SCP-1963-JP
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████小学校

アイテム番号: SCP-1963-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-1963-JP担当者は████小学校の教員として潜入し、クラスW記憶補強剤を継続的に服用しながらSCP-1963-JPの発生を監視してください。SCP-1963-JPの担当期間はクラスW記憶補強剤の脳に対する副作用1を抑えるため最長で6ヶ月です。

説明: SCP-1963-JPは埼玉県████町の████小学校の児童に伝わる傘を用いた遊びの1つです。SCP-1963-JPは児童間では「戦場対決」と呼称されており、████小学校の休み時間や児童の登下校中に発生します。████小学校には20██年時点で21名の児童が在籍しています。

SCP-1963-JPの異常性は、SCP-1963-JPを行う目的で児童が2名集まり特定の名称を宣言することで発現します。開始時に宣言される名称はそれぞれSCP-1963-JP-1~3に指定されています。SCP-1963-JPが行われている間、宣言された名称に対応した異常性が傘に付与され児童の身体能力の向上が見られます。この名称は自由に切り替える事が可能で、児童は状況に応じて異常性の変更を行います。この傘を用いた攻撃2を一定の回数3受けた児童は回数に応じて四肢及び頸部が一定の法則に基づき1本ずつ切断されます。この切断による流血や児童の肉体的、精神的苦痛はありません。SCP-1963-JPの勝利条件は先に相手を行動不能にするか負けを認めさせる事です。

SCP-1963-JPに参加した児童が勝利条件を満たすか互いにSCP-1963-JPを終了する意思表示をすると、SCP-1963-JP中に発生した児童の体や衣服、建物などの切断箇所のほぼ全てが元の状態へと復元されます。SCP-1963-JPの終了前に他の児童と別のSCP-1963-JPを開始する事は出来ません。異常性の発現は████小学校の児童が行った際にのみ起こると考えられています。同条件でDクラス職員や別の小学校の児童によって行われたSCP-1963-JPは一切の異常性を発現しませんでした。加えて、SCP-1963-JPが行われていない状況下での技名宣言では傘に異常性が付与されないことが確認されています。

以下はそれぞれの技についてまとめた表です。「XX」には任意の言葉が入り、この言葉によって異常性の性質が変化する事はありません。

表1963-JP

識別番号 技名 概要
SCP-1963-JP-1 XXソード
(XXブレード)
技名を唱えるとともに傘が赤色に発光し剣の形状に変化する。児童の身体能力の向上は最大となり移動や近接戦での攻撃に使われる。熟練した児童はSCP-1963-JP-1によってSCP-1963-JP-3による銃撃を防御することもできる。
SCP-1963-JP-2 XXスピアー 技名を唱えるとともに傘が緑色に発光し、槍の形状に変化し長さが3倍となる。傘の先端の感覚から相手の位置を察知する事が出来るため主に索敵及び中距離の攻撃に使用される。
SCP-1963-JP-3 XXガン 技名を唱えるとともに傘が青色に発光し火縄銃の形状に変化する。傘の先端から青白色の光球を任意で射出することが可能になる。身体能力の向上は最小だが自身の体の色を風景と似た色に変化させる事ができる。主に遠距離からの攻撃に使われ、リロードにおよそ3秒掛かるため連射はできない。

SCP-1963-JPは自身に対する認識を阻害する性質を有しています。第二次性徴を迎えた人間は徐々にSCP-1963-JPの行動を正しく認識出来なくなり、SCP-1963-JPによる異常な行動を目視してもチャンバラなどの一般的なごっこ遊びの一種として認識するようになります。この影響は過去の記憶にも及ぶため、二次性徴を迎えた後の児童はSCP-1963-JPへの興味を失い参加しなくなります。これらの性質によりSCP-1963-JPの情報が外部へ広まる恐れはありません。また、SCP-1963-JPに関する正確な情報はSCP-1963-JP影響下の児童しか有していない事から、SCP-1963-JPの過去に関する情報を得る事は困難です。

発見: 日本支部所属のエージェント・斑鳩はSCP-1963-JPの経験者でしたが、SCP-1963-JPの異常性の影響によりその存在を忘れていました。エージェント・斑鳩が本事案とは別件でクラスW記憶補強剤を服用した際に、SCP-1963-JPについての記憶を断片的に思い出した事が発端となりSCP-1963-JPが発見されました。エージェント・斑鳩はSCP-1963-JPの調査及び収容担当者に任命され、████小学校の臨時保健医として潜入しています。

以下は████小学校の児童に行われたインタビューの記録です。

インタビュアー: エージェント・斑鳩

対象: 児童2名(便宜上児童A、児童Bのように表記する)

注記: エージェント・斑鳩は臨時の保健医として潜入しているため、インタビュー内では「先生」と呼称されている。


<記録開始>

エージェント・斑鳩: 「戦場対決」について教えてもらえるかな?

児童A: え?先生知らないの?

児童B: どこでもやってる遊びだよね?

エージェント・斑鳩: 先生は良く知らないんだよね。いつ頃から始まった遊びか分かるかな?

児童A: 俺らがここに入る前からあったんじゃない?友達から教わっただけだしよく知らないよ。

エージェント・斑鳩: 誰から教わったのかは覚えているかな?

児童B: 確か友達の誰かに誘われて始めたんだけど、誰だっけ?

児童A: 誰が広めたかなんて一々覚えてないよ。

エージェント・斑鳩: それもそうだね。「戦場対決」では腕とかが切れてるように見えるけど痛くはないのかな?

児童A: 最後は死ぬけど全然痛くないよ。

エージェント・斑鳩: あれは死んでいたんだね。死ぬのは怖くないかな?

児童B: もちろん本当に死ぬなら怖いよ。ただ「戦場対決」は違うよね。血も出ないし。

エージェント・斑鳩: それなら、例えば血が出るとしたら怖いかな?

児童A: うーん、怖くはないけど出たら困るなあ。

エージェント・斑鳩: 何か問題があるって事かな。

児童B: こいつの母ちゃん過保護って奴で、そう言うの厳しいんだよ。

児童A: 俺は大丈夫だって言ってるのにさあ、一々うるさいんだよね。

エージェント・斑鳩: なるほど、親が許してくれなくなると。それじゃあ、周りに「戦場対決」で遊ばなくなった子はいるかな?

児童B: あー、高田くんとか最近誘っても断るようになってきたね。

児童A: 最近ノリが悪いよね。

エージェント・斑鳩: 高田くんはどんな事を言っていたかな?

児童A: ゲームと違ってリアルじゃないからつまんないって。

エージェント・斑鳩: なるほどね。じゃあ高田くんの代わりに先生が「戦場対決」したいと言えば入れてもらえるかな?

児童B: え、絶対やだ。

<記録終了>

補遺1: 以下は飛鳥氏へのインタビュー記録です。飛鳥氏は██年間████小学校の近隣で農業を営んでいます。

インタビュアー: エージェント・斑鳩

対象: 飛鳥██氏(以下"飛鳥氏")


<記録開始>

エージェント・斑鳩: 飛鳥さん、「戦場対決」という遊びについて教えて頂きたいのですが。

飛鳥氏: 教えろと言われてもなあ、子供の遊びなんて覚えとらんよ。

エージェント・斑鳩: 分かる部分だけで構いませんのでご協力をお願いいたします。私はこの████町出身でして。

飛鳥氏: ほほう。

エージェント・斑鳩: 断片的にしか思い出せませんが、子供の頃に「戦場対決」を遊んだ経験があります。私が子供の頃と何かが違う気がしますが、何か昔の事を覚えていないでしょうか?

飛鳥氏: ちょっと思い出せんなあ。アンタが覚えてる事を言って貰えんか?

エージェント・斑鳩: 覚えている事ですか。例えば、傘を開いて〇〇シールド、と言うと相手の攻撃を受け止められるようになるルールはありましたか?

飛鳥氏: うーん、あったかなあ?

エージェント・斑鳩: 他には、相手の背中に手を当てて〇〇バリア、と言うと相手にバリアを貼る事が出来て攻撃を何回か耐えられるなどのルールですね。現行の「戦場対決」のように1対1で使うルールではないと思うのですが。

飛鳥氏: ああ、そうだ!思い出した!チーム戦だよ、昔の「戦場対決」は陣取りゲームだったはずだ。

エージェント・斑鳩: 何で別のゲームに変わったかはご存知ですか?

飛鳥氏: いやいや、そんなもんこの町見れば分かるだろ。

エージェント・斑鳩: どういう意味でしょう?

飛鳥氏: 過疎の話だよ。小学校の全校生徒が20人ちょっとだろ。

エージェント・斑鳩: なるほど。チーム戦には人数が足りませんね。低学年の子を傘で叩く訳にも行かないですし。

飛鳥氏: 昔の子達はその辺容赦無かったなあ。「戦場対決」で血がドバドバ出てたもんな。最近の子は大人しいよ。

エージェント・斑鳩: 血がドバドバ出て大丈夫でした?

飛鳥氏: 子供は元気だからね、切り傷なんて遊び終わったらすぐ治るもんさ。服にうっすら血の跡が残る位だったよ。

エージェント・斑鳩: そういう物ですか。

飛鳥氏: これも時代の変化かねえ。「戦場対決」も子供がいなくなったら終わりだしな。

エージェント・斑鳩: 大人が継ぐ訳にもいかないですしね。

飛鳥氏: 子供達がどう遊んでいたのか思い出せなくなる日が来るのも、そう遠くはないんだろうな。

<記録終了>


追記: 児童数や価値観などの環境変化に応じてSCP-1963-JPの変化が見られるようです。このまま人口減少が続けばSCP-1963-JPは消滅する可能性が高く、SCP-1963-JPの保護が急務と考えられます。

補遺2: 以下はエージェント・斑鳩が保健医としての業務を行っている際に撮影された映像記録です。

<記録開始>

[児童Cが体育座りで████小学校の廊下に座り込んでいる]

エージェント・斑鳩: 君はここの生徒、かな?もう下校時刻だから帰ろうね。

児童C: あ、先生。

エージェント・斑鳩: 何かあったのかな?悲しそうな顔に見えるけど。

児童C: 高田くんと「戦場対決」で遊ぼうとしたんだけどね。もう「戦場対決」はつまんないから遊ばないって言われたの。

エージェント・斑鳩: (5秒間の沈黙) うーん、高田くんは今何年生かな。

児童C: 高田くんは今5年生だよ。

エージェント・斑鳩: 5年生か。高田くんは他にやりたい事が出来たのかもね。

児童C: ちょっと前まではいつも遊んでたんだけどね。僕ももうやめた方がいいのかな?

エージェント・斑鳩: 先生としては無理にやめなくて良いかなと思うけどね。

児童C: うーん、でもなあ。そうだ、確か先生はここの小学校出身だよね?

エージェント・斑鳩: よく知ってるね。先生も昔は「戦場対決」で遊んでいたよ。

児童C: 先生は「戦場対決」の事覚えてた?

エージェント・斑鳩: 先生は最近まで忘れてたかな。

児童C: そっかー、やっぱり大人になったら無駄だったって思うようになるのかな。

エージェント・斑鳩: そうは思ってないよ。

児童C: え?

エージェント・斑鳩: 「戦場対決」の事は最近まで忘れていたけど、先生は「戦場対決」をきっかけに剣道を始めてずっと続けていてね。その師匠からお前は強いから人を守れる人間になれと徹底的に教え込まれたんだよ。だから社会を守るような仕事に進もうと思って。

児童C: へえ。それで先生は保健医になったんだね。

エージェント・斑鳩: 例えば何があったかは忘れても、子供の頃は楽しかったみたいな気持ちは残るんだよ。今は分からないと思うけど大人は結構大変で、そう言う心の支えが無いと耐えられるもんじゃないんだよ。昨日も午前2時まで報告書を書いたりね。

児童C: 保健医のお仕事ってそんなに報告書を書くの?

エージェント・斑鳩: (6秒間の沈黙) もちろん。人それぞれだから気にしないで。とにかく、忘れてしまった物も何かしらの形でその人に残るから無駄にはならないよ。

児童C: そういう物なのかな。

エージェント・斑鳩: 「戦場対決」も同じだよ。

児童C: どういう事?

エージェント・斑鳩: 先生が子供の頃の「戦場対決」は今と少し違う遊びだったのさ。時代が変わって遊ぶ人が減ったり、他の遊びが増えたり、環境が変わったとしても形を変えて遊ばれ続けているって凄いと思わない?

児童C: 凄いのかな。

エージェント・斑鳩: 凄いさ。先生の心にも形を変えて「戦場対決」は残ってるよ。

児童C: あー、確かにそうかも。僕もしばらく続けてみるよ。

[児童Cは笑顔を見せている]

エージェント・斑鳩: うんうん、笑顔が一番。先生は仕事で保健室に戻るけど、もう下校時刻過ぎてるから早く帰ろうね。

児童C: あ、そうだ、話聞いてくれたお礼に先生が元気でいられるようにおまじないしてあげようか?

エージェント・斑鳩: そのおまじないは初耳かな。じゃあ、せっかくだしお願いしようかな。

児童C: うん、後ろ向いて目をつぶってね。

エージェント・斑鳩: はいはい。

[児童Cはエージェント・斑鳩の背中に手を当てた]

児童C: じゃあ、世界を守るお仕事頑張ってね。斑鳩くん。

エージェント・斑鳩: えっ?

児童C: スーパームテキバリア!

[エージェント・斑鳩の体が一瞬白色の光の膜に覆われた。児童Cはエージェント・斑鳩が振り返る前にカメラのフレーム外へと走り去った]

本事例を受けて児童Cの捜索が行われましたが、これ以後児童Cらしき児童は見つかりませんでした。

補遺3: SCP-1963-JP初代担当者のエージェント・斑鳩が企画し、財団の行政担当部門に引き継がれた『埼玉県████町Iターン計画』は正常に進行しています。6年目の現在、████小学校に12名の新入生の入学が予定されています。

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