SCP-2081
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アイテム番号: SCP-2081

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-2081は標準的なSafeクラスロッカーに保管し、偶発的な曝露を防ぐため、各実例ごとに2本の強力な弾性バンドで固く閉じた状態を保ちます。SCP-2081の内容の複製物は異常効果を再現しないため、コピーは特別収容プロトコルの対象にはなりません。実験その他の目的で作ったコピーをサイトの外部に持ち出してはいけません。

説明: SCP-2081は“あなたの夢を現実にしよう: 初心者のための明晰夢”と題された、明晰夢を見るための略式ガイドだという触れ込みの82ページのハードカバー書籍であり、同一の実例が複数発見されています。著者は概日神経科学の専門家である███████ █████████博士とされていますが、現在までの調査でこの名前と肩書を持つ人物は特定されておらず、仮名であると考えられています。SCP-2081のタイトルは、この本の導入部“なぜ明晰夢なのか?”で言及されている引用文をもじったものであるように思われます ― “もし[夢を見ている人が]明晰夢をよく見る場合、それらは起きている時の世界での自信に、気分に、幸福にすら影響を及ぼすことができます ― 明晰夢を見る事は、真に夢を現実にする一つの方法なのです”。この引用文の起源は記載されていません。

SCP-2081の内容は、明晰夢を見るための簡単な指示から、歴史と文化を通しての夢に対する異なる見解についての議論が繰り広げられる“予言と代替世界”というタイトルの章まで幅広いものです。SCP-2081は専ら気楽な調子で書かれてはいますが、本全体で見ると矛盾があります。“metastasise(転移)”と“vaporize(気化)”を同じ一文章の中で用いるなど、イギリス英語とアメリカ英語の用語および綴りの混在が全体を通して、見たところ恣意的に用いられています。SCP-2081が複数の著者によって執筆された可能性は排除されていません。

SCP-2081の内容に暴露した対象者たちは財団職員によって評価され、更なる研究に適切と判断された者たちは20██/██/██を以てサイトの精神科棟にある隔離室へと移されました。全ての影響者は睡眠中に鮮明な聴覚的、そして時には視覚的現象を知覚すると述べており、監視映像と脳波読み取りを介して、彼らは毎晩██秒~██分にわたって完全な覚醒状態にある様子が観察されています。このため、SCP-2081の性質の触れ込みにも拘らず、影響者たちが経験している現象は純粋な明晰夢ではなく、覚醒状態時の幻覚として分類されています。これらの現象と現実世界の出来事との関係は、(もしあるとすれば)まだ不確定であり、継続的な分析の対象です。

全ての影響者は各事案の期間中に、全身麻痺(眼球運動を除く)と激しい恐怖感を報告しています。幻覚の終了から通常█~██分後には影響者のパニックは収まり、通常の睡眠状態に戻ります。覚醒した対象者は幻聴の内容を異常な精度で思い返すことが可能であり、最大██分間の会話の流れを迷うことなく引用できます。この回想記憶は時間経過で薄れる気配を見せません。

詳しい調査の結果、全ての影響者は、睡眠中の室内が日光や電球で完全に照らし出されていることが監視映像で明確に確認できる状況下であっても、幻覚中はほぼ完全な暗闇の中で起きていると確信していることが判明しました。加えて、影響者の瞳孔は明るい照明下であっても、暗闇への適応と一致した拡大状態になることが示されています。事案中、研究者たちは観察室に留まって影響者との意思疎通を試みましたが、影響者は視覚・聴覚・触覚刺激に反応を返さず、完全に目を覚ました後は、事案中に研究者たちが室内にいたことに全く気付いていなかった様子を示しました。覚醒中の影響者の知覚試験では正常な結果が得られています。

観察期間開始から███████、睡眠前の数時間における苦痛の増大と、その結果としての非協力行動を緩和するために、全ての影響者に鎮静剤が投与されました。しかしながら、既知の鎮静剤では覚醒や幻覚を防止できていません。記憶処理は SCP-2081との接触に関する影響者の知識を取り除くことに成功しましたが、覚醒事案には何の影響も及ぼしませんでした。

現時点では、影響者が時間経過で現象に慣れる様子が無いこと、対策が存在しないことから、SCP-2081の効果は恒久的なものと仮定されるべきです。

回収ログ: 20██/██/██から20██/██/██にかけて、SCP-2081実例は複数の図書館・書店・コミュニティセンター、及び██州████████にある1堂の教会に出現しました。SCP-2081がどのようにして、また何故これらの場所に配布されたのかは未だ不明確です。財団は、当該地域で睡眠関連の問題を呈している患者数の急増に伴い、SCP-2081の存在を警告されました。これまでに███冊が財団によって回収されていますが、現存する総部数は現在不明であり、奥付に記載されている“█████████ ██████”という出版社の記録は(現在も、過去にも)存在していません。


注記 20██/██/██追加: 影響者のパラノイアや研究者に対する攻撃的振舞いの増加に続き、追って通知があるまで直接インタビューは中止されている。代わりとして、影響者からは全事象と凡その時間を含む筆記記録を収集し、研究者によってログに入力するものとする。



注記 20██/██/██追加: 20██/██/██、影響者の1人が緊急████████を受けた際、手術中に約██秒間にわたって目を開けていた旨が外科医により報告された。この事象後、麻酔の通常効果は即座に再確立された。通常の覚醒後、影響者は苦痛を経験しておらず、そもそも手術が行われている最中だったことに全く気付いていなかったと報告した。


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