SCP-2012
評価: +3+x

アイテム番号: SCP-2012

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-2012への対応のため、俗ラテン語(ローマ帝国時代初期に一般に使用されていた言語)の教習を受け流暢に会話可能な人員を少なくと1名、常に待機させることとします。この人員を以降、アルファ-1と呼称します。アルファ-1はローマ帝国の歴史について教習を受けねばならず、その内容は帝国初期の軍事ドクトリンおよび戦術に特に重点を置くものとします。加えて、同時代のものとして精確な考証を行い、ローマ時代の鍛冶工が使用できる方法のみを用いて鍛造した「ロリカ・セグメンタタ」1セットを、上記の人員の使用に供するため調達してください。帝国「アウクシリア」騎兵用の標準的武装セットを、前記の鎧と同様の条件で鍛造し、支給することとします。1頭の適切なローマ騎兵式装身具を装着した騎馬を支給します。アルファ-1はローマ式馬術、主として鐙(あぶみ)を使わない乗馬の訓練を受けます。

アルファ-1は紀元110年代におけるブリテン島征服に関するローマの軍事史についての発展的講習を受講することとします。アルファ-1はレギオIIアウグスタ1のアクィラ2を含む同部隊の紋章および記章類を受領することとします。

アルファ-2として指定される2人目の人員は、同様の装備を受領しますが、元首制時代におけるユダヤ人の反乱、とりわけバル・コクバの反乱に重点を置いた講習を受講することとします。アルファ-2はレギオXゲミナの紋章およびアクィラを受領することとします。

アルファ-3として指定される3人目の人員は、他の人員と同様の装備を受領しますが、紀元160年代のパルティア戦争に重点を置いた講習を受講します。アルファ-3はレギオIミネルウァの紋章およびアクィラを受領することとします。

2月の最後の週の間、財団職員はSCP-2012が出現する可能性のあるスコットランドのローモンド湖およびトロサックス国立公園の周辺を、野生動物調査のカバーストーリーを用いて封鎖します。

同様のエリアとしてイスラエルのネゲヴ砂漠、アルメニアのホスロフ州立保護区がありますが、これらの周辺は封鎖が不可能であるため、厳重な監視下に置きます。

マリアン・イベントが開始された際、アルファ-1はSCP-2012の位置に馬で向かい、レギオIIアウグスタのアウクシリア騎兵の一員である旨を主張します。アルファ-1はレギオIIアウグスタは待ち伏せにより壊滅し、レギオIXヒスパナへの長期指令として、現在地点に残り防衛の準備として要害を構築する命令が出ていると主張します。アルファ-1はSCP-2012-1にこの処置の必要性について説得するために必要なあらゆる手段を用いるよう命じられます。

アルファ-1が指定された時間である10時間以内に戻って来なかった場合、SCP-2012を実力により収容すべく機動任務部隊が派遣されます。

同様の手順をアルファ-2およびアルファ-3に対しても、担当地域および所属する軍団に応じて適切な調整を行った上で適用します。

収容手順とは別に、SCP-2012の出現中の監視は常時行うこととします。

説明: SCP-2012は紀元100年代後半に歴史的記録から姿を消したローマ帝国の軍団であるレギオIXヒスパナの構成員たちに対する集合的指定です。この歴史的記録からの消失の理由は現在のところ議論の余地が相当残る問題となっています。

3月の初め、SCP-2012は地球上の3つの異なる地域、すなわちスコットランドのローモンド湖およびトロサックス国立公園、アルメニアのホスロフ州立保護区、およびイスラエルのネゲヴ砂漠に出現する可能性があります。この出現事象は以降、マリアン・イベントと呼称します。マリアン・イベントの間、SCP-2012の構成員が出現し、これはしばしば野営地への随行者や、その他ローマ軍団に一般的に見られる人員を伴っています。軍団の構成員は自らの現在地点についてかなりの混乱を表明しますが、自分たちがいまだに紀元100年後半にいるのだという主張を繰り返します。

SCP-2012実体群は散らばって現れる傾向があり、一度の出現イベント中に複数の地点に出現する可能性がありますが、SCP-2012が出現しうる各地点に実体群が繰り返して出現することはありません。

SCP-2012-1はSCP-2012の指揮官である█████████ ██████ ██████████に対する呼称です。SCP-2012の収容に当たる職員はSCP-2012がその位置を保持するよう説得するためにSCP-2012-1と、あるいはSCP-2012-1が存在しない別の地点においては他の適切な指揮官と接触することとなります。

マリアン・イベントの開始からおよそ1週間後、実体群は突如として、すべての装備品と共に消失します。SCP-2012はいつでも消え去る可能性があり、その構成員たちは差し迫る消失や彼らを取り巻く環境全般について気付いていないものとみられます。

収容中に何名の構成員が喪失したとしても、SCP-2012は一年に一度再出現します。SCP-2012実体群は前年の記憶を引き継ぎません。

財団がSCP-2012の収容を開始したのは████年のことで、実力を行使する必要があったのは█回のみです。カバーストーリーは軍事訓練という内容を基本として維持されています。

補遺: 下記はアルファ-1がSCP-2012の異常性質の起源を解明すべく行った会話のうち関連する部分の内容です。会話はオリジナルの俗ラテン語から翻訳されています。

SCP-2012-1: …だがそれでも、奇妙に感じる。正直に言って、多くの者がおかしいと感じているだろう。そう、私はユダヤ属州で戦い、ユダヤ人を鎮圧したときの記憶があるのだ。君にはそれが想像できるか? 私は狂気に陥りつつあるに違いない。我々はその近くに駐留したこともないはずなのに、私はそれでもどういうわけか、そこで戦ったことをはっきりと思い出せるのだ。

アルファ-1: おそらくそれは反乱に直面したストレスのためでしょう。

SCP-2012-1: ああ、たぶんな。だが私の頭の中からある出来事が離れないのだ。我らが戦いに臨んだとき、呪わしい蛮族の神官が奴らのチャリオットの上から我々に咆哮した。どういうわけなのか、私は奴らがパルティアの重戦車兵だと思っていた、その特徴的な鎌状の刃からだろう。その光景を頭から追い出すためには何度か瞬きせねばならなかった。いったいどうなっているのか見当もつかん。

アルファ-1: アスクレピオスへの祈祷を手配いたしましょう、閣下。

別のマリアン・イベントにおいて、アルファ-2が同様にSCP-2012の起源を解明するよう指示されました。SCP-2012-1はマリアン・イベント中、イスラエルのネゲヴ砂漠に出現していました。

SCP-2012-1: そしていまだに、私は頭の中からそれを払いのけられていない。ピクト人の反乱で奇襲を受けたというこのはっきりした記憶をだ。我々はブリタンニアに駐留したことは一度もない。私はほとんどブリタンニアについての情報を思い出せないし、他の征服地について調べようとしたこともないのだ。だが私はそれをはっきりと思い出せる。

アルファ-2: それは奇妙なことですね、閣下。

SCP-2012-1: もっとも奇妙なことが何かわかるか? 私はユダヤの狂信者たちを見ることを、そしてパルティアの軽装歩兵について考えることをやめられないのだ。パルティアの軽装歩兵など見たこともないのだが、私はあの兵士たちが見えたとき、彼らがどれだけ以前のパルティア戦について思い出させるか考えてしまう。見ろ、まただ。パルティアでの戦いの経験など無いのだが、私には彼らが古い戦争の記憶のように思える。我々はトラヤヌス帝以来パルティアと戦ってもいないのに、そうした記憶の中では、軍旗にはためいているのはトラヤヌス帝の姿ではない。それは私も知らない別の皇帝なのだ。

アルファ-2: アスクレピオスへの祈祷を手配いたしましょう、閣下。

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