SCP-1937-JP
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外見が小渕恵三氏に変化する前の████氏(199█年██市内のスタジオにて撮影)

アイテム番号: SCP-1937-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1937-JPはサイト81██の低脅威度物品保管庫内の施錠されたロッカー内で光を通さない包装紙と金属製の施錠可能なケースに包装された状態で保管されます。実験対象として指定されたDクラス職員以外がSCP-1937-JP及びSCP-1937-JPを認識可能な記録物を視認することは禁止されます。

SCP-1937-JP及びSCP-1937-JP-A以降の異常性に暴露したことが判明した人物は財団が指定する期間、財団による監視の下、日付を手書きで筆記することを禁じられます。日付を手書きにて記入する必要のある公的文書類等については財団指定のガイドラインに従うことを義務とし、ガイドラインは政府及び外交ルートを通じて国内外に通達されます。

日本国内において政府及び財団フロント企業を通じて日本国内在住者に対し、ワードプロセッサ等による電子的手段による筆記を推進し、手書きによる筆記を行う機会を可能な限り減少させてください。

説明: SCP-1937-JPは縦53.3cm×横45.0cmの「平成」という文字が墨書された色紙です。色紙の外観は1989年1月7日に当時の日本国内閣官房長官小渕恵三氏1が改元を公布する記者会見で掲げたものと極めて酷似しています。当時の記者会見で掲げられた色紙2とSCP-1937-JPを日本支部所管の研究施設にて比較、分析したところ、筆跡、物質、紙の質感に至るまでほぼ同一の形状であることが判明しました。当時、色紙への墨書を行った████氏にインタビューを行ったところ、「自分が平成と書いた色紙は全4枚であるが、他の紙はすべて破棄された。それに全く同じ筆跡のものはありえない。」という証言が得られました。インタビュー後████氏にはAクラス記憶処理が施されました。記者会見の際及びその周辺で後述の異常性が発現していないことから、SCP-1937-JPは記者会見で掲示された色紙の精巧なレプリカであると考えられます。SCP-1937-JPを破壊する試みは現在に至るまで成功していません。

SCP-1937-JPを視認した人物はSCP-1937-JP-Aに指定されます。SCP-1937-JP-AはSCP-1937-JPを視認した時点からおよそ24時間を掛けて脳を含む全身が1989年時点での小渕恵三氏のものに変化します。記憶や知識、自己認識については本人のまま変化しません。脳が変化しているにもかかわらず何故記憶が変化していないのかについては不明です。映像、静止画を通してSCP-1937-JPを視認した場合でも前述の異常性は発現します。肉体の変化は両足の裏から始まり、徐々に身体の上方及び末端部へ遷移する形で変化は推移し、頭頂部に生える頭髪まで到達した時点で肉体の変化は完了します。DNAは暴露前における本人のものから変化しません。SCP-1937-JPを継続的に視認しなかった場合、新陳代謝に伴って肉体は元に戻ります。SCP-1937-JP-Aが手書きした「平成」の文字はSCP-1937-JPと類似した異常性を持ちます。SCP-1937-JP-Aが手書きした「平成」の文字を視認した人物は足の裏から身長(cm)×1/2の高さまでの肉体が1989年時点の小渕恵三氏のものに変化します。SCP-1937-JP-A以降、手書きされた「平成」の文字に暴露した人物はそれぞれB・C・D・Eとして指定されます。B・C・D・Eと階層が繰り下がるごとに、肉体への影響範囲は1/2を掛けた値づつ小さくなります。また、新陳代謝によって肉体が暴露前のものに回復するに伴って、暴露者が手書きする「平成」の異常性は逓減します。しかしながら、SCP-1937-JP-Aの場合、永続的に異常性がわずかに残留し続けることが実験結果から判明しています。これはSCP-1937-JP-Aは心筋の細胞など新陳代謝による細胞の入れ替わりが少ない部分まで小渕恵三氏に変化し、外見上元の肉体に戻っている場合でも体内の細胞の数パーセントは小渕恵三氏であるためだと考えられています。

SCP-1937-JP収容チームで統計を担当する██研究員によれば、統計上199█年時点で財団職員を含めて日本に在住する人物は視覚障害等により「平成」の文字を視認できない者を除いたほぼ全人口が肉体の数パーセントは小渕恵三氏であった過去を持つと結論付けられました。これを受け、サイト81██情報統制チームは財団職員を含む日本全国の在住者に対しAクラス記憶処理及びカバーストーリー「化学物質による影響」を発布しました。

SCP-1937-JPは199█年6月25日に██県██市に所在する████氏の住宅から発見されました。発見当時SCP-1937-JPは額縁に入れられ████氏の私室内部にある鍵付きクローゼットの内壁に掛けられた状態で発見されました。SCP-1937-JPを所有していた████氏はSCP-1937-JP入手以前から「小渕恵三氏によく似た外見の人物」として周辺人物からよく知られており、SCP-1937-JPの発見を遅らせる要因となりました。

SCP-1937-JPは199█年6月に██市役所で働いていた数名の女性職員が「体の臍周辺から下が男性の肉体に変化した」という症状を病院に訴えたことをきっかけに発見されました。財団エージェントが199█年6月に██市役所を訪れた人物とその周辺を捜索したところ、事件の数日前に████氏が古物商から「平成」と書かれた色紙を購入したことがエージェントの目に止まり、████氏の自宅を捜索したところ前述の状態のSCP-1937-JPが発見されました。████氏及び暴露したであろう部署で働いていた市役所職員は財団所管の病院に収容、経過を観察し外見上元の肉体に回復したことを確認した後にAクラス記憶処理を施して退院させました。200█年までに全員の退院が完了しています。エージェントからの報告の後サイト81██のサイト管理者によって当該オブジェクトにSCP-1937-JPのオブジェクトナンバーが割り当てられました。SCP-1937-JPを売却した古物商とされる人物の正体は判明していません。発見したエージェント・██はその後全身が小渕恵三氏に変化、及びSCP-1937-JP-Aに指定されたため財団所管の病院に収容されました。エージェント・██本人の希望により、迅速な現場復帰のために整形外科処置が実施されました。処置は成功し、容姿は暴露前のエージェント・██に近い印象のものに回復しました。減量・筋肉トレーニングも同時に行われ、エージェント・██は暴露の半年後、現場に復帰しました。新陳代謝による顔貌の変化はわずかであり、暴露から██年が経過した20██年現在も後遺症等は見られません。

以下は実験記録の抜粋です。

SCP-1937-JPの収容手法は日本国内で「平成」の文字が可能な限り手書きで筆記されることを防止することを基本方針とすることがSCP-1937-JP収容チームによって決定されました。収容手段として「文書の電子化を推進」「手書きの書類は予め『平成』の文字を印字しておく」「手書きの場合は元号ではなく西暦を用いた記入を推奨」といったガイドラインが制定され公的機関に通達されました。また、日本政府、日本国皇室、財団日本支部サイト81██管理者████による会談の結果、2019年をもって「平成」から別の元号へ改元することによってSCP-1937-JPによる影響を抑制する試みを行うことが決定されました。

これらの収容フローにより、██研究主任のチームによる試算によれば20██年にはSCP-1937-JPの完全な封じ込めが完了すると考えられています。SCP-1937-JP収容チームは20██年に日本国内における大規模調査を実施し、SCP-1937-JP影響の残留が微小と考えられる場合はオブジェクトクラスをSafeへと再分類します。

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