SCP-1935-JP
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SCP-1935-JP(1992/03/22)

アイテム番号: SCP-1935-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-1935-JPは海洋エリア-03に上架された状態で収容されます。砲門部分を完全に封印し、帆布を取り外した状態を維持してください。SCP-1935-JPを実験目的で海洋へ移動する行為は、再収容に掛かるコストを加味し許可されません。

アメリカ合衆国ノースカロライナ州沖の海底にSCP-1935-JPのレプリカを沈没させてください。その上で、PoI-0104の遺産へ関心を示す全てのGoIやPoIに対し、沈没させたレプリカが"アン女王の復讐号"であると流布してください。

説明: SCP-1935-JPは複数の海域で航海が確認されている帆船です。フリゲイト船"コンコルド号"に類似する外見的特徴を持ち、船長室からは18世紀の海賊"エドワード・ティーチ1"直筆の書類が発見されていることから、SCP-1935-JPは所在不明となっている"アン女王の復讐号2"であると推測されています。SCP-1935-JPの目撃情報は古くから規則性なく発生しており、財団の関心を集めていました。SCP-1935-JPは、修繕や補修が一切行われていないにも関わらず、破損や劣化の様子が確認できません。

SCP-1935-JPは、帆布や操舵輪が不明な原理により動作し、自律的に水上を航海します。航路に規則性などは発見されていませんが、航路を妨害した場合や洋上より接近した場合、SCP-1935-JPは不明な原理によって動作する砲門により敵対的な攻撃を行います。また、航海中のSCP-1935-JPに対し、不明な原理による追い風が発生し、SCP-1935-JPの速度を著しく上昇させる現象が確認されています。これらの異常性に対し、霊素生命体の関与が指摘されましたが、財団の調査により否定されています。

SCP-1935-JPは不定期に海中に潜航します。潜航したSCP-1935-JPは、外見的特徴が著しく劣化、或いは崩壊した状態に変容します。藻や貝類の付着も激しく、沈没船に類似した外見的特徴が報告されています。潜航したSCP-1935-JPは、潜航後3時間程度で大量の気泡に包まれながら消滅します。消滅したSCP-1935-JPの行方は判明していませんが、約1か月程度経過した時点で再び洋上で発見されます。財団は、SCP-1935-JPが海中から浮上する様子を目撃したという民間人の証言を複数入手していますが、観測には成功しておらず、どのようなプロセスを経て洋上へ出現するかは結論には至っていません。

補遺1935-JP.1: 探索作戦と経緯

SCP-1935-JPの存在は、19世紀の冒険家でアノマリーハンターであるPoI-0104"ロレンツ・エルドリッヂ"の著書『紀行 第1巻"』で示唆されています。同著書には、PoI-0104が現在のアメリカ合衆国サウスカロライナ州ビューフォートにて沈没していたSCP-1935-JPの引上げに成功したことが記載されており、PoI-0104はSCP-1935-JPを常用していたことが判明しています。PoI-0104の所有していたオブジェクトの多くは、財団を含む複数の団体に寄贈されましたが、一部は発見されていません。SCP-1935-JP内に未発見のオブジェクトが存在する可能性が指摘されたため、機動部隊を派遣しSCP-1935-JPの探査を行いました。探査は機動部隊σ-53"スカイウォーク=リープ"所属隊員3名により行われ、洋上からの接近が困難であったため上空からの降下作戦が計画されました。結果的にこの探査記録は失敗し、オブジェクトの回収に失敗した上、σ-53隊員3名は死亡しています。以下は、SCP-1935-JPの収容時に回収に成功した"σ-53-デボンが所持していた撮影機材"に残されていたSCP-1935-JP内の映像記録です。この記録は異常性により消失したSCP-1935-JPの行方について有力な情報として保管されます。

SCP-1935-JP探査記録 #1
1994/5/21


[記録開始]

甲板から撮影が開始される。

σ-53-シルル: こちらシルル。甲板への降下成功、これより探査を開始します。

司令部: 了解。

σ-53-シルル: 点呼。シルル

σ-53-デボン: デボン。

σ-53-ジュラ: ジュラ

σ-53-シルル: 点呼確認完了。損傷無し、降下作戦は成功だ。まずは船長室の探査を開始します。

司令部: 了解。無人船と思われるが油断しないでくれ。

機動部隊は2階部分に存在する船長室へ侵入する。

機動部隊は室内で散開し、各々探索を開始する。

σ-53-デボン: 降下した時から思っていたが妙に綺麗だ。ピカピカっていう程ではないが、手入れをされているように感じる。

σ-53-シルル: 同感だ。埃すら積もってない。長い間海を彷徨っていたとは思えん。

σ-53-ジュラ: PoI-0104の書いた本が真実なら、この船はアン女王の復讐号で、300年近く前に1度沈んでいるんですよね?信じられない。

σ-53-シルル: ああ。追い詰められた海賊が乗り捨てたような船だ。もっと傷んでいてもおかしくはなさそうなもんだが。

σ-53-デボンが船長室の机に近づく。

σ-53-デボン: ここからお宝の匂いがする。

シルルとジュラが小さく笑う。

σ-53-シルル: 我々がカバーする。デボン、引出しを開放しろ。

σ-53-デボン: 了解。

σ-53-デボンが机の引き出しを開放する。

σ-53-ジュラ: 何かありそう?

σ-53-デボン: 結構いろいろ入ってるな。コンパス、ペン、拳銃もあるな。

σ-53-デボンが机から次々と物品を取り出す。

σ-53-ジュラ: やっぱり全体的に保存状態が良いな。

σ-53-シルル: 司令部。物品を複数発見した。現状では異常性の有無を確認出来ない。全て回収する。

司令部: 了解。甲板からフルトンで射出せよ。

σ-53-シルル: 了解。

σ-53-シルルが物品群を収容ケースへ確保し、船長室から退出する。続いてσ-53-ジュラが退出する。

突如として船長室の扉が閉まり、σ-53-デボンが部屋に取り残される。

σ-53-デボン: おい!

σ-53-シルル: [吃驚]、なんだこれは!

σ-53-デボン: どうした!何かあったか!?くそ、開かないぞ!

σ-53-ジュラ: ロープが絡んで、[悲鳴]。

σ-53-デボン: くそ!この扉、ビクとも――。

突如画面が大きく揺れる。SCP-1935-JPの潜航と思われる。

映像が大きく乱れた後暗転。

[記録終了]


SCP-1935-JP探査記録 #2
1994/5/30


[記録開始]

σ-53-デボンの顔面のアップから映像がはじまる。

σ-53-デボン: よし、直った。

σ-53-デボン: 部屋が90度傾いていて壁に叩きつけられてしまった。すごい衝撃だった、気を失ってしまったようだ。カメラの修理にも時間がかかってしまった。

σ-53-デボン: ここは、さっきの船長室だと、[数秒沈黙]、思う。間取りは一緒だが、その、明らかにボロボロになってる。

カメラが窓から外を写す。

σ-53-デボン: 外は真っ暗だ。海も見えないし、とにかく暗い。

デボンが窓を強打する。

σ-53-デボン: 窓も割れないし、さっきの扉も開かない。完全に閉じ込められてる。

窓の前をドレス姿の女性が横切る。顔面や手などの露出した部分からは、腐敗している様な外見的特徴が確認できる。

σ-53-デボン: [驚嘆]。誰だ、今の。

σ-53-デボンが窓を強く叩くが女性からの反応は無い。

σ-53-デボン: [舌打ち]、無視なのか聞こえていないのか。

σ-53-デボン: シルルとジュラはどうなっちまったんだ。クソ!なんとかして出られないのか。

窓の外の遠くに不明瞭ながら人工的建造物が映る。

σ-53-デボン: お、おい!港だ、港がみえる。さっきまでは見えなかったのに。

カメラが桟橋を写す、不明瞭な人影が確認できる。

σ-53-デボン: 爺さんだ。

σ-53-デボン: こっちを見てる。

σ-53-デボンにより撮影が中断される。

[記録終了]


SCP-1935-JP探査記録 #3
1994/5/34


[記録開始]

σ-53-デボンの顔面のアップから撮影が開始される。

σ-53-デボン: ここは暗い。もう何十時間もここにいる。ずっと暗い。朝にはならない。

σ-53-デボン: この部屋から出ることは出来ない。やれそうな事は全て試した。

σ-53-デボン: 部屋の外には女がいる。たまに窓から見えるんだ。あの爺さんは来なくなった。でも女はずっと港を眺めてる。何がしたいのかは解らない。船は港に着く訳でもなく、この場所を動かない。

画面乱れ。

σ-53-デボン: あの女のゾンビみたいな顔を見ると、ここが何処なのか何とかなく想像できてしまう。悪いようには考えたくないけど、このままじゃどうにもならない。

物音とともに画面が横転し床と部屋を映している。デボンがカメラを床に置いたと思われる。

σ-53-デボン: ああ、畜生。暗いし寒い。なんなんだこれ、どこなんだここ。畜生、寒い。

デボンが床に横たわる。以後デボンは一切動かない。

変化のない映像が40分程度続く。

探査記録#2で撮影された女性が映像の後方から歩いて現れ、横たわるデボンを見下ろしている。

バッテリー切れにより映像が終了する。

[記録終了]

補遺1935-JP.2: SCP-1935-JP収容作戦

初回探査作戦で機動部隊σ-53の消息が途絶えてから200日後に、インド洋にてSCP-1935-JPが確認されました。探査作戦はSCP-1935-JPの潜航により妨害されると推測されたため、水陸両用潜水艦を利用した強行収容作戦によりSCP-1935-JPを陸に上架させた後、探査を行う方法が立案されました。強行収容作戦の結果、SCPS"水陸両用潜水艦ローゼンバーグ"がSCP-1935-JPを████島付近まで強制的に牽引し、付近の暗礁地帯にSCP-1935-JPを座礁させることに成功しました。

収容に成功したことにより、機動部隊σ-53隊員3名の遺体と6個の異常物品の回収に成功しました。σ-53-シルルとσ-53-ジュラは甲板でロープが絡まった状態で、σ-53-デボンは船長室で蹲った状態で発見されました。特筆すべき点として全員の死因が溺死や餓死ではなく、原因不明の心停止による突然死であることが判明しています。回収された異常物品6個とSCP-1935-JPは海洋エリア-03に収容されています。発見された異常物品は何れもPoI-0104の著作群に複数回に渡り登場する物品であり、更なる研究が計画されています。これら異常物品に関する報告は別途報告される調査報告書を参照して下さい。

収容されているSCP-1935-JPの甲板にて、女性の人型実体の出現が確認されています。探査記録#2で撮影された女性が着用していたドレスと同様のものを着用していますが、腐敗などの外見的特徴が存在しません。この実体は出現から数秒程度で消失するため、収容に成功していません。

補遺1935-JP.3: SCP-███-THに残されていた映像。

SCP-1935-JPから回収された異常物品(SCP-███-TH)から、映像記録が確認されました。映像にはPoI-0104と思われる人物が記録されており、19世紀初頭に撮影されたものと予想されるにも関わらず、音声が録音されており、映像も異常に鮮明です。この高度な映像記録はSCP-███-THの異常性の一部であると結論付けられています。以下はSCP-███-THに残されていた映像記録です。

[再生]

PoI-0104がSCP-1935-JPの船長室の椅子に腰かけながら、天井を見ている。PoI-0104は顔色が悪く、咳き込んでいる。

PoI-0104: なかなか聞き分けの悪い奴だ。次の旅にはお前を連れていけないんだ。

PoI-0104が大きくため息を吐く。

PoI-0104: ほら、その。次の旅には時間がたっぷりあるんだ。[連続した咳]、お前みたいな速すぎる船じゃあっと言う間に飽きちまうよ。それに向うに行きたいなら、別にお前の手を借りんでも正規の方法で行けばいいだけさ。

PoI-0104が大声で笑う。

PoI-0104: おお、そうとも。お前のおかげでダークワイン・シー33ヶ月の旅が3週間で終わっちまったのを俺は忘れんよ。

PoI-0104が笑うのをやめ、真剣な表情を浮かべる。

PoI-0104: 忘れんとも。必ず。

PoI-0104: なんだよ、湿っぽい。俺はまだまだ冒険をやめるつもりはないよ?[激しい咳]

PoI-0104: あー、畜生。ほら、そうだ。向こうにはお前の前のご主人様もいる。顔も見たくないだろう、やはりついてこない方がいい。うん。

PoI-0104が机の上のワインを飲み干す。

PoI-0104: お前が着いてこないように、次の引き取り手も探さないとな。[激しい咳]、時間が無い。

PoI-0104: お前のおかげで旅がいつも楽しかったさ。だから、その、なんだ。今まで本当にありが――。

PoI-0104が撮影者の方を向く。

PoI-0104: なんだよ。撮ってたのかよ。やめやめ、ほら止めろって。

[終了]

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