事件記録201-JP-incident
評価: +42+x

空白

警告: このファイルに記載されているのはレベル3以上の職員にのみ閲覧が許可される極秘扱いの情報ですが、SCP-201-JPに関連する実験の被験者となった人間は閲覧権限の対象外となり、アクセスした場合にダミーの報告書が展開されることになっています。万が一不正アクセスが発生した場合、対象者にはカウンセリングの受診とA或いはBクラス記憶処理の自由が与えられます。

ファイルを開いています…

空白


空白

D-4874を用いた第███回SCP-201-JP実験記録より抜粋

インタビュアー: D-4874

対象: SCP-201-JP-1

〈記録開始〉

D-4874: 俺、こんなに泣いちまったのは生まれて始めてだよ。[号泣]あんたにもっと早くに会えてたなら、もっと違う人生だったかもしれねえ。

SCP-201-JP-1: [嗚咽を抑えながら]それは分かりませんが、僅かでも貴方の助けになれたのなら幸いです。では、名残惜しいですが私はこれにて……

D-4874: あ、ちょっと待ってくれ!

SCP-201-JP-1: ……如何なさいましたでしょうか。

D-4874: あ、その……あれだよ。俺だけ、こう、悩みを打ち明けちまうのは偲びないっていうかさ。俺には分かるぜ、あんたも背中に何か、悲しいモンを抱えてるんだ。だから俺みたいな奴にも真面目に向き合ってくれたんだろ?今度は俺があんたの話を聞く番だって思うんだけど、どうかな。

SCP-201-JP-1: [沈黙]

D-4874: ……いや別に、ただ単に俺が聞きたいだけの話だし、言いたくなかったらいいんだけど……

SCP-201-JP-1: ……Harazinが……

D-4874: ん?

SCP-201-JP-1: Kovk-Harazin1が大のお気に入りでございました、あの方は。一時期はそれ以外の食事を全くお口に入れなかったこともありましたのです。色の濃い野菜は苦手だったようで、御食事の際はよく言い訳を仰いながら別の皿に選り分けていらっしゃっていましたが。私は後ほど天蓋舎に参って、それをこっそり処理しなければなりませんでした。……そう、私は賤しきヤグェンドの身分だったのでございますが、畏れ多くもあの方へ直接御食事をお届けする給仕の役目を仰せつかったのでございますよ。今思えば、あの采配は料理長達が万が一の時の責を適任者になすりつけようとした結果だったのでしょうね。それでも私は何も言わずに仕事を続けましたし、毎日何度も光宮へ向かう道中でお会いする高位の方々にもさしたる無礼を働くことはございませんでしたので、罰されることはありませんでした。

D-4874: え、何?ごめん、早口過ぎてよく聞こえなかった。

SCP-201-JP-1:どういうわけか、あの方は私のような者にも対等であるかのように接しなさっていました。恐らく私のことを、身分の高い料理長か何かだと誤ってお考えなさっていたのでしょう。あの方は歳不相応に聡明でしたが、知識に偏りが見られるといいますか、身の回りで起こる些細な事柄に関して、あまりお知りになられないことが大層ございましたのです。……お食事をとられながら、私に様々な話をお聞かせ下さっていたのを覚えております。政務のこと、退屈な謁見のこと、厳格なGidico様や戦争官僚、過保護な女官どもへの愚痴、そして天蓋の外に広がる数多の[データ削除済]のことを、目を輝かせながら私にお教え下さいました。あの方は苦しんでいた……それ故に、自らの彗眼が届く限りの全てを守ろうとしていらっしゃったのでございます。私は彼女を……あの方を、お慕い申しておりました。まだ幼いその御身を犠牲にし、只管に尽くし続けるあの方のお側に、いつまでも在り続けたいと……卑しい身でありながら、そのような唾棄すべき不遜な考えを……

D-4874: [無言でSCP-201-JP-2を摂取する]

SCP-201-JP-1: しかし……ああ、しかし、あの日!忌まわしき受罰僧侶どもに率いられた“過去の同胞”がFugolに雪崩れ込み、聖域を穢し……報せを聞いて、私は急ぎました。既に光宮は暴徒に破壊され、辺りからは小さな火が立ち昇っておりましたが、あの方は瓦礫の下に……幸いなことに、まだ息はおありでございました。あの方は、夕食の時間だと仰いました。いつものお綺麗な笑顔を浮かべて、私の作ったHarazinが食べたいと、御血を吐きながら仰いました。私は……この期に及んでも、本当のことを伝えられませんでした。私は唯の卑しい給仕であると伝えずに……あの方を隠してから、急いで厨房へ戻りました。料理長たちは暴徒を恐れて未だ室内に隠れておりましたが、私は構わず食料を物色しました。材料はなんとか揃っておりましたが、肉を仕舞っていた貯蔵庫だけが破壊されてしまっていましたので、止むを得ず料理長たちで代用致しました。

D-4874: え……[フォークを取り落とし、呆然とした視線をSCP-201-JP-1に向ける。三秒後にSCP-201-JP-2を激しく嘔吐、床に吐瀉物を撒き散らした]

SCP-201-JP-1: 新鮮な材料を選び、調味料を見比べ、ソースを煮込み、麺を茹で……見よう見まねでございました。がむしゃらにお作り致しました。ようやく出来たHarazinは、いつもお出ししているものよりは少々塩辛い不恰好なものでしたが、私は急いであの方の元へと食事をお届け致しましたのでございます、ますが、ですが、ああ、ああ、あの方は、彼女は既に、ああ、あああ、光芒が失われた、光芒が失われた!私は結局最後まで、あの方を騙し続けたのだ!私は!私は!

D-4874: [咳き込みながら]お……お前、お前!ま、ま、まさかまさかこれは、これ、これは……!

SCP-201-JP-1: あの方はきっと分かっていたのだ!私が卑しい愚かな給仕であることを、とうの昔に見抜いていたのだ!だから私に罰を与えるために、[判別不能]罰だ、これは罰なのだ!私の愚かさが招いた[判別不能]光芒よ、あなたは私が殺したのです!私が!お慕い申して……それでも!この世の春を!失った!2

(SCP-201-JP内の壁面が異常発光を開始。11秒後、室内に存在する全ての給水管から大量の水が噴出し、猛烈な勢いでオブジェクト内を満たしていく)

D-4874: [悲鳴]

SCP-201-JP-1: [判別不能]私の罪は……

(噴出した水が天井にまで達し、監視カメラを破壊)

〈記録終了〉

空白

結果: カメラ破壊から8秒後、大量の水がSCP-201-JPから地下階に溢れ出し、D-4874を含めた█名の財団職員が水流に呑み込まれ窒息死しました。液体の成分を調べたところ、89%という高い水準でヒトの涙に含まれる成分と一致。また事件後にオブジェクトは非活性化し、SCP-201-JP-1も消失が確認されましたが、D-4874が嘔吐したSCP-201-JP-2の残滓の回収が奇跡的に成功し、その主成分がヒトの体組織であることが判明しました。
事件から一週間後、財団日本支部理事会はSCP-201-JPの有効利用に関する計画の永久凍結を発表、倫理委員会がこれを支持しました。オブジェクトはEuclidに再分類され、今後行われる予定だった全ての実験は中止されます。

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。