SCP-201-JP
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非活性状態のSCP-201-JP。

アイテム番号: SCP-201-JP

オブジェクトクラス: Safe Euclid

特別収容プロトコル: SCP-201-JPが存在するホテル█████は財団のフロント企業として営業されており、地下階への一般人の立ち入りは禁止されています。オブジェクトの入口は2名の武装した警備員によって守られ、異常を発見した場合速やかに研究チームに報告することになっています。オブジェクト内の清掃はレベル2以上の研究員に許可を得た後、殺人経験ないし近親者の死に関する心理的トラウマを持たない一般職員によって2週間に一度行ってください。また、設置する監視カメラには耐水加工を施してください。
200█/██/██現在、SCP-201-JPに関する全ての実験は凍結されています。事件記録201-JP-incidentを参照してください。

説明: SCP-201-JPは北海道札幌市のホテル█████の地下1階に存在する30m*20m*5mの厨房です。非活性状態のオブジェクトは常に淡く発光しており、照明を必要とせずに室内全体を視認することが辛うじて可能です。この特性から、当初は「微妙に光る調理室」として財団エージェントに回収され、上記以外に異常な性質が認められなかったことから直後にAnomalous分類されました。ホテルのオーナーは200█年頃から厨房が異常な性質を示し始め、料理人たちが「不気味な光」、あるいは「啜り泣きのような物音」などの噂に対する不安感を顕著にしたため、止むを得ず閉鎖していたと証言しました。回収から数週間後にホテルの経営母体が破綻したことから、財団はホテルの権利を買い取り、北海道に拠点を置くフィールドエージェントのためのセーフ施設として利用することに決定しました。それから1年後、過去に要注意団体の構成員数人を終了した経験のあるエージェント・███がSCP-201-JPに入室したところオブジェクトが活性化し、SCP-201-JP-1の出現と同時にオブジェクトの本来の性質が発覚しました。

SCP-201-JP-1は殺人経験又は人の死に関わるトラウマを持つ被験者が単独でSCP-201-JPに入室することをトリガーとして出現する人型存在です。外見は多くの点で男性的特徴を有しており、全長は175cm前後で痩せ型、「給仕」、所謂ギャルソンに似た衣服を着用しています。喉頭部分から首が何らかの手段で斜めに切断されていることから頭部は存在せず、断面からは紫の花弁のクロッカス (Crocus)が成育しています。頭部が存在しないにも関わらず、対象は不明な方法で周囲の状況把握と発声を行います。常に項垂れた格好をしており、その言動や仕草は鬱あるいはヒステリーの傾向が見られますが、他者に対しては概ね友好的な姿勢を示し、丁寧な日本語で対話に応じます。

SCP-201-JP-1は遭遇した人間に対して速やかに料理を提供します(以下SCP-201-JP-2)。これは視覚的には白色の陶器の皿に盛り付けられた一般的なミートスパゲッティに見えますが、現在まで原材料並びに成分は未解明です。また、この際のSCP-201-JP-1はSCP-201-JP-2を「懐から取り出すよう」に出現させることが確認されていますが、その発生プロセスに関する研究は進展していません。SCP-201-JP-2を差し出された被験者は懐疑的な姿勢を示しながらもアイテムを受け取り摂取を開始します。摂取開始から2~30秒後、被験者は過去に自らが経験した殺人や知己との死別に関する状況説明を始め、その事案の前後にとった己の行動の問題点や反省点を自発的に挙げることで激しい自己嫌悪に陥ります。SCP-201-JP-1は被験者の説明に対して嗚咽に似た音を発しながら同情的な反応を見せ、気遣いの言葉や今後のアドバイスを被験者に語りかけます。SCP-201-JP-1の言葉を耳にした被験者は安堵を示し、安心感と満足感が起因とされる多量の涙を分泌します。被験者がSCP-201-JP-1に感謝の言葉を発する又はSCP-201-JP-2の可食部分を完食した時にオブジェクトは非活性化し、SCP-201-JP-1とSCP-201-JP-2は消失します。オブジェクト外に退去した被験者は殆どの場合号泣を続けますが、鎮静後は非常にはつらつとした姿を見せ、以前に抱えていた一切の心理的な問題の兆候を見せなくなります。

これまでにSCP-201-JPに対して行われた実験から、オブジェクトはSCP-201-JP-1とSCP-201-JP-2を媒体として被験者に接触することで人間の深層心理に介入し、所謂「良い影響」を及ぼすものであると推測されています。このことから、財団に対して非協力的なDクラス職員や第一線で活動する研究員・フィールドエージェントなどをオブジェクトに接触させることで組織全体の職務効率を上昇させる計画が立案され、現在研究チームと日本支部理事会との間で調整が進められています。 計画は理事会の命令により中止されました。事件記録201-JP-incidentを参照してください。

SCP-201-JP実験ログ(一部抜粋):

実験記録201-JP-3 - 日付20██/██/██

対象: D-4402。女性のみを狙った無差別殺人の容疑で死刑判決を受けた。他者に対して非常に攻撃的な性質を示す。
実施方法: 被験者をSCP-201-JPに入室させる。
結果: SCP-201-JP-1が出現。被験者は幼少時に自らにネグレクトを行っていた母親を階段から突き落とし、殺害した体験を説明(被験者の母親の死亡は事故死として処理されていた)。死亡直後の母親の顔が忘れられず、その後も無軌道な殺人を繰り返したと語った。SCP-201-JP-1は「例えどんなに酷く苦しい記憶だとしても、貴方がお母様のことをいつまでも憶えている、それこそが貴方自身の贖罪になるのではありませんか」と発言、嗚咽らしき声を発した。被験者は号泣しながらSCP-201-JP-2を完食、感謝の言葉を発した。その後のD-4402は財団に対して非常に協力的になり、与えられた職務を積極的にこなすようになった。一ヶ月後に通常通り月例解雇。
分析: オブジェクトに入室したことで被験者の凶暴な性質が中和されたと推測される。原理は不明ながらその後の被験者に心理的な問題が発生した形跡は無く、よってエージェント・████の初接触の際の「悪質な思考操作」に関する疑念は暫定的ながらも撤回された。

実験記録201-JP-7 - 日付20██/██/██

対象: D-4426。妹夫婦の子供2人を浴槽に沈めて溺死させ、無期懲役の判決を受けた。軽度の躁鬱症で、拒食に起因する栄養失調状態だった。
実施方法: SCP-201-JP-2を採取するキットを持たせた上で被験者をSCP-201-JPに入室させる。
結果: SCP-201-JP-1が出現。被験者は姉よりも先に結婚し家庭を築いた妹に対しての憎悪と、自分が居候であることの恥ずかしさから犯行に及んだと説明。しかし子供は無関係であったことを認め、謝罪の言葉の後に自殺を仄めかす言動を行った。SCP-201-JP-1は「それでは誰もが救われない。我々は最後まで生きなければならないのです、それが死よりも苦しい道だとしても」と発言、嗚咽らしき声を発した。被験者は号泣しながらSCP-201-JP-2を完食(命令違反)。実験終了後D-4426は拘束され消化物の摘出手術を受けたが、SCP-201-JP-2は発見されなかった。被験者はその後心身共に健康な状態を維持し、██日後のSCP-███の実験中に死亡した。
分析: SCP-201-JP-2のサンプル採取失敗は今回で3度目。以降も優先課題として挙げられる。

実験記録201-JP-10 - 日付20██/██/██

対象: ███研究員。殺人の経験は無かった。
実施方法: 被験者をSCP-201-JPに入室させる。
結果: SCP-201-JP-1が出現。被験者は親しい間柄だった同僚の██研究員がSCP-███の実験中に死亡した事件について説明。自分のオブジェクトに対する警戒心の欠如が招いた結果であると発言した。SCP-201-JP-1は「貴方が自分自身を責めれば責めるほど、生まれる必要の無かった苦しみが貴方の心を更に締め付けるでしょう。それは貴方の御友人が真に望まれる事でしょうか?」と発言、嗚咽らしき声を発した。被験者は号泣しながらSCP-201-JP-2を完食。実験から1年後、██研究員はSCP-███に関する研究で大きな成果を上げたことでBクラス職員に昇格した。
分析: 殺人経験の無い人間がSCP-201-JP-1に遭遇した初の事例。対象は人の死に関する深いトラウマに反応して無差別に出現するのではないかと推測される。

実験記録201-JP-16 - 日付20██/██/██

対象: エージェント・SM_L
実施方法: 被験者に対してSCP-201-JP-1への物理接触を求めた後、SCP-201-JPに入室させる。
結果: [データ削除済]。監視カメラには実験終了後に号泣しながらSCP-201-JPから退室するSM_Lの姿が記録されていたが、警備員は入口付近で号泣しているエージェント・差前を発見、拘束したと証言した。[編集済]と考えられる。
分析: 差前の件はともかくとしても、物理接触が失敗したのは誠に奇妙であると言う他ないし、これまでの実験においてSCP-201-JP-2のサンプルを回収できていないのも腑に落ちない。SCP-201-JP-1やSCP-201-JP-2は本当にこの世界に実在しているのか? - 八丈博士

実験記録201-JP-19 - 日付20██/██/██

対象: 結城博士
実施方法: 被験者をSCP-201-JPに入室させる。被験者はSCP-201-JPの特性を知らされていない。
結果: [データ削除済]。実験計画を立案した███研究員はレベル1に降格となった。
分析: 人は長く生きていれば様々な事柄を経験します。今後の実験被験者選定はより厳正に行わなければならないでしょう。私から言えるのはそれだけです。 - 結城博士


補足資料: 事件記録201-JP-incident

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