アイテム番号: SCP-2034-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-2034-JPはサイト-81██の第4区画収容室に収容されます。オブジェクトの監視はセキュリティー担当者により24時間体制で行われます。SCP-2034-JPの発声事案が発生した場合は担当研究班に詳細を報告し、すぐさま声紋分析と確認されている保有人格との照合を行ってください。
SCP-2034-JPには定期的にインタビューを行い、音声記録は人格特定用の資料として2034-JP専用データベースに保存してください。もし、新たなSCP-2034-JPの保有人格が発見された場合は担当研究班に連絡し入院患者一覧から保有人格の特定を行ってください。
説明: SCP-2034-JPは外見年齢30代・身長176cm・体重49kgの日本人男性です。現在、対象は戸籍調査や身体調査の結果から192█/6/█に殺人罪で死刑判決を受け収監されていた山下 ██死刑囚であると判明しており、既に刑が執行され記録上死亡が確定しています。
SCP-2034-JPの異常性は対象オブジェクトと人間(以下、対面者と表記する)が半径4m圏内でかつ1対1で対面した際に発現し、この際未知の原理で20代の日本人女性の物と思われる声で発声し始めます。この時、SCP-2034-JPは対面者に対して入院希望であるか面会希望であるかという質問を行い、入院希望を選択した場合、対面者は即座に死亡、面会を希望した場合はSCP-2034-JPが保有している人格(以下、保有人格と表記する)の指名を提示する事で該当する人格との会話が可能となります。現在、入院希望を選択したDクラス職員の蘇生には成功しておらず、死亡したDクラス職員の指名を提示する実験も行われましたが面会自体の拒絶により失敗しています。
非活性時のSCP-2034-JPは椅子またはベッドの上に腰かけた状態を維持しつつその間は摂食・排泄・呼吸等の生命活動を一切行いません。しかし、異常性発現時にのみ通常の人間と同様の挙動を示し、この間は生体的活動が確認できます。
SCP-2034-JPに損傷を与える試みは通常の人間に推定される以上の強度を持つ表皮や骨により失敗しており、老化の兆候も見られません。また、CTスキャンやサーモグラフィーカメラと言った機器を用いた場合も機器が対象を認識しないという異常が発生し、生体構造などの解析も難航しています。
SCP-2034-JPはおよそ202名の異なる人格を保有しており、調査の結果、全ての保有人格が何らかの精神疾患を患っている事が判明しています。また該当する保有人格全員が1920年代に失踪した██精神科病院の全入院患者の人格と一致しています。
200█年現在、全ての保有人格の特定が行われ、202名の内115名のインタビューが完了しています。なお、保有人格の特定はSCP-2034-JPの収容直後に発生した発声事案を切っ掛けに行われ、通常会話が不可能な保有人格に関しては保有人格が何らかの単語、氏名を連呼し続けるといった事例を基に特定が進められています。
SCP-2034-JPは異常性発現時以外にも定期的に活性状態へと移行し、その際は毎回異なる保有人格が表層部分に現れ収容室内部を徘徊する等の行動を繰り返します。この事案発生時の保有人格は周囲の情報を認識していないと思われ、これによりこの状態の人格との会話は成功しません。
これらの明確なメカニズムは未だ判明しておらず、担当研究班による調査が継続されています。また、SCP-2034-JPの起源に関与していると思われる██精神科病院の調査も並行して行われています。
補遺: SCP-2034-JPは200█年に発生した██県███市の民家火災を切っ掛けに発見されました。事案は200█/█/██AM1:18に発生し、近隣住民の通報により事態が発覚。2時間に及ぶ消火活動の結果、瓦礫の下から上半身裸のSCP-2034-JPが発見されすぐさま現地救急隊に保護されました。その後、現地警察が対象を重要参考人として警察病院に拘束、この際に前述した異常性が明らかとなり、潜入エージェントからの報告で財団に捕捉されました。収容後、事件関係者や担当者に対してはクラスB記憶処理が行われ、カバーストーリー「誰もいなかった」が適用されました。
現在、SCP-2034-JPが現場に存在していた明確な理由は未だ判明しておらず、正確な火災原因も特定できていません。しかし、火災現場の家屋の所有者である後藤 ██氏(経歴から元精神科医である事が判明)を調査した結果、近隣住民の証言から200█/█/█にSCP-2034-JPと思われる存在と接触しかつ火災発生と同時刻に██道路で発生した車両衝突事故により死亡していた事が判明しました。なお、事故当時の記録やドライバーの証言からこれらの死亡事案は後藤氏自らが車両前方に飛び込んだとされる自殺事案として処理されています。また、後藤氏は過去に██精神科病院にて非常勤で精神科医助手として勤務していたという経歴を持っており、SCP-2034-JPとの関連が示唆されています。
以下はSCP-2034-JPに行ったインタビューの抜粋です。
対象: SCP-2034-JP-001(以下、A。性別:女性。統合失調症を発症していると推測。)
インタビュアー: 野呂井博士
付記: インタビューはサイト-8100の尋問室にて行われました。
<録音開始>
SCP-2034-JP: [女性の声]どうもこんにちは。入院を希望ですか? 面会を希望ですか?
インタビュアー: 面会でお願いします。
SCP-2034-JP: かしこまりました。どなたに面会ですか? 紹介はありますか?
インタビュアー: ██ ███さんです。紹介はありません。
SCP-2034-JP: かしこまりました。では監督官の立会いの下、面会室に向かってください。只今お呼びします。しばらくお待ちください。
[5秒間の沈黙]
A: [先程とは異なる女性の声]……誰。
インタビュアー: 私は野呂井と言います。学者です。貴女は、██ ███さんでお間違え無いですか?
A: ……貴方、もしかしてお父様の遣い? また、あたしを殴りに来たの? ……酷い事をする為にわざわざここに?
インタビュアー: いいえ違います。貴女に危害は加えるつもりはありません。私は貴女とお話がしたくてここに伺いました。単刀直入に訊きます。貴女は今、どのような状況に置かれていますか?
[3秒間の沈黙]
A: ……分からない。何も分からない……。壁が迫ってくるの……。……気が付いたら壁があたしを押しつぶそうとしてきて、出口を塞ぐの……。後ろに座ってる監督官があたしを見てる。あの人は優しい人。だけど、あたしの事をきっと穢れた女だと思ってる。そうに違いない。だってあたしは……あたしは……。
インタビュアー: ██さん、一旦落ち着きましょう。……なるほど、分かりました。ちょっとだけ、違う話をしましょうか。
[20分間のカウンセリングが行われる]
インタビュアー: ……では改めまして。まずは貴女のいるその場所について教えて下さい。
A: ……面談室。四角い部屋。目の前にガラスがあって、貴方はその向こうに座ってる。
インタビュアー: 貴女は、いつもは何処で生活を?
A: ……白い壁に仕切られてる部屋。厠と布団があって、畳が4枚敷いてあるだけ。……あたし達はいつも個別の部屋に押し込められてるの。扉にある小さい窓には網が貼ってあって、そこから見える廊下も全部白くて無機質で……。……男達があたし達を小窓から見てた。……あたし達を汚していった。お父様があたしをここに入れたの。打って、叩いて、虐めて。それから……。……あたしはいらない子で、生まれちゃ駄目な子供だったの。……お兄様だけがずっと可愛がられた。……出来損ないのあたしはここに捨てられたの……。
インタビュアー: あたし達は、と言いましたが、どれぐらいの人間がそこにはいるのですか?
A: ……いっぱい。いっぱいよ。……皆あたしと同じ。世の中から捨てられたの。
インタビュアー: そこで貴女はいつも何を?
A: 寝てる。……あたしにはこれしか出来ないし、必要とされないから。……多分皆あたしを嫌ってる。だってあたしは悪い子だもの……。いつも一人。……でも、時々先生があたしを診に来るの。前の先生じゃない、全然違う人。前の先生はお父様と同じだったから嫌い。あたしを叩いて楽しんでた。でも、今は違う。
インタビュアー: 一体何をしにそこへ?
A: ……分からない。あたしは頭がおかしいから、良く分からないの。あの人の顔は潰れてるし、服は血まみれだし。……でも、全然嫌じゃない。あたしが見てる物は全部嘘だし、意味の無い物だって知ってるけど、凄く安心するの。これだけは本当。
インタビュアー: その先生とは、一体何者なんですか?
A: ……知らない。でも、全部変えてくれた。全部作り直してくれた。男達が突然いなくなって、あたしの目の前で潰されて、捏ねられて、もう1回人の形に作り直されてた。……でも、信じちゃ駄目。あたしの見た物は全部嘘。信じちゃ駄目。
インタビュアー: いえ、大変貴重な情報です。ありがとうございます。
[2秒間の沈黙]
インタビュアー: ██さん?
A: ……先生が呼んでる。行かなきゃ。
インタビュアー: ですがーー
A: ごめんなさい。もう時間なの。彼が、もう帰ろうって……。
インタビュアー: 分かりました。今日の面会はここまでにしましょう。
A: ……ありがとう話を聞いてくれて。
インタビュアー: いえ。お構いなく。
<録音終了>
対象:SCP-2034-JP-057(以下、Bと表記。性別:女性。パニック障害であると推測)
インタビュアー: 野呂井博士
<録画開始>
[冒頭部分は省略]
インタビュアー: 初めまして██さん。私は野呂井と言います。
B: 随分物騒な名前だね。
インタビュアー: よく言われます。本日はいくつかの質問に答えてもらいます。言える範囲で構いませんので、お願いします。まず始めに、どうして貴女はこの病院に入ることになったのですか?
B: ……そんなの分かり切ってるだろ。あたいが使い物にならなくなったから。 それだけだよ。
インタビュアー: それは、貴女が今抱える症状の所為でここに来た、という事でよろしいですか?
B: ああ。急に胸が苦しくなって、目が霞むんだっつって医者に行ったけどね。何処に行ったって門前払いさ。オマケに体を売ってる女なんかに使う薬はねえなんて言われて、あまりにもムカついてさ。結果、キレて暴れて挙げ句がこんな場所さ。ふざけてるだろ?
インタビュアー: ……それについては発言しかねます。
B: 同情なんていらなよ。これぐらいの事、親に売られた時からとっくに慣れっこさ。
インタビュアー: そこの生活はどうですか。他の方は快適だと仰っていましたが。
B: そりゃ外に比べりゃ快適だよ。以前はあたいよりもいかれた、というより人としての根本がてんで出来ていない奴らに囲まれてたからさ。毎日毎日馬鹿無能って罵られて、男共からはタコ殴りにされて、酷い時はあたいが叫んでる時の方が興奮するって奴もいたよ。あたいが幾ら止めてって言っても止めやしないし、心臓が痛いって言っても誰も信じちゃくれない。挙句、嘘を吐くなって余計に殴られて。どいつもこいつも、あたいを虫程度の存在だとしか思ってないのさ。もう外になんか出たくない。二度と、あんな肥溜めみたいな所に戻りたくなんてないね。ここはいいよ。あの心臓の痛みもあまり起きないし、寝てても勝手に飯が出る。外の糞野郎どもの相手をしてるより何倍もマシさ。
インタビュアー: ここに来るまでの道程は分かりますか?
B: 列車だよ。窓には金網が貼ってあって、あたいと似たような境遇の女達を押し込めて一気に運ぶのさ。……知ってるかい? どっかの山奥にはね、あたいらみたいなのを閉じ込めて置く特別な場所があるんだよ。外見は真っ白で何の飾り気も無い建物だけど、その中身は全くの逆。反吐が出るぐらいのくそな場所だよ。
インタビュアー: それが、今貴女のいる██精神科病院という訳ですか。
B: はっ。病院何て名ばかりさ。あそこはただの監獄だよ。金を出してあたいらを世間様から見えないようにして、病院や警察が扱うのに面倒になった女共を捨てておく場所さ。その為の建物、ここは地獄だよ。あんたには分からないだろうね。ここの酷さなんて。
インタビュアー: 厳密にはどのように。
B: 分かるだろ? あたいらはあの中で働いていた奴らの慰み者。いつも小部屋の中をじろじろと見張られて、あの白衣を着た医者とは名ばかりの男共がその中から気に入ったあたいらを選んでは楽しむのさ。一体どんだけの女達が身ごもっては無理やりお腹の子を堕ろされたんだか。口応えすれば目の下に針を刺されたり頭に電気を流されたりして痛めつけられたし、何も分かっていない娘なんて10人の男共に弄ばれたりもしたよ。今思い出しただけでも反吐が出る。あいつらは糞だ。バケモンだ。
インタビュアー: ですが貴女の話を聞く限りだとその状況が突如一変し、劇的に改善された様に思えます。具体的なは一体何が変わったんですか。
B: 全部だよ。何もかも。
インタビュアー: 厳密にはどのように。
B: 口さ。
インタビュアー: ……口?
B: この建物の一番下にでっかい口が現れたんだ。
[2秒間の沈黙]
インタビュアー: 詳しくお願いします。
B: 口だけじゃない。手とか、足とか、目とか、建物の至る所にでっかい人間の体の一部が生えてきたんだ。ある日突然、あたいらの部屋の壁にでっかい目玉が現れて、あたいらを見つめてきた。最初はとうとうあたいもこんな物が見えるとこまで来ちまったかと思ったけど、男共も他の患者にもそれは見えてたから現実だってわかった。最初は全員半狂乱だったよ。そりゃそうさ。黒目が3つもある、人1人分程のでかさのある目玉が急に目の前に現れたんだからね。いかれてなくたって叫びたくなるし、現にあたいもあの時は叫んじまったよ。
インタビュアー: それから、そこで何が。
B: 虐殺さ。
インタビュアー: 虐殺?
B: あたいも良くは知らないけどね。部屋の扉には基本鍵が掛けられてたし、廊下の様子も金網の隙間からしか見えなかったから。でも、目玉が現れてからすぐに男共の悲鳴がそこら中で聞こえ始めたんだ。一瞬だけど空を飛んでる人の腕とか飛び散る血とかが見えたし、ある程度はそれで察したよ。大体30分位かね。急に全部の扉の鍵が開けられて、皆が解放された。そして、あの病院の中央にあるでっかい広間に集まると、それを埋め尽くす程のでかい人の口が現れたのさ。
インタビュアー: その口は貴女方に何を。
B: ……癒しだよ。あたいら全員に優しい言葉を掛けてくれたんだ。あの口はあたいら全員の事を知っていたし、あたいら1人1人を労わってくれた。あんな施しを受けたのはあれが初めてだった。……あたいは、あたいはあの口に、あの人に心底入れ込んじまったんだよ。あの人はあたい達の救いだ。あの人だけがあたい達を見てくれる。商売女じゃなく、あたいとして見てくれる。あたいは、その時からあたいの全てをあの人に捧げるって誓ったんだ。
インタビュアー: 捧げるとは、具体的に何を。
B: そんなの決まってるだろ。それはーー
[5秒間の沈黙]
B: 悪いねお兄さん。どうやら時間みたいだ。
インタビュアー: ……分かりました。
B: でも、最後に1つだけ。
インタビュアー: 何でしょう。
B: あの人には指一本触れさせない。
<録画終了>
対象: SCP-2034-JP-003(以下、Cと表記。性別:女性。重度の自閉症であると推測)
インタビュアー: 野呂井博士
<録音開始>
[冒頭部分は省略]
インタビュアー: ██さん。貴女は、その大きな口さんの事をどう思っていますか?
C: だ、だい、すき!
インタビュアー: 大きな口さんのどういったところが好きなのですか?
C: や、優しい、ところ! く、 口さんは、私が手を噛んでても、怒らないから、好き。それに、いつも部屋で見てて、くれるから、好き。
インタビュアー: そうですか。いつも見守ってくれているのですね。
C: わ、私は! は、母親だから、あの人が、好き。あ、あの人は、わ、私を見て、見てて……大事に、見てるから、わ、私は母親で……。お、お腹に、も、暖かい……ある、から。
インタビュアー: ……それはつまり。
C: は、母親。……母親。あ、あの人が、旦那様。
インタビュアー: ██さん。それは、貴女だけですか? それとも、一緒に生活している皆さんも同じ、という事ですか?
C: あ、あ。……は、母親……み、皆。わ、私は、母親に、なるの。
インタビュアー: ██さん、すいません。そこでは、一体何が行われているのですか。詳しく教えて下さい。
C: え……あ、あ。
インタビュアー: ██さん。
C: [2秒間の沈黙][泣き声]
インタビュアー: ……すいません、難しい事を訊いてしまいましたね。……今日はここまでにしましょう。
<録音終了>
終了報告書: 野呂井博士の報告からSCP-2034-JPはインタビュー中頻りに下腹部を擦っていたと記録されています。
追記1: ██精神科病院の調査の結果、失踪したと思われていた患者と職員全員(後藤氏を除く)の死亡が確認されました。現在、患者・職員の死亡原因は19██/█/██に発生した病院内大量殺人事件が原因であると思われ、発見された捜査記録や拘留記録等から主犯格と思われる人物の特徴がSCP-2034-JPと一致している事が判明しました。なお、これらの記録は当時の行政機関により隠蔽され、犯人が留置所内から突如失踪したという事案からも政府関係者への責任追及を逃れる為に秘匿されていたと予想されています。
犯人の逮捕に関しては犯人の自主逮捕による物であり、取り調べ内容からも容疑を認めている事が確認されています。しかし、犯行の動機に関しては明確な証言を行っておらず「頭の中の誰かが無理やりさせた」と言った主張を繰り返していた事から、後藤氏と接触したSCP-2034-JPとの関連があるとみて調査が行われています。
追記2: 以下はSCP-2034-JPの発声事案記録の抜粋です。なお、この事案に於いてSCP-2034-JPは初めて人間男性の声で発言し、200█年以降この声での発声は一切確認されていません。
<再生>
00:01:03 [SCP-2034-JPが収容室内の壁に頭を叩きつけている]
SCP-2034-JP: [男性の叫び声]
00:01:07 [セキュリティー担当者が突入する]
セキュリティー担当者: 何をやっている! おい!
SCP-2034-JP: 嫌だ! もう嫌だ! 出ていってくれ、俺の頭の中から出ていってくれ!
セキュリティー担当者: 取り押さえろ! 直ぐに機動部隊の要請だ! いそげ!
00:02:03 [セキュリティー担当者に取り押さえられている間もSCP-2034-JPが床に頭を叩きつけている]
SCP-2034-JP: [女性の声]確認します。……申請は却下されました。コード、エラー。エラー。……現段階での気圧、大気、重力への対応可能数値まであと10000。出産プロセスは継続。
SCP-2034-JP: [男性の泣き声]
SCP-2034-JP: [女性の声]山下様、もうしばらくご協力ください。
SCP-2034-JP [保有人格の声]旦那様?
00:02:26 [異なる保有人格の声で旦那様という単語が繰り返される。]
00:02:31 [突如SCP-2034-JPが静止する]
SCP-2034-JP: [正体不明の声]……ママ。
00:02:56 [SCP-2034-JPが未知の小型生命体を4体口内から吐き出す]
セキュリティー担当者: な、なんだこれは……!
00:03:04 [小型生命体がセキュリティー担当者の耳に跳躍し、侵入を試みる]
セキュリティー担当者:だ、 誰か! 誰か取ってくれ! 早く!
00:03:09 [小型生物がセキュリティー担当者の体内に侵入し、10秒間、対象担当者がその場で暴れる]
00:03:15 [対象担当者が直立したまま痙攣する]
00:03:20 [対象担当者が自身の眉間に拳銃の銃口を押し当て発砲する]
00:03:31 [機動部隊が到着する]
SCP-2034-JP: [未知の言語]
SCP-2034-JP: [女性の声]はい、プロセスは失敗しました。やはり、脳機能障害を併発している彼女達との適応率の方が高いと思われます。新しく入院された男性サンプルとの適合率の数値は以前の実験結果と同様です。
SCP-2034-JP: [未知の言語]
SCP-2034-JP: 申請は却下です山下様。我々に適応できない貴方が悪いのです。
SCP-2034-JP: [未知の言語]
SCP-2034-JP: [女性の声]もっともっと、我々と愛を育みましょう。
<停止>
終了報告書: 確認された小型生物の調査と解剖を行った結果、対象生物は小型の軟体生物(マメダコ 学名:octopoda sp.と類似する)と似た特徴を有していますが、目・口・排泄穴といった生体器官は存在せず内部は黒色の粘液のみで構成されている事が判明しました。現在、全ての小型生物は活動を停止しており、セキュリティー担当者の体内に侵入した個体も対象人物の死亡と共に沈黙しています。本事案以降、サイト内の生物研究部門によるこれらの個体の調査が行われています