、氷山内に構造物群は存在していませんでした。海氷形成能力は保持していましたが、両氷山は自然融解に耐えられず崩壊しました。

2005年6月、アメリカ合衆国を発起人とした12ヶ国より、B-15Aの破砕が財団に提案されました。その際、「艦隊命令250号」並びに「南極地域における艦隊の活動に関する協定」の存在が開示されました。同年10月から国際部隊による破砕作業が開始され、2018年までに自然融解するレベルにまで縮小させることに成功しました。尚、B-15A上の構造物の残骸は、財団の回収要請が認められず爆破処分されたため現存していません。



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