SCP-1980-JP
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アイテム番号: SCP-1980-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: 全てのSCP-1980-JPはサイト-81██の生物用防音ドーム内にて収容・飼育されます。ドーム内へ立ち入る職員には、遮音機能を備えたヘッドフォンの装備が義務付けられます。また、SCP-1980-JPの飼育担当者は文章1980-JP-3を参照して下さい。サイト外部でSCP-1980-JPが発見された場合、管理捕獲部隊に通達を行って下さい。

SCP-1980-JPの東京23区への侵入は原則として禁止されています。

変異中のSCP-1980-JPの死骸及び生成されたSCP-1980-JP-Aはサイト-81██の標準保管室防音設備を施した保管室にまとめて収容されます。

説明: SCP-1980-JPは異常な外見・特性を有するレミング属(Lemmus、以下レミング)に属する齧歯類の集団です。

SCP-1980-JPの皮膚にはRCA端子が突き出ており、生体解剖では一個体につき平均12本の大小様々な工業用ファスナー1がSCP-1980-JPの体組織内から発見されました。この異常性にも拘わらず、生殖行為を一切行わない点を除けばSCP-1980-JPの行動は通常の個体と変わりなく、苦痛を感じている様子も見られません。

SCP-1980-JPは一律して発声を行う器官が存在しないにも拘らず日本のアーティスト、沢田研二氏の楽曲を鳴き声を用い歌唱します。歌唱する楽曲の種類は各個体により異なり、現在までに23種類が確認されています。

この歌唱には、聴覚を有する脊椎動物に対する精神作用を含むことが判明しています。録音・直接を問わず、歌唱を耳にした被験者は極度の緊張と不安感を報告しました。1時間にわたって聞き続けた被験者の場合、眩暈や吐き気、頭痛などの症状を訴え、最終的に錯乱した様子で実験室から自身を出すよう要求しました。動物実験においても同様であり、被験動物は多くの場合が音源からなるべく遠ざかろうとするか、実験室からの逃走を試みました。

通常のレミングが上記の歌唱を累計5分以上聞き続けた場合、それら個体のうち0.█%はSCP-1980-JPの歌唱を真似るようになると同時に、歌唱が持つ精神作用に対する耐性を獲得します。その後、約15日間掛けて影響を受けた個体の体組織内に工業用ファスナーが成形、皮膚下から隆起し、SCP-1980-JPと全く同様の外見・特性を持つようになります。SCP-1980-JPが一切の生殖行為を取らないことから、上記のプロセスが唯一の繁殖方法ではないかと推論されています。

また、体長13cmを超える大型のSCP-1980-JPが何らかの理由で死亡した場合、その死骸は72時間以内にSCP-1980-JP-Aと指定される存在に変異します(SCP-1980-JPの死骸の██%以上が欠損/損傷している場合、この変異は発生しません)。SCP-1980-JP-Aの変異過程については文章1980-5を参照して下さい。

SCP-1980-JP-Aは外見上、19██年代に製造・販売されたものと同型の小型箱型テレビのように見えます。電源コードを持たず、コンセントへの接続なしに主電源を入れることが可能なことを除けば、構成する素材に異常性はありません。しかし、一切の電波を受信できず、チャンネルを変えても画面に映る砂嵐・スノーノイズとともに、ノイズ音が再生されるだけです。また、解体調査の結果、SCP-1980-JP-A内部は大部分が空洞となっており、その空洞はSCP-1980-JPのものと同じ工業用ファスナーで満たされていることが判明しています。なお、解体後に組み直されたSCP-1980-JP-Aは異常性を消失し、主電源を入れても映像、音声の再生を行わなくなりました。

SCP-1980-JPは常に一定の方角へ移動する性質を持ちます。これらの移動軌跡を追跡、計測した結果、SCP-1980-JPは東京都区部を目的地としていると推測され、東京都区部への流入を防ぐプロトコルが制定されました。この移動はレミングの生息地から多くの場合海洋の横断等を伴い、SCP-1980-JPの多くはその過程で死亡します。しかし、船舶などに侵入することにより一定数が生存し、日本まで到達していることが確認されています。

事案1980-JP-A: 19██/12/18、全てのSCP-1980-JPが直前までの動作を突然中止し、ドーム内中央に集まりました。そして、その5分後、全てのSCP-1980-JPが一斉に同じ方角を指し約5分間歌唱し始めました。この事案による収容設備や職員への影響はなかったものの、全個体が一律して「TOKIO」を歌唱していたことが確認されています。各SCP-1980-JPは事案終了とともに中止していた直前の行動を再開しました。

事案1980-JP-B: 19██/12/18、事案1980-JP-A発生から5分後、保管室内の全てのSCP-1980-JP-Aの主電源が自動的に起動しました。この際にSCP-1980-JP-Aは普段の砂嵐とノイズ音ではなく1979年時のコスチュームを着用した沢田氏に酷似した人型実体(以下、SCP-1980-JP-1)が「TOKIO」を歌唱している映像を映しました。その頭部はレミングに置換されており、スタジオ等の同定はできていません。また、沢田氏本人との関係性は認められませんでした。

追記1: 追跡調査により、事案1980-A時において同時刻に千代田区、中央区、港区において新たなSCP-1980-JPが確認、捕獲されたことが確認されています。各個体も事案時、収容個体と同様に「TOKIO」を歌唱していたことが収容に当たったエージェントらの証言から判明しました。

事案1980-JP-C: 20██/02/03、全てのSCP-1980-JPが直前までの動作を突然中止し、ドーム内中央に集まりました。そして、その5分後、全てのSCP-1980-JPが一斉に同じ方角を指し歌唱し始めました。前事案時と同じくこの事案による収容設備や職員への影響はなく、全個体が一律して「TOKIO」を歌唱していたことが確認されています。また、今事案は65分の長時間に及びました。各SCP-1980-JPは事案終了とともに中止していた直前の行動を再開しました。

前事案時と同じく事案1980-C時において同時刻に墨田区、港区、品川区、大田区において新たなSCP-1980-JPが確認、捕獲されたことが確認されています。

事案1980-JP-D: 20██/02/03、事案1980-JP-C発生から5分後、保管室内の全てのSCP-1980-JP-Aの主電源が自動的に起動しました。この際にも前事案時と同じくSCP-1980-JP-1が「TOKIO」を歌唱している映像を映しました。また、今事案時において沢田氏以外の人物が確認されました。それらの人物は全て頭部がレミングに置換されていましたがSCP-1980-JP-1が歌唱する直前の前節に当たる部分も映されました。以下はその音声ログを文章に起こしたものです。

SCP-1980-JP-1-M(男性と思われる): さて、次に登場していただいたのは、我らの柱、我らの軸、[判読不明]さんですね

SCP-1980-JP-1-F(女性と思われる): [判読不明]さんに今回歌っていただくのは我らの灯、「TOKIO」です

SCP-1980-JP-1-M: このシングルは我々にとって+27.4°からの解放を示します。集団自殺を否定する旅鼠、白濁の渦の中に沈む我らの故郷、あの災禍より先、飛び出した我々の哀歌です。そして、進水先を見誤らぬ希望の火です

SCP-1980-JP-1-F: 我らの街は星となった、星海の果てに向かい、友の教えを広めた我らの友にも、そして新たな友へも聞こえているのでしょうか

SCP-1980-JP-1-M: きっと聞こえている、だから僕らは空を飛ぶのだ、[判読不明]さんはそう言っていました

SCP-1980-JP-1-F: それでは歌っていただきましょう! 我らの歌!  [判読不明]さんで、「TOKIO」

[「TOKIO」のイントロが流れ、SCP-1980-JP-1が登場する]

(中略)

[「TOKIO」の演奏終了に伴い、視点が俯瞰するものとなる。そのまま高度を上昇し、最終的に宇宙空間と見られる箇所から東京23区に類似した小惑星を撮影し終了する]

また、この事案時、SCP-1980-JP-Aのチャンネルを変更したところ、以下の動画が確認されました。

SCP-1980-JP-1-A(ユダヤ教指導者と類似する衣装を纏っている): 皆様、全宇宙に遍く存在する皆様。我らの歌を歌いましょう。星になったこの街の歌を

SCP-1980-JP-1-A: 日々は救世の日々です。我々はこの歌に選ばれた、あのお方に選ばれた。我らの歌を歌いましょう。星になったこの街の歌を

SCP-1980-JP-1-A: 我らの世界は潰え、我らは流浪の民となる。しかし、我らは選ばれた。我らの歌を歌いましょう。星になったこの街の歌を

SCP-1980-JP-1-A: 遠き仲間たちよ、選ばれし同じ友よ。歌いましょう。我らの歌を歌いましょう。星になったこの街の歌を

[「TOKIO」のイントロが流れ、SCP-1980-JP-1-Aが笑みを浮かべる]

(中略)

[「TOKIO」の演奏終了に伴い、視点が俯瞰するものとなる。そのまま高度を上昇し、最終的に宇宙空間と見られる箇所から東京23区に類似した小惑星を撮影する]

SCP-1980-JP-1-A(音声のみ): 歌いましょう、歌いましょう、歌いましょう。我らの歌を歌いましょう。星になったこの街の歌を。それが標となる。きっと貴方も我らの友だ、旅鼠よ、自ら海に飛び込むことなくその街に乗って空を飛べ、星になれ。歌いましょう。我らの歌を歌いましょう。星になったこの街の歌を

追記2: 事案発生時、SCP-1980-JPの示した方角を延長したところ赤緯4h36m・赤経+69°方向へ██光年離れた位置において小惑星が突如出現、事案終了と同時に消滅していたことが判明しました。事案1980-JP-D時に撮影された映像との関連は不明です。

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