SCP-1978
評価: +3+x

アイテム番号: SCP-1978

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-1978はサイト17の4m×1m×1mの施錠された部屋に収容してください。事前にO5の認可を得ない限り、オブジェクトに給水システムを接続してはなりません。生きた被験者を用いるSCP-1978の試験は必ずO5の認可を受けなければなりません。また試験内容は広範囲に渡って記録しなければならず、現地から離れた複数の場所で試験前・試験後にバックアップを取らなければなりません。このオブジェクトを使用した試験に関する全ての電子記録はサイト17から1750 km以上離れた場所に保管しなければならず、当該記録を持つあらゆるシステムは可能な限り既知の現実改変事象から保護しなければなりません。公的に暴力事件を起こした記録がない職員および被験者は、本オブジェクトと試験装置のある部屋に入ることを許可されません。認可を受けた被験者であっても3回以上連続してSCP-1978を使用することは禁止されていますが、暴力行為を行うことが事前に許可されていた場合はこの限りではありません。適切なデータ処理の実行を確実なものとするため、月に一度O5直属の職員がバックアップサイトにて定期運営監査を実施します。

2███/██/31時点の追加収容プロトコル: O5評議会は追加で世界中のサイトに実験記録の複製を保管するよう要請しました(補遺-1978-Bを参照)。

説明: SCP-1978は1960年代中盤のものと同型のシャワー室です。内部の備品は█████████社により、████製品ラインの一つとして製造されたものです。使用時、SCP-1978は37.78 ℃の水を143 mL/sの流速で放出します。水温や流速を変更することはできず、唯一操作可能であるのはシャワーヘッドから水を出すためのレバーのみです。SCP-1978を通常の用途で使用した被験者は、流速が普段快適に感じる速度よりも大きいと報告し、さらに被験者自身の背景や罪悪感への精神的な許容量に応じて安心感を覚えたと(多くの場合「肩の荷が下りた」という表現を用いて)報告します。このとき被験者はある一つの暴力行為に対する罪悪感を喪失し、同時にその罪に関するあらゆる証拠が消滅します。この現象は現地と遠隔地とで人事記録を比較・調査した際、特に暴力行為に関する部分について毎回記録の齟齬が見られたことで裏付けられました。最も効果範囲が広いのは被験者の犯罪記録です。現地で保存された記録の複製はサイト-█のマスター記録やサイト-█のバックアップと比較すると不完全です。

実験により、この効果は単なる態度の変化や公的文書の改竄に留まらないことが判明しています。被験者は記録の齟齬について質問された際、必ずサイト17にある人事記録の内容しか思い出すことが出来ません。さらに現地の人事標準役員も、同様に現地と非現地の記録の相違に気がつくことはなく、さらに非現地の記録は間違ったものであるという思い込みを抱きます。サイト-17現地にいる全ての職員と被験者には同様の態度と思い込みが見られます。この効果をさらに調査した結果、Dクラス職員が半径1750 km以内で犯した犯罪により投獄されていた場合、当該犯罪のあらゆる所産、犠牲者、証拠は事前に効果範囲外に持ち出していない限り存在を抹消されることが判明しました。ただしオブジェクト活性時に効果範囲外にあった証拠や記録、目撃者は、不活性後(すなわち水が止まった後)に効果範囲内に持ち込んでも消滅せず、内容も変化しません。

ときおり試験により被験者自身が消失することがあります。正確な理由は不明ですが、現在最も有力な仮説は被験者がSCP-1978を使用した回数や被験者の犯した罪の重大さが関係しているというものです。年齢が一つの要因としてはたらいている可能性もあります。消失した被験者は効果範囲内の記録から完全に消滅し、消失した人物と接触したことがある人物の記憶にも存在しなくなります(ただし活性化時にその人物が効果範囲外にいた場合を除きます)。

補遺-1978-A: 確保当初の状況

SCP-1978は被影響下にあった人物の一人であるM███ O█████ G█████氏が、兄弟とその妻が行方不明になった旨を財団研究者に伝えたことで財団の注意を引きました。G█████氏が現地の法執行機関に問いただしたところ、一貫してG█████氏の親族が該当の住所に住んでいた記録は存在しないという回答が返ってきました。さらなる調査により、オブジェクトのある物件に引っ越した後の2人に関する記録は、その住所から正確に1███ km離れた場所にある██████国際空港で5年前に電子支払いを行った記録しか存在しないことが分かりました。財団は調査の結果、多くの以前の住人も同様の状態であることを発見しました。しかし人の入れ替わりが激しかったためか、不動産業者はG█████氏の親族がこの家を買うまでの8年間この物件の紹介を中止していたようです(無論この情報は効果範囲外に保管されていた非公式記録や信書を元に再構成したものです)。さらなる調査を行った結果、この家が建設されたのは1950年代中盤で、建てた男性は複数の若い男性の行方不明事件に関わっていると法執行機関から疑われていたことが判明しました。SCP-1978の既知の特性を考慮するとこの記録が存在するのは異常であり、法執行機関がこの事件を記録した後にオブジェクトが特異性を獲得した可能性も示唆されています。以下の補遺-1978-Bを参照してください。オブジェクトの記録・記憶・電子データ・その他関連する事例証拠に改変を加える能力を考慮し、初期の段階でSCP-1978の活性化とその結果に関するデータの定期的な比較・監査を収容プロトコルに組み込むことが決定されました。

補遺-1978-B: データバックアップの監査結果よりセキュリティ事故報告

日付: 2███/██/31
異常発見: サイト-17とサイト-██のデータバックアップの見直しを行った監査人はデータの一致件数が不自然なほど多いことを発見しました。O5の認識通り、本オブジェクト由来のデータを見直した際に記録に齟齬が見られるのは異常ではなく、むしろ正常です。故にサイト-17と遠隔サイトの記録が一致している事実は、遠隔サイトの記録、データ、職員の存在までもが全般的に悪影響を受けていることを示唆しています。監査人はサイト-17やSCP-1978と直接関係する記録をサイト-█で見直すと、予測通りの齟齬が発生することを発見しました。
収容への潜在的影響: オブジェクトや機能の変化に関する知識が財団内で保たれているため、本件はオブジェクトの挙動の不安定な変化であり、収容違反ではないと考えられています。しかし監査人はSCP-1978の実験に関するデータを効果範囲内外全ての非現地サイトのデータベースに複製することを推奨しています。

注記: 補遺-1978-Bで詳述されている事件を考慮に入れると、オブジェクトの効果範囲は異常活動最初期より拡大していると容易に予測できます。これがオブジェクトを使用した結果であるのか、あるいは他の要因とは関係なく起こっているのかは現時点では不明です。-█████博士、研究主任

注記:わずかでも処置110-モントークに参加したことのある職員がSCP-1978を使用することはいかなる状況においても許可されない。-O5-██

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